「ラグナロクオンライン」RWC2009日本代表ギルドは“Dekopin”に決定
初のリーグ戦。RJC2009優勝ギルドを抑えての3年連続の出場権を獲得!


8月19日~8月30日リーグ戦実施




 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、MMORPG「ラグナロクオンライン」において、世界一のギルドを決定する「Ragnarok World Championship 2009(RWC2009)」へ向けた日本代表ギルド決定戦を行なった。

 この日本代表ギルド決定戦は5月23日に決定した日本一のギルドを決めるトーナメント大会「Ragnarok ONLINE Japan Championship(RJC)2009」の各ブロック優勝ギルドと、敗者決定戦を勝ち進んだギルドを含めた8ギルドによるリーグ戦で行なわれた。開催期間は8月19日~8月30日までで、総当たり方式で最強ギルドを競い合った。

 リーグ戦形式の大会はこれまでなかったもので、トーナメント形式で実現しなかった「このギルドとこのギルドが戦ったらどちらが勝つのか?」というファンの夢を実現する戦いでもあった。今回は日本代表ギルド決定戦後半の数試合をガンホー社内で観戦することができた。スクリーンショットと共に試合の模様を紹介したい。


■ リーグ戦形式の日本代表決定戦。最終決戦はRJC2009優勝のGreensleevesと、RWC2007、2008に出場したDekopin

試合の解説を担当した第一マーケティング部第一企画課の中村聡伸氏。今回の試合を振り返り、「本戦と同じ形式でできるだけ多く選手達に試合をしてもらえて良かった」と語った。本戦まであと2カ月。ここからさらにどういった環境を提供していくか注目したい
日本代表ギルド決定戦はRWC本戦で使われる英語クライアントを使用する。他の国では「日本に行ける!」というのがRWC本戦参加の大きなモチベーションになっているという。RWC本戦は激戦が予想される

 日本代表ギルド決定戦は8月19日~8月30日まで、平日は夜20時から、土曜日は18時、日曜は16時から開催された。試合に参加するには特別なクライアントが必要で、参加者達は決められたスケジュールに合わせて試合会場にログインし、試合を行なっていく。

 これまでの展開と試合の解説を行なってくれたのは、第一マーケティング部第一企画課の中村聡伸氏だ。試合方式は7vs7のこれまで同様のもの。クライアントは世界大会で使用される英語版のものになっており、細かいルールも同様だ。今回リーグ戦形式で開催される大きな目的はRWCルールでの試合を出場選手に体験してもらいたいと言うことと、数多く戦うことで真に強いギルドを選出するためだ。他の国だと選手の合宿などを行なう場合もあるが、選手達に社会人もいる事情などを考えて、今回の方式を採ったとのことだ。

 今回この決定戦に参加したのは、不参加の「Penrir」「Dark Horse」を除く「Patissier」、「☆★☆STAR DUST☆★☆」、「the Scarlet Luna」、「Hermodr」、「Forza Diabolica」、「Greensleeves」、「くまー将軍」、「Dekopin」の8ギルドだ。

 今回取材を行なったのはリーグ戦終盤の8月27日と30日である。27日の時点でGreensleevesとDekopinが5勝0敗という他ギルドを引き離す勝率を見せていた。GreensleevesはRJC2009の優勝ギルドであり、Dekopinは敗者復活を勝ち抜いてきたギルドである。Dekopinは2008はChop、2007はpunchという名前でRWCに出場しているメンバーがいる。今回、3度目の世界大会の出場を目指して、敗者復活戦を勝ち残ってきたのだ。

 この2つのギルドは積極的な攻め方を見せるギルドで特にGreensleevesのスピードは驚異的なものがあるという。日本代表はこの2つのギルドで争うことになる。27日は☆★☆STAR DUST☆★☆ vs the Scarlet Lunaと、Patissier vs Greensleevesの試合を見ることができた。30日の最終日はHermodr vs Forza Diabolica、そしてDekopin vs Greensleevesの試合を観戦できた。偶然にも最後の最後で日本代表を選出する最終決戦のカードが組まれていたのだ。

 RWCは7人のメンバーが固定だが、日本代表ギルド決定戦では控え選手を含めた10人がエントリーできる。このためこのリーグ戦ではより幅広い戦術を試すことができる。「ラグナロクオンライン」のギルド戦はメンバー戦術共にかなり固定されている。他のキャラクターのダメージを肩代わりするパラディン、ストームガストで敵を凍りつかせるハイウィザード、回復役のハイプリースト、ランドプロテクターを使うプロフェッサー、阿修羅覇凰拳を使うチャンピオン、そしてスキルディレイを軽減させるブラギの歌等で活躍するクラウンこの6人がほぼ固定メンバーで、ここにどんなキャラクターを足していくかで幅を見せている。

