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「マジック:ザ・ギャザリング」新パック「灯争大戦」の「リリアナ」を描いた天野喜孝氏のミニインタビューをお届け!

5月3日 発売

メーカー希望小売価格:

ブースターパック 350円(税別)

プレインズウォーカーデッキ(2種) 1,200円(税別)

Bundle(※英語版のみ) 3,800円(税別)

 Wizards of the Coast LLCは、5月3日に発売するマジック:ザ・ギャザリング」の新セット「灯争大戦」日本語版において、プレインズウォーカーカード36枚の日本語版オリジナルアートを収録する。天野喜孝氏をはじめとした合計28名の日本のアーティストが参加する。主人公格の「リリアナ」を担当した天野氏のミニインタビューが届いたので紹介したい。

【「灯争大戦」公式トレーラー】

28人の日本人アーティストによるプレインズウォーカーカード

 「灯争大戦」では、長きにわたり活躍してきた悪のドラゴン・プレインズウォーカーデッキであるニコル・ボーラスとの最終決戦が勃発する。多元宇宙の1つ「ラヴニカ」を舞台に、敵味方ののプレインズウォーカーデッキが入り乱れる大戦を描くべく、実際に発売するセット「灯争大戦」には合計36枚のプレインズウォーカーデッキが収録されており、通常、1つのセットには、必ず1枚以上のプレインズウォーカーが収録される。

 最終決戦となるセットの看板でもある36枚のプレインズウォーカーのアートは、天野喜孝氏をはじめとした28人の日本人アーティストが手掛ける。天野氏は「灯争大戦」の主人公格キャラクターの1人、リリアナ・ヴェスのアートを描いている。

 それぞれのアーティストは、オリジナルのアートを参照することなく、設定のみを共有してオリジナルの解釈で描いているため、オリジナルのアートと比較して楽しむこともできる。

【天野氏による「リリアナ」のカード】

マジック:ザ・ギャザリング「リリアナ」と天野喜孝氏との偶然の出会い

――天野さんが描く「リリアナ」はどのように創られていったのでしょうか?イメージが固まるきっかけは?

天野氏:  去年の秋に京都で、セドリック・ビスカイさんが主宰されている、漫画・アニメ・ゲームに関する国際会議がありまして。世界で活躍するアーティストやクリエーター達が集結する、モナコ発のイベントなのですが、僕もアメリカのコミックライターであるフランク・ミラーさんとの対談などがあり、参加していたんですね。
 そのイベントの中で、欧州・北米南米のトップコスプレイヤーによるショーが行なわれていて、僕も面白いと思ったパフォーマンスを携帯のカメラで撮っていたんです。その時はただ、‘世界には色んなキャラクターがいるものだなあ’と思いながら見ていたのですが、その中でも一番凄いと目に留まり、印象に残っていたパフォーマーがなんと! まさにこのリリアナのコスプレをして踊る海外のパフォーマーさんだったんです。
 ショーを見ている時には気付かなったのですが、さて今回の仕事に取り掛かろうとした際に資料を見たら「あれ!?」って、「見たことある!」って。あの時の京都での出会いは、かなり印象的なものでした。

 太秦の劇場だったのですが、ライトアップされたステージに、音楽と共に踊りながら登場してきたんですよ。キャラクターだけでなく、雰囲気も含めてその光景が、強く頭の中にインプットされました。その時、その海外のパフォーマーの方が骸骨か何かを持っていたんです。色っぽい怪しい踊りをしながら。パフォーマンスは、だいたい5分程だったかな、ドクロを撫でる感じとか、妖艶で魅惑的な雰囲気が頭に残っていて。だから僕が描いた絵にも、ここに骸骨があるでしょ?

――「リリアナ」を描くうえで、苦労された点、悩んで点があれば教えてください。

天野氏:  今まではあまり、ほかの誰かが既に描いたキャラクターを、また僕も描くという経験は少ないんですよね。リリアナは既に、ほかの誰かによって描かれていて、それなりのプレッシャーもありました。その中で自分がどんな風に表現しようかと思っていたところに‘生の人’コスプレイヤーの方との出会いが偶然あったので、それは大きかったと思います。

 やはり誰が描いたとしてもキャラクターは存在しているわけですから、僕が描く事によって生まれる「違い」って、どうなんだろう?って考えます。マジック:ザ・ギャザリングのイラストは、みんなそれぞれのイラストレーターが描いた絵が、本当に素晴らしいので、俺はどういう風にしたらいいのかなって。あまりオリジナルに寄せてもあれだし、かといって、寄せないと、このキャラクターにはならないしね。うまく言えないですけれど、目的が同じで、それぞれそこに辿り着こうとしているわけですから。行き着くところは同じキャラクターなので。マジック:ザ・ギャザリングのイラストは、何かこう、みんながまっすぐ純粋に描いているから、僕もそういう風に描きたいなという感じで描きました。あまり、自分らしさみたいなものは、変に出さないほうがいい、それでも真面目にそのまま、素直にやるのが一番いいのかなって。

