セガ、「初音ミク Project DIVA Arcade」1周年記念イベントを開催
池袋GIGOにシリーズのファンが大集合!


6月12日 開催

会場:東京・池袋GIGO


6台あるゲーム筐体は常に人が絶えない人気ぶり。さすがにイベント中にだけあり、高難易度の楽曲も華麗にクリアするプレーヤーが続出していた
会場となった池袋GIGOの壁には、モジュールのパネルが多数設置されており、ファンたちは熱心に見入っていた

 株式会社セガは6月12日、「初音ミク Project DIVA Arcade」の稼働開始1周年を記念したイベントを、東京・池袋にある池袋GIGOにおいて開催した。

 本イベントでは、「初音ミク -Project DIVA-」シリーズに関連する非売品グッズが当たる抽選会が開催されたほか、「初音ミク Project DIVA Arcade」に登場するモジュール(衣装)が多数パネル展示されていたり、「初音ミク Project DIVA Arcade」に関する要望や感想を書き込むことができるメッセージカード投稿コーナーも用意。会場となった池袋GIGOの4階の一角は「初音ミク -Project DIVA-」シリーズファンのためのスペースへと様変わりしていた。

 抽選会が始まった12時ごろには、抽選会参加者の行列のために、会場となった池袋GIGOの4階へ続くエスカレーターが一時停止されるほどの盛況振りとなっており、改めて「初音ミク -Project DIVA-」シリーズに対する人気の高さを感じさせられた。また、アーケードゲームに関するイベントながら、女性の参加者にはが多く存在していたのも特筆すべき点といえるだろう。抽選会が終わった後も、6台あるゲーム筐体に並ぶ熱心なファンのプレイ待ち行列が続いていたのをはじめ、展示されたモジュールパネルを眺めたり、開発スタッフへのメッセージを記入したりと、訪れたファンたちがそれぞれのペースでイベントを楽しんでいたのが印象的だった。

 なお、同様のイベントが6月26日、東京・秋葉原にあるクラブセガ秋葉原 新館においても開催される予定となっている。本イベントに残念ながら参加できなかった方は、こちらに参加してみてはいかがだろうか。


初音ミクの声を担当した藤田咲さんのサイン入りポスターや、シリーズに関する非売品グッズなど、さまざまな賞品などが当たる抽選会には、事前に公式ホームページで抽選券を手に入れた人が参加できた開発者に対するメッセージカード投稿コーナーでは、ファンたちが「初音ミク Project DIVA Arcade」に関するさまざまな思いを記入していた。メッセージは後ほどTeam Project DIVAのスタッフによって読まれるとのこと池袋GIGOの入り口では、関係スタッフが東日本大震災で被災した方への義援金を集っており、協力者には1周年記念ステッカーが手渡されていた。集まった義援金は全額、日本赤十字社を通して被災地に寄付される



■ プロデューサー大崎氏へのミニインタビューをお届け!

「初音ミク Project DIVA Arcade」のプロデューサー、株式会社セガの大崎誠氏

 本イベントの途中には、報道陣向けに「初音ミク Project DIVA Arcade」のプロデューサーである、株式会社セガの大崎誠氏に対してインタビューを行なう機会が設けられた。

 1周年に対する率直な感想や、アーケードならではのこだわり、今後のアップデートについてなど、「初音ミク Project DIVA Arcade」に関するさまざまな内容を伺ったので、合わせてお送りしよう。


―― 1周年を迎えての率直な感想から聞かせていただけますか?

大崎氏: 正直ここまで続くとは、という感じですね。やっぱりファンの皆さんの支持ですかね。こんなに応援していただいたおかげで、ここまで来れたと思っています。むしろ、最近も新しい人が増えているみたいなので、それも一言で言うと、ユーザーの皆さんのおかげですね。1周年の感想としては、すごくありがたいと思っています。

―― 1年間の間で印象に残ったエピソードがありましたら教えていただけますか?

