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マーク・サーニー氏と渡辺祐介氏がPS4「KNACK」の面白さをアピール!!
(2013/9/22 12:24)
SCEJAは、プレイステーション 4用アクション「KNACK」のメディアブリーフィングを幕張メッセ 国際会議室にて開催した。登壇者は、SCEジャパンスタジオ総監督のマーク・サーニー氏とシニアプロデューサーの渡辺祐介氏。
ブリーフィングは、まずマーク・サーニー氏の自己紹介からスタート。アクションゲーマーには説明不要の領域だが、念のため触れておくとマーク氏は「クラッシュ・バンディクー」、「スパイロ・ザ・ドラゴン」、「ジャック&ダクスター」、「ラチェット&クランク」など数々の名作アクションを世に送り出してきたクリエイター。ここ数年はプレイステーション 4のハードウェア開発に携わっており、その過程で「プレイステーション 4はコアゲーマー向けのゲームが多い」と気づき、そうではないものを作る機会を模索。ジャパンスタジオと話を進めてきたという。
マーク氏は「特徴的なキャラクターをベースに、ピクサーとキャラクターアクションを組み合わせる」方向性を模索。対象ユーザーは、往年のコアゲーマー、ライトユーザーやビギナーのふたつ。ハードモードは「クラッシュバンディクー」のように難しく、イージーモードは誰でもクリアできるもの。それを踏まえて生み出されたのが、70cm~10mまでサイズを変える新たなヒーロー「KNACK(ナック)」。
「KNACK」は拾ったパーツを身体の一部にして、サイズや外観を順次変えていく。たとえばクリスタルを拾えば透明になりセキュリティシステムにひっかからなくなり、つららは身体のサイズを大きくしやすいが太陽熱に弱くすぐ溶けてしまい、木は燃えることでギミックを動作させるといったアドベンチャー的な要素を内包する。
幅広いユーザー層を想定しているため、操作系はシンプル。戦闘は敵との駆け引きを重視したもので、奥深い戦いが楽しめる。ストーリーにも重点が置かれており、人物相関も非常にしっかりしている。ゲームの主人公は「KNACK」だが、ストーリー的には「KNACK」を作った博士の息子「ルーカス」が主役。なにかにつけて子供っぽい言動が目立つ博士に対し、一人前と認めさせたい大人びたルーカス。だがふたりは本当の親子ではないなど、ハリウッド映画の王道的要素が盛り込まれている。
ここからマーク氏がTGSビルドにてデモプレイを披露。基本操作は、左スティックがキャラクターの移動、□ボタンがパンチ(連続入力で最大3コンボ)、×ボタンがジャンプ、ジャンプ中に×ボタンを押すとダブルジャンプ、ジャンプ中に□ボタンがジャンプアタック、右スティックが入力した方向に回避と本当にシンプル。
敵はキャラクターごとに間合い、間隔、タイミングが違い、これらがからみあうことで奥深い駆け引きを実現。フィールド上に落ちているサンストーンを拾うと、画面左上にある黄色いゲージが増え、MAXになるたびに必殺技がひとつ使えるようになる。サンストーン同様、フィールド上に落ちているレリックを拾うと「KNACK」の身体が少しずつ大きくなっていく。隠しアイテムは60以上があり、集めることで「ガジェット」と呼ばれるメカが完成し、装備させることができるようになる。隠しアイテムを取得した際はフレンドリストが表示され、その場所でフレンドがどんなパーツを拾ったかが一目瞭然。
ダメージを受けた際や、必殺技で周囲に飛び散るレリックは、すべて物理演算により処理される徹底したこだわり。このあたり、プレイステーション 4のハードパワーがいかんなく発揮されている。
ステージはだいたい4つのエリアにわけられており、ひとつのエリアをクリアするのに約20分程度を要するという。マルチプレイでは、サポート役の「ロボナック」が出現。いつでも出入りが自由で、「ナック」にレリックをわけあたえることが可能。渡辺氏によれば「うまい人がサポートするだけでなく、ゲームが苦手な人がリスクのないロボナックでゲームを進めていくこともできる」という。
アクションゲーマーはシングルまたは友だちと競い合うなどストイックに! あまり得意ではないという人は、友だちや家族とマルチプレイでにぎやかに!各自の腕前にあわせて誰もが楽しく遊べるステキな作品だ。
マーク氏&渡辺氏メディア合同インタビュー
――いまの開発進行度はどれくらいですか?
マーク:今はマスターアップ直前です。北米の発売日は11月15日になります。
――日本語ローカライズは?
