「The Tower of AION」初の大型アップデート「龍族の侵攻」を先行プレイ(前編)
「シュラクの海賊船」や「ノフサナ訓練所」の魅力を詳細レポート

10月5日

エヌシージャパン本社



 エヌシージャパンが運営しているWindows用MMORPG「The Tower of AION(以下、『アイオン』)」が初の大型アップデートを行なう。「アイオン」は韓国のNCSoftが開発し、日本では今年の7月に正式サービスが始まったMMORPG。プレーヤーは天族と魔族に分かれて、対人戦やモンスター狩り、レアアイテム集めなどを楽しめる。

 サービスインから3カ月経ち、カンストレベルの50に達するユーザーも徐々に出始めている。そのため、今回の大型アップデートEpsode 1.5「龍族の侵攻」では、高レベル向けのコンテンツ拡充に重点が置かれている。だがそれだけではない。「アイオン」ではレベル25になると、対人地域である「アビス」に入れるようになるが、低レベルで入ってもすぐに倒されてしまい、実質的にはあまり楽しめないという問題があった。また、「アビス」のメインコンテンツとなる「要塞戦」は、現在の仕様では防衛の意味合いが薄く、そのため対人戦が盛り上がらないという面もあった。これらを解消するため、「アビス」をより手軽に楽しめるようなコンテンツが中レベル向けに実装される。

 そんなアップデート「龍族の侵攻」を、実装前にテストサーバーでプレイする機会を得た。今回プレイできたのは「激戦地ドレドギオン」、「シュラクの海賊船」、「暗黒のポエタ」という高レベル(レベル45~50)向けの新インスタントダンジョンと、中レベル(レベル25~40前後)用の新コンテンツ「ノフサナ訓練所」と「アビス宝物庫」だ。

 今回は特別にガイド役のキャラクターと2名(共にレベル50)で進行しているが、本来はすべてパーティー向けのコンテンツだ。適正レベルだと、どこもかなりの高難易度なので、しっかりとパーティーを組んだ上で挑んで欲しい。レポートでは前後編に分けてコンテンツのインプレッションや、雰囲気を紹介する。

 前編では中高レベル向けの「シュラクの海賊船」を始め、レベル25から40の中レベル帯に向けて導入されるコンテンツを紹介。15日に掲載予定の後編では、このアップデートを象徴するコンテンツ「激戦地ドレドギオン」と、先行して実装された韓国でもクリアしている人はほとんどいない超高難易度ダンジョン「暗黒のポエタ」についてがっつり紹介するので、ぜひそちらも読んで欲しい。



■ まるでディズニー映画のような賑やかさ「シュラクの海賊船」

海賊船の中では、海賊達が生活している
スタート地点は船尾。脱出するときには、刺さっている碇をクリックすればいい

 「シュラクの海賊船」はレベル40から入れる中高レベル向けのインスタンスダンジョンで、ポジション的にはハイエンドというより、成長途上のプレーヤー向けの狩り場となる。「炎の神殿」を卒業したプレーヤーが次に目指す場所の選択肢が1つ増えた格好だ。そういった意味では、今回実装されたインスタンスダンジョンの中では、もっとも従来のダンジョンに近い性質のダンジョンだと言える。

 ここでは新しく実装される「上級スティグマ」用のクエストを受けられたり、「シュラククルーセット」という新装備を入手することができる。プレーヤーはパーティーを組んで、囚われた「シューゴ族」を助けるために「スティール クロウ号」という飛行船の内部に侵入する事になる。入るためには、そのためのクエストをこなした後、魔族ならパンデモニウム、天族ならエリュシオンにいるNPCに話しかけることで飛ばしてもらえる。

 海賊船の内部は下層、中層、上層の3階建てになっており、2つの攻略ルートがある。中層ルートはレベル40~43、下層と上層を通るルートはそれ以上のレベル向けになっており、最後に待ち構えているボスも異なる。 中層ルートは、船尾からスタートして、S字を描くように船首に向かう平面的なルート。下層・上層ルートは途中でエレベーターに乗って移動するルートだ。

 今回体験したのは中層ルート。制限時間はないが、中層ルートの場合、慣れたフルパーティーで約1~2時間、下層・上層ルートだと3時間程度を想定しているという。しかしざっと体験した印象では、慣れていないパーティーだと中層でも3~4時間はかかりそうに見えた。船内は複雑に入り組んでいるがマップは表示されないので、まず道を覚えるまでが大変なのだ。

