「Ragnarok World Championship 2009」日本チームが初優勝達成!
昨年の上位チームをスピードを活かした戦法で次々と撃破!

11月1日開催

パシフィコ横浜



 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、11月1日、パシフィコ横浜にて「ラグナロクオンライン」の世界最強ギルド決定戦「Ragnarok World Championship 2009」を開催した。世界14地域(日本、アメリカ、インドネシア、タイ、韓国、中国、台湾、フィリピン、ドイツ、ロシア、フランス、ブラジル、ベトナム、マレーシア)の代表チームが参加し、世界一の座を巡って激しい戦いを繰り広げた。

 今回、日本で初開催となった「Ragnarok World Championship 2009」(以下、「RWC2009」)では日本チームが見事優勝を果たした。日本チームは、昨年3位のインドネシア、2連覇を果たしたタイを破り、昨年4位のフィリピンと決勝戦を戦い、世界ナンバーワンギルドとなった。本稿では日本チームの戦いを中心に、各国の代表が繰り広げた激戦をレポートしていきたい。

 


■ 日本に集まった世界14地域からの代表。日本代表は世界戦3度目の挑戦となる「Dekopin」

開会の挨拶を行なった、ガンホーグループCEO森下一喜氏。選手達に配った法被を着て登場した。前日のパーティーでは英語で各国の代表に挨拶した
ウェルカムパーティーで決定したトーナメント表。右側に強豪チームが集まった。日本はこの中を戦い抜かねばならなかった

 「RWC」は2004年と2007年に韓国、2008年にフィリピンで開催され、今回が4度目となる。今回は14地域が参加し過去最大規模となった。世界各国から集まったチームは、前日に行なわれたウェルカムパーティーではじめて顔を合わせた。「RWC2009」はこれまで同様、トーナメントで各国のギルドがぶつかることとなる。ウェルカムパーティーではくじ引きにより、トーナメントが決定された。

 各国の関心は、「タイのチームがどこに来るか」である。タイは2007、2008のRWCで優勝を果たした強豪チームである。今回、3連覇をかけての出場となる。その実力はギルド対戦を行なうすべての「RO」プレーヤーが認めるところで、動画サイトYouTubeでは様々な国のギルドが自分たちの戦いをUPしており、各国のプレーヤーはそれらの動画を研究しているという。タイはその中で最も注目され、研究されているチームなのだ。

 くじ引きの結果で、タイはフランスとぶつかることになった。タイがフランスに勝てば、2007、2008と決勝戦を戦っている韓国との戦いとなる。一方、日本チームの初戦は、昨年3位のインドネシア。インドネシアに勝てばベトナムvsマレーシアの勝者とぶつかり、準決勝でタイとぶつかるシナリオとなる。日本チームにとってもタイは優勝への最大の壁となるのだ。

 今回、日本チームとして出場するのは「Dekopin」という名前のギルドだ。実は彼らは2007、2008のRWCに出場したメンバーの参加するギルドだ。両大会とも初戦で敗れてしまっており、今回「今度こそ死にものぐるいで勝ちに行く」という気持ちで挑んだ。

 「Dekopin」は「RWC2009」に先がけて行なわれた日本一最強ギルド決定戦「Ragnarok ONLINE Japan Championship(RJC)2009」では予選で敗退してしまっている。「RJC2009」の後行なわれた、「RWC2009」へ向けた日本代表ギルド決定戦で、敗者復活戦を勝ち進みこの選抜戦に出場、「RJC2009」の強豪チームとリーグ戦を戦い最高成績で日本代表となったのだ。

 今回の「RWC2009」は、トーナメント本戦で使用するマップが早い時期で公開され、ガンホーとしても日本チームの「経験値」を積ませるため、世界戦で使われる英語クライアントを準備し、世界戦で使われるマップを使って、日本代表を選抜する戦いを試合数の多いリーグ戦形式で行なった。その後も「Dekopin」といくつかの選抜ギルドで、オンラインの「特訓」をすることのできる環境を提供するという形でこれまでの大会以上のバックアップを行なった。

