YNK JAPAN、北朝鮮をモチーフにしたFPS「CODE NAME STING」発表会を開催
金正日が失踪!? 衝撃のストーリーで始まる“問題作”
今まさにホットな話題である北朝鮮情勢をテーマにしたFPSの発表会が行なわれた。「CODE NAME STING」は、6カ国協議に揺れる北朝鮮で、突如、金正日(キム・ジョンイル)が失踪するというショッキングな出来事からスタートする。プレーヤーは、6カ国協議の参加国である、アメリカ・日本・韓国・北朝鮮・中国・ロシアの特殊部隊の隊員としてコードネーム“STING”の謎に迫る。
「CODE NAME STING」は、YNK JAPANが2009年のサービス開始を目指して開発を進めているFPSだ。プロデューサーに「Counter-Strike」のプロゲーマーとしても有名なHac氏を起用。“Project STING ~ゲーム世界と音楽、デザインなど様々な分野の融合”と題して、いままでゲームとはかかわりのなかった分野の音楽とのコラボレートなど、オンラインやオフラインの枠を超えた展開を目指す。本稿では、本日行なわれたプレスカンファレンスの模様と、気になるゲームの内容やシステムについて紹介する。
■ 渦中の人物金正日が失踪。衝撃のストーリーで始まる問題作
プロデューサーのHac氏。世界的なゲーム大会「WCG2003」で運営最優秀功労賞を受賞。世界的な人気のFPSゲーム「Counter-Strike」のプロプレーヤーとして多くの大会出場記録を持つ。また「e-tars Seoul 2008 サドンアタック Asia Championship」の解説を勤めるなど多方面で活躍。本作にはYNK JAPANのスタッフとして参加している |
「CODE NAME STING」は北朝鮮との6カ国協議に参加している6つの国、アメリカ、日本、韓国、北朝鮮、中国、ロシアの特殊部隊となって戦うFPS。今回発表された「プロローグ1」は、2007年、核施設無力化を前提とした6カ国協議のさなか、キム・ジョンイルが数人の側近と共に謎の失踪を遂げたという設定でゲームがスタートする。プレーヤーは6カ国のうち、いずれかの特殊部隊を選んで、謎のコードネーム“STING”の秘密に迫っていく。
作品の概要を説明した、プロデューサーのHac氏によると、マップやアイテムなどあらゆる部分に北朝鮮というテーマを活かした設定になっているとのことだ。実はこのゲーム、2007年に1度発表されていたが、その後韓国のCIAに当たる国家情報院から内容に関して物言いが付き、北朝鮮ステージのマップなどを修正せざるをえなくなったといういわくつきのゲームだ。
Hac氏によると、このゲームで北朝鮮を非難するような意図はなく、あくまでもフィクションと考えているとのことだ。「むしろこのゲームで、各国との交流を深めて、余計な固定観念をなくして交流を深めたい。ゲームを通して平和を求めて行きたい」(Hac氏)という思いを込めているという。既に台湾、アメリカでもサービスの準備が進んでおり、最終的には6カ国協議にちなんで6カ国でサービスをしたいという野望もあるようだ。
舞台は2007年。北朝鮮への核査察で東アジアが揺れた年だ。右のスライドはイラストレーター比田井見牛氏が描いたイメージイラスト。北朝鮮側の主人公となるシン・ミンフォの葛藤が表現されている。 |
イラストレーターの工藤稜氏が描いたイメージイラスト。キム・イルソンの像が象徴的に描かれている(左)。タイトルロゴには物語に秘められた謎が表現されている(右) |
カンファレンスにはスタッフが韓国や北朝鮮の兵隊のコスプレで登場 |
【プロモーションムービー】 |
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■ FPSファンに向けた様々な施策に注目
開発を担当しているYNK JAPANのチョン・チャンソク氏。リアルで緊張感のあるゲームを求めていきたい。日本向けの運営にも力を入れていくとのことだ |
FPSは、日本ではまだまだプレーヤーの少ない分野だ。「CODE NAME STING」はゲーム自体の普及に加え、FPSの普及にも貢献するため、初心者が入りやすシステムや仕組みづくりを目指している。ゲームの特徴的なシステムについて、いくつか紹介する。
・最大8対8の対人戦が楽しめる
ゲームでは最大8対8の最大16人による対戦が楽しめる。また、ゲームエンジンにはValveの「Source Engine」を採用し、リアルな挙動を実現している。例えば、机の上の果物を撃てば粉々に砕け、ドラム缶を打てば転がって、戦況を左右するアイテムにもなりうるといった感じだ。
