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「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」プレイインプレッション
クリア方法が十人十色の潜入シミュレータを体験
(2014/2/21 00:00)
- 2月16日開催
- 【METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES】
- 3月20日 発売予定(PS4、PS3、Xbox 360)
- 価格:
- 2,980円(PS4/PS3/Xbox 360 通常版)
- 2,480円(PS4/PS3 ダウンロード版)
- 2,600円(Xbox 360 ダウンロード版)
- CEROレーティング:D(17歳以上対象)
去る2月16日、KONAMI本社内において、3月20日発売予定のプレイステーション 4/プレイステーション 3/Xbox One(発売日未定)/Xbox 360用タクティカル エスピオナージ オペレーション「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES(MGSV:GZ)」のメディア向け体験会「『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』BOOT CAMP 2014」が開催された。製品版相当のROMを使用して一足先に体験することができたので、プレイインプレッションをお届けする。プレイしたのはPS4版。
筆者はナンバリングタイトルとなる「MGS1~4」から、「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」といった派生作品まで一通りプレイしている「メタルギア」フリークである。ストーリーやゲーム性などに脈々と引き継がれる「メタルギアらしさ」、および本作で新しくなった点を中心にチェックしていきたい。
ロード時間はおおむね良好、見ごたえのあるオープニング
まずスタート時のロード時間だが、これは計測はしていないものの、ストレスを感じるほどの長さはなかった。オープンワールドのゲームは最初に広大なマップを読み込んでからスタートするため、プレイ中のロード時間がほとんどない代わりに、最初のロード時間がいくぶん長い場合が多い。しかしPS4というハードの性能と小島プロダクションの技術力のなせるわざからか、それほど待たされた印象はない。
さらにロード画面ではストーリーの解説や操作するうえでのヒントなどが表示されるので、これらに目を通していれば退屈を感じることはない。こういうことを書くとKONAMIさんからは嫌がられるかもしれないが、「MGS4」の外で軽く牛丼食べて帰ってこられるくらいのロード時間はなんだったのかと思える進歩である。ただしゲーム中、手に入れたカセットテープを聞こうとしたときに、「あれ?」と首をかしげるくらいの長めのロードが入った。そういう部分で本作も、ロード面で“まったく”ストレスがないとまでは言えないということを、正直に書いておかねばならない。
オープニングは、基本的にはネットなどで公開されているものと同様である。雨の中、スカルフェイスと呼ばれる男が基地を訪れる。捕虜となった少年チコに話しかけ、カセットテープのプレーヤーを渡したあと、車でヘリポートへ向かい、ヘリで飛び去る。ただ、登場人物の名前が表示されるなど、公開されているムービーと少々異なる点もあった。こうした細かな違いは実際にプレイして確認してみてほしい。また、ヘリの上から「XOF」と書かれたワッペンをバラまく印象的な場面があるのだが、実はゲーム内で、各所に散在するワッペンを収集することができる。ゲームクリアとは無関係な要素ながら、こうした遊びを用意するところにも、小島監督らしいサービス精神を感じられる。
「アイドロイド」はスマホやタブレットで見るとより便利に!
本作におけるスネークのメインミッションは、米軍が管理する施設に潜入し、捕虜となっている“チコ”と“パス”を救出することである。チコとパスは、どちらも「METAL GEAR SOLID: PEACE WALKER(MGS:PW)」に登場した重要なキャラクター。時代設定的にも「MGS:PW」と密接につながっているので、本作の物語をより深く楽しみたいなら、「MGS:PW」を事前にプレイしておくといいかもしれない。本作での2人の境遇が、さらに切なく感じられるはずだ。
本作では、マップの確認やヘリの要請などは「iDROID」と呼ばれる小さな端末を使っておこなう。iDROIDを使用中にも時間は流れているので、使用する際は物陰など安全な場所に隠れる必要がある。1度、使用中に敵に見つかり、あわてていたため迎撃できずにそのまま蜂の巣にされ、ゲームオーバーになってしまった。
iDROIDは、iOSやAndroidのスマホやタブレットに専用の「コンパニオンアプリ『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』」をインストールして使用できる。ゲーム画面を切り替えることなく、座右の端末でマップ画面などを確認しながらプレイできるメリットは大きい。スマホやタブレットを持っているならぜひ利用したい機能だ。このアプリのみで遊べるゲームなども用意されているので、外出先でも本作の世界にどっぷり漬かることができる。
行動しながら会話できる無線と、尋問の重要性
また従来作品と同様、本作でも味方との無線ができるのだが、無線画面への切り替えはなく、通常のプレイ画面のまま会話する。なので、移動中や撃ち合いの途中などでもリアルタイムに無線のやりとりが可能だ。
従来作ではしつこく無線を繰り返すことで多種多様な会話ができたが、本作においてはあまり豊富な会話パターンは見られなかった。もちろん状況によってさまざまなアドバイスが聞けるのだが、同じ状況なら基本的には同じアドバイスが繰り返される。攻略に詰まったときに何度も無線していると、だんだんヒントが具体的になってくるといった要素も、本作に関しては確認できなかった。そうした要素の代わりになるのが、敵兵への尋問である。敵に対して、背後から銃を突きつけてホールドアップ、もしくは締め上げることで、武器の隠し場所や捕虜の収容場所など有用なヒントを聞くことができる。尋問は「MGS:PW」など過去作にもあったシステムだが、攻略上、本作における尋問はかなり重要度が高いと感じられた。ちなみに聞き出した情報は、マップ上に自動的に記載されるので便利だ。
驚きの自由度! 小島監督の真骨頂がここに!
