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「FFXIV: 蒼天のイシュガルド」正式サービス直前インタビュー

E3で発表されたあれこれや、「2.0」との違い、そして「3.1」まで気になる話を聞いた

【FFXIV: 蒼天のイシュガルド】

6月23日18時正式サービス開始

 E3 2015最後のレポートとなるのは、昨年に続いて「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏へのインタビューだ。「蒼天のイシュガルド」ローンチに合わせたインタビューは、実は初の実機デモが公開されたフランス・ナントでのインタビュー、E3合わせで日本で実施したインタビューに続いて3回目。今回は、E3最終日に実施されたプロデューサーレターLIVEの直後ということもあり、PLLを耳で聞きながらE3会場を移動するという荒技を駆使して乗り切った。

 「蒼天のイシュガルド」についてはすでにアーリーアクセスがスタートしていることもあり、また、実装コンテンツについては前回のインタビューで聞いていることもあり、今回は、E3のPLLや朗読会で新たに出てきた情報や、3.x以降の内容について話を伺った。

まずはインタビュー直前に行なわれた朗読会やPLLについて

「FFXIV」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏
E3最終日に実施されたプロデューサーレターLIVE
友達紹介キャンペーンでツインタニアのマウントが貰えることが話題になった

――このインタビューの直前に行なわれたPLLをE3会場を移動しながら見てました(笑)。ツインタニアのフライングマウント化はビッグニュースでしたが、これはどういう経緯で実装が決まったのですか?

吉田直樹氏:今回、フライングシステムの実装に合わせてフライングマウントが入りますが、飛べそうな存在は、“新生編”のエオルゼアの中にいくつかいます。ツインタニアの想い出は強く、このままにしておくのはもったいないなと。

――これはストーリー的にツインタニアがイシュガルドにやってきて冒険者に力を貸すというストーリーがあるわけではない?

吉田氏:はい、そういうのではありません。

――しかし、取得の難易度はそれなりに高いですね。

吉田氏:友達紹介キャンペーンの追加報酬です。確かに「どうしても今すぐにほしい」となってしまうと、「やれやれ……」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、友達をおひとり誘っていただいて、その方と一緒に冒険していれば手に入るので、時間軸の印象に寄りけりなのかなと思います。友達紹介キャンペーンはすでに1年前から実施しており、お友達を誘ってくれた人に対するリワードは常に目新しくしていかないと、「誘ってよかったな」、「誘ってみようかな」という動機になりにくいので、施策としては順当だと考えています。

――それはやはり吉田さんとしての新規ユーザー獲得施策の一環ですか?

吉田氏:そうですね。僕はプロデューサーでもあるので、常に話題作りや、新規のお客様獲得は念頭に置かなければなりません、特に拡張パッケージが発売となるこのタイミングは、広告宣伝費も相当な額をかけていますし、話題にも上りやすい。新規の方もいつもよりは参入しやすくなります。MMORPGは大規模な運営ほどアップデートが迅速に行なえますし、コンテンツのボリュームも増えます。ですが、そのためには莫大な開発費やサーバーの維持運営費用がかかります。常にプレーヤー数を拡大していくことが運転資金に繋がり、結果それがプレーヤーの皆さんにお届けするコンテンツやパッチボリュームに繋がります。ビジネスである以上、「これだけ人数がいれば安泰」ということはあり得ないですし、拡大できるのであれば、いくらでも拡大したいというのが、プロデューサーとしての本音です。

 現在北米では新生ローンチ以来、最大の課金者数をさらに更新するほど順調ではありますが、ここで安心してはいけないと思うのです。さらに、特に日本においてMMORPGはどうしても“敷居が高い”というイメージが強いので、開発側である僕らの声よりも、友達の声のほうが届きやすいですし、MMORPGを始めるときにリアルフレンドがいることの安心感も大事です。今回、2.0(新生エオルゼア)側の調整の中にも、サクサクレベルを上げられたり、レベルの高いフレンドがいれば少人数でダンジョンに一緒に行って、「俺がおまえを守りながらどんどんクリアフラグを立ててやるから」という遊び方もできるようにしています。そういう意味では「蒼天のイシュガルド」がスタートする今が、新規ユーザーがゲームを始めて頂く1番良いタイミングですので、友達紹介キャンペーンも強化させていただいた、ということになります。

――また、解析行為について警告を出しました。解析行為は、「FFXIV」以前から「FFXI」の時代から行なわれている行為ですが、今のタイミングであえて警告した意図はなんですか?

吉田氏:まず、そもそもですが、本来データの解析は基本的に違法です。インターネット上の情報の拡散はあまりに広範囲であり、取り締まれないレベルなので、極端にひどくない限りは黙認せざるを得ないのが実情です。ですが、今回は何よりも「最新のFF」を楽しんでいただきたいと思って制作を進めてきました。だからこそ、ネタバレを防ぐために、これまでのPRでも情報を意図的に伏せてきたものが多くあります。「蒼天のイシュガルド」をプレイして感じていただきたい驚きなどが、解析行為によって大きくネットに晒されてしまうことで、たまたまそれを見てしまった人がショックを受ける状態にしたくないというのが今回の意図になります。普段のメジャーアップデートではそこまで目くじら立てませんが、今回は「3.0」のスタートですので、間違った情報をばらまかれてしまう可能性も高いです。また、全体を見ずに一部だけをスポイルして、誤解やネガティブな想像だけが拡散しても、解析データを載せている側にはペナルティがなく、我々にはデメリットしか残りません。

――誤解というのはダミーのデータも入っていたりするからですか?

