NCジャパン、WIN「The Tower of AION」発表会開催

音楽担当の梁邦彦氏ら開発者も来場。6月からCBT開始


4月16日 開催



 エヌ・シー・ジャパン株式会社は4月16日、Windows用MMORPG「The Tower of AION(タワー オブ アイオン)」の発表会を開催した。

 「The Tower of AION」は、韓国NCsoftが開発した「AION」の日本版タイトル。2008年12月に開催されたイベント「エヌ・シー・ジャパンが行く! in 東京」で映像が上映されているが、今回、エヌ・シー・ジャパンが日本展開することが正式に発表された。

 韓国での「AION」は、同時接続者数が24万を超えるなど、記録的な人気タイトルとなっている。他に中国でもサービス中で、台湾、米国、欧州、ロシアと、世界各地でサービスが予定されている。最初に登壇したNCsoftグローバルマーケティングディレクターのキム・テクホン氏は、「日本で成功することには、他国での成功以上に意味がある。日本のユーザーは求めるクオリティ水準が高く、日本での成功は全世界のゲーマーから支持を得られる最も確実な証拠だ」と、日本でのサービスの重要性を示した。

 続いてエヌ・シー・ジャパン チーフシニアマネージャーのジョン・スルギ氏は「ライフサイクルの長いMMORPGは、運営によってゲームの面白さも変わる。日本で8年間蓄積してきたノウハウで、日本の皆様を失望させないことを約束する」と意気込みを示した。


NCsoftグローバルマーケティングディレクターのキム・テクホン氏エヌ・シー・ジャパン チーフシニアマネージャーのジョン・スルギ氏



■ 天族と魔族のPvPに、NPC種族の龍族が絡むMMORPG

「The Tower of AION」プロデューサーの西本直樹氏

 「The Tower of AION」のゲームについての説明は、プロデューサーの西本直樹氏が担当。最初に「『AION』で日本の市場は変わります」と、韓国・中国と同様のヒットを日本でも実現させることを宣言した。

 まず「AION」から「The Tower of AION」というタイトルへの改名について、「当初は日本オリジナルの名前を考えていたが、韓国で大ヒットしたことで日本からも『AION』のサービスに関する問い合わせが多くなったため、『AION』という名前を外せなくなった。そこでゲーム中で重要な意味を持つタワーという言葉を加えた」と説明した。

 本作の世界設定は、天族、魔族、龍族という3つの種族の間で争われている世界が舞台となる。天族と魔族はプレーヤーが選択できる種族で、龍族はNPC専用種族となる。天族と魔族のプレーヤーが争う際、龍族は不利な方の勢力に加担する。“PvPvE”と呼んでいるこのシステムにより、ゲームの勢力間バランスをとるのだという。

 西本氏は本作の特徴をいくつか説明した。まずキャラクターメイキングでは、多数の設定項目をモーフィングで調整でき、1人として同じ外見のキャラクターはできないというほど。顔だけでも非常に細かい設定が可能で、有名人そっくりに作られたキャラクターが歩いていることもあるという。

 クラス(職業)は、重装備の戦士「ソードマン」、軽装の戦士「ストライダー」、魔法攻撃系の「ウィザード」、回復系の「クレリック」の4つから選択。その後レベル10でそれぞれ2つの上位クラスに分岐する。「ソードマン」からは攻撃重視の「ソードウィング」と防御重視の「シールドウィング」、「ストライダー」からは弓を扱う「ボウウィング」と隠密行動も可能な「シャドウウィング」、「ウィザード」からはペットユーザーの「スピリットウィング」と火力重視の「スペルウィング」、「クレリック」からはヒーラー役の「キュアウィング」とバッファーの「チャントウィング」となっている。

 クエストは約1,500種類(韓国版ではアップデートで増えて2,000種類)が用意される。クエストの中には10分程度でこなせるものもあり、短時間でも遊べるよう配慮されている。またミッションなどで展開されるストーリーでは、天族と魔族が互いに憎みあいつつも、源流は同じ古代人種で、住む場所を分けられたことで種族間の争いが起きたという悲しさも表現されるという。

 そして本作の最大の特徴といえるのが飛行要素。キャラクターの背中に羽が現われ、一定時間空を飛べるようになるというもの。ただの移動手段ではなく、戦闘の際には高低差を使えるようになり、戦略的にも活用できるようゲームシステムが練られているという。

 他にも、100人単位で挑めるレイドボスモンスターや、1人でスキルをコンボのように連続して繰り出す仕組み、オークションのような売買システム、オリジナルエンブレムも作成できるレギオンと呼ばれるギルドシステム、突然に現われて相手勢力のどこかへ繋がる「次元の扉」など、多数の要素が詰め込まれている。これら多彩なコンテンツにより、MMORPGに慣れたヘビーユーザーだけでなく、ライトユーザーや女性にも楽しんでもらえるゲームになっているという。

