「The Tower of AION」初の大型アップデート「龍族の侵攻」を先行プレイ(後編)
高レベル向けダンジョン「激戦地ドレドギオン」と「暗黒のポエタ」に挑戦!

10月5日

エヌ・シー・ジャパン本社



 エヌ・シー・ジャパンが運営しているMMORPG「The Tower of AION(以下、アイオン)」。その初めての大型アップデートとなる「Episode1.5 龍族の侵攻」が10月13日にいよいよ実装された。このアップデートでは、新たなインスタンスダンジョンや、高レベル向けの新装備など多くの要素が追加された。先行プレイ体験レポート後編となる今回は、高レベル向けの新インスタンスダンジョン「暗黒のポエタ」と「激戦地ドレドギオン」を紹介する。

 「アイオン」は天族と魔族にわかれたプレーヤーが、アトレイアという世界を舞台に冒険やRvRを楽しめるオンラインゲーム。「龍族の侵攻」というタイトルにある「龍族」は、プレーヤーが操作できない第3の勢力として存在し、世界が2つにわかれてしまった原因を作った悪役だ。天族、魔族のどちらとも敵対する存在で、システム的には世界の勢力比を均衡させる役割を担っている。例えば、対人地域「アビス」で行なわれる要塞戦で、どちらかの勢力が優勢になると、龍族の戦艦「ドレドギオン」が現われて勝っている勢力の要塞を奪っていくことで勢力比が傾きすぎるのを防ぐのだ。今回追加された「激戦地ドレドギオン」では、そんな無敵の戦艦内に侵入できるようになる。

 また高レベル向けダンジョン「暗黒のポエタ」は、天族のキャラクターがレベル10になるまで過ごす初期エリア「ポエタ」の全域を使った広大なダンジョンだ。龍族に支配された未来の「ポエタ」という設定で、美しかった風景が荒涼とした戦場へと一変している。

 「龍族の侵攻」というアップデートのタイトルを象徴する2つのインスタンスダンジョン(インスタントダンジョン)について、以下に詳しく紹介していく。この2つ以外の要素については、レポート前編を参照して欲しい。



■ 龍族がひしめく戦艦内部で繰り広げられる対人戦「激戦地ドレドギオン」

アビスの本拠地にいるNPCに話しかける事でも参加申請ができる
ドレドギオンに外から近づくのは大変危険だ

 「激戦地ドレドギオン」は、アビスを彷徨う龍族の戦闘母艦ドレドギオンの内部に侵入して戦うという、タイムアタック型のコンテンツだ。「ドレドギオン」は天族と魔族の勢力均衡を保つため、どちらかの勢力が優勢になるとどこからともなく現われて龍族部隊を降下させていく。近づくと強力なレーザーで瞬殺されてしまうので、今までは現われても遠巻きに見物するしかなかった。新コンテンツではそんなドレドギオンを内側から攻略していくストーリーで、天族、魔族両方の種族がドレドギオン内部で遭遇戦を繰り広げる事になる。

 参加できるレベルは46からで、参加時間には実時間で以下のような制限がある。

参加可能時間:0~2時/12~14時/20~22時

 また、1日の最大入場可能回数は3回で、1度参加すると再入場までは2時間必要になる。参加が可能な時間になると、画面i右下に「入場ボタン」が出るので、それを押せばどこからでも入場申請ができる。

 このコンテンツの特徴は参加の方法が複数用意されていることだ。参加する時に「個人入場」、「クイック入場」、「グループ入場」の3種類から自分に合った方法を選択できる。

●「個人入場」
 「個人入場」は新しくルームを作る方法で、他のプレーヤーが参加してくるのを待つことになる。参加できる人数の上限は各勢力6人までで、両方が5人以上で成立する。この時、両勢力にも必ずキュアウイングかチャントウイングが参加していなければならず、例えばシャドウウイングばかり6人集まっても始まらない。

●「クイック入場」
 個人で参加することができる方法。「個人入場」のプレーヤが作ったパーティーや、5人でグループ入場しているパーティーに参加する事ができる。スタート前だけでなく、既に始まっている所に途中入場できるのが特徴だ。

●「グループ入場」
 パーティー単位で登録する方法。2~6人のグループで登録する事ができる。


待機場所でなぜか倒れているシューゴ族。よく入り込めたものだ
部屋の中央にある赤い玉がはめ込まれたオブジェクトが「スルカナ」。周りにはレベル50のエリート龍族がひしめいている

