「ハンゲームフェスティバル★2012」開催直前インタビュー

「ハンゲーム」最大のイベントに込められた思いと実現までの経緯


10月7日 開催予定

会場:パシフィコ横浜

参加費:無料


 NHN Japan株式会社は、ゲームポータルサイト「ハンゲーム」のオフラインイベント「ハンゲームフェスティバル★2012」を10月7日にパシフィコ横浜にて開催する。入場は無料。

 「ハンゲームフェスティバル★2012」は、ハンゲームにラインナップされているゲームを一堂に集めて開催するイベントで、ハンゲームとしても過去最大級を謳っている。ステージイベントもびっしりとスケジューリングされており、まさに“お祭り”の様相を呈した内容だ。

 今回、このイベントの仕掛け人であるNHN Japanゲーム本部ゲームエンタープライズ事業グループ 副事業グループ長の森健志氏と、同グループ イベントチームマネージャーの荒井淳氏にお話を伺うことができた。今回のオフラインイベントの実現に至るまでの経緯から、込められた思いまでを語ってもらったので、これをお伝えする。



■ オフラインイベントに積極的ではなかったハンゲーム

右から、NHN Japanゲーム本部ゲームエンタープライズ事業グループ 副事業グループ長の森健志氏、同グループ イベントチームマネージャーの荒井淳氏

 そもそもハンゲームでは、「スペシャルフォース」や「ファミスタオンライン」の全国トーナメントといったオンラインイベントは開催してきていたが、ネットカフェを使った定期的なイベントは開催されていなかったという経緯があった。

 本イベントを開催するに至る直接のきっかけは、2011年6月に業界12年のキャリアを持ち、オフラインイベントを大事に考えていた森氏がNHN Japanに入社したことにある。森氏は話の最初に、オフラインイベントで重要な3つの大きな柱を明かしてくれた。

 まず1点目は、「プレーヤー同士の共通の話題ができる場の提供」。お互いに好きなことを話している時間はあっという間に過ぎるという経験から、ハンゲームのタイトルについて好きな人同士が集まれる場を運営側が用意することで、積極的に盛り上がってもらおうという狙いだ。

 2点目はスタッフ向けで、「スタッフがお客様の生の声を聞けること」。森氏は、オンラインゲームについて「サービス業でありながらお客様と対面しない」という点を挙げ、例えばどういったお客様が遊んでいるのか、どういう思いでプレイしているのかといったことに、スタッフが接することができる機会を設けたいのだという。

 そして3点目は、日頃プレイしているお客様にシンプルに「感謝の気持ちを届けたい」ということ。この3点の柱をハンゲームでも実現させたいという森氏の思いから、今回の構想がスタートしたのだと話してくれた。

 森氏が最初に取り組んだのは、2011年8月に開催した「Dragon Nest」のファン感謝祭。入社からわずか2カ月だが、特設サイトの設置やイベント内容の構想、登壇する開発メンバーのスケジュールなどを全部取りまとめて、イベントを成功に導いた。これをきっかけとして、ハンゲームはネットカフェを使った「Dragon Nest」や「エルソード」のバトルトーナメントなどを実施していくこととなる。

 しかし一方で森氏はイベントではなくパブリッシング統括の担当者だったため、この思いを引き継ぐ人物も必要だった。そこで森氏の思いに賛同したのが、現在イベント担当で「ハンゲ太郎」としても活動している荒井氏だった。

 荒井氏はもともと「スペシャルフォース」などFPSのイベントは経験があったが、森氏と数カ月に渡って話し合いをして、ビジョンをじっくりと共有していったという。そうして荒井氏がオフラインイベントの責任者としてその後を率いていくことになる。



■ ユーザー同士の「コミュニケーション」を重要視

キャラバンで使った垂れ幕とタオル。メッセージが書き込まれた幕は「ハンゲームフェスティバル★2012」でも展示される予定
各会場を回った際のスナップショットは本社のカフェスペースに展示されている

 荒井氏と森氏は、オフラインイベントを定期的に開催するものにするべく、来場者の特徴や、イベントチームの構成、イベントの新しい形などを話し合いながら探っていったという。

 その1つの答えとして提示したのが、3月に開催された「ハンゲームキャラバン2012春」。「ハンゲームキャラバン2012春」は、「スペシャルフォース」、「エルソード」、「Dragon Nest」の3タイトルを、札幌、仙台、東京、名古屋、京都、兵庫、福岡の7都市で開催するというもの。

 各地で開催したのは、オンラインゲームのコミュニケーションツールとしての役割の大きさに着目し、特にオフラインイベントを開催することで、地域ならではのコミュニティを作りたいという思いがあったそうだ。

