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「METAL GEAR ONLINE」インプレッション
チーム連携が鍵を握る、独特な魅力のあるスルメゲー
(2015/10/20 00:00)
- 10月6日サービス開始(Steam版は2016年1月開始予定)
- 【METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN】
- 発売中
- 8,400円(税別)
- CEROレーティング:D(17歳以上対象)
- プレイ人数:1人
「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN」でプレイできるオンラインマルチモード「METAL GEAR ONLINE(以下、『MGO』)」が、10月6日よりついに開始された。取り急ぎ遊びこんでみたので、本稿ではインプレッションをお届けしよう。
なお、「MGO」はプレイステーション 4/3、Xbox One/360で10月6日より開始されたが、PCでのSteam版では2016年1月開始予定となっている。また、PS4/Xbox Oneでは8人 VS 8人の16人対戦となるが、PS3/Xbox 360では、6人 VS 6人の12人対戦となる。
3つのクラス(兵種)は性能や装備に大きな違いがあり、いずれも仲間との連携が重要
まずはキャラクターメイキング。プレイし始めは「MGS:TPP」本編で作成したアバターキャラクターをそのまま使用していく。このキャラクターが「MGO」でレベル6になると、他に2キャラクターを作成できるようになる。なお、「MGS: TPP」キャラの容姿は本編でカスタマイズすると「MGO」にも反映されるようになっている。
続いてはクラス(兵種)の選択。クラスは以下の3種類だ。
上のクラス説明文は公式サイトからのものなのだが、筆者としてはオススメの仕方がちょっと変わってくる。
例えば「偵察」は能力的にはバランス型だが、装備はカービンやスナイパーライフルなどの中~遠距離のものが多く、後方支援型だ。偵察というクラス名の通り、双眼鏡で敵をマーキングすることや高い場所から相手を狙うのに適したアビリティを持っていて、それは「MGO」全体としても重要なテクニックなのだが、初心者がその役目を理解して実践するのはちょっと難しい。「偵察」はむしろ、「MGO」のゲーム性を理解していて、地形もうまく活用できる上級者向けかもしれない。
では「重装」はどうかと言うと、こちらはマシンガンや盾などの重装備を使って敵との真っ向からの撃ち合いに勝てるクラスであり、体力も多い。周囲の上手い人からサポートを受けつつシンプルな撃ち合いをしていくという点で、実は初心者向けと思えた。また、「MGO」では装備が重いと移動速度が遅くなるので、重装は遅くなりがちなのだが、「迂闊に前に出すぎない方が良い」という意味でも、初心者は重装がいいのではないだろうか。
「潜入」は移動速度が速く、軽装備で相手の隙を突いてCQCを決めていくクラス。レベルが上がるとステルス迷彩も装備として使えるようになる。だが、体力が最も低く、例えば重装の敵と中距離で向かい合ってしまったら勝ち目がない。距離を詰めてCQCは強いことは間違いないが、それは相手が「単独行動をしていてまだゲームに不慣れな場合」に限られる。相手が上級者でチームプレイをしっかりしていたら、CQCしている間に周りの敵に撃たれるか、もしくはCQC後の硬直中にこちらがCQCされる。潜入は、仲間の周りにひっそり潜んで、相手の不意を突くようなスタイルが求められるだろう。やはり上級者向けだ。
と、3種類のクラスについてはだいたいこのようになる。クラスは固定で変更ができないものの、最初のキャラがレベル6になれば追加で2キャラ作成できるので、3キャラクター3クラスで遊べるようになる。とりあえず好みで選んでも大丈夫だ。レベル6まではだいたい1~2時間もプレイすれば到達する。
3種類の対戦ルールは「MGO」独自の仕掛けが存在。プレイのコツを掴むと一気に面白くなっていく
ここからは「MGO」の3種類ゲームルールごとにプレイのコツや魅力を紹介しよう。
「バウンティハンター」
敵プレーヤーを殺害、もしくはフルトン回収すると敵チームの「チケット」が減っていくので、それを0にすれば勝利となるルール。いわゆるチームデスマッチ的なシンプルなルールだ。
独自のルールとして、敵をキルすると「賞金首ポイント」というものが増えていく。いわゆる「キル数」のようなものなのだが、これが「賞金首ポイントのある敵プレーヤーをフルトン回収すると、ポイント数のぶん味方のチケット枚数が回復する」というものになっている。
例えば、7キルしている敵プレーヤーをうまくCQCや非殺傷武器で睡眠や気絶に追い込み、フルトン回収すれば、こちらのチケットが7枚回復する。チケット枚数に差をつけられて負けている時には殺害よりもフルトン回収を意識したり、逆に自分の賞金首ポイントが貯まっていたら、フルトン回収されないよう前に出すぎないようにするとか、この仕組みを意識した動きをするのが重要だ。
