SCEJ、「KILLZONE 2」完成披露試写会を開催
元自衛隊員アイドルの福島和可菜さんとFPSプレーヤーの谷口純也氏が“過酷な戦場”を体験

4月16日開催

会場:新宿バルト9



 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は4月16日、東京・新宿バルト9にて、PS3用FPS(ファーストパーソンシューティング)「KILLZONE 2」の完成披露試写会を開催した。発売日は4月23日を予定しており、価格は6,980円。CEROレーティングはD(17歳以上)。

 オランダのGuerrilla Gamesが開発した「KILLZONE 2」は北米では2月27日に発売されており、海外のメディアから賞を贈られるなど高い評価を受けている。日本版は音声は吹き替えで日本語字幕も表示可能になっている。PS3待望の大型タイトルとして、ユーザーからも高い注目を集めている作品だ。

 会場には公式ページで募集した120名のユーザーと、ブログなどの個人の情報サイト運営者が招待された。完成披露試写会ではゲームの基本要素の紹介にはじまり、ゲストとして元陸上自衛官という異色の経歴を持つアイドルの福島和可菜さんと世界のFPS大会に参戦するトップFPSプレーヤーの谷口純也氏が登場し、発売に先がけて「KILLZONE 2」をプレイして感想を語った。イベントの後は来場者もタイトルに触ることができた。



■ 120名以上のユーザーが招待され、映画館でゲームの魅力をアピール

元陸上自衛官という経歴を持つアイドルの福島和可菜さん。自衛隊の訓練のエピソードなども語る場面も
トップFPSプレーヤーの谷口純也氏。「Counter-Strike」でイタリアやアメリカ、中国で開催された世界大会に日本代表として出場した選手だ
映画館である会場では、大スクリーンにサラウンドシステムを使ったリッチな環境でデモプレイが行なわれた

 「KILLZONE 2」の完成披露試写会が行なわれた新宿バルト9は、9つのシアターで構成されたシネマコンプレックス。“日本最高層のシネコン”というのがウリで、イベントはその8番館を使って行なわれた。映画を映すスクリーンでは「KILLZONE 2」のデモムービーや要素の紹介だけでなく、モニター代わりにゲームをプレイできるというゲーマーにとって非常に魅力的な環境だった。

 「KILLZONE 2」の舞台は地球が恒星間航法を確立し、様々な惑星に植民惑星を持つようになった2357年の世界。惑星間は平和を保っていたが、最も資金力のあった惑星ヘルガーンが惑星間戦略同盟(ISA)を脱退、他の惑星への侵攻を開始した。ISA軍はヘルガーン軍と全面衝突し、ついに他惑星からヘルガーン軍を撃退、今後の軍事的脅威を取り除くため惑星ヘルガーンに進攻する。

 侵攻部隊を撃退され疲弊するヘルガーン軍はもはやISA軍の前に逆らう力を失っている……はずだった。しかし待ち受けていたヘルガーンの強大な兵力の前に進攻したISA軍は窮地に陥っていく。プレーヤーはISA軍の精鋭部隊アルファチームの一員セブとなり、過酷な戦場で自軍を勝利に導くために奔走することになる。

 イベントの最初に流されたのがPlayStation Storeで配信されているゲーム開発者自身がゲーム要素を紹介するプロモーションムービーだ。最初に登場したスタジオ・ディレクターのHermen Hulst氏は「本作は敵地の戦場での戦いとなる。どこにも安全な場所はない」と語った。テクニカル・ディレクターのMichiel Van Der Leeuw氏は戦場の臨場感を語る。「上空にいるときは惑星で繰り広げられる壮大な戦闘であると感じ、地上では歩くことすら戦闘だと思い知らされる。これが戦争だという感覚にどっぷり浸れるように工夫を凝らしたんだ」。

