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【特別企画】クリエイティブの「新生FFXIV」Windows版推奨オーディオ製品を試す
マルチメディアヘッドフォン「Sound Blaster EVO ZxR」
(2014/3/7 00:00)
マルチメディアヘッドフォン「Sound Blaster EVO ZxR」
「Sound Blaster EVO ZxR」は独自のオーディオプロセッサ「SB-Axx1」を搭載したマルチメディアヘッドフォンだ。「SB-Axx1」はデスクトップPC用のサウンドカード「Sound Blaster」シリーズのDSPをモバイル製品などに最適化したもの。いわばヘッドフォンにサウンドカードが内蔵されているようなもので、高性能なサウンドカードを搭載していないPCでもこのヘッドフォンを使えば多彩な機能を体験できる。
本製品の接続方法は多様でBluetoothによってスマートフォンと接続したり、アナログケーブルで接続する方法もあるが、PCへの接続はUSBケーブルによる方法がお勧めだ。Bluetoothなどの接続では本製品の特徴である7.1chバーチャルサラウンドなどの機能が制限されるからだ。PCゲームを楽しむという用途ならUSBケーブル接続がオススメといえる。
ちなみに、本製品はUSBでPCに繋いでいる間も、スマートフォンなどとBluetoothでペアリングしておくことができる。本製品は元々密閉性が高く、「新生FFXIV」を遊んでいる間に電話の着信があったとしても戦闘中などはまず気がつかない。そんなケースでもペアリングしておけばヘッドフォンに着信音が鳴るのですぐに気がつくだろう。本製品のハウジングにはマイクも内蔵されているのでそのまま通話することも可能だ。
本製品を利用するにはPCに接続し、クリエイティブメディアのホームページからダウンロードした「Sound Blaster EVOコントロールパネル」をインストールする必要がある。
「Sound Blaster EVOコントロールパネル」では、「SBXプロファイル」、「CrystalVoice」、「ヘッドフォン」、「ミキサー」という4つの項目がある。これらを調整することで自分好みの音楽環境を作ることが可能だ。「SBXプロファイル」にはあらかじめ「ミュージック」、「ムービー」、「ゲーム」の3種類が用意されている。これらを目的に合わせて切り替えることで最適なサウンドを体感できるようになっているのだ。さらに調整を加えたければそれぞれの項目を細かく編集できる。
「SBXプロファイル」の「編集」ボタンをクリックすると出てくるのが「SBX Pro Studio」と「イコライザー」のタブで、今回のサラウンド体験のキモとも言える項目だ。「SBX Pro Studio」ではサラウンド感の調整が可能な「SBX Surround」、ゲーム音源などのリアル感を増す「SBX Crystalizer」、重低音の調整が可能な「SBX Bass」、台詞などのセンターサウンドを強化する「SBX Dialog Plus」などの項目をスライダーで調整できるようになっている。実際に遊びながら自分にとって最適な値を探すとよいだろう。
Sound Blaster EVO ZxRによるバーチャルサラウンド体験
それでは実際のゲーム内でのインプレッションに入ろう。本製品を使って「新生FFXIV」でバーチャルサラウンド体験をするには、上記の手順でPCと接続し、SBXプロファイルを選んでヘッドフォンのハウジング部にある「SBX」ボタンをオンにするだけだ。あとは「新生FFXIV」を起動すればサラウンド体験ができる。
ゲームを起動し、まず試してみたのは、タイトルページで自動再生される「時代の終焉」トレーラーだ。バーチャルサラウンドということでここではさほど音が前後に入り乱れる感覚はなかったが、本製品のヘッドフォンとしてのポテンシャルの高さは十二分に体験できた。序盤のコーラスの透き通る声はあくまで繊細に、バハムートが出現して暴れ回るシーンではヘッドフォンが振動するほど重低音が再現され、迫力満点だ。試しにSBXをオフにしてみても、音自体の素養やバランスはとても良い。これは「新生FFXIV」自体の音作りのクオリティが極めて優秀だからだろう。SBXを有効にすると派手さが増し、音域全体が際立ち、高音の抜けも非常によくなる印象だ。これは通常のアナログヘッドフォンではなかなか体験できないものだろう。