このルールでは、賞金首ポイントの仕組みからしてもそうなのだが、ゲームのルールを「デフォルトよりも多めのチケット設定」にしてプレイするとより面白くなる。デフォルトだと30枚なのだが、例えば60枚とか90枚でやると、賞金首ポイントが20とか30とか貯まるプレーヤーも出てくるわけで、それをフルトン回収したら大逆転となる。
また、本作では一気に距離を詰めてのCQCが強い。そこからフルトン回収されたら目も当てられない。だからこそ、常に仲間の近くにいることが大事だ。他にも理由はあるが、特にCQCの存在があるのでゲーム全体が「単独行動よりもチームプレイ」が重要なゲームだ。仲間がそばにいればおいそれとCQCをかけられなくなるし、CQCされてもその最中に敵は仲間にキルされるか、気絶後にもフォローしてもらえる。その結果になるとわかっている敵は、迂闊なCQCをしなくなる。
というわけで、やりこんでチームプレイの重要さが身についた同士で、チケット枚数多め設定でこのルールを遊ぶと、「部隊 VS 部隊」のぶつかりあいに次第になっていく。だんだんと距離も密集していって、逆転のためにCQCからのフルトン回収を狙うし、仲間がそれをサポートするし、相手チームも邪魔をするという光景に。そんな密集からちょっと離れてグレネードなどを放り込んでくる人もいれば、そういう少し離れている敵にCQCを仕掛けにいく人も出てくる。
ようするに、てんやわんや、お祭り騒ぎなカオスになるわけだ。理解度の高まった人の集まったルームでこういう状態になると実におもしろい。無茶苦茶な戦場のなかにふわりとフルトンが浮かび、それを阻止しようと風船を撃つもの、その風船を狙っている敵を撃つ味方もいる。そんなこんなをすり抜けたフルトンが飛び去っていき、チケットが一気に大量増加。大逆転も巻き起こる。ぜひ「チケット枚数多め設定で、部隊行動を意識する」遊び方を試してみてもらいたい。
「クローク&ダガー」
「潜入チーム」と「防衛チーム」にわかれ、潜入チームはデータディスクを回収、持ち帰ってデータをアップロードすれば勝利。防衛チームはそれを阻止して潜入側を全員殺害すれば勝利となるルールだ。
どちらのチームもリスポーンはなく、1度キルされたら復活できない。「バウンティハンター」とはうってかわって、慎重さとチームプレイが重要になる、じわじわと進んでいくルールだ。
潜入チームは常時ステルス状態になるが、チームの誰かが見つかると数秒の間、全員のステルスが解かれる。また、潜入は非殺傷武器(麻酔銃など)のみ、防衛チームは殺傷武器を装備する。潜入側は睡眠かCQCから、近づいてキルまたはフルトン回収で防衛チームを排除する。
防衛チームは、ディスク周辺やそれに至るルートをがっちり守備し、裏をかかれないようにするのが大事。
一方、潜入チームは、まず「敵をマーキングする」ことが超重要だ。双眼鏡で覗き、しばらく敵の姿を視認し続ければ、その敵の位置が常に表示され、仲間にも共有される。見つからずに進む上で、これほど重要なことはない(マーキングされてもダンボールからの緊急回避でマーカーを外すテクニックもある)。
マーキングを見つつ、防衛チームのなかでも単独行動をしている「迂闊なプレーヤー」を排除しつつ、うまいことデータディスクを味方が取ったら、周りの仲間はそのサポートに徹するのがいい。ステルスを自ら解いて走り回ったりし、囮役になるのもいいだろう。
潜入、防衛どちらもチームプレイとルールに対しての熟練度がものを言う、かなりスルメゲーなルールだ。
「コムコントロール」
3箇所ある通信タワーを制圧し、機密情報のダウンロードを完了・または防衛すれば勝利となる。いわゆるドミネーション的なルールだ。
こちらは通信タワー周辺に敵がいること、留まっていることがわかりきっているルールなので、その場所を奪う時には仕掛けやすく、制圧している側はクリアリング(安全確認)が非常に重要になる。もちろん、1人で留まっている敵を排除するのなんて簡単。なので、やはり常に仲間と一緒に行動するのが重要になる。
結局どのルールでも「MGO」で単独先行、いわゆる「俺ツエー!」を目指すプレイは禁物だ。よっぽど相手が下手でない限り、良い結果にはならない。
このルールだと3箇所のうち1箇所ずつを互いのチームが抑え、残り1箇所が変動するような流れが基本にはなるが、均衡状態を崩すには、やはり敵をマーキングして移動の流れを見ること、そして敵をうまく排除することが大事だ。偵察クラスはあえて通信タワーから離れた高い場所に位置どって、双眼鏡マーキングと通信タワーに留まる敵を狙い撃ちするのもありだろう。
プレイで感じた“あれこれ”
3つのルール、3つのクラスについて簡単にインプレッションをしてみたが、「MGO」では対戦して経験値を取得することでクラスのレベルが上がっていって、装備やアビリティが順次開放されていく仕組みなので、ぶっちゃけた話、遊びはじめは結構地味な印象になる。
筆者もプレイ開始直後は「んーなんか地味だなー。遊びこむと面白くなるかなー?」なんて思ったのだが、遊んでいくうちにだんだんと面白みがわかっていった、というところがある。