 説明の後、サービススケジュールが発表された。まず4月17日にプレビューサイトが開設され、その後6月5日にはメディア関係者や一部のプレミアユーザーを対象とした「ファミリー&フレンドテスト」を実施。1週間後の6月12日にはクローズドβテストを実施するが、現時点では募集人数などの規模は未定としている。さらに6月末には、オープンβテストとは違う方法で誰でもゲームを体験できるものを企画しているという。通常のオープンβテストは、7月に1、2週間程度行なう予定としている。

 対応OSは、Windows XP/Vista。動作環境は、Pentium 4 3.4GHzまたはAthlon 64 3500+以上のCPU(Core 2 Duo E6600以上またはAthlon 64 X2 4600+以上推奨)、2GB以上のメインメモリ、15GB以上の空き容量を持つHDD、GeForce 7600またはRadeon X1800以上のビデオチップを搭載したビデオカード(GeForce 8600またはRadeon HD 2600以上推奨)など。MMORPGとしては、かなり高めのスペックを要求している。


サービス中の韓国や中国でのデータ。爆発的人気であることが数字からもうかがえるユーザーが作成したムービーの映像。誰をデザインしたかは一目瞭然で、キャラクターメイキングの自由度の高さがわかる多彩なコンテンツで幅広いユーザーを取り込めることをアピール



■ 音楽担当の梁邦彦氏や韓国開発陣を交えたトークショー


左から、アートディレクターのキム・ヒョンジン氏、ワールドデザインディレクターのイ・ジホ氏、プログラミングディレクターのシム・マロ氏、総合音楽プロデューサーの梁邦彦氏、日本プロデューサーの西本氏
梁氏はジャッキー・チェン主演映画の音楽を担当する国際的な音楽家。日本でもTVCMやアニメなど幅広いジャンルに楽曲を提供している

 日本展開についての説明に続いて、開発陣を招いてのトークショーが行なわれた。壇上に上がったのは、NCsoftで「AION」アートディレクターを務めるキム・ヒョンジン氏、同ワールドデザインディレクターのイ・ジホ氏、同プログラミングディレクターのシム・マロ氏、そして「AION」で総合音楽プロデューサーを務めた梁邦彦氏。さらに西本氏を加えた5人が「AION」について語った。

 まず「AION」で自慢のポイントはどこかという質問に対し、「キャラクターのカスタマイズ(キム氏)」、「ユーザーインターフェイスが見やすくチュートリアルが充実(イ氏)」などと回答。また開発で苦労した点については、「空を飛ぶため、建物の上などのディテールにもこだわり作業量が倍増(キム氏)」や「飛行やジャンプの表現のための作業量が多かった(シム氏)」など、飛行などの多彩な要素やコンテンツで開発の物量がすごかったことに苦労したという。また制作においては、「日本のゲームやアニメのストーリーテリングは素晴らしく、自然と影響を受けているところは多い。パロディも入れているので楽しみにして欲しい(イ氏)」といった話題も聞けた。

 梁氏は仕事の依頼があった当初を振り返り、「最初に『作品を作りたい』と言われたことに好感を持った。楽曲については、壮大なこと、オーケストラを使うこと以外は自由だった。最高水準というキーワードもあったので、アビーロードスタジオでロンドンフィルハーモニーを使った」と語った。

 自由に動けたことで楽しく仕事をしたという梁氏だが、「徹底的に資料をもらい、これは『AION』だなと掴めるものを作った」、「反復して聴かれるので、飽きられないよう、音楽に興味を持ってもらえるよう注意した」、「制作期間が3年以上だったので、途中でストーリーやキャラクターが修正された。音楽もそれに合わせて軌道修正した」といったゲームならではのこだわりの一面も見せた。

 最後に日本のゲームユーザーに向けて梁氏は、「いいプロジェクトに参加させていただいた。長く楽しめるものだと思うので、長く愛して欲しい」とメッセージを送った。また西本氏は、「このゲームは新規性は求めていない。完成度を重視している。NCsoftの全てのノウハウをつぎ込み、世界中のユーザーが求めるものを全て入れている。究極の完成度は1度触ればわかるはずなので、ぜひプレイして欲しい」と述べた。


【ムービー(WMV9形式、ZIP圧縮)】
1.CG映像2.シネマチック動画3.天界フィールドと都市
4.キャラクターカスタマイズ5.天族コンセプト映像6.魔族コンセプト映像
7.ソードウィング8.シールドウィング9.ボウウィング
10.シャドウウィング11.スピリットウィング12.スペルウィング
13.キュアウィング14.チャントウィング15.メインタイトル曲アカペラVer.

【スクリーンショット】
要求スペックは高いが、その分これまでのMMORPGとは一線を画したクオリティの高いグラフィックスを実現している

The Tower of AION is a trademark of NCsoft Corporation. Copyright (C)2009 NCsoft Corporation. NC Japan K.K. was granted by NCsoft Corporation the right to publish, distribute and transmit The Tower of AION in Japan. All rights reserved.

(2009年 4月 16日)

[Reported by 石田 賀津男 ]