吉田氏:いえ、ダミーのデータは置かないように徹底しているつもりですが、僕らの意図と違う公表のされ方をしてしまうと……リワードの情報だけ抜かれてしまうと、リワードの中身の話に終始しがちになってしまいます。本来はストーリーと遊びがあって、その先にリワードがあるのに、どうしてもプレーヤーの皆さんは「きっともの凄い苦労をさせられるに違いない」など、最悪のケースを想定される場合が多いと思います。現実、その最悪のケースを想定しておけば、実際にそれより楽だった場合でも、事前の覚悟としては気が楽なのでお気持ちはよくわかります(苦笑)ですが、最悪の状況を想定されたものが、噂として拡散し、いつの間にか事実のように受け取られたりする場合もあります。解析情報なので、何一つ確定情報は無いにも関わらず、です。

 ですので、多少のことで毎回ヒステリックに警告を発するつもりはないのですが、以前にも1度解析で警告をさせていただいたことがあるのですが、また解析に対しての認識が甘くなってきたのかな、と。特にこういう大きな節目のタイミングの解析行為は、自粛していただきたいと切に願います。

 個人による解析行為はエンジニアスキルの高い人だと中身を割ることにやりがいを感じている方もいらっしゃるので、あくまで自己責任でその行為を行なうのなら、リスクはその人個人に帰属するので、ある意味我々にはどうすることもできません。ですが、それをソースもあまり確認せず、声高に張り付けていくのはどうなんだろう、と思います。節度さえ守っていただければ、そういったモラルやリスクはきちんと考えていただいた上で、皆で楽しみましょうね!とお伝えしたいのです。

――それから緊急導入が決定したエリアインスタンスの施策は、想定される状況を踏まえたとても良い施策だと思いました。「今回はエリアダウンはさせないぞ」という強い意志を感じました。

吉田氏:エリアダウンはそのエリアだけでなく、隣接エリアへの影響、再度のログイン集中によるインフォサーバーへの負荷など、どんどん波及していくトラブルですので、できる限りなくすのがベストです。せっかくこれだけ皆さん楽しみにしていただいていることもあり、「誰も遊べない」という最悪の状況になるのは避けたい、ということで、多少の不便があっても導入しようということで、決断しました。

 「新生」のローンチの時と違って、今は各ワールドの人数の状況も見えており、パッチ2.55の時点で、どれだけの方がストーリーを終わらせているかも確認しています。明らかに混むだろうという部分についてはスペシャルサポートとして今回準備させていただきました。エリアインスタンスというのはわかりにくい概念なので、正直あまりやりたくはなかったのですが。

――インスタンスはいくつぐらい用意する予定ですか?

吉田氏:今は3つを想定しています。

――念のため確認ですが、パーティーを組んでいても、対象エリアに入ると、別々のインスタンスに飛ばされる可能性がありますか?

吉田氏:テレポとデジョンで、インスタンス化されたエリアに移動しようとした場合、そのケースはあり得ます。ただし、該当エリアに徒歩でエリア移動した際には、どのインスタンスに移動するか選べますので、パーティー内で話し合いをして、合流するインスタンス番号を決めておけば合流は可能です。この「わかりにくさ」があるので、エリアインスタンスの導入にあまり積極的ではなかったんですが……。ただ、まずはメインクエストを追いかける方が多いと思うので、パーティー組んで遊ばれるという方はそんなに多くないと判断しました。序盤はソロで、自分のペースでストーリーを進められる方が多いということもあり、とにかくプレイを優先ということでの導入となったのです。

――インスタンスを用意する期間は?

吉田氏:状況を見ながらメンテナンスで解除するつもりです。フィールドインスタンスの追加はサーバーコマンド1つで行けるのですが、解除する場合にはそのインスタンスにプレーヤーの方が残っていると不具合が発生するため、メンテナンスを挟む必要があります。サービスが始まると何度かHotfixは出さないといけないと思っているので、特定フィールドでの集中が収まれば、いずれかのHotfixのタイミングで解除するつもりです。

――PLLではエアシップボイジャーについて解説が行なわれ、フリーカンパニー単位で所有するものであることが紹介されました。このエアシップボイジャーは、ハウジングのように将来的に個人で持てたり、あるいは自分自身が搭乗して、フライングマウントとして利用できるということはないのですか?

吉田氏:今のところ個人で持つことはできません。フライングマウントとしても今のところ予定はしていません。

――そうなんですね。ニーズは高そうな気もしますが、理由は何ですか?

吉田氏:ずっと「カンパニー単位で遊ぶコンテンツが欲しい」、「週に1回ぐらい集まるタイミングが欲しい」というフィードバックも多く、複数のクラフターで製作を行なうという内容と合致させたのが「カンパニークラフト」というコンテンツだからです。ただし、エアシップボイジャーの「バージョン1」に該当する“空地図探索”はカンパニーでの遊びですが、自分たちが飛行艇に乗り、未知の空島探索を行なうというバージョンアップの際には、フリーカンパニーに所属していない人でも、その探索には参加できるようにする想定です。たとえば、傭兵としていずこかのフリーカンパニーに所属して、その恩恵を受けられるといったこともです。

――フライングマウントについて、個人用の飛空挺のようなものはありますか?

吉田氏:シングルライダーの飛空挺はあります。ですが、それは工房で作るものではありません。別です。ただ、取得できるのはずっと先で、物語中盤になる予定です。

(中村聖司)