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孤高のレースゲームXbox One「Forza Motorsport 6」インプレッション
ナイト/レインレースを遂に実装! 早速ハイドロプレーニング現象を体験してきた
(2015/6/20 16:42)
Xboxフランチャイズを代表する人気レースゲーム「Forza」シリーズの最新作「Forza Motorsport 6」の日本での発売日が9月17日に決定した。「Forza Motorsport」シリーズは、1080p/60fps表示にこだわり抜いた極めてストイックなレーシングゲームシリーズとして知られるが、2005年の発売以来、2年おきに新作を提供し続けているメーカーにとってもユーザーにとってもありがたいフランチャイズでもある。10周年記念作品となる「Forza Motorsport 6」では、シリーズ待望の要素といえるレインレースとナイトレースがついに実装される。もちろん1080p/60fpsは維持したままでだ。今回、E3では、開発者のデモンストレーションと共に、試遊台で各レースモードを体験することができたのでファーストインプレッションをお届けしたい。
待望のナイト/レインレース。そのこだわりはやはり「Forza」クオリティだった
「Forza」シリーズ最大の特徴は、そのかたくなまでの1080p/60fpsへのこだわりだ。1080p/60fpsでなければレースゲームにあらずと言わんばかりのスタンスで、1080p/60fpsの実現を阻害するような要素は一切シャットアウトしてきた。レインレースやナイトレースもそのひとつだ。しかし、開発元のTurn 10 Studiosも、そうしたニーズがレースゲームファンに強くあることや、1080p/60fps一辺倒ではシリーズが広がらないことを良く理解しており、今回初めて命名された「Forza」シリーズのゲームエンジン「Forza Tech Engine」を改良することで、レインレースとナイトレースを実現することに成功した。
Turn 10 Studiosではこれを「大きなマイルストーン」として位置づけており、シリーズ10周年を迎えるにふさわしい作品になったと自負しているようだ。もちろん、シリーズ最新作として、レイン/ナイトレース以外の要素も全面的にパワーアップしており、「絵は綺麗だけど、クルマの数とコースの数がちょっとね……」と「Forza 5」を敬遠して、ストイックに「Forza 4」を走り続けたコアなファンに対しても、満を持してオススメできるタイトルとなっている。
具体的には、Forza vistaに対応したクルマの数は450、「Forza 5」の全コースと10の新コースを含む全26のコース、メーカー数は80、マルチプレイは最大24台、ドライバターは、「Forza 5」と「Forza Horizon 2」で蓄積されたユーザーデータをAIとして取り込み、より人間らしい走りを実現している。実際これは1度走ればすぐ気づいた。ライバルカーが、そもそも推奨ラインの上を走らず、それぞれ気ままに車間距離を取って走っている。S字カーブや直角に曲がるカーブなどでは、スピンしたりするのだ。
ゲームモードは、キャリア、マルチプレイ、テストドライブという従来のモードに加え、リーグ、ライバルといったモードも追加されている。新モードの詳細については夏公開予定としている。キャリアについては、シリーズとディビジョンに細分化され、好きな車種から始めやすくなっている。キャリアを進めていくと、インディレースやクラシックカーレース、V12仕様のフェラーリばかりを集めたレースなど、ユニークなレースに招待されるのは従来のままだ。なお、レースの紹介は、プロのレースドライバーや熱心なレースファンによる音声でのナレーションが入るという。日本語版では、女性による無機質なナレーションになっているのが少々残念だが、この点がどうなるのか注目したい。
さて、レインレースとナイトレースである。初日のXbox Showcaseで走ってみて「これは『Forza Horizon 2』とはまったく異なる、新規開発したものだな」とはすぐ気づいたが、開発者の説明を聞いてみたところ、予想以上に本格的なシミュレーションを行なっていることがわかった。