今回はグリダニアを中心に、序盤から体験できるサラウンド感をレビューしていく。グリダニアを選んだのはプレーヤーが初めに降り立つ3つの都市のなかで、最も自然の環境音が豊かな印象があるからだ。
ゲーム内で視聴するにあたっては、まず音楽をオフにしてみた。「新生FFXIV」では環境音や効果音をメインに5.1ch化しているため、その効果をよりわかりやすくするためだ。そうしてまず気がついたのが、音楽が無くても寂しい感じがしないということ。音楽が無くても常に何かしらの環境音が鳴っており、むしろこのほうがエオルゼアへの没入感が高くなるかもしれない。
肝心のサラウンドだが、やはりバーチャルということでいきなり真後ろから音が聞こえる、というようなことはない。しかし、ほかのプレーヤーキャラが後ろから歩いて来る音などは、斜め後方から近づいて来るのはなんとなくわかる感じだ。大勢のプレーヤーが入り乱れるエーテライトプラザ前などではいろいろな方向からプレーヤー達の発する音が飛び交う。鳥のさえずりや雨音などの環境音も単純な2ch環境と比べて遙かに高い、包み込まれるような臨場感を得ることができた。
戦闘シーンでは、特に「F.A.T.E.(Full Active Time Event)」などプレーヤーが多数集まる場所での効果が高い。自分の周りで戦っているプレーヤーの音が入り交じり、まさに乱戦、という感じの迫力のあるサウンドが味わえる。サラウンド感もさることながら、重低音の効いた迫力ある戦闘時のサウンドはぜひ一度体感してもらいたい。
以上が本製品を素の状態で聴いた印象だが、今回「新生FFXIV」サウンドディレクターであるスクウェア・エニックスの祖堅正慶氏により、お勧め設定をいただくことができた。これは同氏が本製品を認証する課程で実際に自分で調整し、「新生FFXIV」を楽しむための最適な設定を探り出したものだ。調整内容は以下のとおり。
・SBXプロファイル:オン
・SBX Pro Studio設定
Surround=11%
Bass=10%
ほかはすべてOFF
・イコライザー設定
31=-1dB 62=-6dB 125=-4dB 250=-2dB 500=0dB 1k=0dB 2k=2dB 4k=-2dB 8k=0dB 16k=4dB レベル=0dB
祖堅氏によれば、この設定は長時間プレイでも疲れず、かつ本来、クリエイターによって作られたサウンドにより近づけるために、補正を加えるという感覚で調整したものだそうだ。
筆者も頂いた設定内容を試してみたが、低音やサラウンドが抑えられられている分、耳に優しい印象。だからといってサウンドがおろそかになっているわけでなく、しっかりとそれぞれの音が個性を持って主張してくる感じだ。
確かに低音が強いと迫力は出るのだが、その状態で長時間ゲームを遊ぶというのは少々辛いのも事実。長時間プレイになりがちな新生FFXIVではこうした優しい設定のほうがよいのかもしれない。これはサウンドディレクターを務める祖堅氏オススメサウンドだ。本製品を購入したらぜひ一度試してみてほしい。
「Sound Blaster EVO ZxR」は、7.1chバーチャルサラウンドや、ゲーム向けのサウンド調整ができるなど、ゲーマーに向けの機能を満載したヘッドフォンだ。ゲームだけでなく、Bluetoothでスマートフォンにワイヤレス接続して通話や音楽を楽しむこともでき、アクティブノイズキャンセル機能も搭載している。価格は直販サイトで29,800円と安くはないが、素のヘッドフォンとしても非常に高いポテンシャルを持っており、汎用性の高さを考えれば決して高いとは言えないだろう。特に、スピーカーで大きな音は出せないがサラウンド環境を楽しみたいという人にはお勧めのヘッドフォンだ。
【3月7日11時追記】記事掲載当初、「祖堅正慶氏オススメ設定」について、パラメータの設定が異なるスクリーンショットが掲載されておりましたが、正しい内容のものに修正させていただきました。(GAME Watch編集部)