 今回は特別に相手種族がいないイレギュラーな状態で体験をしているが、本来は両種族が揃わなければスタートしない。マッチングができた時点で、直接ドレドギオンの内部にある待機場所に飛ばしてくれる。待機場所は2カ所あり、どちらに飛ばされるかはランダムだ。移動してからスタートするまで2分間の猶予があり、その間にバフ(強化魔法等による一時的な性能強化)をかけたり作戦を相談したりする事ができる。制限時間は1時間で、相手のある競争なので1分も無駄な時間はない。スタートするとすぐに一方通行の廊下を駆け出し、最初の部屋に向かう。ドレドギオンの内部にはいくつかの部屋があり、狭い部屋の中に大量の龍族が待ち構えている。

 画面の右上には、制限時間と両種族の獲得ポイントが表示される。このポイントが多い方が勝ちとなる。ポイントを稼ぐには、(1)MOBを倒す、(2)あちこちの部屋にある「スルカナ」というオブジェクトを壊す、(3)PvPで勝利するという3つの方法がある。雑魚のMOBは1体につき20ポイント程度しか入らないので、あまりオススメできない。高得点が入るのは(2)の「スルカナ」破壊で、こちらは1つ壊すと数百点を獲得できる。逆にPvPで負けると、ポイントが減ってしまう。

 部屋にいるのはすべてエリートクラスの敵で、1度リンクしてしまうと執拗に追いかけてくる。船内は意外と狭いうえに隠れる場所もなく、振り切るのは至難の業だ。邪魔なMOBをいかにスムーズに倒せるかが、相手に先んじるために重要となる。しかしやみくもにMOBを倒していても、後から来る敵のためにルートを掃除しているようなものなので、そこは戦略が必要だ。韓国では先にボス戦を始めたパーティーを後ろから急襲するような戦法も採られているのだそうだ。また、部屋にある防御膜の制御装置を壊す事で相手の侵攻を阻むための防御膜を張ることもできる。相手を邪魔しつつ、いかに早くボスを倒すことができるかがポイントなのだ。

 「激戦地ドレドギオン」には、アビスポイントやレジェンド装備が手に入るクエストが天魔共に用意されている。捕虜収容室には天族と魔族の捕虜が捕らえられている。この捕虜を救い出すクエストもあるのだが、敵種族の捕虜は赤ネームで救い出すと襲ってくるので気をつけよう。


部屋の中には龍族のエリート兵がひしめいている
途中の部屋にいるネームドボスの「整備官サルファ」(左・中央)と「射撃副隊長ウチャハ」
捕虜の収容所には、天族と魔族の捕虜が囚われている

 1番奥の部屋には、「副艦長アズナヤ」とボスの「艦長アドハティ」がいる。「艦長アドハティ」を殴ると、周囲の龍族がすべてリンクしてくるので、先に雑魚を倒しておいた方がいい。戦闘が始まると、両種族のすべてのプレーヤーに「艦長 アドハティが攻撃されています」というメッセージが出る。「アドハティ」を倒すと大量のポイントが入るので、倒した勢力が勝つ可能性が高い。だから対抗勢力は倒されないよう妨害に行かなくてはならない。「アドハティ」自体も多大なダメージを与える術攻撃を繰り出してくるので、熾烈な戦闘になるのは間違いない。

 最終的に勝敗が決まると、お互いの点数やもらえるアビスポイントが表示される。負けても、アビスポイントは入るので参加する意味はある。なお、急用などで途中でどちらかの勢力が退場してしまうと、その5分後にコンテンツが終了して全プレーヤが強制退出されてしまう。

 「激戦地ドレドギオン」はオートマッチングのおかげで、今まであまりアビスには近づかなかったというプレーヤーでも気軽に参加できる。「ドレドギオン」内部で行なえるクエストも複数用意されているので、勝利を目指したり、クエストクリアを目指したり、ネームドモンスターからドロップする装備を狙ったり、単に対人を楽しむためになど様々な使い方ができる。内部で死亡した場合は最初の地点に飛ばされるので、制限時間の間はそこから何度でも再出撃ができる。運営プロデューサーの西本直樹氏がインタビューで「スポーツのような対人戦」と評していた通り、倒したり倒されたりを気軽に楽しめる場所だ。アビスや潜入では均等な人数で戦う機会が皆無に近く、一方的な戦いになりやすいが、ここでは同数で対人戦ができるのも評価できる点だろう。


行く手を阻む防御膜は叩いて壊す事ができる
ダンジョンの1番奥にいる「副艦長アズナヤ」と「艦長アドハティ」
「艦長アドハティ」を倒すと勝敗がウインドウで表示される。今回はテストキャラクターのため、キャラクター名が表示されていない