 試合会場は世界大会同様3つのフィールドが用意されている。TYPE2、TYPE3、TYPE4というマップで、TYPE2は障害物と段差が中心への道を阻むタイプのマップになっている。中央で激しい戦いが繰り広げられるマップだ。TYPE3は障害物が全くない広いフィールドで戦いを繰り広げられるマップだ。TYPE4は障害物と段差の多いマップで真ん中は窪地になっている。上と下の戦いというのがおこりにくく敵を待ちかまえる消極的な戦いになりにくいマップだ。

 練習期間も用意されており、さらに対戦のマップは事前に告知されているため、ギルドメンバー達は戦術を練ることができた。トーナメント戦などを行なうオンラインゲームはいくつかあるが、最強ギルドを決めるため上位ギルドが何度も戦うリーグ戦というのはあまり例がない。また戦術を紹介しアピールできるというのも「ラグナロクオンライン」のユーザー達の高いモチベーションと、運営スタッフの努力があってこそだろう。このユニークな試みを実現できたのは価値があることだと思う。参加ギルドの切磋琢磨が世界大会でどのような結果をもたらすかも注目したい。



左から柵が行く手を阻むTYPE2、全く障害物のないTYPE3、地形の段差が激しいTYPE4。それぞれのマップで全く違った戦い方になる


■ ☆★☆STAR DUST☆★☆ vs the Scarlet Luna。奇襲に動じず粘り勝つ底力

回り込んで背後から奇襲する☆★☆STAR DUST☆★☆。奇襲が功を奏しthe Scarlet Lunaのプロフェッサーは倒れてしまう

 8月27日、20時から行なわれたのは☆★☆STAR DUST☆★☆ vs the Scarlet Luna。どちらも相手の行動にカウンターを狙うタイプだという。マップはTYPE2だ。どちらも基本的なキャラクター編成にチェイサーを加えた定番とも言えるメンバー構成だ。

 定石通り中央へハイスピードで進みいち早く中央を占拠したのはthe Scarlet Luna。ランドプロテクターを貼り、ストームガストを撃ち敵を待ち受けるがしばらく来ない。☆★☆STAR DUST☆★☆は画面下から回り込み、the Scarlet Lunaを背後から強襲したのだ。後ろから襲われthe Scarlet Lunaはプロフェッサーを倒されてしまう。

 プロフェッサーは敵の魔法から自分たちの陣地を守るランドプロテクターを使う。プロフェッサーを倒されたthe Scarlet Lunaは一時はほとんどのメンバーを凍らせられるピンチに陥る。しかしパラディンが他のメンバーのダメージを引き受けることでメンバーを守りきり、the Scarlet Lunaのメンバーはランドプロテクターが貼れない状況を相手の陣地に突っ込み☆★☆STAR DUST☆★☆のランドプロテクターを利用するという作戦に出る。

 この戦いにより両メンバーが狭い空間で混じり合うという状況になる。the Scarlet Lunaのチャンピオンが☆★☆STAR DUST☆★☆のチャンピオンとクラウン、そしてプロフェッサーを倒し、そのまま次々と☆★☆STAR DUST☆★☆のキャラクターが倒されていく。混戦状態からthe Scarlet Lunaが一気に勝利をもぎ取るという逆転劇となった。

 ☆★☆STAR DUST☆★☆は奇襲に成功したがそこから攻めようとした瞬間、the Scarlet Lunaが混戦に持ち込み、混じり合った戦いをthe Scarlet Lunaが制したという印象を持った。ピンチに動じず勝利する姿はさすが歴戦のギルドだなと感心させられた。



奇襲によりメンバーを1人失ったthe Scarlet Lunaだったが、踏みとどまりさらに相手に肉迫し混戦を挑む。この作戦がうまくいき、☆★☆STAR DUST☆★☆のメンバーは次々と倒される結果に


■ セオリーから外れるロードナイトとジプシーを組み込んだ構成で、PatissierがGreensleevesに勝利!