クラスで言うと、装備が開放されて、偵察なら「エネミーロケーター」という投げる敵発見センサー的な装備が使えるようになると役割がかなり変わったし、重装は盾とサブマシンガン装備になってCQC狙いで不用意にダッシュしてくる潜入クラスをキルしまくれるようになった。だんだんと個性がついてくる。
逆に潜入クラスはとにかく体力が少ないことを痛感するようになっていって、ショットガンを持ちつつ重装クラスとバディを組んで、敵の横に入るようになっていった。じゃあ、重装が安定なのかと言われると、重装備でノロノロ歩いていると敵の偵察プレーヤーにスナイパーライフルでヘッドショットされる。
さらにレベルが高まって装備が開放された先のバランスがうまくできているのかまでは、まだわからないものの、ルール次第、距離次第、さらには立ち回り次第なところがあるので、クラス同士の相性はレベルが高まっても上手い3すくみになっているように思える。
気になるところとしては、基本のリスポーンポイントが固定されていて、リスポーンキル(復活後すぐにやられること)状態になったり、その逆があったりがあるのだが、そこには「バディリンク」というシステムが重要になる。仲間と右スティック押し込みで敬礼をし合うと、そのプレーヤーとバディになる。バディの場所からリスポーンできるようになるので、メリットはあってもデメリットはない。このインプレッションでしつこく書いている「仲間と一緒に行動する」のもしやすくなるので、バディリンクは対戦開始後すぐにしたほうがいい。
プリセット無線を駆使するのも、楽しさと、チーム連携のために重要なポイントだ。ナイスなプレイには「いいぞ!」や「よくやった!」、オセロットになっているときは「いいセンスだ」と賞賛。敵を見つけた時に発見報告したり、仲間が散らばりすぎている、もっとカバーし合える位置にいて欲しいときには「カバーしろ!」を使ったり。プリセットをがんがん飛ばして連携を取ると、より楽しい。
ただ、プリセット無線は「種類の少なさ」がちょっと不満だ。ルールごとにプリセット無線を編集して用意できるようになっているが、例えば、「Aを目指す!」とか、「ディスクを守る!」とか、そのルールで必要になる無線がない。そういう実用性の高いものもそうだし、ネタ的なユニークなものも欲しい。「まともなのは僕だけか!?」とか「ボートを用意しろ」などを使いたい人はたくさんいるはずだ。
ちなみにユニークキャラクターとして「スネーク」と「オセロット」も登場する。ホスト設定でユニークキャラクターを有効にしているときに、それぞれのチームにユニークキャラクターを使うプレーヤーが選ばれる。
どちらも独自のプリセット無線が用意されているほか、スネークは義手のロケットパンチを、オセロットなら“マーキングした敵に跳弾がホーミングする”という能力がある。義手のリモコンロケットパンチは本編同様なので使い方はわかりやすいが、オセロットの跳弾ホーミングは相手をマーキングしてあること、壁や柱など、何かのオブジェクトを撃って跳ね返させるのが必須なので、それを意識しよう。
この他に気になったのは、やはりサービス開始直後ということもあり、ピークタイム時にルームのマッチングがしづらくなるところ。これはもうある程度どうにもならないところもなのかもしれないが、なんとか快適にプレイできるよう改善をお願いしたい。ルーム作成まわりでは、ルーム名やルームコメントの設定がないところも残念で、そうした項目がないとやはり遊びづらい。
また、現状ではホスト引き継ぎの機能がなく、ルームを作成したホストが抜けると閉じられてしまう。プレイ中にホストが切断したりした場合も強制解散でそのマッチの経験値も失われるのが少々辛い。このあたりの仕様を後から変えるのは難しいかもしれないが、できれば検討頂きたい。
装備の開放やルールへの理解度アップにつれて面白さがわかるようになっていく「スルメゲー」
最後に「MGO」全体のインプレッションをまとめるが、これはいわゆる戦略性重視、クリアリング重視、チーム連携重視な、玄人好みのスルメゲーだ。「MGO」シリーズとしても今までとはだいぶ異なっている。そういう意味では、FPS・TPSのシュータージャンルファンの人も、これまでの「MGO」シリーズファンの人も、遊びはじめたばかりの頃にはしっくりこなくて戸惑うかもしれない。
だが、仲間と連携してチームで動くことを意識すると、がぜん楽しくプレイできるようになっていく。また、今作だけの独自の要素も多いので、ルールへの理解度、熟練度がプレイの面白さにだいぶ影響してくるところも強い。
そういうわけで、最初は「どうだろう、ちょっと微妙かなぁ……?」と思っていた筆者も、次第に「これは遊び方次第でもあるけど、かなり面白いんじゃないか?」と変わっていった。装備が開放されていき、ゲーム全体への理解度が高まり、同時に他のプレーヤーの理解度も高まっていくと、他のシュータータイトルにはない独特な面白さがにじみ出てくる。「スルメゲー」だ。
プリセット無線をはじめとした「MGO」ならではのユニークさが今後に充実していってくれることを期待しつつ、本編をプレイした方はぜひ「MGO」もプレイしてみてもらいたい。
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