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サバイバルホラー、「サイコブレイク」プレビュー

脳の模型に針を突き刺し扉を開ける……仕掛けさえもが恐ろしい

脳の模型に針を突き刺し扉を開ける……仕掛けさえもが恐ろしい

謎を解く鍵となりそうなフードの男
脳の模型。ここに針を刺すことに
回転する柱に引きずり込まれる! ショッキングなトラップだ
洋館には様々な謎が隠されている

 「チャプター8」は“洋館”をさまようことになる。セバスチャンはレスリーとドクターを追っているのだが、ドクターは扉を閉めてしまう。セバスチャンはこの扉を開けるために館の中を探索することになるのだ。

 「チャプター4」は次々と見知らぬ場所に転移させられ、その時々の状況で対処していくという内容だったが、こちらはマップを覚え、様々な部屋で必要なアイテムを集め、仕掛けを動かすという形となる。「サイコブレイク」は、場面ごとに色々なゲーム性を盛り込んでいく作品のようだ。

 それでも、探索がメインとなる場面ですら、セバスチャンは理不尽な恐怖にさらされ続ける。突然部屋の空気が一変し、フードの男が襲いかかってきて触れると大ダメージを受けてしまう。決められた場所に現われるというよりも、何らかのタイミングで襲われるようだ。

 また、突然足を引っ張られ、2つの回転するローラーに引きずり込まれそうになる場所もある。そしてとうとう解けなかった謎だが、あちこちで女性の含み笑いが聞こえるのだ。お化け屋敷的演出なのか、それともこの女性は重要人物なのか、現時点ではわからない。

 ちなみに、「サイコブレイク」では体力回復は注射器を使って行なう。どんな薬品が入っているのかは謎だ。体力を大きく回復できる「メディカルキット」というアイテムも確認できたが、こちらは使うと視界が歪み、少しの間操作がしにくくなった。緊急時には使うのが怖いアイテムだ。回復薬を使うだけでも不安になる演出は、実に本作に合っていると感じた。

 この洋館で“ぶっ飛んでいる”のが、扉を開けるための仕掛け。館の住人は人間の脳の研究をしているようで、苦痛や、恐怖を感じる脳の部分を書いたメモと、音声ログがあり、目の前には人間の頭部を切り開いた模型があり、ログの通りの部分に針を突き刺すのだ。

 間違ったところに針を突き刺すとダメージを受けるという謎の仕掛けもかなりドキドキさせられる。脳に針を刺す場面は、まるで自分の手で指しているような生理的嫌悪を生む感触が、コントローラーを持っている手を這い上ってくるような気持ちになった。この仕掛けをクリアすると、閉じた扉の上のタンクに血がたまっていくという演出もスゴイ。扉はどうやら3つのタンクを血でいっぱいにすればいいようだ。

 この洋館では様々な武器も試してみた。まず背後から忍び寄ってのステルス攻撃。他の武器を持っていても背後からスニークで忍び寄り、近接攻撃することで敵を倒すことができる。アガニは冷気ボルトや爆破ボルト、ショックボルトといったボルトがあり、敵の密集状態や、フィールドの状況を考えて矢を選択することで有利に戦える。

 洋館では倒されると館に入ったところに戻されてしまう。脳の模型に針を刺したり、必要なアイテム集めも最初からやり直しとなる。2度目、3度目になると館の配置や、怪物やトラップの場所がわかってきて、きちんと対処できるようになる。弾などの節約も可能になるので、気持ち的にも楽になる。

 最初の手探りで進む怖さ、2度目からは覚えた内容を反芻しながら効率を追求しつつ、さらに探索を進める楽しさが実感できた。最初はおっかなびっくりで進んでいた洋館だったが、トライアンドエラーを経て、「ここは怪物が出てくるからアガニを構えて……そういえば、ここにアイテムがあった」といった感じでポイントを押さえて突破できるようになり、「チャプター8」も通過することができた。……ただ後半比較的軽い気持ちでプレイできたのは難易度がカジュアルだったからだろう。

 「チャプター4」、「チャプター8」をプレイして感じたのは、まさに“悪夢のような怖さ”だった。場面が次々と変わり、予測できない理不尽とも言える恐怖が不意に襲ってくる。プレーヤーはそのたびに慌て、恐怖に震えながら、それでもセバスチャンを生き残らせる道を探していく。“ホラー映画”と“ホラーゲーム”の違いはインタラクティブ性にある。ホラーゲームはどんな恐怖が襲ってきても、プレーヤーが対処することができる……はずなのだが、「サイコブレイク」はそこから踏み込み、インタラクティブでありながら、恐怖からどうしても逃れられない、という作品になりそうだ。

 本作のタイトルイラストには有刺鉄線にがんじがらめにされたセバスチャンが描かれているが、本作はまさにそのイラスト通りの、理不尽で強烈な恐怖に覆われていく気持になる作品だ。プレーヤーはセバスチャンを何度も死なせながら、生き残りの道を探していく。

 ただ、強調しておきたいのは、本作が怖いだけ、ストレスがたまるだけのゲームではない、ということだ。学び、分析し、挑戦することで恐怖の状況は“越えるべき壁”に変わり、それを見事乗り越えたとき、強い爽快感を味わえる。コアゲーマーならばさらなる難易度に挑戦し、より高い壁に挑戦したくなる。“より怖く、そしてゲームとして面白く”という、ディレクターの三上真司氏をはじめとした開発スタッフの想いの強さに圧倒される作品だ。早く完成版をプレイしたい。

【スクリーンショット】
明確に語られない謎もたくさん仕掛けられており、これらを考えるのも楽しい

(勝田哲也)