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「Infexious選手は不気味。だけど読み勝った」 「Red Bull Kumite Japan 2019」優勝者、藤村選手が明かす

輝きを放ったストーム久保選手は観客の心をガッチリ掴んだ!

12月21日~22日 開催

場所:Aichi Sky Expo

 「Infexious選手は不気味。何をやってくるかわからなかったから苦手なイメージがあった」。「ストリートファイターV アーケードエディション」の世界大会「Red Bull Kumite Japan 2019」で優勝した藤村選手はそう振り返った。

兜の優勝トロフィーを持つ藤村選手

 藤村選手はトーナメントのWinnersを駆け上がり、そのまま優勝をストレートで勝ち取ったこととなるが、中でも最も厳しい相手だったのがInfexious選手だったという。

 藤村選手によれば、Infexious選手の不気味さはその思考の読めなさにあるという。試合中は表情を一切変えず、また微動だにしないことから「静止画」とも言われることがあるInfexious選手。今大会でも、試合中の表情をカメラに抜かれてもピクリともせず、あまりに動かないため「本当に動かないんだ」と会場がどよめくシーンが何度かあった。

試合中のInfexious選手。本当にこのまま動かない
グランドファイナルの入場時、敗退した選手のハイタッチによる見送りを全無視するInfexious選手。本人もちょっとネタにしている様子

 藤村選手が「苦手」としたのはもう1つ理由がある。それはここ最近、練習でInfexious選手と対戦する機会があり、彼の是空にあまり勝てていなかったから。その嫌な記憶も手伝って、普段は「いい緊張」で試合を迎えられるところ、手が震えるほど緊張してしまったという。

 では、なぜ勝てたのか。大きな要因は、「読み勝ったこと」だと藤村選手は大会後のインタビューで答えてくれた。その1つが、起き上がりへの対応。「ストV AE」はもともと起き上がりの行動で勝負が決まることが多いが、Infexious選手は普段なら起き上がってすぐに攻撃を出したりしない傾向にある。

 「ただ、大会だから逆にやってくるのでは」と構えていたところ、見事に当たったそうだ。その一点読みで藤村選手有利の機会を多く得られたため、「そのおかげで勝ったと言っても過言ではない」と話してくれた。

藤村選手の起き攻めが決まる場面

 この優勝で、藤村選手は「Red Bull Kumite」2連覇となった。「CAPCOM CUP 2019」が負け負けで終わったとは思えないほどの勢いと巧みさが、今大会の藤村選手にはあった。ぜひ来年もこの勢いで、猛烈なラッシュで畳み掛けるいぶきを見せてほしいと思う。

対戦中の2人
兜を被って笑顔を見せる藤村選手

ストーム久保選手のシンデレラストーリーが熱かった!

 「Red Bull Kumite Japan 2019」において、藤村選手と並んで最も輝きを放ったのは、ストーム久保選手だろう。

ストーム久保選手
試合中の表情

 本戦前日のLast Chance予選を生き残っただけでなく、本戦ではLosersの準決勝まで上り詰めてみせた。

 しかも、破った相手はPunk選手、Luffy選手、そしてときど選手。「ストーム久保のアビゲイルは本物だ!」と目撃者全員が驚いたはずだし、目の前でまさに進行しているシンデレラストーリーということもあって、ストーム久保選手が勝利を上げるたびに会場からは一際大きな声援が巻き起こっていた。

ときど選手の豪鬼を襲うアビゲイル

 本戦ではLosers準々決勝、801Strider選手にあと一歩のところで負けてしまったが、ストーム久保選手は会場の心を誰よりも掴んでいた。また新たな注目選手が、「Red Bull Kumite」から誕生したことと思う。

 「Red Bull Kumite」は確かにエキシビショントーナメントではあるものの、WinnersでもLosersでも強力な対戦カードが矢継ぎ早に繰り広げられるという点で、とても見ごたえのあるイベントになっている。

 加えてLast Chance予選があることで、ドリームマッチを見る楽しさに成り上がりのドラマも入り込んでくるのだから、面白くならないわけがない。次回の「Red Bull Kumite」ではどんなドリームマッチが実現するのか、大会終了後の今からすでに楽しみだ。

金網で囲まれた対戦ステージ。選手たちは周囲360度、全方向から観客に見つめられた状態で試合が行なわれる
「トロフィーキーパー」を務めた歌広場淳さん
試合外での選手たちのパフォーマンスなど、演出を含めて存分に楽しめる大会だと感じた