 日本チームは去年と一昨年のメンバーが集まり、今年1人のメンバーを加えた形で勝負に挑んだ。日本チームは試合前のコメントとして、「これまではいい成績を残せなかったので、今年は優勝を狙っていきます」と語った。激戦を彼らはどう戦い抜くだろうか。


前日のウェルカムパーティー。いくつかの地域の代表メンバーに声を聞いてみたが、「ラグナロクオンライン」が好きだ、という想いが強く伝わってきた


■ 選手達と観客へのよりよい環境作りを目指した試合会場、日本チームは速攻で1回戦突破

見事優勝を果たした日本代表ギルド「Dekopin」。世界戦への挑戦は3度目にしてついに世界一の座を手にした
試合の解説を行なった、左から、ガンホー 第一マーケティング部第一企画課の中村聡伸氏、オンライン事業部サービス運営本部ゲームサービス部一課の満田健太郎氏、ゲーム事業部オンライン本部ゲームサービス部一課課長の廣瀬高志氏
サブモニターでは各代表の写真や世界戦の戦績、意気込みなども紹介された

 「RWC2009」トーナメント1回戦では、ドイツ対中国、ブラジル対台湾、ロシア対アメリカ、日本対インドネシア、ベトナム対マレーシア、フランス対タイの戦いが行なわれた。フィリピンと韓国はシードとして2回戦からの出場となった。

 対戦マップは柵が行く手を阻むTYPE2と呼ばれるマップである。柵や段差のある複雑な地形で、どこで激突するかも勝敗の大きなファクターとなる。中央を一気に目指すチームが多かったが、L字型の角のところで止まり、段差を越えて進んでくるプレーヤーを攻撃する、というチームも見られた。

 第1回戦、日本の試合は4戦目となった。対戦は昨年3位だというインドネシアである。インドネシアはメンバーそれぞれの個人技に誇りを持つという傾向があるとのことだ。彼らの目標はあくまでタイであり、日本には絶対勝つ気合いで望んでいたという。

 試合開始前、会場のカメラが選手の表情を映し出していた。日本の選手はカメラに手を振ったり、話し合いの時にも笑顔を見せることもあったが、それでも強い緊張感が感じられた。「とにかくまず1勝」という想いが画面からも伝わってきて、思わず感情移入させられた。

 両者ともチェイサーを入れた1番多く見られる組み合わせだ。開始直前真ん中に切り込んだのは日本チーム。インドネシアチームは画面下から攻めていく。ストームガストの激しい撃ち合いから、遠距離攻撃の戦いを繰り広げる。日本が踏み込むとインドネシアはわずかに下がるという膠着状態はほんの一瞬で、日本チームのチャンピオンがするすると前に出て、インドネシアのプロフェッサーを仕留めた。

 解説の中村氏の言葉が追い付かないスピードで日本のチャンピオンは阿修羅覇凰拳を連発し、次々とインドネシアのメンバーを倒していった。1回戦の試合の中では、最も短く、そしてきれいに決まった勝負だと言える。日本での特訓の成果、強豪ギルド達と鍛え上げた実力が世界戦の舞台でも通用するということを感じさせた戦いだった。

 第2戦も同じ組み合わせでぶつかりあった。試合前は1戦目より日本チームが緊張しているように見えた。2戦目はインドネシアも積極的な姿勢をみせるが日本チームはさらに早かった。中村氏が「おっとここで日本チームが!」と言ったときにはインドネシアのメンバー4人が瞬く間に倒され、あとは「残り3です、2です、1です!」と人数を数えることしかできないスピードでまさに「瞬殺」していった。

