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デベロッパーとパブリッシャーを繋げる「GAMESTAGE」
韓国Grepgames CEO Dongsoo Han氏が提示する新しいビジネスの形
(2014/11/24 11:53)
韓国Grepgamesはオンラインでデベロッパーとパブリッシャーを繋げようというユニークなビジネスを展開しようという会社だ。モバイルゲームのパブリッシャーとデベロッパーを繋ぐBtoBイベント「GAMESTAGE」を主催し、企業を繋げていく。
今回、Grepgames CEOのDongsoo Han氏にインタビューを行なった。彼の考える新たなビジネス、新しいゲーム開発とパブリッシングのあり方とはどのようなものだろうか。
「GAMESTAGE」を通じて、世界中のゲームデベロッパーとパブリッシャーを繋げたい
Grepgamesは、Linuxのサーチ(検索)コマンドの「grep」を語源としている。その名の通り、モバイルゲームのパブリッシャーとデベロッパーが商談相手を“探せる”場を作り出すことを目標としている。
各国のゲームイベントで特に韓国のG-STARはBtoBスペースが大きく、メーカーの商談が盛んだ。韓国を初めとした様々な国のゲームメーカーが、様々な国のゲームパブリッシャーとの繋がりを求めている。しかしこのイベントに参加するには韓国への渡航費用、ブースの設置、スタッフや資料の用意など、膨大なコストがかかる。Grepgamesはこのような商談の機会をオンラインで実現しようとしている。
「韓国ではBtoBイベントも盛んです。しかし、例えば日本のモバイルゲームパブリッシャーさんがPCゲームデベロッパーの会に参加してしまって全くの無駄足になってしまったといったこともあるし、イベントには数百のメーカーが参加するけれども会えるのは十数社になってしまう。オンラインでお互いを“検索”できるイベントがあれば、というのが会社設立のきっかけでした」とHan氏は語った。
Grepgamesの設立は2014年の3月。オンラインでのBtoBイベント「GAMESTAGE」を開催することで、期間中パブリッシャーが「GAMESTAGE」を通じて参加デベロッパーの開発中の作品をプレイし、パブリッシングのための判断を行なうというシステムになっている。現在の登録会社は594社。韓国の有名デベロッパー、パブリッシャーはもちろん、日本のYahoo! JAPANやGummyなども登録しているという。
「GAMESTAGE」は8月に1度行なわれ、33社(デベロッパー20社、パブリッシャーは13社)の企業の参加があった。現在、12月に第2回目のイベントを予定しており、こちらは100以上の企業の参加を目標に、現在営業活動中だ。
「前回は25のタイトルが出て、2つのパブリッシング締結が結ばれました。実はこれってすごく高い確率なんです」とHan氏は語る。実は実際に顔を合わせる場所でもパブリッシャーが“何を求めているか”を簡単に明かさない場合が多い。パブリッシャーが求めているゲームがわかると、他社にその戦略がばれてしまい、ビジネスがうまくいかない。結果、パブリッシャーが求めるゲームでないものをデベロッパーが必死に売り込んでしまうと言う状況も生まれてしまう。「GAMESTAGE」では「grep」の理念の通り、自分の求めるタイトルを検索することができるのだ。
そして「GAMESTAGE」の強みは“セキュリティ”にある。パブリッシャーはテストファイルをダウンロードしても使えるのはテストのみで、プログラムをコピーしたり、簡単に利用されたりはしないようにする。Grepgamesは、デベロッパーがパブリッシャーに安心してテストビルドを渡せるようなシステムをセキュリティ会社と協力して準備したという。
「GAMESTAGE」を通じてやりとりされるプログラムは“難読化”といわれるプログラム処理を施される。ソースコードへの変換を完全に不可能な処理を行なったファイルにしてパブリッシャーにゲームプログラムが提供されるので、デベロッパーは安心して自分のゲームを相手に渡せるのだ。これまでは「NDA契約」を結び、1週間近く時間がかかったやりとりを大幅に短縮できるのだ。
「これまでのゲームデベロッパーは予算の関係もあり、韓国では大きなパブリッシャーの傘下に入り、子会社としてPCオンラインゲームを開発する人たちがほとんどでした。現在、世界的にモバイル向けゲームが求められており、コンパクトなチームで短期間にタイトルを開発できる環境があります。このため、起業して自分の作りたいゲームを作る人たちが増えている。『GAMESTAGE』はそういった小規模のデベロッパーにぴったりのサービスといえます。オンラインで海外までのビジネスも可能にできるんです」とHan氏は語った。
Grepgamesの目標は世界中のパブリッシャーとデベロッパーを繋ぐことだ。「ゲーム会社のデータベース」を作り上げ、ここから様々なサービスを展開していきたいという。デベロッパーが開発資金を募るファウンディングなど、ゲームにおけるBtoBのビジネスプラットフォームの確立こそがGrepgamesの目指すところだという。
韓国のゲーム業界はデベロッパー、ゲームの作り手がとても多くなった。数多く生み出される作品は韓国の市場だけではなく、海外で販売していかなくてはデベロッパーの熱意が無駄になってしまう。Grepgamesは海外へ進出していこうというデベロッパーへの障壁をなくしたいのだという。「GAMESTAGE」は英語でアピールできる。現地に行かなくても自分たちのゲームに触れてもらえる様になる。
Grepgamesは今後「GAMESTAGE」を3カ月に1回のペースで「シーズンイベント」として安定して開催し、より多くの企業の参加を募っていく。そしてどんどん大きくイベントを開催していくようにする。このため、社名もGAMESTAGEへと変え、より認知されやすい状況を目指していく。最後にHan氏は「日本のパブリッシャー、デベロッパーの方にも、ぜひ我々の『GAMESTAGE』に参加して下さい」とコメントした。