■ レベル50でも苦戦必至の高難易度ダンジョン「暗黒のポエタ」

出撃準備をする待機場所。タイムカウントが赤い間は作戦タイムだ
すっかり様変わりした「ポエタ」の地図。右端には「次元の扉」の向こうにある場所も描かれている
スタート地点の「アカリオス荒野」。待機場所を出ると、いきなり龍族エリート兵がうろついている

 天族でキャラクターを作ると最初に降り立つことになる「ポエタ」。平和で豊かな自然に囲まれていたこの地に、龍族が侵攻してくる。荒廃してしまった未来のポエタを救うために、天族と魔族のディーヴァたちが時空を越えてやって来る。韓国でも、まだラスボスの「火炎の支配者タハバタ」を倒せたことがニュースになるほどの難易度を誇る「暗黒のポエタ」は、50のカンストレベルまで育て上げたキャラクターだけが入場を許される過酷な戦場だ。

 まずは入るためにクエストをこなす必要がある。次に、未来に行くための装置であるアーティファクトを発動させるための発動石を集めなければならない。発動石は毎回、入るたびに必要だ。制限時間は4時間で、再入場できるようになるまで12時間の待機時間がある。入れるのは全員が入場資格を持つレベル50のキャラクターで作ったパーティーのみだ。入場資格を得るだけでもかなり大変な事がわかる。

 なんとか入場資格を得ても、「火炎の支配者タハバタ」に会うためには、さらなる努力が必要だ。「暗黒のポエタ」ではボスは2段構えになっていて、ダンジョンの奥にいる「アヌハルト」を倒した後、「次元の扉」を越えて真のボスとでも呼べる相手を倒しにいく。この真のボスにはS・A・B・C・Dという5つの等級があり、条件によって出てくるボスが変化する。「タハバタ」はもちろんSクラスだ。

 条件は残り時間と獲得ポイントだ。ポイントは、敵を倒したり、道をふさぐ壁を壊したり、ここにだけあるレア材料を採取したりすることで獲得できる。「タハバタ」にたどり着くには、ポエタに点在する8つのネームドモンスターを倒さないと獲得できないくらいの点数が必要で、かつそれを2時間以内に行なわなければならないというのだから、聞いている限りでは「本当に倒せるの?」と疑問に思ってしまう。韓国で倒した事がニュースになるというのも頷ける話だ。

 「暗黒のポエタ」に入ると、「ドレドギオン」と同じく最初に2分のバフタイムがある。マップは基本的にポエタと同じだが、「アカリオス草原」は「アカリオス荒野」に、「クリオネ湖」は「マラバタ湖」に、「ダミヌの森」に至っては「怨霊の森」というなんともおどろおどろしい名前に変わっている。「ポエタ」全体が広大なダンジョンへと変貌しているのだ。

 外に出るとすぐに、龍族のエリート兵士が待ち構えている。しかし構っているとどんどん時間を使ってしまうので、絡まれないよう先を急ぐ。マップにある8つのポイントには、それぞれネームドのボスがいるので、そこを目指すが、他の高レベル向けインスタンスダンジョンと同様、「暗黒のポエタ」も多重リンクしてくる敵が多い。敵は全地域にまんべんなく点在するが、その中でルート上のいくつかのポイントを紹介しよう。


スタート地点付近の龍族はあまり道沿いにはいない。タイムアタックなのでボス目当てなら無視して進んだ方がいいかも

●荒廃したアカリオス村

かつての美しさはどこへ? 荒廃した「アカリオス村」

 龍族に占領された村。建物は破壊され、陰惨な雰囲気の中を龍族が徘徊している。壊れた建物の中には、このエリアのネームドボス「大精霊士 アトマフ」がいる。この「アトマフ」を始めとしたネームドボスは、倒せば高得点を稼げるだけではなく「アヌハルト」シリーズというユニークグレードの武器や防具を落とすことがある。他にはない特殊な見た目の装備なので、目立つこと請け合いだ。


「アカリオス村」にいるネームドボス「大精霊士 アトマフ」。倒すと「アナハルト」シリーズの装備をドロップした

●マラバタ湖

 かつて「クリオネ湖」という名前だった湖は「マラバタ湖」と名前を変えている。湖の中には奇妙な装置が設置されていて、そこには「マラバタ」という巨人がつなぎ止められている。「マラバタ」は何匹かいて、それぞれ「力のマラバタ」のような名前が付いている。装置によって拘束されている時には実体化しておらず、攻撃を仕掛けることができないので、倒す方法は2つ。装置をすべて破壊するか、1つ壊して実体化した「マラバタ」を倒すかのどちらかだ。「マラバタ」からは「第59 リージャネア レザー」セット装備がドロップした。