 実際に開催してみて、荒井氏は地域ごとでユーザーの雰囲気の違いを感じたという。荒井氏は、「地域柄なのか、北海道だったら皆で一体になって楽しもうとするし、名古屋は毎回大騒ぎ(笑)。大阪は本当にノリがいいし、福岡は表向きは静かだけど、沸々と湧く闘士のようなものがある」と述べた。

 荒井氏は、地域ごとのユーザーの動向を見ながら、どうすれば各地域を盛り上げていけるかを考えていった。そしてこのキャラバンが春を経て夏、そして秋には「ハンゲームフェスティバル★2012」が1つの集大成として繋がっていくこととなる。

 またこれらのイベントでは内容も少し踏み込んで、例えば「エルソード」では、来場者をグループに別けて「『エルソード』を有名にするにはどうすればいいか?」という話し合いをさせ、それぞれに発表させるということも行なった。

 「これは違うタイトルだったら盛り上がらなかったかもしれないが、『エルソード』のプレーヤーはゲームだけでなくキャラクターや、ゲーム以外で遊ぶものも好きな方が多い。お客様同士が好きなものに対して突っ込んで話せたということで、相当な盛り上がりだった」と荒井氏は振り返った。

 荒井氏はこれを「挑戦だった」とも話したが、タイトルごとのイベントを何度かこなすことで、ユーザーがどういったことが好きで、どういうことをやりたいのかを突き止めた結果が、このような形で反映されているのだという。

 また最も重要視しているのは「コミュニケーション」の部分で、「1人でも来られる」くらいの雰囲気作りだそうだ。荒井氏自身も、「ハンゲ太郎」として単にイベントをやるだけでなく、事前の生放送やTwitterでのやり取りを続けているという。

 ここで荒井氏は、イベントのアンケート結果を見せてくれた。満足度が75%を占める中で、動機の1位が「イベントの内容」、2位が「ガチャ」、3位が「運営、友達とのコミュニケーション」となっている。荒井氏としては、3位に来ているコミュニケーションを理由にして足を運んでくれる人をもっと増やしたいそうだ。「まだ始めたばかりでコミュニケーションの取りようもないと思うが、これを続けていくことでこの場自体がオフ会のような、みんなで集まって友達が増える場所になっていけばいいなと思う」と語った。



■ 「ハンゲームフェスティバル★2012」は「目指すものを感覚的に体験できる場所」

両氏の1つの集大成となる「ハンゲームフェスティバル★2012」
ラジオやテレビで徐々に露出が増えてきた武井壮氏をはじめとした豪華ゲストが登場予定。武井氏は特設サイトでも大きくフィーチャーされている

 こうした思いが凝縮されたのが、森氏、荒井氏の1つの集大成となる「ハンゲームフェスティバル★2012」だ。パシフィコ横浜のDホールをまるごと使い、集客数は「5,000人を軽く超えてほしい」というほど大規模なものとなる。

 会場では各タイトルの試遊機がPC、スマートフォン、PlayStation Vitaを使って出展されており、遊べるようになる。各タイトルにはアトラクションもあり、「エルソード」では“武器”を持って記念撮影したり、「ファミスタオンライン」ではストラックアウトをやったりと遊べるようになっている。

 特に「TERA」は豪勢で、3面から6面のモニターが設置されて贅沢な環境で試遊ができるほか、開発会社からイラストレーターを呼んで、会期中に生で原画を書くという施策を実施するという。できあがった原画はそのままスキャンされ、その場でポストカードとなって来場者にプレゼントされる予定。

 なお会場に入ると、必ず「ハンゲームチケット」というチケットがもらえるようになっている。これを使用すれば各タイトルの「リアルガチャ」を利用できるほか、アトラクションを体験すればチケットは増えていくのだという。またこの手のオフラインイベントでは珍しく、家族でも安心して楽しめるようにキッズコーナーが設けられている。荒井氏いわく、「赤ちゃんを連れてきた場合も、もちろんその分のハンゲームチケットは差し上げますので(笑)、ぜひ来てください」だそうだ。

 このほかにも、ステージイベントをはじめとして、会場に仕掛けらたスタンプを集めるスタンプラリーや、物販コーナー、総勢30名のコスプレコンパニオン、大抽選会など見所は満載となる。

 森氏はメッセージとして、「まず来ていただければ、絶対楽しんで帰っていただける自信があるので、迷われている方にはぜひ来ていただきたい。会場を出たあと改めてギルド同士で集まるというのもいいし、中で話している内に盛り上がったり、コミュニティーの繋がりを含めて本当に楽しんでもらいたい」と話した。

 荒井氏は、「今回は、キャラバンとは違う形でのコミュニケーションがある。タイトルの幅を超えて、ハンゲーム全体での発見があると思う。今のハンゲームの楽しさが形になって表れている場所だし、私たちの目指しているものを感覚的に感じていただける場所だと思う。来ないとわからない位に大きいので、ぜひ来てください」と語った。


(2012年 9月 28日)

[Reported by 安田俊亮]