大崎氏: 一番印象に残っているのは、誰か女の子だったと思うのですが、「VOCALOIDファンが集まれる場所ができた」って書いてくれたことです。それまでは、専用のイベントでしかなかなかファンが集まれなかったのですが、「初音ミク Project DIVA Arcade」ができたことで「好きな人同士がゲームセンターに集まって交流できるようになってよかった」と言ってくれたのが嬉しかったですね。

―― 運営をしていくにあたって、どんな点で苦労しましたか?

大崎氏: やっぱり楽曲の追加ですね。まず最初にPSP版「初音ミク -Project DIVA-(以下、「1st」)」の曲を入れたのですけれど、そのあとコンテストをやったり……。

 あと、アーケードオリジナルの曲ですね。アーケードならではのノリがあると思うので、どういう曲を入れようか? とすごく焦りました。いろいろな人に話を聞いて、急いでモーションキャプチャーをしたら、すぐに次は譜面はどうするの? といったことになって……。稼働した直後くらいの去年の秋ぐらいが一番大変でしたね。

―― 今後、こういった曲を入れていきたい! という方針のようなものはありますか?

大崎氏: 家庭用で人気のある曲は当然入れていくんですけれども、ジャンル的にまだ完全に網羅しているわけではないので、そういった曲を入れていきたいですね。

 ロックなどは率先してアーケードに入れてきましたが、個人的にはドラムンベースなどのジャンルの曲が好きなので、ドラムンベースとかスピリチュアルとか、いろいろな曲を入れていきたいなと思っています。これは僕の思う通りになるかどうかわかりませんが(笑)。

―― そのあたりが家庭用とは違ったアーケードならではのエッセンスになるのでしょうか?

大崎氏: そうですね。家庭用はある程度メジャーなところから、「1st」も「初音ミク -Project DIVA- 2nd」(以下、「2nd」)も次に出る「初音ミク -Project DIVA- Ver.2.5(仮)」(以下、「2.5(仮)」)も選ばれているのですけれども、“叩いて楽しい曲”というのがアーケードでは一番大事だと思っているので。

 練習してクリアするという喜びが、身銭を切ってやる分、少し違うと思うんですよ。そういう“達成感があって、叩いて楽しい”というのを最重要視して、広く曲を探していきたいと思っています。

―― モジュールは今後、どういうものが追加されていきますか?

大崎氏: モジュールは、ここにはまだ出していないものを貼ってあるんですけれども、少なくとも「2nd」に入っているものは当然全部出します。

―― アーケードオリジナルのモジュールについてはいかがですか?

大崎氏: アーケードオリジナルもやっていきたいですね。鏡音リンちゃんの和風などは結構要望があるようですので……。家庭用の「2.5(仮)」でどんなモジュールを作っているか、まだ僕はちゃんと聞いていませんが、そこに和風があったら自動的に入ると思います。

 今回、入口にあるモニターで「カラフル×セクシィ」のモジュールが出ていますが、あれはアーケードが先なんですよ。アペンドもそうなんですけれど、アーケードが初のモジュールはやっていきたいと思っています。

―― 今回イベントを開こうと思ったきっかけと、実際に開いてみての感想をお願いします。

大崎氏: 先ほど申し上げた通り、アーケードなので、だったらやっぱりゲームセンターで盛り上がりたいと思いました。特に池袋GIGOさんは元々5台くらい置いてあって、聖地っぽい感じもあるので。26日にイベントを行なうクラブセガ秋葉原新館もそうなのですが、集まれる場所ができて嬉しかったのであれば、集まれる場所でイベントをするのがベストかなと。

 でも、こんなにお客さんが来るとは思っていなかったので、どうしよう? とも思っています(笑)。

―― 今後2回、3回と、こういうイベントが開かれる予定とかはありますか?