まず、レインレースについては、ガラスを叩きつける雨のしずくは、一定のアニメーションパターンを繰り返しているのではなく、物理シミュレーションによって再現している。このためスピンすると、それに合わせてしずくの流れ方も変わるし、カーブ時や、走行スピードによっても変化する。コックピットビューにおけるレインレースの再現度は、コンソールゲームでは他の追随の許さないレベルだし、強豪がひしめくPC版レースゲームなどと比較しても決してひけを取らないクオリティだ。ちなみに雨のしずくは、コックピットビューのみならず、他の視点でも等しく視界を遮ってくれる。ただし、こちらのシミュレーションレベルはコックピットビューと比較するとかなり甘い感じで、レインレースを100%楽しもうと思ったら絶対コクピットビューがオススメだ。
そしてこのレインレースにおける最大の特徴は、ウェットコンディションによる走りの変化だが、「Forza 6」では単に、20,000にも及ぶマテリアル、148種類ものシチュエーション毎にビジュアルやシミュレーションを変化させているだけでなく、コース上の至る所に“水たまり”を配置し、水たまりにタイヤが入ることで、ハンドルが取られてしまうハイドロプレーニング現象まで再現している。
このハイドロプレーニング現象というのは結構強烈で、高速走行でそのままザブリと入ってしまうと、ガッツリハンドルを取られて、簡単にスピンして壁に激突してしまう。とりわけ片輪だけ突っ込んでしまうと危険で、水たまりに入る前にしっかり速度を落とすか、可能ならできるだけ避けたほうがいいのかもしれない。
この水たまりの位置は、コース毎に固定のようだが、ゆるやかな登りの手前とか、アップダウンの間、つまり物理法則に従ってコースの低い位置に置かれているわけだが、避けやすい直線コースのみならず、S字カーブのど真ん中とか、ショートカットを狙いたいシケインを取り囲むような形でいやらしく置かれていることがあり、ついついレースの劇的な変化ぶりに思わずワクワクしてしまった。
レインレースは、ハンドリングやブレーキングが変わることはもちろんだが、コース取りそのものも大きく変化する。このため、EasyやMediumの難易度で表示される推奨ライン通りに走ると、かえって大スピン&クラッシュしてしまう危険性をはらんでいる。レインレースは率直に言って走るのがとても難しい。慣れるまでは難易度Easyでアシストたっぷりで走ることをオススメしたい。
ナイトレースは、「Forza Horizon 2」のようなヘッドライトと間接照明の幻想空間を強めたものになるかと思いきや、まったく違っていた。そこはやはり「Forza」で、ストイックにヘッドライトによるライティングをリアルにシミュレーションした上で、夜の漆黒の闇、それによる閉塞感にこだわっている。
この結果、「Forza Horizon 2」のようなめくるめく光の渦によるドラマティックなレーシングのような雰囲気はまったくなく、ひたすらヘッドライトを頼りに、ライバルカーとの接触に注意しながら、どこまでも続く闇と戦っていく。これなら「Forza Horizon 2」のナイトレースの方が楽しいなあと正直思うのだが、このストイックなまでのリアリティの追求こそが「Forza Motorsport」のこだわりであり、さすが「Forza」と言うべきか。
ちなみに、レインとナイトを組み合わせたレースは存在しない。同じコースでも、日中、レイン、ナイトの複数のパターンで走れることがあるようだが、個々には選択できても、レインとナイトを組み合わせは不可能で、その実現には、またもう一段のエンジンの改良が必要となるようだ。
新コースについては、リオデジャネイロが披露された。「Forza 4」はアルプス、「Forza 5」はプラハと、印象的な新コースを作品毎に用意するのが通例となっているが、今回はリオとなる。市街地から海岸沿いを抜けて郊外に出て、山岳地帯を抜けて再び市街地へ戻ってくる。市街地は、様々なホテルやビルが立ち並ぶなか、カラフルなフラッグのトンネルになっており、南米ならではの明るい風景が楽しい。山岳地帯の下りにさしかかると、街を一望できるが、よく目をこらすと、旅客機が着陸態勢に入っていたり、ケーブルカーが見えたり、石橋を一両の電車が走っていたりする。ムービングオブジェクトも多く、全体的に明るい雰囲気のコースで非常に好印象を持った。