中央で激しくぶつかる2つのギルド。右のPatissierはロードナイトそしてジプシーという変則的なチーム構成で挑んできた

 8月27日21時からはGreensleeves vs Patissierの戦いが行なわれた。世界大会出場を目指すGreensleevesにとってはなんとしても負けられない試合だ。マップタイプは中央にほとんど障害物がないTYPE3である。Greensleevesはチェイサーを入れたオーソドックスなメンバーでチームを構成した。

 対するPatissierはチェイサーとクラウンをメンバーから外し、ロードナイトとジプシーという変則的なチーム構成。チェイサーの代わりにジプシーというのは多くのギルドが選択する手だが、ロードナイトを投入するというのはかなりの奇策だ。パラディンと対をなすソードマンの転生職でパラディンが仲間を守る能力に秀でている代わりに、ロードナイトは自身の攻撃力防御力が高い。この戦略が戦いにどう影響するのだろうか。

 Greensleevesは開幕同時に中央へ飛び出す。GreensleevesはRJC2009をスピードと手数で制したギルドだ。そのままPatissierへチャンピオンが阿修羅覇凰拳を放つがPatissierメンバーはこれを耐える。Patissierのジプシーはスクリームを連打して敵チームに混乱をもたらす。Greensleevesのプロフェッサーはランドプロテクターではなく、スパイダーウエブで敵の動きを止める作戦に出る。

 この戦いが続く中、Greensleevesは距離をとった戦いへ。Greensleevesのクラウンが倒されてしまったため、スキルを多用する接近戦は危ないと判断したようだ。Patissierは逃げるGreensleevesを追いかける展開になる。Greensleevesはさらにパラディンも倒され、5vs7というかなり不利な状況に追い込まれる。

 Patissierはそれでも勝負を急がず距離を取りながら戦う。Patissierはパラディンのスキル「プレッシャー」で遠距離からダメージを与え続ける。Greensleevesのチャンピオンは状況を打破すべく前に飛び出すが、ここでも敵が耐えしのぎ、ついには倒されてしまう。Patissierはここで攻勢に出て、Greensleevesはメンバー1人1人が追いつめられ倒されてしまった。

 Patissierが大金星を上げた。Greensleevesと世界戦への座を競うDekopinは29日の試合にも勝利し、全勝のまま30日の最終決戦へ駒を進めた。Greensleevesが世界戦へ進むためにはなんとしてもDekopinに勝ち、勝率を同じにしてさらにもう1度勝たなくてはならない。この敗北はGreensleevesにとってかなり重いものになった。



Patissierの耐久力の高さとジプシーのスクリームに苦しめられ後退するGreensleeves。結果、負けられない戦いを落としてしまう


■ 正面から激しくぶつかるHermodr vs Forza Diabolica勝利の鍵はランドプロテクターの張り方

 8月30日の17時から行なわれたのはHermodr vs Forza Diabolicaだ。最終日までの勝率はHermodrが2勝4敗、Forza Diabolicaが3勝3敗である。Forza DiabolicaはDekopinを破ってRJCに出場したギルドであり、どう戦うかは注目したいところだ。

 対決するステージは正面からぶつかり合えるTYPE3。どちらもチェイサーを入れたオーソドックスな構成だ。両者ほぼ同じスピードで正面から突進、がっぷり4つに組み合う形で戦いはスタートした。ランドプロテクターを貼りながら相手にストームガストを浴びせかける戦いが続く中、Hermodrの後衛がわずかにランドプロテクターからはずれたためまとめて凍らされてしまう。

 ここで孤立してしまう形になったHermodrのパラディンが倒されるが、Forza Diabolicaのチャンピオンもリフレクトシールドの反撃ダメージで倒され相打ち。ここからHermodrが引き気味にカウンターを狙い、Forza Diabolicaが押す形になる。戦いが続く中、Forza Diabolicのもチャンピオンも相打ちとなり、両ギルドとも守りと攻めの要を失う形となった。距離を取りながら戦うという展開が続く。

 ここで果敢に前に出てきたのがForza Diabolicaのチェイサー。相手の武器や防具を外すことができる攻撃を狙う。Forza Diabolicaの方が相手のランドプロテクターをはがすのがうまいようで、相手を凍らせ押し気味に戦っていた。Forza Diabolicaの攻勢でHermodrはハイウィザードが倒された。このまま時間切れまで戦いが続き、Forza Diabolicaが勝利を手にした。


Hermodr vs Forza Diabolicaではランドプロテクターが勝敗の鍵に。範囲をずれた敵を逃さず凍らせ、さらにじわじわと敵のランドプロテクターを無効化してForza Diabolicaが勝利した


■ 地形を最大限に利用し距離を置くDekopinと接近戦に賭けるGreensleevesの最終決戦

見事優勝を果たしたDekopin。メンバーの一部は、2008年はChop、2007年はpunchという名前でRWCの日本代表としてに出場した
左がGreensleeves。Dekopinは柵を間に置くように位置取り、距離を取った戦い方を展開した

