「東京おもちゃショー2012」バンダイ、タカラトミー、エポック社レポート

原作者の夢を叶えた「マジンガーZ」。「トミカ」や「野球盤」にも大きな変化が!


6月14日~17日開催(一般公開日は16日、17日)

会場:東京ビッグサイト 西1~4ホール



 東京おもちゃショーで大きなブースを構えているメーカーは、バンダイ、タカラトミー、そしてエポック社だ。本稿では、業界を牽引している老舗のおもちゃメーカー3社のブースを取り上げる。

 バンダイは合金玩具の代名詞とも言える「超合金」に、大きな動きがあった。タカラトミーは今回、プラレールとトミカにおいて新しい挑戦を行なっている。エポック社は定番の「野球盤」に、「ドラえもん」でアレンジを行なうという面白いことをしている。これらをピックアップして取り上げたい。





■ キャラクターグッズを積極的に展開するバンダイブース。究極の超合金登場

ゴーバスターズコーナーでは、特撮に実際に使われている模型が
永井豪氏(左)と水木一郎さんが登場した発表会

 バンダイは、入口に等身大の「特命戦隊ゴーバスターズ」と、「スマイルプリキュア!」のフィギュアを配し、来場者を迎えていた。他にも「ウルトラマン列伝」や、「仮面ライダーフォーゼ」、「ワンピース」、「機動戦士ガンダムAGE 」といった、キャラクターを前面に出した展示を行なっていた。

 今回ニヤリとさせられてしまったのは、「ゴーバスターズ」のコーナーだ。商品の後ろに、実際の撮影に使われている模型が展示してあったのである。撮影に使う模型は、激しい撮影に堪えられる耐久性と、“本物らしく見せる”細かさ、そしておもちゃにはない“迫力”があって、作品のファン、そして特撮ファンにとってとても興味深いものだった。

 そして、今回大々的に発表されたのが、「DX 超合金魂 マジンガーZ」だ。テレビアニメ、そして“超合金”としてのマジンガーZ生誕40周年を記念して企画された商品で、12月10日発売、価格は36,750円という、超ハイエンドモデルといえるものだ。14日には原作者の永井豪氏と、40年間マジンガーZの主題歌を歌い続けている歌手の水木一郎さんが登場する発表会も開催された。

 マジンガーZは“超合金Z”で作られている、という設定を受け、亜鉛合金製の玩具に「超合金」という名前をつけて発売し、記録的なヒットとなった。そして現在でも超合金ブランドの商品は作り続けられている。特に、「超合金魂」というブランドは、大人向けに懐かしのキャラクターに、様々なギミックを盛り込み、当時の商品では再現不可能だった合体や変形を再現するという手法で、ファンを獲得している。

 「DX 超合金魂 マジンガーZ」はその“超合金魂”のさらに上を目指す商品だ。まず、全高が30センチというビッグサイズ、そして外装を取り外し、内部メカをむき出しにできる。そして目が光り、胸の反射板が発光するギミック、必殺技などを叫ぶ音声ギミックまで搭載されている。永井氏は発表会で、「超合金としてマジンガーが出るとき、パイルダー(コクピットとなる飛行機)が頭につくと、『パイルダーオン!』って声が出て、目が光って欲しいって言ったんですが、40年かかって叶いました」と語っていた。

 さらにこのマジンガーを収納できる「格納整備基地」が同梱されるのも本作のセールスポイントだ。足場やクレーン車を配置でき、劇中のような基地にいるマジンガーを再現できる。さらにこちらにも発光ギミックがあり、足もとからライトアップすることが可能だ。考えられるギミックを全て盛り込んだような商品なのだ。発表会後に展示された会場でも非常に人気が高く、カメラを構える人がとても多かった。

これまでにない豪華な超合金「DX 超合金魂 マジンガーZ」。会場でも注目を集めていた。左下は、発表会での水木さんのコンサート
プリキュア、仮面ライダー、ガンダム……多彩なキャラクターグッズを展開。右下は「ウルトラマン列伝」の新主題歌を手掛けるアルフィーの高見沢俊彦さんと、ウルトラマンゼロの新フォーム




■ タカラトミーブースでは、「トミカ」、「プラレール」に大きな変化が

「トミカ」、「プラレール」を融合させる新たな試み
こちらはプラレール卒業生を狙う「プラレールアドバンス」

 タカラトミーブースは最新技術が投入されている商品が多く、“見応え”と言う意味で、会場で1、2位を争うブースだ。発表会が開催されたボクシングロボット「バトロボーグ20(トゥエンティ)」はもちろん、参考出展のスマートフォンに連動したロボットペットなどもある。トランスフォーマーや、リカちゃん、こえだちゃんと木のおうちなど多彩なキャラクターも注目だ。

 そんな中で特にびっくりさせられたのが「トミカ」と「プラレール」である。タカラトミーの代表的なおもちゃで、子供から大人まで幅広いファンを持つシリーズだが、大きな変化を迎えている。ミニカーのブランドであるトミカは、精密な作りと、転がして遊ぶことができる商品だが、ゼンマイなどの動力はついていない。しかし今年の新商品によって、ついに走ることが可能となるのだ。