・リアルな挙動のAIを相手にしたソロプレイが可能
また、対人で負けるのが嫌という理由で参加をためらう人やしっかり練習してから対戦に臨みたいというユーザーのために、AIとの対戦が可能なモードも導入されている。ルームを作るときに、対人戦、AI戦、対人の途中参加可能などを設定することができる。AIは難易度を4段階から選ぶことができ、最大で人間1対AI8までの対戦が楽しめる。AIは対人戦でよくあるような戦法をとってきたりと、対人の練習にももってこいだ。
台の上にある果物を撃つと、スイカは砕けちり、バナナは吹っ飛んでいく |
AIを相手に練習して、腕を磨くことができる |
「攻殻機動隊」のバトー役などの渋い声がラジオチャットで使える |
・ラジオチャットに大塚明夫さんを起用
ゲームでは6カ国の国民がそれぞれの言葉でしゃべる「ラジオチャット」という機能がある。ラジオチャットはボタンを押して登録されている簡易な言葉を話すもので、報告などに使われる。日本の音声は声優の大塚明夫さんが起用されている。
・スキル&プロシステム
各国の特殊部隊には、それぞれ特別な能力が設定されている。それらのスキルを活用して、ゲームを進めていく。スキルはルームによってオンオフが可能になる。
プロシステムは、ゲームに参加するプレーヤーがそれぞれ手持ちのゲーム内ポイントを賭けて勝負するというもの。一気に大量のポイントを失ったり、獲得できたりすることでよりスリリングな戦いを楽しめるようにというものだ。
・ゲーム内広告
マップごとに40から60の広告を掲載することができる。アイテムやイベントと連動させることも考えているということだ。
・キャラクターカスタマイズ
使用するキャラクターは、装備のカスタマイズが可能。特に眼鏡や頭部のアバターは豊富に用意されている。
手前のマスにセットしたスキルを使用することができる |
黄色い枠内すべてに広告を貼ることができる |
【プレイムービー】 |
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■ クローズドβテストは6月中旬より募集開始。音楽やネットカフェとの連携から新しい楽しみ方を模索
BGMを担当するのは、ダンスミュージックを配信しているKINGBEAT。左はKINGBEATの熊田義和氏、右は楽曲を提供したアーティストのKICK I/O(キカイオー)氏。ゲームへの楽曲提供はこれが初の挑戦となる |
株式会社メディエーターの桑谷昌樹氏。オフライン大会など、ゲーム環境の育成に参加する |
本作では、音楽をクラブサウンドを作っているアーティストが担当するなど、今までにないコラボレーションによってスタイリッシュな雰囲気を目指している。また、日本向けのサブストーリーを作って、「人気のあるストーリーは、アメリカのドラマのようにそこを強化して、日本独自に進化させていきたい」(Hac氏)と、ローカライズでも独自の方向性を模索している。
また、ネットカフェとの連携をとって、オフラインイベントを開催するなどゲームの環境作りも同時に進めていって今までの枠組みにとらわれない、新しい試みを進めて行く予定らしい。これについては、ゲームマーケティング事業を行なっている、株式会社メディエーターと協力して、今後事業展開をしていくということだ。カンファレンスの時点では、具体的な詳細は不明だが、今後ホームページなどで発表していくとのことだ。
気になる今後のサービススケジュールは、6月1日にティザーサイトがオープンし、6月中旬頃にクローズドβテストの募集開始を予定。オープンβテストは7月中旬を予定しているということだ。その後には、“Project STING”として、いろいろな要素を巻き込んだ大きなイベントの開催を考えているそうだ。
タイムリーな設定だけに、協賛企業になるのをためらう声もあったという。「みなさんがびびるような所でも積極的にストーリーに採用した」(Hac氏)という運営や開発の意気込みがどの程度作品に反映されているのかが気になるところだ。渋谷マップなど日本を舞台にしたマップもあり、身近な題材なだけに興味がそそられる。今後の発表に引き続き注目していきたいところだ。
左は日本版のシナリオや設定を担当している香月しゅうさん。右は音楽プロデューサーのURU氏。オンラインゲームと、メジャーレーベルの楽曲のタイアップを進めている |
□YNK JAPANのホームページ
http://www.ynkjapan.co.jp/
(2009年 5月 28日)