渡辺氏:ほぼ終わってます。基本的には、マスターは一緒のタイミングで進めています。
――主人公「KNACK」のデザインの源泉になったものはあるんでしょうか?
渡辺氏:ありますね! 本当にそれは長くて険しい道のりでした。当然いきなりあそこに行き着くわけではなく。まず、プレイステーション 4ならではの表現をするためには、どういうキャラクターを作ればいいのかっていうところから始まりましたね。物体の集合体……いっぱいパーツを物理で出してその集合体でキャラクターを作ったら面白いんじゃない? という話になって(ここで非公開の開発資料が提示される)。
今の「KNACK」とは程遠いんですけど、ただ単に「物体の集合体でキャラクターって作れる?」という検証から、まずはじめたんですね。デザインとか抜きにして。
マーク:なんでもいいから、決まった数のパーツからキャラクターを何かを作ってください。たとえば7種類のパーツからとか、そういうミッションでした。
渡辺氏:その次は、キャラクター性を持たせるにはどういうふうにすればいいか。さっきは集合体の検証。今度はキャラクター性をパーツでどうやって出すのかという検証を行って、結果が見えた段階で「どういうテーマに絞りましょう?」と。そこで出たテーマが「フレンドリービースト」。ここからテーマも検証も済んでいるので、どんどん加速していきます。この時点で成長するというコンセプトもあったので、小さいキャラクターからどういうふうに成長していくか。本当に、パーツを少し動かすだけで、キャラクターの個性がまるっきり変わるので、難しい作業ではありましたね。パーツの並びに関しては、かなりこだわってデザインされています。
マーク:ただのパーツの塊ではなく、意味のある使い方を目指していました。
渡辺氏:使い方、並び、配置……っていう作業、実はこれ全部“手作業”なんですね。5,000個のパーツを全部手で描いてやっていた。これを描いたアーティストは「もう2度とやりたくない」って(一同笑)。最終的に生まれたのが「KNACK」というキャラクターです。
――いま“5,000”という数字が出ましたが、それは動かしやすい数値ということでしょうか? それともハードウェア的な理由?
マーク:劇場作品「トランスフォーマー」は、70,000くらい入っている。少なくとも5,000に挑戦したい! と思いました。
渡辺氏:TV画面に収まるキャラクターサイズから、どれくらいのパーツで作れば密度がちゃんと出せるのか? っていうところで、5,000個くらいがちょうどよかった。
マーク:本日お見せしたゲーム映像は、すべてネイティブの1080p。だからこそ「KNACK」の小さいパーツが全部見えるんです。
――先ほどひとつのエリアで何分というお話をされましたが、全体のボリュームはどれくらいですか?
マーク:そうですね……プレーヤーのスキルや難易度にもよりますが、普通は10時間~11時間半くらいになると思います。
――ガジェットなどアイテムを集めるやりこみプレイを含めると、もっと長く濃密に遊べると考えてよろしいんでしょうか?
渡辺氏:1回クリアするだけでなく、すべてのガジェット。あと、先ほど紹介できなかったんですけど、特殊なパーツもあるんですね。それをある一定数集めると「KNACK」に変身できるんですけど、コンプリートにはかなりの回数をプレイしないとできないようになっています。
――ハードモードで遊べば、かなり難しく遊べるのでしょうか?
渡辺氏:(ブリーフィングでのデモプレイより)たぶん、もっと凄いことになると思います。かなりえげつないことに……。
マーク:セグメントごとに難易度に差があり、簡単にクリアできるところもあれば、10回くらいやって覚えてクリアできるセグメントもあります。
渡辺氏:やられかたにも凄く気をつけています。「そうきたか!」と思えるようなやられかたですね。「えっ、なんでいまやられたの!?」みたいなことではなく「もう1回挑戦してやるぞ!」と思えるような、自分のミスでやられたことをわかってもらえるようなやられかたですね。リスタートが早くできるので、よりテンポよく再チャレンジしていただけると思います。
――一番ユーザーに見て欲しい“見所”を教えてください。
渡辺氏:本当に、変わったことを極力しないようにしていたんですね。というのも、幅広い人に遊んでもらいたい、というのがひとつ大きくあった。とにかく触ってプレイしていただけると、それが凄くわかっていただけると思います。
マーク:まだTGSビルドしか出していませんが、製品版をプレイしていただければ、映画と同等のストーリーが入っていることがご理解いただけると思います。実は、博士とルーカスの関係がストーリーのメインになっているんです。
渡辺氏:そうですね。本当の親子ではないんですけど。
――そのなかで親子の交流が描かれたり?