 動力のないトミカを走らせるのは「すいすいロード」というギミック。らせん状になっている棒が道路中央で回転することで、上に乗ったトミカを前へと運ぶ。こうすることで、トミカもプラレールのように、「動いているのを見るおもちゃ」になるのである。面白いのは、この「動くトミカ」は、最初からプラレールと連動を想定していること。

 すいすいロードを搭載した「駅&踏切セット」はプラレールの駅と、すいすいロードでトミカが踏切を渡る様になっている周回コースがセットとなっていて、プラレールも周回するように設置することで、電車が来ると踏切が下がり、一時停止するトミカ、という情景が楽しめるのだ。「駅&踏切セット」は9月発売で6,279円。この他「すいすいロードサービスセンターセット」や、道のパーツをセットにした「つながるすいすいロードセット」といった商品も販売される。

 もう1つは、昨年からすでに展開しているのだが、「プラレールアドバンス」というシリーズ。これは通常のプラレールより2周り以上小さなサイズの鉄道模型で、プラレールのパーツで上りと下りの“複線”で運行できるというもの。プラレールアドバンス専用のレールとも組み合わせれば、ポイント切り換えなどバリエーションはさらに広がる。車両はプラレールよりもグッと現実の車両に近くなり、鉄道模型の「Nゲージ」の様なイメージもある。

 対象は、「プラレールを卒業する子供から、親まで」という幅広いところを狙っており、Nゲージなどの本格的な鉄道模型の前のところで、ユーザーのニーズを満たしていきたいという。車両は「E3系新幹線こまち」を9月に2,375円で発売する。0系新幹線など古い車体なども発売されており、今後も様々な車体が販売される他、この車体に合わせたリアルタッチの駅など様々な線路パーツも販売予定だ。プラレールの資産が活用できるという利点を活かしながら、全く新しい展開も見せてくれそうなシリーズである。

すいすいロードでトミカが走る
車両もリアルになる「プラレールアドバンス」。ブースには「トミカ」と「プラレール」の巨大なジオラマがある
多彩なキャラクターと、様々なギミックのおもちゃが盛りだくさんだ。右下は、なでしこジャパンユニフォームのリカちゃん

■ ユニークな「ドラえもん 野球盤」、お菓子感覚の「ホイップる」などを出展したエポック社

ドラえもんの世界観をたっぷり取り入れた「ドラえもん 野球盤」
本物のお菓子見本から商品化した「ホイップる」

 エポック社は「シルバニアファミリー」のとても凝ったジオラマで来場者を迎える。さらに女の子向けのオシャレグッズが続くため、一見男の子には入りにくいかもしれないが、奥には野球盤や、サッカー盤と言った定番のおもちゃの、最新作が待っている。

 「消える魔球」でおなじみの野球盤はエポック社の代表的な商品だが、昨年発売された「野球盤スラッガー」はジャストミートするとボールが高く飛んでいくというこれまでにないギミックで人気を博した。そして今回、野球盤に「ドラえもん」の世界観を取り入れた、ユニークな商品「ドラえもん 野球盤」が9月29日に6,279円で発売される。

 守備にドラえもんやのび太、スネ夫、ジャイアンのフィギュアが配置されていて、さらに土管などもあり、本格的な野球場とは全く違う、ドラえもんに登場する「いつもの空き地」が再現されている。ここにさらに、「ドラえもんのひみつ道具」が面白いアクセントを加えている。

 バッターが振るのは通常のバットよりも大きい「黄金バット」は誰でもヒットやホームランが打てる道具だが、守備に何でも捕球してしまう「がっちりグローブ」がある。また、「どこでもドア」も、打球を止める壁として登場する。「通り抜けフープ」は反対に、守備にならないオブジェクト。

 ピッチャーがボールを打ち出すのは「くうきほう」である。また、「エースキャップ」を使うことを宣言すれば、その時に投げるボールは必ずストライクになる。「アベコンベ」はアウトのはずの打球がヒットになるという攻撃アイテムだ。このように、野球盤に面白いアレンジを加えているのだ。

 個人的に面白かったのが女の子向けの「ホイップる」という商品。ケーキやゼリーに生クリームをトッピングするのだが、この生クリームは空気に触れると硬化する樹脂でできており、固まる前は生クリームのそのもの。実際のお菓子の飾り付けのように遊べるのだが、実際のケーキの見本に使われている材料を改良したものだという。失敗しても水で簡単に流すことができ、予備のクリームも販売されるという。「ホイップる スペシャルパーティセット」が8月4日発売で、5,229円。この他にもいくつかのラインナップが登場予定だ。

中央が「野球盤スラッガー」、右がサッカー盤の最新作「スーパーサッカースタジアム」
シルバニアファミリーや、アクセサリーを作れる女の子向けおもちゃも充実

(2012年 6月 15日)

[Reported by 勝田哲也]