 このダンジョンと、従来からのダンジョンの違いは「演出」と「ギミック」だろう。ダンジョンの舞台となる「スティール クロウ号」は「スティール ビアード海賊団」という海賊の住み家になっている。そのため内部にいるMOBたちは、寝ていたり、食事をしていたり、喧嘩や掃除をしていたりと実に生活感に溢れている。モンスターがただうろついているだけの「炎の神殿」などとは、かなり違った印象を受ける。音楽も軽妙でダンジョンという陰惨さはなく、明るくてどこかのんきで、まるでディズニーのアトラクションにまよいこんだような気分になる。


複雑に入り組んだ船内は生活感に溢れている

 このダンジョンのもう1つの特徴は、隠し扉であったり、ルート上にジャンプで飛び移らならければならないアクションゲームのような要素があったり、エレベーターで移動したりという「ギミック」の豊かさだ。ボスへ行くルートの途中には、カギがかかったドアがあり、「鍵番」というMOBを倒してドアの鍵を奪い取らなくてはならない。「鍵番」はたいていドアの近くの部屋にいて<鍵番>と表示されているのですぐにわかる。また、まれにMOBが近道の鍵を落とす事があり、これを手に入れるとボスまでのルートをショートカットする事ができるらしい。下層・上層ルートにはさらに凝ったギミックが用意されているようだ。


あちこちの部屋にいる個性的な「鍵番」たち
吊された板をジャンプで渡っていく場所もある

 中層ルートのボスがいる部屋の手前には、左右2つの部屋へいく廊下がある。左右の部屋にはそれぞれ「鑑別士ウェリキキ」と「収集家メメキン」がポップしていて「シュラククルーセット」という「シュラクの海賊船」でしか手に入らないレア装備を落とすことがある。中層のボスは「ゴールデン アイ マントゥトゥ」という大猿だ。倒すためには、ボスの側にある2つのレバーを同時に操作する必要がある。ボスをひきつける人員も必要となるのでなるべく大人数で攻略するのがよいだろう。

 また、ボスの横には4つの宝箱があるが、開けるには鍵が必要だ。鍵はMOBからのドロップか、船内のどこかにある牢屋の中に稀にポップするシューゴ族から買うこともできる。鍵はずっと持っておくことができるので、運良く販売している所に出くわしたら、たくさん買ってストックしておくのが良さそうだ。

 ボスを倒すと抜け道から最初のスタート地点に戻れる。レベルの高いやる気あるプレーヤーなら、まずは中層をクリアして引き続き下層・上層ルートへといった事も可能だ。1度出てしまうと6時間は再入場ができないので、じっくり腰を据えて攻略したい場所だ。


ボス前にいる「鑑別士ウェリキキ」(左)と「収集家メメキン」(中央)を倒すと、シュラククルー装備をドロップした
中層ルートのボス「ゴールデン アイ マントゥトゥ」と猿を操っている「調教師エニキキ」
倒すには、パーティーが連携をとってギミックを発動させなくてはならない


■ レベル28までしか入れないアビス要塞戦訓練施設「ノフサナ訓練所」

魔族側から入る時にはNPC「ラサニャ」からクエストを受ける
拠点にあるゲートから「ノフサナ訓練所」へ移動できる
訓練用のアーティファクトは通常の物と同じように、守護者を倒して攻略する

 「ノフサナ訓練所」は「アビス」には入れるようになったけれど、まだ要塞戦に参加するのはちょっと自信がない、という中レベル向けのプレーヤーが、要塞戦の雰囲気を気軽に体験できる入門的なインスタンスダンジョンだ。実際の要塞戦と同じように門を攻略して、中にいる「守護神長」を倒すことになる。守っているのは訓練用の龍族だ。ノフサナ訓練所は、専用のマップに用意された小規模な要塞を使って行なわれる。要塞の横には「アーティファクト」もあって、こちらも本番さながらに「守護者」が守っている。しかし要塞のある場所が飛行可能区域ではなかったり、パーティーでしか参加できなかったりと通常の要塞戦とは違いもある。すべての要素が小規模になった要塞戦という趣だ。

 「ノフサナ訓練所」には「アビス」の拠点から移動する。「アビス」に来たばかりの頃、色々と説明してくれたNPCがいる訓練施設で、MPCからクエストを受ければいい。「訓練所」という名前の通り、初心者のためのコンテンツなので、入場できるのはアビスに入 れるようになるレベル25から28までの4つのレベルのプレーヤーのみだ。

 要塞やアーティファクトを守っている龍族は、アビス下層にいる龍族よりはやや強いくらい。ソロやペアで充分倒せる強さだ。門を破って要塞内部に侵入すると目指すボスはすぐ目の前にいる。しかし要塞の上部には弓兵や魔法を使ってくるMOBが多数配置されているので、まっすぐ近づくと上から狙い撃ちにされてしまう。実際の要塞戦ではプレーヤーが頭上を飛び回って攻撃して来たりもするので、3D的な視野をこの訓練で鍛えるという事なのだろう。要塞自体はどちらかというとこじんまりした作りだが、左右からプレーヤーを狙う狙撃兵を倒してから地上の敵を倒さないとすぐにリンクが発生する。すぐ近くにいるように見えても「訓練場 守護神長」にたどり着くのはそれほど楽ではない。

