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うなりを上げて進むガンタンク、月面を飛ぶザクI……次々と現われる名場面、VR作品「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -RISING-」レポート

開催日:
5月21日~25日
5月28日~31日


場所:新宿ピカデリー

 サンライズは5月17日より新宿ピカデリー1階 ロビー特設ブースにて、VR作品「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -RISING-」を、「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 誕生 赤い彗星」視聴対象者に向けて公開した。今回、いちはやく体験でき、制作スタッフの話も聞けたのでレポートしていきたい。

VRゴーグルとコントローラを掴んでコンテンツを体験。コントローラは操作はしないが、振動で臨場感をアップさせる
クローズドブースには4台の体験台が用意されている

 ちなみに、本コンテンツそのものは無料で体験できるが、5月17日以降の「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 誕生 赤い彗星」劇場鑑賞チケット、もしくは半券(新宿ピカデリーのみ有効)が必要で、「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 誕生 赤い彗星」を見た人(もしくはこれから見る人)のみが対象になっているところに注意して欲しい。視聴は事前予約ができ、当日行くことで見ることもできるが、事前予約が優先となる。

 VR作品「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -RISING-」は、これまで6話にわたって劇場上映されたアニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を振り返る内容となっている。「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は、安彦良和氏のコミック「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」をベースにしながらオリジナルの展開を多く盛り込み、アニメ「機動戦士ガンダム」の前日譚を描いた。

 6話である「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 誕生 赤い彗星」が最終章となり、そこからは“本編”である、サイド7の“ガンダム起動の物語”へ繋がる道が提示される。VR作品は、その6章の物語から場面を抽出し、VRコンテンツとしているのだ。

 本作で取り上げられる名場面のうち、事前のリリースで公開されているのは「シャア(キャスバル)のガンタンク搭乗」、「モビルワーカーの実験」、「月面でのMS戦」の3つ。この他にも本編に登場したいくつもの名場面をVRで体験でき、約4分のVRコンテンツとなっている。ラストはVR映像でしか見ることができない「ガンダム」の登場を目撃することができる。

 まず比較として、昨年の9月に上映された前作に当たるVRコンテンツ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN -シャア出撃-」を少し語り、今作との違いを説明していきたい。前回のコンテンツでは、「ザクI」でルウム戦役に出撃するシャアを追体験できた。プレーヤーはシャアとして、MSハンガーの赤いザクIを見て、コクピットに座り、敵艦ひしめくルウム戦役の戦場へ飛び出していくのだ。それはシャアの視点を追体験できる、パイロットになりきれるコンテンツだった。

 今回はその視点とは大きく異なる。名場面が次々と現われ、VRならではの視点での“戦い”が楽しめる。シャアがガンタンク初期型に乗り進軍するシーンでは覚悟を決めたシャアの緊張する雰囲気に直面する。この時、まるでこちらをのぞき込むような子供時代のシャアの目が目の前に現われる。VRの空間は3Dグラフィックスで描き出されているのだが、このシャアの目は虚空に浮かぶ2D画面のように、手書きの絵を感じさせる質感で現われる。

 そのシーンが終わり再び暗闇になってから、サイド3の大通りを進むガンタンク初期型が現われる。ここではシャアが座るコクピット画面ではなく、彼が操縦するガンタンクを追尾するように視点が動いていく。シャアが腕の機銃を乱射すると、飛び散る薬莢がこちらにぶつかってくる。シャアの“進軍”をすぐ後ろで見ているような体験ができるのだ。

VRゴーグルで展開する映像、こちらはガンタンクで進むシーン

 「モビルワーカーの実験」のシーンも印象深い。ジオンがデータ収集・開発を進めていた人型機動兵器の初期試作実験機。このデータが後に“モビルスーツ”として結実、新たな戦いを生み出していく。ここでは無骨なモビルワーカーのぶつかり合いを超至近距離で見ることができる。

モビルワーカーのシーン。使われているCGモデルはアニメと同じだが、テクスチャーが異なっている
アニメの名シーンが次々と展開する

 そして「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」での初の“MS同士の戦闘”が行なわれるのが「月面でのMS戦」だ。ザクI、及びブグとガンキャノン最初期型が戦うシーンもVRで展開する。アニメとは一味違う戦い、VRならではの描写が楽しめる。この他にも「機動戦士ガンダム THE ORIGIN 」を知っている人は思わず体を乗り出しそうになる様々な場面が盛り込まれているのだ。

クローズドブースの周りには関連商品の情報も

 会場ではサンライズのスタッフに話が聞けた。VR作品「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -RISING-」は、前作である「シャア出撃」とは異なるコンセプトを持たせたという。様々な場面を盛り込み、アニメ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を振り返る。どのシーンをどのように見せるか、アイディアを出し合い、そして実際のアニメのように、各シーンで担当者を割り振り、制作を進めた。

映画「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN 誕生 赤い彗星」にはキャスト達のサインが

 気をつけたのは、「VRならではの見せ方」だとスタッフは語った。本作はアニメのシーンをモチーフとしながら、見せ方を大きく異ならせている。どうすれば実在感を持ち、そして効果的に見せられるか。各シーンの担当者は、VRコンテンツならではのカメラの移動や、見せ方など、アニメとは違う演出を工夫している。モデルのすぐそばまでカメラを寄せたり、戦場をぐるりと見渡せる円形を用意したり、視界全てが作品世界となるVRの特性を活かし、様々な見せ方を行なっているという。各名場面を繋げる演出も工夫したとのことだ。

 興味深いのは前作がコクピットビューの、ゲームの様な「MSのパイロットになりきるコンテンツ」だったのに比べ、今回は積極的に3人称視点を使い、時には全体像を、時には至近距離でMSを見せ、アニメのような演出を、アニメとは異なる臨場感で体験させていた。

 開発スタッフは「VRならではの見せ方」をしっかり学び、実際にVRゴーグルをつけて何度も演出を確かめながらコンテンツを制作したという。これから本作を体験する人は、「アニメスタッフだからこそできる新たなVRコンテンツの可能性」もしっかり感じて欲しい。話を聞くことで、さらにコンテンツの魅力が増した。アニメスタッフにとってもVRは新しい表現媒体として、やる気をかき立てられる題材とのことだ。

 本作には数人のアニメーターが関わっているが、話を聞けたアニメーターが特にこだわったのは「RX78-2ガンダム」だという。いよいよシャアの“前日譚”が終わり、「機動戦士ガンダム」の物語が始まる。その始まりを告げるのがガンダムの姿なのだ。このガンダムをぜひ見て欲しいとスタッフは語った。注目して欲しい。

 VR作品「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN -RISING-」は、“平日”体験できるコンテンツとなる。5月21日から25日、5月28日から31日の12時から20時に受け付けている。事前予約をしておけば確実に見ることができるので、予約がオススメだ。