 日本チームの力はもちろんチャンピオンの阿修羅覇凰拳だけではない。技の連発を実現させるためのバックアップはもちろん、それに合わせて攻撃を集中させる瞬間のコンビネーションが的確だからこそ、このスピードで敵が倒せるのだ。ステージを下りた日本チームを何人もの人が囲み祝福していた。彼らの中には代表戦で戦ったギルドもいて、日本チームが見ることができなかった試合で、相手の構成を報告するなどフォローもしてくれたという。

 日本とインドネシアの戦いの後に行なわれたのがフランス対タイの一戦だ。フランスチームのリーダーは去年も世界戦に参加し、今年のために自ら強いメンバーを集めて挑んだという。しかしその自慢のチームもタイの前に速攻で倒されてしまった。日本チームに劣らないスピードでの決着に、「さすがタイだ、2年連続の優勝チームだ」いう印象を誰もが持ったに違いない。日本優勝に大きく立ちはだかる壁として大きな存在感を放った戦いだった。

 1回戦で面白かったのが、ブラジル対台湾の試合だ。「ラグナロクオンライン」の対戦はある程度「定石」が確立している。回復の要ハイプリースト、防御の中心パラディンというように、7人のプレーヤーキャラクターのうち6人の職業はほぼ固定で、残り1枠を何にするかというのが、戦術に大きな影響を及ぼすのだ。

 ブラジルチームは1戦を落とした後、「新戦術」を披露した。ジプシーを投入するのは比較的オーソドックスだが、攻めの要であるチャンピオンを外したのだ。チャンピオンは阿修羅覇凰拳で的確に他のプレーヤーをつぶしていく戦いにおいて1番攻撃力の高いキャラクターだ。このキャラクターを抜くというのは「RO」の常識から外れた戦い方といえる。

 無謀とも思える戦術だが、これが非常にうまくはまった。新たに投入したジプシーの「スクリーム」で相手を麻痺させ、クラウンの「寒いジョーク」で凍結させて台湾の自由を奪い、クラウンの「アローバルカン」やチェイサー、パラディンなどの遠隔攻撃のターゲット集中がたくみで的確にメンバーを倒していく。チャンピオンがいないため決定力にはかけるものの数の優位を保ち続け、2戦を勝ち2回戦進出を果たした。台湾のチャンピオンをブラジルのプロフェッサーがうまく「ディスペル」で力を奪うというテクニックも見事だった。

 今回の「RWC2009」では、試合と選手に対する運営側の細かい配慮を感じさせた。ステージには7人のメンバーが座れる競技台が4つ用意され、試合前のセッティングが充分できるように配慮されていた。試合前に選手が会場に挨拶をしたり、去るときにもステージの前に出る、という手順をせず、選手達はステージ後方から競技台に座り黙々と準備し、試合開始を待つことができた。各国の通訳も選手の後ろに立ち、ガンホースタッフも1つの競技台に複数配置され、細かいケアを行なっていた。

 筆者は何度か海外でのゲームの世界大会を取材しているが、テレビ番組を意識した演出や、マシントラブルが頻発したりと、運営側の準備不足、選手への配慮が欠けていると思わせる事態が非常に多い。今回、試合に関してはガンホースタッフの細かい配慮、クオリティーの高い世界戦を実現したいという想いが強く感じられた。

 「RWC2009」では正面の大型モニターの他に、左右にサブモニターが配置してあり、こちらの画面では魔法などのエフェクトを切り、各選手の体力を表示させていた。「ラグナロクオンライン」の戦いは地形魔法やスチームがストで画面がエフェクトだらけになり、選手以外では何が起きているかわからない場面が多い。今回サブ画面により、メンバーの位置や体力の攻防などを見ることができた。ゲームをよりわかりやすく、駆け引きの面白さを知って欲しいというスタッフの工夫にも感心させられた。イベントとして大会を開催するという点で、参考にすべき工夫を随所に凝らした大会だと感じた。