 「訓練場 守護神長」は、要塞戦の「守護神長」よりはかなり小さめで、強さもレベル25のパーティーでも充分倒せる程度に調整されている。しかしこのレベルではいかつい龍族を見る機会はほぼ皆無なので、かなりの迫力を楽しめるはずだ。ボスやMOBからは「ノフサナ装備」というここでしか手に入らない装備がドロップする他、ドラゴニック装備の材料などもドロップする。入れるレベル帯が限られるので、セット装備を集めたければ該当レベルの間は足繁く通う事になるかもしれない。


要塞攻略の第一歩は、門番を倒して門を破壊する事から始まる
内部を守る龍族。レーダーの赤い点からその数の多さが伺えるだろうか
本物よりは若干小振りな「訓練所 守護神長」


■ アビス要塞の地下に眠る財宝を手に入れろ「アビス宝物庫」

西シエル要塞の地下にある「宝物庫」。並んでいる橋の向こうすべてに宝箱のある部屋がある
「宝物庫」を守っている龍族の中にはネームドのモンスターもいる

 これまでの要塞戦は攻略すると報酬がもらえたが、防衛するメリットがやや薄かった。そのせいで防衛のいない要塞を交互に取り合うといった光景が普通になっていて、下層の要塞だと開始から5分で終了することもあったりと、RvRのコンテンツとしてはうまく機能していない印象があった。実際、変更の要望も多かったらしい。

 その要望にこたえるために導入されたのが「アビス宝物庫」だ。「宝物庫」はアビスの下層と上層にある8つの要塞の地下にあり、それぞれ趣の違うインスタンスダンジョンになっている。例えばサルファツリー要塞の地下にあるダンジョンは、宝箱の点在する大きな部屋だし、西シエル要塞の地下にあるダンジョンは平行して並ぶ橋の向こうにある部屋の中に宝箱が1つずつ置いてあるというものだ。

 ダンジョンの敵は、下層で31~35レベル、上層で40レベル程度の龍族。中にはネームドモンスターもいる。ダンジョンに入れるのは要塞を所有している勢力だけなので、所有する事の意味が今までよりも増す事になる。「宝物庫」自体はそれほど奥行きがある訳でもなく、敵もそこまでの強敵という訳ではないので、ちょっと時間が余ったから宝箱でも開けに行こうか、という気軽なコンテンツだ。ダンジョンの宝箱からは、アビスポイントに交換できるアイテムやギーナなどが出る。宝箱の総数はダンジョンによってまちまちなので、たくさん宝箱を出すダンジョンがある要塞が人気になりそうだ。


モンスターを倒すと、取引不可のアイテムや生産材料など沢山のアイテムを落とすので、インベントリをたっぷり開けていこう


■ インスタンスダンジョンの追加でネームドモンスターとの戦闘機会が増加

 今回のアップデートでは、インスタンスダンジョンが多数追加される。ダンジョンの中には、装備を落とすネームドモンスターがたくさんいるので、フィールドのネームドは狩り尽くされていて戦う機会がないと諦めていた人でも、たくさんのネームドモンスターと戦う機会が増える事になる。テストサーバーでプレイした時には、割合と装備がドロップする確率が高かった。この仕様がそのまま本サーバーに適用されるかどうかはわからないが、以前よりもセット装備やシリーズ装備を入手できるチャンスが格段に増えるのは間違いないだろう。

 次回の記事で紹介する「暗黒のポエタ」と「激戦地ドレドギオン」という2つの高レベル向けダンジョンは、どれも個性的で目的別に使いわけることができる。どのダンジョンも乱獲予防のためか再入場時間が長いので、みんなダンジョンにこもってしまってフィールドに人がいなくなるという心配はなさそうだ。

 今まで高レベル帯になると遊べるコンテンツが少ないと言われていただけに、今回の大幅強化で選択肢が増えた事は喜ばしい。従来は、30代をほとんどすべて「炎の神殿」で過ごすプレーヤーもいたりしたが、アビスという選択肢が増えることでプレイに変化が訪れるだろう。


【スクリーンショット】
「シュラクの海賊船」

The Tower of AION is a trademark of NCsoft Corporation. Copyright (C) 2009 NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute and transmit The Tower of AION in Japan. All rights reserved.

(2009年 10月 8日)

[Reported by 石井聡]