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PS Vita「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」インタビュー

ゲーム業界への参入の反省点、そして次回作

ゲーム業界への参入の反省点、そして次回作

キャラアニさんだけに、インタビューを行なった会議室には関連グッズが並んでいた

――反省点などはありますか?

平賀氏:ゲーム開発が初めてということもあって、多方面にご迷惑をおかけしつつ作ったところがあるんですけど。1番は、発売当初のお客様に進行上の不具合発生について大変申し訳なく思っています。今、そこは改善されて操作性もよくなっていますが……色々な反省点はあります。ピラミッドさんにおかけしたご迷惑も、もうちょっと(ゲーム開発に関する事柄を)知っていれば改善できたところもあるでしょうし。そのへんは次回に生かしていきたいと思います。

――次回の予定はまだハッキリとはいえない段階でしょうか?

平賀氏:そうですね……当然色々な方々から「『零』の次は『碧』だろ!」みたいな話をされますし。ぼくらも次の色々な企画を考えていて、日本ファルコムさんとも話にはでてきています。今、その準備に入りつつあるという状況です。

――ファンの方々の要望などは反映されているのでしょうか?

平賀氏:やはり「空の軌跡」ですかね。その意見はかなり見かけます。日本ファルコムさんの看板タイトルということもありますが、それは非常によくききます。

松岡氏:進行上の不具合発生の際、問い合わせしてくださった多数のユーザーの方々から「ここがこうだったら、もっと遊びやすいのに!」、「こういうところを入れてくれたら、もっとたくさんの人にアピールできたのに!」など熱いご意見をいただきました。それは次回に活かせれば、と思っています。

平賀氏:日本ファルコムさんが2013年に「閃の軌跡」を出されるので、なにかしら絡んでいければと思います。

――昨年は「イース セルセタの樹海」でしたが、次は……。

平賀氏:「零」・「碧」に続く「閃の軌跡」、まぁ、楽しみですよね!

――次回も新たな楽しみ方としてフルボイスは打ち出していきたいですか?

平賀氏:オリジナルがあるものなので、我々がやれるのはそういった付加価値的なところだと思っています。音にもこだわっていきたいですし、容量との戦いになるかもしれませんが……前作と比べて恥ずかしくないような中身にしていけるよう取り組んでいきます。

――オリジナル要素を入れるといったお考えはありますか?

平賀氏:サブクエストというか、そのあたりはドラマCD的にオリジナル要素を作りこんでいける部分かな、と思います。メインのお話を変えるわけにはいかないので……差し触りのないところというか、バランスを考えつつという形になるのかなと思います。

次回作に向けて期待が膨らむところだ。イメージカットは「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」のもの

――今回の開発を振り返って、得たものというか「これは良かったな」というところはありますか?

中野氏:ぼく自身、日本ファルコムさんの作品のファンですから、それに携われたというのが個人的に1番。開発会社としては、新ハードが出るとき、どのメーカーさんからお声がかかるかで経験が詰めるかどうかというのがある。「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」で得られた経験値は、非常に高いものがあります。

 あと、ファンの顔が見えている作品ということですね。開発会社はたいてい下請けで、エンドユーザーのところまでは見えないんですね。「この作品のゲームを、こんなふうに作って」といわれると、なんとなくはわかりますけど、実際ゲーム化されたときにユーザーの反応ってわからないじゃないですか。“らしさ”は出しているつもりでも、ピンポイントでよかったかどうかわからない。それはメーカー(パブリッシャー)に当然情報が集まって、開発会社にはフィードバックされず次の作品にいくっていう感じなんですけど。

 今回に関しては、元のゲームがあってユーザー層が非常に熱い。モノ作りに関しては「こういうところに気づけたほうが、評価していただけるよね」とわかったのが良かった。PS Vitaは色々な要素を追加・更新できるので「開発が終わったからバイバイ」ではなく、まだ開発に携われるのが会社的にプラスかなと思います。

――「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」について、今後のバージョンアップや機能追加などはありますか?

松岡氏:無料体験版のほか、ライブエリアを更新することで購入されたユーザー様向けに特別な壁紙などが入手できる特設ページを配信する予定です。

――最後に、「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」およびゲーム事業に対する意気込みをお願いします。

平賀氏:自画自賛になってしまいますが、「英雄伝説 零の軌跡 Evolution」を作り実際にプレイして、非常にやりごたえのあるボリューム、そしてゲームの世界に没頭していける作りになっていると思います。やっていただかないと伝わりづらいところがあるので、体験版を配信させていただきました。序章から入っていただいて、本当にいいなと思ったら1本丸々遊んでいただけると、より「軌跡」シリーズの面白さをご理解いただけるのではないかと思います。

 ゲーム事業については、皆様にご期待いただけるような作品作りを続けていきたいと思っています。どこかでオリジナル的なものもやってきたいですね。キャラアニ.comはeコマースの会社で、普通のゲーム会社さんが考えないような取り組みができると自負しております。ゲームを基点に、色々なものをキャラアニらしく提供できる環境を作っていきたいと思っておりますので、ご期待いただければと思います。

中野氏:うちとして今年の抱負……ですか? そうですねぇ。2008年~2009年くらいから、開発側から見た日本のコンシューママーケットは残念ながら縮小傾向にあります。ソーシャルゲームの波が押し寄せてきて、そのなかでバランスをとりながら「コンシューマからソーシャルゲームに切り替える」のではなく、コンシューマゲームを続けることによって技術基盤とかゲームシステム、ロジックの部分を培いつつ、両輪でがんばっていければなと思っています。

 そのなかのコンシューマ案件として、日本ファルコムさんの作品の移植にあたり、ヒエラルキー的に「えー、移植?」みたいに感じられる開発会社さんもおられるかもしれませんが、とても作り応えがある仕組みに元からなっていて、それにプラスアルファ要素、シリーズらしさを加味して出すという挑戦がある。機会があれば、今年中に次回作をやらせていただければ! と思います。

――本日はお忙しいところを本当にありがとうございました。

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(船津稔)