カプコン&NVIDIA、PC版「バイオハザード5」プレス向け体験会を開催
魅惑の新モード「アンリミテッドモード」や、最新3D立体視デバイス「NVIDIA GeForce 3D Vision」への完全対応を紹介

8月5日開催

会場:カプコン東京支社


プレイステーション 3、Xbox 360でプレーヤーを魅了した「バイオハザード5」がパワーアップし、いよいよPCに登場する

 株式会社カプコンは8月5日、東京支社オフィスにてPC版「バイオハザード5」のプレス向け体験会を開催した。PC版「バイオハザード5」は9月17日に発売が予定されているタイトルで、去る3月12日にプレイステーション 3およびXbox 360向けに発売され大ヒットとなったゲーム専用機向けの内容を、PCの大容量と柔軟性を生かしてさらにグレードアップした製品となっている。

 会場には同作プロデューサーの竹内潤氏が出席し、PC版「バイオハザード5」に加えられた新要素やPC版ならではの特徴について解説。そこで新たなコスチュームやゲームモードが披露されたほか、PC版ならではの目玉機能となる「NVIDIA Geforce 3D Vision」への完全対応が発表された。

 共同発表を行なったNVIDIAからはこの「NVIDIA GeForce 3D Vision」の詳細が説明されるとともに、「バイオハザード5」で実現した新たな次元の立体視体験を紹介した。これについて試遊機で実際に試すことができたので、その効果のほどを含め、PC版「バイオハザード5」の特色を本稿でご紹介したい。



■ PC版では大量のゾンビが押し寄せる新モード「アンリミテッドモード」を実装!
 PCならではの遊び方を「バイオハザード5」プロデューサー竹内潤氏が紹介

本作プロデューサーを務めるカプコンの竹内潤氏
同じくプロデューサーを務める川田将央氏
実機を使ってPC版の特徴を説明してくれた

 まず体験会に先立ち、プロデューサーの竹内潤氏と川田将央氏が挨拶を行なった。竹内氏は「弊社のMTフレームワークがマルチプラットフォーム対応ですので、PC版の構想自体は早くから立ち上がっていました。プラットフォーム別の特徴を出していきたいといことで、PC版ではNVIDIAさんのご協力を頂き、『3D Vision』への対応を今回のひとつの柱とさせていただきました」と話し、「NVIDIA GeForce 3D Vision」への正式対応を発表。その上で、PC版独自の各要素について紹介した。

 「バイオハザード5」PC版の開発にあたって、竹内氏が注目したPC版ならではの特徴は「高速なフレームレートが期待できること」だ。コンシューマー機版では30fpsのところ、PC版では現行水準のPCを駆使すれば常時60fps以上のパフォーマンスが期待できる。そこで追加されたのが、「ザ・マーセナリーズ」をブラッシュアップして誕生した「アンリミテッドモード」だ。

 「アンリミテッドモード」は、制限時間内にできるだけ多くのゾンビを倒すゲームモード「ザ・マーセナリーズ」に、圧倒的な数のゾンビが登場するモードだ。川田氏によれば「コンシューマー機版の2倍、3倍の敵が出てきます」とのことで、見るからにちょっと手に負えないレベル。竹内氏は「PC版ならではの過激なゲームモードにしようということで、クリアできるのか? というほどの内容を考えました」と語っている。

 実際に、川田氏が実演した「アンリミテッドモード」の実機デモでは、プレイ開始からわずかな間に、画面を無数のゾンビが埋め尽くすほどの状況になった。その状況でもゲームは60fps以上のフレームレートで“ヌルヌル”と動いており、快適そのもの。竹内氏はPC版の開発に当たってゲームのさらなる高速化を図ったということで、これならばコンシューマ版をプレイした人でも新鮮な気持ちでプレイできそうだ。

 また、PC版独自要素として新種のコスチュームが2種紹介された。ひとつは、主人公クリス用の、見るからに「ヒャッハー!」な感じのバトルスーツ。もうひとつは、シェバ用の知的なビジネススーツだ。「コンシューマ機版ではマジメな感じに行きましたので、PC版ではもう少しフランクに行こうかなと。マッドなんとか、あるいは世紀末なんとか風にしてみました」と、クリスの衣装について竹内氏は冗談交じりに語った。

 PCユーザーとして気になるゲームのパフォーマンスは、同じ「MTフレームワーク」を採用したゲームである「ロストプラネット」や「デビル・メイ・クライ4」のPC版と同等程度で、それらが動作するPCなら快適なプレイが楽しめるだろう。推奨環境はCore 2 QuadあるいはAMD Phenomプロセッサー以上、NVIDIA GeForce 9800以上あるいはRadeon HD4800以上となっており、実機デモを見る限り、現在のミドルレンジの環境で常時60fps以上程度の動作が期待できる。


推奨環境のPCなら、コンシューマー機版以上のフレームレートでプレイできる。NVIDIAサイト上で公開されている「BIOHAZARD 5 - ベンチマーク」を使用して、お使いのPCでの動作を試して見てもいいだろうPC版オリジナルのコスチューム。竹内氏によればクリスの衣装は「マッドなんとか、あるいは世紀末な感じ」。シェバの衣装については「コンシューマー機版の衣装では表現しなかった知的な感じ」を演出したかったのだとかPC版のみで実現した「アンリミテッドモード」。ゲーム機版では不可能な、大量の敵が次々に押し寄せてくる。タイムアタックどころか、制限時間まで生き延びることがまず大変になりそうだ


