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“かげっち”こと影澤潤一氏、NTTe-Sports副社長を退任

【NTTe-Sports役員改選】

7月1日発表

 NTTe-Sportsは7月1日付けで役員改選を実施し、同社創業メンバーのひとりであり、牽引役を担っていた副社長執行役員 影澤潤一氏の退任を明らかにした。

 NTTe-Sportsは、インフラを担うNTTグループのeスポーツ事業を集約させた組織として2020年1月に設立された。株主にはNTT東西をはじめとしたNTTグループ各社に加え、コンテンツを持つスカパーJSATやタイトーらが名を連ね、社長には、現NTT東日本代表取締役社長の澁谷直樹氏が就任するなど、鳴り物入りの発表となった。

 人事面での目玉となったのは、NTT東日本の社員の立場を隠しながら、長年格闘ゲームのコミュニティリーダーとして活動していた影澤潤一氏を副社長に抜擢したことだ。影澤氏のeスポーツ界での実績、ネームバリュー、人脈、これらをすべてNTTグループのeスポーツ事業に注ぎ込み、NTTグループが日本のeスポーツ界の牽引役を担う。そういう青写真が描かれていた。

2020年の設立会見での1枚。左は初代NTTeSports代表取締役社長の澁谷直樹氏(現NTT東日本代表取締役社長)

 実際には、会社設立に合わせて、新型コロナウイルスが蔓延。NTTグループおよび、影澤氏が思い描くスピード感のあるeスポーツ事業の展開が難しくなった。企画されたeスポーツイベントの多くは終了し、eスポーツ施設eXeField AKIBAも業態変更を余儀なくされた。今回退任の理由については明らかにしていないが、それらの引責ということになるだろう。影澤氏が、設立発表会でぶち上げた構想は、eスポーツファンをワクワクさせてくれる内容だったが、その多くは実現せず、志半ばでの退任となる。

【プラットフォーム】
期待されたeスポーツプラットフォーム

 影澤氏自身は、弊誌でも伝えているように、影澤氏が有名になるきっかけとなったコミュニティイベント「Fighters Crossover」を復活させ、NTTe-Sports副社長の立場から一介のコミュニティリーダーとして、eスポーツ界での活動を再始動している。退社はせず、NTT東日本に戻ってIOWN(アイオン、Innovative Optical and Wireless Network)関連の業務に携わるという。

 羅針盤を失ったNTTe-Sportsだが、グループが備えるインフラやテクノロジーは依然として凄まじいポテンシャルを備えている。同社のeスポーツ事業が今後どのようなものになるのか。引き続き注目していきたい。

【Fighters Crossover】
写真は影澤氏のTwitterより。大賑わいの「Fighters Crossover」。かげっちの第二幕(第三幕?)はスタートしている