湖の中にいる「力のタハバタ」。拘束された状態では攻撃することができない
倒すと、レジェンドグレードの装備をドロップした

●怨霊の森

 「ダミヌの森」は、ここで行なわれた虐殺の凄惨さを物語るような名前に変わっている。かつて森に住んでいた人々は幽霊となって徘徊している。木々も枯れ果てて、一部はモンスターとなっている。もちろん龍族もいる。敵が密集していて、かなり厳しい場所だ。


龍族に殺された者たちが、怨霊となってさまよっている
「怨霊の森」のネームドボスは「エリム族元老の怨霊」(左)と「森の守護者 ノアの怨霊」(右)の2種類がいる

●闇の胞子の道

 細くて狭い道に、キノコのモンスターがひしめき合っている。群れを作っていて、6~7いるキノコが一斉に襲いかかってくる。可愛かったキノコたちが、牙をはやした恐ろしい姿になっているのは、天族のプレーヤーには衝撃だろう。


キノコたちの見た目も凶暴になっている
1匹にちょっかいを出すと、あっという間に囲まれてしまった

●ティモリア廃坑

 廃坑の中へは、入り口を守る龍族を倒して、進路を塞いでいる結界のような膜を壊して侵入する。坑道の中には巨大な赤い玉を抱えた木の根のような「テレパシー制御器」があり、プレーヤーたちを攻撃してくる。これを壊さなければ奥へ進むことはできない。倒すと、レジェンドクラスの指輪をドロップした。「テレパシー制御器」の周りには、ここでしか採取できない「ネックス」という稀少な鉱物を採ることができる。採取に必要な熟練度はMAXの399必要という、まさに究極の採取物だ。

廃坑の入り口を守る龍族と入り口の結界。結界を壊してもポイントが入るのだ
「テレパシー制御装置」。まるで生き物のように、触手をふるって襲いかかってくる
倒すと、レジェンドグレードのアクセサリーをドロップ。隣にはレア採取品のネックスがある

 「テレパシー制御器」を壊して奥へ入ると、いよいよ最終決戦の地だ。坑道の奥にある「次元の扉」の前には、ポエタに侵攻した龍族を指揮する軍団長「アヌハルト」がいる。「次元の扉」を壊すためには、3カ所にある「非常動力供給装置」を壊さなくてはならない。同じ場所でレベル9の頃に行なったクエストを思い出してもらえば、多少形や敵が違うだけで雰囲気はだいたい同じだ。

 装置を壊せば、後は「アヌハルト」を倒せばいい。「アヌハルト」を倒した時点で、それまでに獲得したポイントと残り時間から計算した最終的な獲得点数と、ランクが表示される。体験プレイの時には、時間の都合上ボスをすべて拾いきれずDランクに終わった。このランクによって、「次元の扉」の向こうにいるボスが変化する。「D」の「フレイム テール クラマティ」はドラゴンの子供タイプ。「アヌハルト」の激戦の後だと、余計がっくり感が増す。倒すと「ウェイストランド ドレイキ キャンディ」という食料をドロップした。ちなみにこれは生産でも作れる品だ。「タハバタ」に会えるのはまだまだ先のようだ。

「次元の扉」がある部屋。魔族のプレーヤーにとっても、どこかで見たような光景だ
「次元の扉」と扉の前に陣取る軍団長「アヌハルト」
「アヌハルト」を倒すと、総合成績が出る。今回はまさかの「D」ランク
「次元の扉」の向こうに待っていたのは……


■ 攻略しがいのある複数のダンジョン。対人もさらに盛り上がるか?

 前後編に渡ってお送りしてきた「龍族の侵攻」のレポート。ここで紹介した以外にも、スティグマが出やすくなったり、2人目以降のレベル40以下のキャラクターに取得経験値がアップするアイテムを渡せるクエストができたりなど、成長のサポートと、成長した後の遊び場という2つの項目についてかなり力の入ったアップデートだと言える。今までユーザーの掲示板などで問題が指摘されていた、上位レベル向けのコンテンツが少ないという問題や、アビス要塞戦にもっと意味をといった点は、これである程度改善への道筋が用意された事になる。

 サービス開始3カ月目の大きなアップデートで、遊びの幅が大きく広がった事で「アイオン」は新しい局面に入ったと言える。高レベル向けの要素も、中レベル向けの要素も遊びたいと思わせる楽しげな雰囲気で、筆者としても個人的にパーティーを組んで攻略にいくのが楽しみだ。


【スクリーンショット】
「激戦地ドレドギオン」
「暗黒のポエタ」

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(2009年 10月 15日)

[Reported by 石井聡]