■ ゲームエンジンレベルで「NVIDIA GeForce 3D Vision」に完全対応!
 NVIDIAが本気で推す立体視テクノロジー、その真の実力が明らかに

「NVIDIA GeForce 3D Vision」について紹介する、NVIDIAのショーン・ボナム氏
「3D Vision」のゴーグルを装着してみせる川田氏
「3D Vision」使用時のシステム構成。120Hz出力が可能なPCモニタまたはDLP HDTVが必要となる
デモ機で「バイオハザード5」の立体ぶりに感動

 続いて、PC版の目玉機能である「NVIDIA GeForce 3D Vision(以下『3D Vision』)」についての紹介が行なわれた。これはNVIDIAがイチオシする、最新の3D立体視ソリューションだ。120Hz駆動のモニタ上に右目、左目用の映像を視差付きで表示し、それを高速シャッター機能付きの専用メガネを通して見ることで、60fpsのリアルな立体映像を得るというデバイスである。

 このデバイスについては、今年1月、弊紙連載「PCゲームデバイス道場」にてご紹介しているので、動作原理や「最適化されていないゲームでの使い心地」についてはそちらをご覧頂くと良いだろう(【連載第7回】佐藤カフジの『PCゲーミングデバイス道場』)。

 竹内氏によれば、カプコンではこの技術に注目しており、今回の対応にあたっては「MTフレームワークのコアのレベルで対応を行なった」のだという。「3D Vision」は、基本原理的にはドライバレベルで視差エンジンが駆動するため、ほぼ全ての3Dゲームに対応する。だが、立体感が不自然になったり、表示が乱れてしまうゲームが多く存在するのも事実だ。そこで今回の「バイオハザード5」ではゲーム側で万全の対応を行ない、完璧な立体感が得られるよう調整された。

 この試みは世界初のものだ。「3D Vision」の解説を行なったNVIDIAのショーン・ボナム氏は、PC版「バイオハザード5」が、パッケージに「3D Vision Ready」ロゴマークが付与される始めてのタイトルになることを紹介した。つまり、「バイオハザード5」は、NVIDIAが提案する立体視技術を前提に作りこまれた、世界初のゲームタイトルであるということだ。

 では、その効果のほどはどうだろうか。会場には数台の試遊機が設置されており、筆者も実際に試してみた。結論からいうと、その完成度の高さに驚いた。昨年末、連載記事で「3D Vision」を扱った際にテストした「MTフレームワーク」のゲームでは、奥行きに違和感があったり、ミニチュア風に見えてしまったものだが、今回体験した「バイオハザード5」では全てのシーンがしっかりと現実感のある立体感に構成されており、文字通りの「臨場感」が味わえるのだ。

 これについて竹内氏に話を伺ったところ、やはり「MTフレームワーク」のエンジンレベルで「3D Vision」に対応したということが大きな違いをもたらしているようだ。「バイオハザード5」では、「3D Vision」のメガネを通してみたときに、視差の付け方、どれくらい奥まって見えるのか、どれくらい飛び出して見えるのかという部分で、シーンごとに最適な調整が成されているわけである。

 また、本作の製作過程で、各シーンが映画と同じ方法で製作されたというバックグラウンドも考慮する必要があるだろう。つまり、ゲーム画面上の人物、風景、カメラの関係がリアルスケールの数値に基づいているのだ。これを元に「3D Vision」での視差を作り出しているわけだから、各シーンの人物や風景のスケール感が非常に自然に見えるのも頷ける。

 また、「バイオハザード5」では、銃の照準を平面的なレティクルではなく、立体的なレーザーサイトで行なう。このため「3D Vision」による立体感が照準操作の助けになるという効果もある。ゾンビとの距離感を手に取るような感覚で掴めるので、俄然、ゲームそのものの迫力も高まるわけだ。特に、トラックに乗って銃撃戦を繰り広げるシーンのスピード感、フィールドの広がり感は、この手のデバイスを色々と試してきた筆者ですら、これまで体験したことのないレベルだった。

 ただ、こればかりは実際に体験するしかない部分なので、文章でお伝えできるのはこれが限界だ。NVIDIAによれば、「3D Vision」の普及にむけて「バイオハザード5」に大きな期待を寄せているとのことなので、発売に合わせて店頭デモなども行なわれるだろう。そういった機会があれば是非いちど、手にとって体験してみて欲しい。

 PC版「バイオハザード5」は9月17日に、7,340円で発売予定だ。また「NVIDIA GeForce 3D Vision」は現在発売中で、価格は19,800円。使用するためには「3D Vision」に加えて、「120Hz出力対応のPCモニタ」あるいは「DLP HDTV」が必要となるため敷居は高いが、「バイオハザード5」で1度でも体験すれば、その威力にビックリしてしまうことは間違いない。

「NVIDIA GeForce 3D Vision」に完全最適化を果たした本作「バイオハザード5」。今後PCゲームのスタンダードになるかもしれない機能のまさに先駆けとして、PCゲーマー要チェックの存在だ



(2009年 8月 5日)

[Reported by 佐藤カフジ]