それにしても驚くのは自由度の高さである。従来作でも、ひとつのマップを抜けるための手段は何通りもあり、そうした攻略の幅広さがシリーズの特長にもなっていた。だが、それらの自由度はまだまだ狭かったということを思い知らされる。オープンワールドを採用した本作では、そもそも「このマップを通らなければならない」という前提すらほとんど存在しない。もちろんミッション目的そのものは変えられないが、「この敵兵を倒すか、眠らせるか」などといった選択ではなく、「この道を進むべきか、迂回するか」という、より根本的な部分での選択が幅広く用意されているのだ。1作目の「MGS」のヘリポートでも、戦車格納庫に入るためのルートが複数存在していたが、ああいった選択肢が全体に存在していると考えていい。プレイ後にメーカー側から、体験会の参加者がどのようなルートをたどったのかという聞き取りがおこなわれたが、1人として同じルートをたどったプレーヤーはいなかったという。
小島監督作品の魅力は、こういうインタラクティビティをこれでもかというくらい追求しているところにあると思う。映画の真似などでは決してなく、心からゲームを愛して、楽しいゲームを作ろうとしている人なのだと感じる。たとえば本作では、路上に置かれた敵の車両に自由に乗り込めるといった要素もある。これもただ「乗れますよ」といったお遊び要素ではなく、きちんと攻略に生かすことができる。また、運転席に乗る場合と、荷台にこっそり隠れて乗る場合とではまるで意味合いが違ってくる。ただ、「なんでもできる広い箱庭を作ってみました」というのとは話が違う。小島監督は、いつもあらゆる状況を想定して、そこに気づいた人だけがわかる仕掛けを用意しておく。「これは誰もせえへんやろ」と思ったら「いや、自分がそう動くの、読んでたで」と返ってくるような、ゲームプレイを通した監督との会話がそこにある。
プレーヤーがどんな行動をするか、あらゆるケースを想定しながらほころびのないオープンワールドを構築するというのは、どれほど困難だっただろうと思う。普通なら企画会議の段階でゴーサインが出ないはずである。誤解を恐れずに言えば、小島監督という人はちょっと異常なのだ。あまり上手な褒め言葉ではないかもしれないが、筆者が小島監督という才能を誰かに説明するとき、やはり「異常」という言葉が1番しっくり来る。かさねがさね言うが、これは褒め言葉である。
プロローグとしては十分すぎるボリューム
少し脱線してしまったが話を元に戻すと、とにかく筆者もチコとパスを救出することができた。ここまでに起きたことを言葉で説明すれば、ただ「チコとパスを救出した」ということに過ぎない。ゲームに慣れている人ならけっこう短時間でクリアできてしまうかもしれない。ただ、先述のとおり、その目的を達成するまでにたどる道のりは千差万別である。共通しているのは「チコとパスを救出した」という部分だけなのである。しかも、敵兵の居場所や移動ルートにはある程度のランダム性がある。だから、知っている人に教わったところで、つねに同じ攻略が通用するわけでもない。
本作は「METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN(MGSV:TPP)」へのプロローグとして位置づけられたタイトルなので、エンディングでは「MGSV:TPP」へつながる衝撃の展開が待ち受けている。そしてそのメインミッションをクリアすると、複数のサブミッションが選択可能になる。マップは同じだが、「ターゲットを排除」、「機密情報の回収」などバラエティに富んだ内容になっており、どれもメインミッションより圧倒的に手ごたえのある難易度になっている。地上の味方を上空のヘリから援護するなど、いつものステルス主体のミッションとはまるで異なるゲーム性も楽しむことができる。これらをやりこむだけでもお値段以上の価値は十分にあると感じた。シリーズのファンはもちろん、ただ「次世代機でおもしろいゲームを探している」というライトなユーザーにも自信をもってオススメできる傑作である。
(C)Konami Digital Entertainment