常に2試合分の準備ができる会場。エフェクトを切り、選手達の動きがわかるサブモニターも初の試みだ
【コスプレステージ】
今まで以上に多くのコスプレーヤーが集まった。ベトナム代表などは喜びながら写真を撮っていた。この他、JAM Projectのライブや、スフィアのライブも行なわれた

【日本対インドネシア】
一足早く戦場の中央に布陣し、素早い手数でインドネシアのメンバーを倒していく日本チーム。「Dekopin」の悲願だった“世界戦初勝利”を達成した瞬間だ
【ブラジル対台湾】
チャンピオンを使わないという驚きの戦術をとったブラジルチーム。一戦目をとられた後の逆転劇に、会場は大きく沸いた


■ 注目のタイと韓国はタイの勝利、日本はベトナムを下しタイに挑む

 第2戦の最注目カードはなんといっても昨年の1位と2位がぶつかりあうタイ対韓国の1戦だ。タイも韓国も一番お互いを意識しているという。タイは新戦術で挑むという。対する韓国は兵役のためメンバー7人のうち5人が変わってしまったという。それでもタイに対する思いはとても強い。

 タイと韓国は結果としてタイが素早いスピードで韓国を倒した。タイの戦い方の見事さは標的の選び方にある。攻撃を集中して敵を倒しきれなかった場合、素早く他の目標に向かうのだ。このため韓国の回復役は誰を守っていいかが幻惑される。思い切ったターゲットの切り替えとダメージの集中が今回のタイの武器のようだ。このタイの戦い方に韓国は対応できず、昨年2位のチームは早々とトーナメントから姿を消すことになった。

 タイに挑むためには、日本はベトナムに勝たなくてはならない。ベトナムでは2002年から「ラグナロクオンライン」がサービスされており、国内大会も積極的に行なわれている。今回、世界戦への参加は初めてだが、世界大会での優勝を目指し、国内から最強メンバーを集めた選りすぐりのパーティーだという。

 ベトナムはチェイサーの代わりにスナイパーを入れ、遠距離攻撃を強化したタイプだ。第2戦のマップは中央に広い空間のある、日本チームが最も好きといっていたマップである。第1戦、日本チームの攻撃はベトナムチームのパラディンに阻まれる。2発の阿修羅覇凰拳に堪えてみせたのだ。

 しかし阿修羅覇凰拳を連発できる日本チームは、瞬時にプロフェッサーを狙い撃破する。そのまま次々と他のメンバーを倒し、スピードを活かして勝利をもぎ取った。2戦目も同じ構成で両者はぶつかりあった。ベトナムは挽回できず、今回も実況が追い付かないスピードで日本が勝利をもぎ取った。タイと比べても決して劣らないスピードと手数を見せた戦いだった。


【タイ対韓国】
昨年の1位と2位がぶつかりあう、全選手注目の一戦。試合は終始タイのペースで進んだ
【日本対ベトナム】
世界戦のためにメンバーを選抜したというベトナムに、日本は圧倒的なスピードで勝利する


■ 3連覇をねらう最強ギルドタイチーム。勝利の鍵は地形にあり!?

3位決定戦でアメリカを下したタイ。日本は彼らにとってダークホースで、地形の利用やシールドチェーンを使った戦術に驚かされたという

 3戦目はいよいよタイとの戦いである。今回の戦いの中でも、他ギルドとは明らかにレベルが違う戦いを展開していたタイに、果たして日本は勝てるのか。試合前、日本のチームは祈るような仕草をしていたり、指を動かしひたすら精神を集中していたりと、緊張感が伝わってきた。

 両ギルドとも、阿修羅覇凰拳を攻撃の要とした速攻タイプとして、よく似た戦いを展開するチームである。地形は最も入り組んだ上下差の激しいマップだ。日本チームのメンバーの中には「あのマップはいらないと思います」と、苦手意識を持っている人もいたという。両者チェイサーを入れた定石と言える構成でぶつかりあった。

