ニュース

HTC/デジカ「HTC Vive」99,800円での店頭販売開始を発表

全国の協賛各店舗にて常設のVR体験コーナーも設置!

「最高のVRシステム」とHTC Viveを紹介したHTCのVR新技術部門担当VP レイモンド・パオ氏
HTC 北アジア統括代表取締役ジャック・トン氏は、日本のコンテンツシーンがVRに与えるインパクトに期待を述べた

 7月7日、HTCは秋葉原で記者会見を開催し、同社がValveと共同開発したPC用VRシステム「HTC Vive」の日本国内の店頭販売をスタートすることを発表した。価格は99,800円(税抜)。

 HTC Viveは4月6日より出荷が開始されているが、これまではHTCのECサイト上での販売に留まり、購入前に実際に触れられる機会も非常に限られていたことが問題のひとつだった。それが今回の店頭販売開始により、全国のドスパラ、TSUKUMO各店、およびユニットコムが運営するPCショップ各店(パソコン工房、GoodWill、LEVEL∞ Hub、Buy More等)の店頭での直接購入が可能になったほか、販売パートナー各社の店頭に常設のVR体験コーナーを設置。HTC Viveを使ったVRコンテンツをいつでも手軽に試せるようになる。

 国内販売について流通・サポート等を引き受けるのは、かねてよりSteamの公式パートナーとして各種サービスを展開してきたデジカ。デジカではSteamの日本円決済についてのバックエンドを提供するなど国内のSteamユーザーの利便性向上に貢献してきたほか、近年ではゲームパブリッシャーとして国産ゲームのSteam上での展開を多数のタイトルで手がけてきた。HTC Viveの公式コンテンツ配信プラットフォームとしてSteamが使われていることから、HTC Vive自体の国内展開についても乗り出した形だ。

【Virtual Reality - SteamVR featuring the HTC Vive】
HTCのVR新技術部門担当VP レイモンド・パオ氏は、HTC Viveの活用を促進する取り組みとして、同社が実施する大型VR向けアクセラレータープログラム「VIVE X」や、同社が参画する100億ドル規模のVR向けファンド「vrvca」を紹介。現在既に5,000を超えるデベロッパーがVive向けコンテンツを開発しており、310以上のコンテンツがリリースされているという。

取り扱い店舗は全国36箇所から順次拡大。体験コーナーには専用の予約システムも

HTC NIPPONの代表取締役社長 玉野 浩氏
ルームスケールVRを実現する唯一無二のVRシステムとしてHTC Viveを紹介
対応各店舗にVRデモコーナーを設置する
デジカ代表取締役社長のジャック・モモセ氏

 記者会見に登壇したHTC NIPPONの代表取締役社長 玉野 浩氏は、HTC Viveについて「ルームスケールVR、着座型VRの双方に対応する世界初・唯一無二のVRシステム」であるとして、その高性能ぶりをアピール。このような性能を誇るHTC Viveをより広く体験してもらい、購入機会を広げる取り組みとしてサードウェーブ(ドスパラ)、TSUKUMO、ユニットコムとの販売パートナーシップを紹介した。

 HTC Viveの店頭販売は上記3社の全国各店舗で7月7日よりスタート。店舗数は北海道4店舗、関東19店舗、東海6店舗、関西4店舗、中国1店舗、九州2店舗の合わせて36店舗で、これは今後さらに順次増やしていく見込みだという。

 引き続き登壇したデジカ代表取締役社長のジャック・モモセ氏は、「VR元年のデジカの役割」として、VRのユーザー体験の場を広く提供し、VRコンテンツ普及のための環境作りを進め、Viveを普及させ、さらには対応コンテンツのパブリッシングや開発サポートを行なっていくという目論見を披露している。

 またデジカでは対応各店舗に設置されるVR体験コーナーのためのVR予約システムを展開する。VR体験を希望するユーザーはこのサイト上で近くの店舗を選ぶと、体験の日時を指定して予約を行なうことができる。予約のキャンセルや変更も可能と柔軟なシステムだ。現在のところ本州所在のドスパラ各店舗が選べるようになっているが、その他の販売パートナー店舗にも広がっていくことを期待したい。

 またデジカではSteamでのゲームパブリッシング事業も柱に据えており、現時点で「Muv-Luv VR」や「さよなら 海腹川背」といったHTC Vive対応のデモ・ゲーム製品をリリース中。今後こういったSteam上でのVRタイトルのパブリッシングにも本腰を入れていく見込みだ。

デジカではHTCと協力して6月1日よりHTCのECサイト上でHTC Viveの国内向け販売をスタートしている
VR予約システムを使用して、ユーザーの近くにある店舗でのVR体験予約が可能