 続いて登場したのがゲーム・ディレクターのMathijs De Jonge氏。「ヘルガストはプレーヤーの行動に対応し、障害物に隠れ、その障害物を撃つことで別な行動に移ったりする。“ヒットレスポンス”システムは本作で最も重要なメカニズムのひとつで、時間をかけてリアルなものにした」。アート・ディレクターのJan Bart Van Beek氏は「敵を撃てばすべてのパーツが動く、ということにできるだけの力をかけた。できる限りのことをしたよ」。最後に再びHulst氏が現われ、「物体だけではなく、キャラクターも攻撃や我々に対して様々な反応を見せる。それが革新的なゲーム体験に繋がっているんだ」と語った。

 4人の開発者の言葉に合わせて、画面では様々な場面が映し出される。惑星間の壮大な戦いから血みどろの地上戦へ。銃撃に対して隠れ、移動するヘルガスト兵。壊れる建物、そして銃弾を撃ち込まれ、吹っ飛ぶ兵士達……。開発者達の言葉通り、細部まで作り込まれた作品であることがよくわかるムービーだ。音声は英語だったが、日本語字幕がついており、ゲームの特徴がシンプルにわかる構成になっている。実際の映像はPlayStation Storeで見ていただきたい。

 開発者のムービーが終わったところで、ヘルガストの独裁者の演説からはじまるゲーム本編のムービー、そして司会者からゲームの舞台設定と基本的な要素が紹介された。その後にアイドルの福島和可菜さんとトップFPSプレーヤーの谷口純也氏が登場した。福島さんは「第1次イラク派遣部隊の母体ともなった、北海道旭川駐屯地の陸上自衛隊第2師団の野戦特科部隊・大砲部隊の隊員を務め、さらに師団長秘書にもなった」という経歴が紹介された。福島さんによれば、「大砲とは、詳しく言うと155ミリ自走榴弾砲というもので戦車と大砲が混じったようなもの」だという。現在もアイドルの傍ら、予備自衛官という非常勤の資格を持っているとのこと。

 谷口氏は「KILLZONE 2」について、「前作もそうだったんですが、完成度が高くて……、この後僕のデモプレイを楽しみにして欲しいですね」と語った。福島さんは「まだオープニング映像を見ただけですが凄いリアリティで迫力もあって、映画館でプレイするのにぴったりだと思いました」とコメントした。福島さんはアクションゲーム好きで前作もプレイしたことがあるという。福島さんは映画館でゲームをプレイできると言うことにすごく楽しみな様子だった。


PlayStation Storeで配信されているゲーム開発者が「KILLZONE 2」の魅力を語るプロモーションムービー。ゲームの特徴がわかる構成となっている


■ トップFPSプレーヤーですらミスしてしまう優秀なAIに驚愕。福島さんはスナイパーライフルの腕を披露

デモプレイする谷口氏とそれを見守る福島さん。福島さんの番では真剣そのもの表情で狙撃をしていた
5人の幸運なプレーヤーが大画面でのゲームを体験できた

 最初にデモプレイを行なったのはトップFPSプレーヤーの谷口純也氏。ステージはゲーム後半の宇宙船内での戦闘だ。入り組んだ狭い通路で敵と味方が混じり合う難度の高いステージだ。谷口氏はトップFPSプレーヤーらしく的確に敵が現れそうなポイントに銃口を向け敵を撃ち倒していく。

 敵は数人で連携して攻撃をしてくる。それらを撃ち倒しつつ、火炎放射器、ショットガンと武器を変えながら谷口氏は戦っていく。ゲームを単純に進めていくだけならば単一の武器の方が強いが、ギャラリーを意識した「魅せる」プレイだ。

 筆者も発売に先がけて「KILLZONE 2」をプレイしたが、本作は特に火炎放射器の軌跡がユニークだ。旧世代のゲームのようにただ炎を前方に発射するのではなく、可燃性の液体の発射をきちんとシミュレートし、銃口を上に向けると放物線を描き落下点で炎が広がる。炎に包まれたヘルガスト兵がもがきながら倒れる様は、「攻撃に対する反応」という開発者が目指した方向性を現わしていると感じた。