 第1戦、日本は中央を見下ろす上の位置で止まる。タイは中央に陣取り遠距離の攻防から真ん中へ日本チームを誘うが日本は応じない。ここからタイは上に向かい正面からぶつかりあう。日本チームは一瞬の隙をつき、タイのメンバーを2人倒す。一旦両者は距離を取り、しばらく膠着が続くが、これを破るきっかけになったのが日本のパラディンによる「シールドチェイン」だ。シールドチェインで大ダメージを受け体力が少なくなったターゲットを日本のチャンピオンは的確に阿修羅覇凰拳を決め、日本チームが次々と敵を倒して勝利した。

 第2戦、タイはジプシーを投入し、スクリームで相手をスタンする作戦に出る。日本は同じ構成のまま、戦い方も上で陣取る作戦をとるが、タイは先ほどと逆方向から攻め込む。日本がタイのパラディンを倒すと、タイはすかさず日本のハイウィザードを倒し数の上では同数となる。ここから一瞬間をおくが、日本のチャンピオンが果敢に攻め込み、そのまま勢いに乗って勝利をもぎ取った。勝利の瞬間、日本のチームには歓喜のあまり泣き出すメンバーもいて、会場からは大きな歓声と拍手が起こった。

 大会後、タイチームに日本の印象を聞いてみたところ、「私達は中央での戦いを考えていましたが、日本はずっと上にいて当てが外れました。また、シールドチェーンを使った戦いというのは私達には経験がなく、苦しめられました。これまでの戦法が通用せず、予想外の戦いが続きましたね」と語った。

 日本チームも最もきつい戦いはタイとの戦いだと語った。代表選抜戦、特訓でもこのマップの戦いを学びそこで得た経験値が大きかったという。タイはスナイパーやアサシンクロスを使った遠距離戦も得意で、日本側は「これを使われていたらやばかったかも」と語る。結果として、中央の戦いを想定していたタイはそのスナイパーを使う戦術を選ばなかった。「タイはなぜか不利な方向から来てくれて助かりましたね」と日本チームは語る。戦い方の考え、練習の仕方も勝負に大きな影響をもたらしたようだ。


【日本対タイ】
真ん中で戦おうとするタイに対し、日本は上での戦いを誘う。日本チームは後に「タイは不利なところから来てくれて助かった」と語る。得意な戦い方へうまく誘導できたことが勝利の鍵となったという


■ フィリピンとの決勝戦、攻撃力に優れたチームを押さえ込むジプシーの叫び

決勝戦は、昨年4位のフィリピンと。日本チームの緊張が観客席にまで伝わってくる
2位となったフィリピンチーム。強いチームが別ブロックにいってくれて幸運だったと語るが、その積極的な攻撃姿勢は脅威だった
優勝が決まった後の挨拶で、森下氏は思わず目を潤ませていた。世界一となった日本チームの戦術が、今後各国でどのように研究されるかも興味が惹かれる

 タイを破った日本チームの前に立ちはだかるのは、アメリカチームを下したフィリピンチームだ。昨年は4位となったチームで、他のチーム以上に攻撃的な戦い方をする。アメリカチームは各メンバーの体力を上げることに特化した防御力に優れたチームだが、それを上回る攻撃力が武器である。

 対戦マップは中央に大きな障害物があるマップだ。どうぶつかるかにおいてこの障害物は駆け引きの要になる。両者の構成は今までと同じチェイサーを含むチームである。決勝戦の勝利条件はこれまでの2勝先取だったものが、3勝先取になる。

 1戦目、日本チームは上に、フィリピンチームは下からぶつかった。両者のチャンピオンが敵に切り込み戦うも、その攻撃は不発に終わる。しかし日本のチャンピオンはすぐさま標的をプロフェッサーに変え、倒すことに成功する。防御の要プロフェッサーのスキル「ランドプロテクター」が使えなくなったフィリピンはメンバーを分散させることで戦線の立て直しを図るが、各個撃破される結果となってしまう。1人1人的確にメンバーを倒し、日本が勝利をつかんだ。