大崎氏: もちろん、ご支持をいただけるようでしたら、やっていきたいですね。ただ日曜を過ごすよりも、こういう場所に集まって、来た人同士で話したいじゃないですか。オフ会とかも周りでやってもらえればいいと思うし、そういうきっかけになればいいな、と思っています。

―― バージョンアップを重ねることで、モジュール以外にもスキンというやり込み要素が新たにできたのですが、今後も、そのようなやり込み要素の追加を予定していたりしますか?

大崎氏: そうですね。まだ言えないのがいくつかあります(笑)。ただ、「初音ミク Project DIVA Arcade」は、まだ稼働してから1年しか経っていないんですよ。レコードとかスキンとかいろいろとやっていますけれども、いきなり難しくするのは厳しいので、基本的には誰でもコツコツやっていけば何とかなる、というようなやり込み要素にしたいと思っています。

 それとは別に、ある程度うまい人に、モノはあげられないけれども名誉があげられるような、そういうのも当然用意したいですね。ただ、基本的な軸足としては“気軽にできる”。「なんか、難しくなったよねー」とは言われたくないので、そういう風にするつもりはまったくないです。

―― 来年に向けての目標や抱負をお願いします。

大崎氏: とりあえず、今年はがんばってガンガン追加する! が1番ですね。うちのプロジェクトのいいところって、朝令暮改というか朝令昼改なんですよ。朝言ったことを昼変えるわけですね。

 要は、「ユーザーさんがこう言っているからこうしよう!」って、コロコロとすぐ変えちゃう。「すいませんでした!」って、すぐ改めるわけです。社内では「何なんだ!」って怒られることもあるんですけれど(笑)。ただ、やっぱりユーザーさんあってのものですから。

 それに、結構いただいたご意見がたまっちゃっているんですよ。それをやっていくのが今年のテーマかな。すぐに変更できるものから、「これ、サーバーのプログラム根っこから見直さないと無理じゃない?」みたいなものまで、いろいろたくさんあるんですね。少なくとも半年は、そういったユーザーさんからいただいた意見を反映していくというのが続くと思います。

―― これからに対する展望のようなものを教えていただければ……?

大崎氏: なんと言ったらいいかわからないけれども……、一応うちのモットーというのは、企業が本気でやる(ニコニコ動画の)技術部的なノリ。そういうので驚きを与えていきたい。だから、あんまりブッ飛んだやつじゃなくて「これができたらいいよね!」というのを、ちゃんとやっていきたい。

 根っこにあるのは、大人の本気。企業が本気を出したらどうなるの?みたいな驚きを、これからもユーザーさんに与えていきたいですね。それは、この先もずっと変わらないので……。答えになっているかどうかわかりませんが。

―― 最後にユーザーの皆さんに向けたメッセージをお願いします。

大崎氏: 本当に皆さんのおかげで、ここまで来られました。実際に、家庭用のほうも好調ですし、「初音ミク Project DIVA Arcade」もゴールデンウィークとか休みの度に人が増えている。それはユーザーの皆さんのおかげだと思っています。

 ネットのコミュニティのほうでも、みんなが優しくしてくれているから新しい人も入りやすくなっていて、本当にみんな優しいんですよ。インターネットのサイトとか見ても、“初めてゲームセンターに行く人は?”みたいな項目があったり。「これって、“善意の連鎖”だよね」と思っています。

 VOCALOIDの世界って、基本は“善意の連鎖”でできていると思うんですよ。「僕はこういう曲を作った!」「じゃあ、僕は絵をつけるよ!」……。それで大きくなってきたムーブメントなので、そういうのをすごく大事にしていきたいし、ユーザーさんもしてくれているから、ゲームのほうでも“善意の連鎖”ができていて。本当にありがたいです。

 本当にユーザーのおかげでユーザーが増えているというのを、ここに来て実感しました。今後ともよろしくお願いいたします。

―― ありがとうございました。



(C)SEGA
(C)Crypton Future Media, Inc.
VOCALOIDはヤマハ株式会社の登録商標です。
『初音ミク』は歌うソフトウェアです。

(2011年 6月 13日)

[Reported by 菅原哲二]