――天野さんが感じた「リリアナ」の魅力、また今回描くうえで、大切にされたポイントを教えてください。

天野氏:  リリアナは、なんと言うかバランスが良くてドンピシャというか、王道のど真ん中という感じのキャラクターですよね?そういう気がするんです。リリアナは、どこの世界に行っても、通用するんじゃないか、どの世界に行っても、ちゃんと存在するんじゃないのか、そういう感じが持っていて、普遍的な気がしましたね。あとは、昔の50年代から60年代のハリウッド女優の雰囲気があるようにも感じました、威厳を感じるんですよね。このリリアナの存在自体が‘偉そうな’というか、何か君臨している感じの魅力も描けたらいいなって思いました。50~60年代のアメリカの大女優は、僕自身も好きなんです。この前ロスに行った時にもその時代の写真集や画集を買ったり、去年の秋にオレゴンに行った時にも、よく本屋に行ったりしました。モノクロ映画が持つゴージャス感みたいな、そんな雰囲気も好きなので、最近の映画じゃなく昔のね。リリアナも、名だたる大女優たちと同じ、品の良い雰囲気を感じる存在なのかなって思います。

 だからこそ、という事でもないのですが、今回リリアナの肌が出てる部分はきちんと描いていこうと思いました。リリアナは、そんなに肌が出ていないじゃないですか。顔と胸と、そこしか肌が出ていないから、その部分をどんな風に表現するか。タトゥーも描く人によっては色々変わる。果たしていっぱい入れていいものか、どうなんだろう? という思いはありました。顔から描き始めたのですが、顔にもタトゥーを入れようかと思ったけれど、あまり入れすぎてもね。いかに、肌が出てるところを魅力的にするか、魅惑的になればいいなと思って描きました。

――「オリジナルアート企画」へ参加して頂いた理由や、マジック:ザ・ギャザリングの印象をお聞かせください。

天野氏:  この仕事を引き受ける上で、もちろんマジック:ザ・ギャザリングは知っていました。世界で一番有名なアメリカのカードゲームというように。いま、世に存在するカードゲームの大本(おおもと)ですもんね。世界で2千万人以上の方に、世界中でプレイされているというのは凄いこと。僕も下手なことは出来ないなと思いました(笑)。例えばファイナルファンタジーでもカードゲームがあるじゃないですか、そういう形で、描いたイラストが結果的にカードになることはあるし、やったこともあるので、トレーディングカードゲームで、最も歴史があり、世界中で愛されているカードゲームなので、名誉なことだと思いました。

 ファンタジーの世界って、いろんな世界があり、王道のど真ん中とその脇の世界があると思うんですけれど、マジック:ザ・ギャザリングは、本家本元なのかなって。カードゲームの発祥である原点。そういう意味で王道の印象は感じます。アメリカの人達もみんな普通に知ってますからね。
 僕自身も、アメコミなどアメリカの作風には、影響を受けまくりです(笑)。僕の原点というか、もともとアメコミも大好きですし。マジック:ザ・ギャザリングは、どちらかというとアメコミもそうですが、イラストレーターの世界に近い。アメコミの印象としてはどうしても、線で描いて、フラットな感じがある。マジック:ザ・ギャザリングは、例えば雑誌ヘビーメタルで描かれていたような、あの頃のアメコミの印象に近い。よりイラストのほうに近いアメコミっていうのかな。僕自身もリチャード・コーベンとか、若い頃すごく好きで。彼は線というより、リアルな絵で、絵の具で描く人なんです。その辺の印象と同じ雰囲気をマジック:ザ・ギャザリングからは感じます。

――世界じゅうで楽しみにしている、マジック:ザ・ギャザリングプレイヤーへメッセージをお願いします。

天野氏:  今回描いたリリアナからは‘この世界を統べる’というか、‘君臨している’という存在感を感じます。たったひとりで舞台を何とかしてしまう主役の感じがしますよね。そういう力強さ、存在感を出せたらいいのかなと描きました。このカードをプレイされるファンの方も、彼女はこの世界を牛耳っていますので、そういう感じで、誰にも負けないで欲しい。あとは、媚びないでほしい。堂々と。このリリアナという方は、なんでも許されちゃうから。わがままでいいんです。やさしさも持ち合わせながら、わがまま放題でいい。リリアナと共に、世界に君臨してください。