 ところが第2戦、日本は思わぬ敗北を喫する。フィリピンは先ほどと同じ下から攻めるように見せながら、左側からぶつかっていく。牽制しあいながら、お互いの攻撃を繰り出すが、決定的にはならず膠着する。一瞬のスキが生まれたか日本チームのメンバーのほとんどが凍らされた一瞬、フィリピンチームが次々と日本チームのメンバーを倒した。

 2戦目の敗北から日本は硬い表情で3戦目に臨む。メンバーのチェイサーを入れ替え、代わりにジプシーを投入した。スクリームによって相手の動きを封じる作戦だ。フィリピンがわずかに先行するものの、ジプシーのスクリームが高い効果を発し、フィリピンは受け身に回る。日本チームはフィリピンのパラディンを阿修羅覇凰拳で倒し、その後は実況の追い付かないスピードで勝利を得た。

 4戦目、日本は変わらずジプシーを投入、フィリピンは構成を変えずにぶつかる。日本は細い地形にフィリピンチームを誘い込み、阿修羅覇凰拳、シールドチェインの連続攻撃で次々とフィリピンチームメンバーを撃破していく。会場からは大きな歓声と拍手がわき上がる、会場全体から大きな拍手が上がる中、日本チームはついに念願の世界一の座を手にした。


 試合後に行なわれた表彰式では、日本チームには、ガンホーグループCEOの森下一喜氏から優勝賞金の15,000ドルとトロフィーが手渡された。森下氏は日本チームに向かい、「皆さんありがとう、日本一おめでとう!」と感情を込めた大きな声で語りかけた。

 森下氏は総評として「我々ガンホーグループはお客に感動と経験を提供することを理念としていますが、今日ばかりは日本チームに感動させられました。どうもありがとうございました」と語った。2位のフィリピンチームには7,000ドルとトロフィー、3位となったタイチームには3,000ドル、「友情賞」として台湾に1,500ドルが授与された。

 大会後に行なったインタビューで日本チームは、「一昨年、去年と苦い思い出しかなかったので、今年は優勝という1番良い成績を残せてうれしいです」と語った。「ドラマのようにうまくいって優勝しましたが、メンバーみんなと時間が過ごせたのが良かったです」と照れたように語るメンバーもいた。勝因としては、「早い時間にマップが公開され、ここで練習できたのが大きかった」という。これまでの戦いは練習マップは全く障害物のないところで積んでいて、いきなり障害物だらけの場所で戦わなくてはならなかったという。

 「タイとの戦いはあの障害物のあるマップで戦えたのが良かった。本番に向けて練習ができたのが大きかった」と日本チームは語る。決勝戦に関しては、観戦システムのため、相手の体力を見ることができ、相手の体力値の少なさから効果的なジプシーを選んだという。「RJCで負けたときはこのままRJC優勝ギルドが出場すると思っていたのですが、もう1度チャンスが与えられて良かったです」と日本チームは語る。来年のRWC開催については未定となっているが、今回、彼らの戦いが「ラグナロクオンライン」にどのような影響をもたらしていくかに注目したい。


【決勝戦:日本対フィリピン】
スピードで勝利をもぎ取った後の2戦目、日本はフィリピンチームの反撃にあい、各メンバーが凍らされた上で倒されてしまう
日本はチェイサーの代わりにジプシーを投入、スクリームで相手の動きを止め、優勢に戦いを進める
第4戦もジプシーの活躍が大きく勝負に貢献した。世界一決定の瞬間、メンバー達は抱き合って喜びを爆発させた
試合後に行なわれた、フェアウェルパーティー。試合の映像を見ることができた。下段は日本、フィリピン、タイのインタビュー後の写真

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(2009年 11月 2日)

[Reported by 勝田哲也]