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「麻雀カメラ」は「ジェネリック麻雀」に耐えられるか?コストと相談しつつ性能を試してみた
結論:麻雀牌を並べるのは楽しい
2018年7月3日 11:08
麻雀は楽しい。相手のツモを予想し、危険牌を綱渡りのように切り、自分の予想通りの役を作ってほくそ笑む。そしてアガれば点数計算だ。……えーっと、リーチで1翻、場風で1翻、小三元で3翻、いや2翻か……ええいややこしいッ!とくに鳴いたときの点数の変わり方とか「メンゼンチンツモホー」とか、ルールブック片手に確認しながら進めたいことが多すぎる。もうちょっとパパッと済ませたい。
「慣れて覚えろ」と言われればそれまで。実際役を覚えれば自分が何点獲得したかはわかる。だとしても、だ。できるだけ手早く複雑な手牌の点数を知りたい――というときに現われたのが、6月27日に配信された「麻雀カメラ」というアプリ。使用だけなら無料だが、広告を非表示にしたいなら360円(税込)必要だ。
本アプリは今のところiOSのみの配信だが、手牌をカメラで写し、画像認識によって役を判断し点数を計算してくれるというのだ。なんと画期的か。本稿はその性能を実際の麻雀牌で試しつつ、低コストで野生的な……そう、漫画のような学生時代を思わせる「友人宅に集まり適当な場所で適当に打つ麻雀」でも採用しうるか、という実験を兼ねたレポートである。
使用牌
今回使用した麻雀牌は太洋技研の「麻雀牌 さんご」。某大型家電量販店で4,030円(税込)とそれなりに手ごろ(?)な価格で販売されていた。「麻雀牌といわれたらこんな感じ」といった印象そのままのデザインで、赤ドラや小型の点棒、サイコロも付属する。これなら「友人宅に集まり適当な場所で適当に打つ麻雀」ができそうだ。
あとひとつ、ハナヤマの「ポータブル カード麻雀」。花札と同サイズで持ちやすく、トランプのように四隅に牌の絵柄が描かれている。そして何といっても800円(税別)というコストの低さ。これで成功したら万々歳ではないか。資金はないけど麻雀やってみたい、そんな学生諸兄におすすめしたい。
さて、ここまで読んだ読者の方々は「ネット麻雀でいいんでないの?」と思った方もいるかもしれない。わかる。点数計算面倒だし鳴きの場面で待ってくれるから好き。でもアナログでやってみたいじゃないか。囲碁、将棋にはじまりテーブルトークRPGや「ドミニオン」のようなボードゲームなど、ネット上で便利かつ簡単に済むゲームは増えてきたが、1度オフラインセッションで遊ぶとハマる深度が大きく深まる――そんな気がする。だから麻雀牌買ってきました。
いざ使ってみよう
アプリはメイン画面に大きく表示された「点数計算」のボタンをタップすればすぐさまカメラで手牌を認識できる。「点数早見表」や「役一覧」ではその名の通り親や子の場合に何点獲得できるかとか、基本的な1翻の「リーチ」に始まり役満までの様々な役が収録されている。ルールは日本プロ麻雀連盟の公式ルールに則っている。
さて、実際に「点数計算」で牌を読み込んでみよう。「画像認識の注意事項」として記されている通り、アガり牌は手牌と鳴き牌の上部に置く、手牌と鳴き牌、鳴き牌同士は離して配置する――といった、ちょっとだけ手間な印象。このあとにツモとロンのどちらでアガったかとか、風、ドラの数、リーチや嶺上開花の成否などのオプションを選択して最終的な点数を判定する。
牌の認識精度はそこそこ。今回使用した「麻雀牌 さんご」ではほぼすべての牌を認識し、アガり牌も難なく判定してくれた。ただ、伍萬や伍索の赤牌は認識せず、また鳴いた際に横になった牌はしっかりと認識しない。鳴いた東や中、一索などの牌が伍索や七索として検出されたり、白のポンがツモとして処理されることもあった。
これを認識後に人力で修正することも可能だ。認識後の「修正」で間違っている牌をタップすれば、そこだけ正しい牌を選択しなおせる。ポンやチー、カンは最初にそれぞれをタップしてから牌を選択すれば再現でき、赤牌を含めることもできる。
点数計算はたとえリーチ一発赤ドラ門前清摸和清一色の二盃口で……なんて複雑な呪文も一瞬で判定。この点は信頼できる。
全手動でポチポチ選択も可能
認識画面で「入力切替」をタップすれば、すべての牌を手動で選択できる。先ほど述べたとおりポン、チー、カンはあらかじめ選択すれば再現できるし、アガり牌は最後に自動で切り替わる。
マット用のコストを削ってみる
さて、これまではブルーのマットを使用してきたが、いざ専用のマットを購入しようと考えるとそれなりにコストがかさむため厳しい(けど麻雀はやりたい)、というのがおそらく趣味人の考えだと思う。そこで、身の回りで見つけたあれこれで麻雀牌を並べてみた。
テーブルクロス
模様の入ったテーブルクロスの上で並べる。食卓を雀卓がわりに使う、なんていうのは友人宅集合低コスト麻雀で最もオーソドックスなものではなかろうか。
が、ダメっ……!タイトル画面右下の「ヘルプ」にあるように、背景が麻雀牌と同系色だと認識しない。もう少し濃い色だったり、模様のないものであれば大丈夫かもしれない。
カッターマット
大学でね、こう、工作室なんかに集まって大きなカッターマットを雀卓がわりに……なんてシチュエーションもあっていいはずだ。いやない。
結果、認識した。背景の彩度が低く、模様が細いラインパターンであれば辛うじて認識する――ということか?
ダンボール
机もない、椅子もない。地べたに座って4人こそこそとダンボール箱を雀卓に……少々無理のある設定だが、やってみなければ始まらない。
先の2パターンがあったので「背景が明るい」、しかし「無地」という利点のあるダンボール、だが残念ながら認識できなかった。やはり背景が濃色なら認識できるのか。
総評:画期的で発展途上、今後化ける可能性
今回この実験をやろうと思った理由は、ただ単に「雀荘に行くのは(コミュ障なので)気が引ける」というのと、「画像認識技術がどこまで成長しているか知りたい」という好奇心、そして「家で集まったときでもネット麻雀くらい手軽に遊びたい」という野望から。ネット麻雀で友人とSkypeやDiscordを繋いで通話しながら騒ぐのもいいが、やはりオフラインで会うという感覚は少し違うものがある。
実際に遊んでみたところ、この「麻雀カメラ」は画期的ではあるが画像認識の精度はそれなりで、まだ生まれたばかりの赤子のようなアプリだ。しかし何らかの形で育っていけば、必ず麻雀入門者向けの画期的なアプリになる、と感じた。それが認識した画像と修正結果によるフィードバックの結果や、画像認識技術の進歩だとか、成長ルートはいくつかの道があるだろう。
今後リアルタイムに牌効率を知れる「サジェスト機能」や、MRヘッドセットへの対応も検討されているというこのアプリ。成長する余白があるのなら、比較的簡単な点数計算機能も利用しつつ長い目で見つめていきたい。
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