 谷口氏は順調に進めていくが、敵と味方が入り交じる狭い階段で、味方に動きを阻まれたところを、敵に手榴弾で狙われ倒されてしまう。谷口氏は「ああやばい!」と一声。すかさず司会からフォローが入るが、残念ながら「最高の環境での、最高のプレイ」とはならなかった。名誉挽回とばかりに谷口氏は果敢に攻め、敵を撃退するがイベントの最後まで1度倒されてしまったことをしきりに残念がっていた。

 しかし実際にプレイ経験のある筆者にとっては感心させられるプレイだった。「KILLZONE 2」はとにかく銃撃の際の反動が大きく、敵の耐久力も高いためトリガーを引きっぱなしでは至近距離でも敵が倒せない。谷口氏はその難しい銃を使いこなし的確に敵を倒していた。拳銃に持ちかえ確実に敵を倒すタイミングや、敵が逃げる方向に手榴弾を投げてとどめを刺す場面など、FPSの文法をきちんと守ったコアプレーヤーならではのうまさを感じた。

 「『KILLZONE 2』のAIは毎回違う動きをするので予測が立てられない」と谷口さんは語ったが、「練習した」という谷口さんが倒されてしまったことも、それだけ「KILLZONE 2」のAIの優秀さを印象づける結果になっていた。ただ、敵のAIはプレーヤーを見ると障害物に隠れながら銃撃戦を展開するなど、敵が基本的に逃げ腰なため戦局が膠着しがちで、プレーヤーは戦局を打開するために常に打って出ることを強いられ、それがゲームの難易度を高める一因となっている。シューティングの楽しさや敵をなぎ倒す楽しさより、戦場のリアリティと激戦の演出に力が注がれており、これが日本のユーザーにどう評価されるのかは気になるところだ。

 福島さんは「現実に300mの射撃が得意」ということで、スナイパーを体験。「KILLZONE 2」のスナイパーライフルは呼吸によるズレなどがなく、本作を初めてプレイする福島さんも的確に敵の頭を撃ち抜き、会場から拍手を浴びていた。司会から、「自衛隊での経験が本作に活かせたか?」という質問に、「自衛隊でもチームワークや連携の訓練をします」と答えた。

 そのままトークは自衛隊の話へ。福島さんは1カ月山で訓練を行なったという。自衛隊の装備があるため、電気や水道などの最低限の支給はあるものの、1週間お風呂に入れないというキツイ訓練だったが、100カ所以上虫に刺されたのが1番きつかったという。谷口さんは「コメントの上では完敗でした、ゲームの上でも追いつかれてしまうかも」と語った。最後に谷口氏は「発売されたら、オンラインで皆さんと対戦したい」とコメントした。

 イベントの終わりには抽選で選ばれた5人の来場者が映画のスクリーンでゲームプレイできた。また試遊台も用意され、そこでも大型モニターでのプレイを楽しむことができ、来場者は行列を作って体験していた。すぐに倒されてしまう人が多く、ゲームの高い難易度を印象づけていた。筆者は「KILLZONE 2」はこの難易度の高さが逆に魅力だと感じる。「キツイ戦場」を再現し、繰り返しプレイすることで突破口が見えてくる爽快感こそが本作のシングルプレイの醍醐味だと思う。オンラインプレイも世界中のプレーヤー達と戦える環境になるとのことで、こちらも楽しみである。


イベント終了後の試遊台は人気で、プレイ待ちの行列ができた
こちらはオンラインモードのスクリーンショット。最大32人での対戦が可能。暗殺や爆弾設置など様々なミッションが用意されており、プレイ中に任務として次々と提示される

KILLZONE 2 (C) Sony Computer Entertainment Europe.
Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Guerrilla.

(2009年 4月 17日)

[Reported by 勝田哲也]