 8月30日奇しくも最終試合が、GreensleevesとDekopinの直接対決になった。RJC2009で優勝したGreensleeves、2007と2008のRWCに出場したDekopinというどちらも他のギルドより頭1つ抜き出た強さを持つギルドだ。Greensleevesは8月27日に敗れてしまっているため、日本代表に選ばれるためにはこの戦いに勝ち、さらにもう1度優勝決定戦で勝たなくてはいけない。

 対戦ステージはTYPE2、チーム構成はGreensleevesがチェイサーを入れた構成。Dekopinはチェイサーの代わりにジプシーを入れて戦いに臨んだ。どちらもスタートダッシュに定評のあるギルドで、どう戦うかは注目したいところだ。

 ところが、両者が猛ダッシュで中央でぶつかると思っていた予想は見事に裏切られた。Dekopinは中央から1ライン後ろに下がったところに陣取り、Greensleevesを待ち受けたのだ。Greensleevesは瞬時にその隙間を埋め、Dekopinとぶつかり合った。Dekopinは微妙に距離を取り、魔法攻撃は通るが、直接敵陣に踏み込めない位置にGreensleevesを誘導する。パラディンはプレッシャーやシールドブーメラン、ジプシーは弓を使って遠距離攻撃でGreensleevesを攻撃し続ける。

 事態を打開するためGreensleevesは前に出ようとするが微妙にDekopinは下がり距離を保つ。押し合いが続く中、DekopinのジプシーがGreensleevesのパラディンに運命のタロットカードを使い、最も効果が高い「死神」を引き当てる。このカードの効果はどんなに強いキャラクターもHPを1にして毒と呪いをかけるという効果。これによりGreensleevesのパラディンは沈められてしまう。

 守りの要を失った上で、Dekopinに距離を保った戦いを続けられるGreensleeves。接近しての阿修羅覇凰拳が戦略の中心であるGreensleevesにはきつい展開が続く。遠距離の戦いの中、徐々に体力を削られていく。何度かGreensleevesのチャンピオンが前に突っ込むがDekopinはするりと身をかわし続ける。しかもGreensleevesのプロフェッサーが短期決戦を意識して触媒の量を抑えていたのか、ランドプロテクターを張れなくなってしまう。

 ピンチが続くGreensleeves。Dekopinは距離を取りながら攻撃を続ける。残り1分でGreensleevesは大きく踏み込み、Dekopinのチャンピオンを倒すが、ハイウィザードが倒されて試合は終了。Dekopinが勝利し、RWC2009への切符を手にした。

 試合後、両ギルドにゲーム内でのインタビューを行なった。Dekopinは優勝した感想として「疲れました、勝った実感がまだありません」と語った。勝因に関しては、Greensleevesのチャンピオンを含めた接近戦を封じるために地形を最大限に利用したという。「ギルドの強さを本気で競うならTYPE3の様な障害物がないところがいいと思いますね」という。相手の戦略を研究した上で地形を大きく利用したという。

 この戦いに備えて、Dekopinは1日3時間ほぼ毎日練習に明け暮れたという。RWC2009に向けては「いつも1回戦で負けてしまっているので、今度こそ死にものぐるいで勝ちに行きます!」、「勝ちに行きます!」、「負ける気がしない!」とメンバーが口々に語った。世界大会代表戦3連覇を果たした彼らがホームである日本で開催されるRWC2009でどう戦っていくか期待したい。

 敗れてしまったGreensleevesは「全力を出し切りましたが、相手が一枚上手でした。個人的には僕たちのギルドが臨機応変に対応できなかったところが敗因かと思っています。練習とは違う戦法や構成のチームもあったので、練習不足というわけではありません」と語った。Dekopinへのメッセージとしては、「RWCを制覇してください!」とのことだ。

 RWCの開催は11月である。あと2カ月、ガンホーでは日本代表となったDekopinの練習に、Dekopinがたっぷり練習できる環境を提供したいという。これまでのRWCでは代表選手の練習不足が指摘されてきた。今回のリーグ戦に加えて練習の機会を増やそうとする運営チームの努力は高く評価したい。もう1つ、この取材も含め、「できるだけ多くの人に『ラグナロクオンライン』のギルド戦に興味を持ってもらいたい」という姿勢も注目だ。実際の試合に向けても様々なアイデアを考えているとのことで、RWC2009を注目したいところである。


常に距離を取った戦い方をするDekopin。Greensleevesは何度か距離を詰めるが、Dekopinはうまく逃げる。最終的にはメンバー数が5vs6になり、Dekopinが見事日本代表の座を獲得した

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(2009年 9月 2日)

[Reported by 勝田哲也]