マーク:そうですね。若いときから博士がルーカスの面倒を見ていますが、博士から見るとルーカスは反抗期に入っていて、ルーカスから見ると博士の無鉄砲さをいさめようとしているだけ。そのような関係が色々と見られます。
渡辺氏:博士が子供っぽい。ルーカスがちょっと大人な感じで、逆転している。でも博士はルーカスを1人前と認めていない。ルーカスは認めて欲しい。
マーク:そのストーリーは、今の時点では見てもらえないんですよね。ゲームを買って、楽しみにして欲しいところです。
――先ほどピクサーを例にあげておられましたが、本作のジャパンスタジオで開発されているのに、海外作品的な雰囲気があるように感じられます。
渡辺氏:開発の前に、マーケティングリサーチにも時間をかけました。我々は万人受けを目指していたので、ではどういうスタイルがいいのか考えたとき“なじみやすさ”は絶対外せない要素だと。抵抗なく受け入れられるというところでいうと、その代表としてピクサーがあった。ではピクサーはどういう表現をしているのか? 温かみであったり、やわらかさを表現したり。我々のプロジェクトも、そこを取り入れてやっていきましょう、と。結果的にピクサーっぽい表現になっています。
――以前「ラチェット&クランク」でラチェットの眉毛の違いがあったじゃないですか。ああいうのはないんですか?
渡辺氏:ないですね(笑)。デザインもマーク指揮のもと進めていた。とはいえ、描いていたのは日本人なんです。結構グローバル、どこの国とかは意識せずにデザインを進めています。
――先ほど難易度の話がありましたが、納得のいくやられかたということは、難易度で基本的なAIのロジックは変わらないということなのでしょうか? 主にダメージでバランスをとっている?
マーク:まずダメージが変わりますが、敵の攻撃の早さ、間隔、隙の長さ、走る速さ、色々なことが変わります。難易度が低いと出てこない攻撃もあります。
――TGSビルドをプレイさせていただいた際、雪玉を転がしてきた直後に弓を撃ってくるという攻撃をされて「これって万人向けといいながら初心者がやるにはキツくないか?」と思ったものですから、このような質問をさせていただきました。
マーク:時間があったらイージーでゲームをプレイしてみてください。全然違うゲームになっています。
――「KNACK」には人格があっておしゃべりをしますが、小さいとき、大きいときでしゃべり方が変わりますよね?
渡辺氏:変わります。一番小さいサイズのときは一切しゃべりません。キョロキョロしているだけですね。本当にマスコット的なキャラクターで、Mサイズになるとちょっと生意気なティーンエイジャー的なしゃべりかたになる。Lサイズは大人、紳士的な感じ。LLサイズはビースト!。しゃべりはしますけど。
マーク:少しだけ野性的。
渡辺氏:LとLLでは、あまり性格は変わらないです。
――氷のときはいかがでしょう?
渡辺氏:基本的にはサイズで変わります。
――「KNACK」は複雑な構造ですが、マスコットや気ぐるみを作るとしたら、どう表現するんですか?
渡辺氏:デザインができてから、それに気がついたんです(一同笑)。
マーク:携帯ストラップくらいなら作れると思う(笑)。
渡辺氏:本当は3Dプリンタで色々作りたかったんですけど「これ、出てきてもバラバラじゃないか!」って(一同笑)。ブースに飾ってあるフィギュアがモデルケースで、ああいうふうに作ればいいのかな?
マーク:1,200パーツくらい。本当なら背が4mあるはずなんですが、あれは3mなんです。
――TGSビルド外のプレイで、下から吹き上げてくる送風ファンなど「ラチェット&クランク」で見たギミックがあったんですけど、そういった他のジャパンスタジオ作品をほうふつとさせるものはありますか?
渡辺氏:そんなに多くはないですけど、一部入っています。ただ、あまり変わったことはしようと思っていなかったので、本当に基本的なプラットフォームアクションですね。
マーク:たぶん「クラッシュバンディクー」の逆になっていますね。「クラッシュバンディクー」はギミックが多くて戦うところは少ない。敵がいても障害物という感じ。「KNACK」は正反対で、メインは敵との戦いだけど、プラットフォームアクションもあります。
――最後にユーザーに向けてメッセージをお願いします。
マーク:がんばってストーリーを丁寧に入れました。そこをぜひ楽しんでいただきたいと思います。
渡辺氏:やっと日本でちゃんと触っていただける機会もできたんですが、とはいえ発売までまだ時間がある。世界観、ストーリーを少しずつ紹介していけたらなと思っていますので、楽しみにしていてください!
――本日はお忙しいところをありがとうございました。
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