大手ゲームメーカーを含む多数のコンテンツパートナー

バンダイナムコエンターテインメントのAM事業部エグゼクティブ・プロデューサー 小山順一郎氏
全てのVRアクティビティでHTC Viveを使用。来場者は既に15,000人を超えるそうだ
新アクティビティ「VR-ATシミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」
新アクティビティ「スーパースター体験ステージ マックスボルテージ」

 記者会見ではHTC Vive対応タイトルを展開するコンテンツパートナー各社の登壇も行なわれた。ゲームユーザーとして馴染みの深いバンダイナムコエンターテインメントや、スクウェア・エニックス、コロプラネクスト、グリーといった面々だ。

 お台場でVR体験施設「VR ZONE Project i Can」を展開するバンダイナムコエンターテインメントのAM事業部エグゼクティブ・プロデューサー 小山順一郎氏は、同施設でHTC Viveが全面的に活用されている事例を紹介。これまで約15,000人の来場者に利用されてきたというが、その中で小山氏が指摘するのが「HTC Viveの頑丈さ」だ。

 「VR ZONE」に来場するほとんどのユーザーが体験するという「高所恐怖Show」は特に稼働率が高く、1台のHTC Viveを12,000回は着脱し、使用しているというが、その中で故障が起きたのは1回だけだという。また、HTC Viveのヘッドセットが持つ着脱のしやすさや、メガネ併用もしやすいハウジングの作りも高く評価。

 その上で小山氏は、7月15日から同施設で投入予定の2つの新アクティビティを紹介。「VR-ATシミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」では、4メートル級となるリアルスケールのメカを実際にVR内で見て回り、“鉄の棺桶”とも呼ばれる窮屈な操縦席に搭乗しての戦闘体験を楽しめる。もうひとつの新アクティビティ「スーパースター体験ステージ マックスボルテージ」では、ルームスケールを活かしたプレーヤーのアクションや叫び声といったパフォーマンスに、2,000人の大観衆が応えるというコール&レスポンスの体験が楽しめるという。

 スマートフォン向けというイメージの強いコロプラやグリーも、HTC Viveを使ったコンテンツを開発している。コロプラでは4月28日にSteam上で「Cyberpong VR」をリリース。一人プレイではViveコントローラーを使った体感型ブロック崩し、マルチプレイでは世界中の人と対戦できるVRテニスといった様相になるVRスポーツゲームだ。

コロプラネクストの代表取締役社長 山上愼太郎氏は、同社が展開するVR向けファンド「Colopl VR Fund」や、コロプラ制作のHTC Viveタイトル「Cyberpong」を紹介した
グリー、Wright Flyer Studios事業本部 VR Studio副部長の榎本慎一氏は、フジテレビと共同開発するソーシャルVRシステムを紹介
スクウェア・エニックス第10ディビジョンプロデューサーの加島直弥氏は、「乖離性ミリオンアーサー」のマルチ展開の一例として実現したVR技術デモについて紹介。今年1月のイベントや、ニコニコ超会議にも出展された

グリーンバックARシステムを使ったVR体験

記者会見後、各種VRデモが行なわれた会場
グリーンバックを用いたAR×VRシステム
こんな感じでViveコントローラーをマウントしたカメラでユーザーを撮影する

 HTC ViveおよびOpenVR SDKの最新アップデートで利用可能となった機能として、クロマキー合成を用いたAR表示機能がある。これは、VRシステムを利用しているユーザーが、傍から見ると何をしているかわからない、という問題を、追加のカメラとグリーンバック機材を使って解決する仕組みだ。

 この仕組みでは、グリーンバックのスペース内でVRゲームを行なっているプレーヤーを、HTC Viveのコントローラーをマウントしたカメラで撮影する。カメラの位置はViveコントローラーでトラッキングされており、合成用のPCを使ってゲーム画面とプレーヤーを正確にリアルタイム合成することができる。すると、VR空間内でアクションを行なうプレーヤーの姿をゲーム画面と合わせて表示できるというものだ。本機能はUnityにインテグレーション済みで、コンテンツデベロッパーに広く利用できるものとなっていることも特徴だ。

 このシステムを使うと、プレーヤー以外の人もVR空間内で何が行なわれているかをつぶさに見ることができる。店頭デモ等にうってつけの機能で、複数人でVRコンテンツを遊ぶシチュエーションにも最適だ。

 このグリーンバック設備は、HTC Viveの常設デモコーナーのフラッグシップ店舗となるドスパラ秋葉原本店5Fにて稼働予定。プレイする側も周りに見られることを思わず意識して、オーバーアクションをしてしまう楽しさがある。お近くにお住まいの皆さんは、ぜひいちど試してみてほしい。