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「Detroit Become Human」David Cage氏プレゼンでプレイシーンを目撃!

Quantic Dreamらしさ爆発。プレーヤーが紡ぐアンドロイドの物語

6月14日~16日 開催

会場:Los Angeles Convention Center

Quantic DreamのDavid Cage氏

 「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」、「BEYOND: Two Souls」を開発したQuantic Dreamが新たに開発しているのが、プレイステーション 4「Detroit Become Human」という作品だ。

 「Detroit Become Human」は2015年10月にフランスで開催されたゲームイベント「Paris Games Week」で初めて発表されたあと、E3 2016ではプレーヤーの様々な行動によって結末が様々に変化するという、そのゲーム内容の一部が明らかになった。

 今回E3 2016の会場ではQuantic Dreamの創業者で「Detroit Become Human」のライター、ディレクターを務めるDavid Cage氏より、本作に関するプレゼンテーションを受けることができた。Cage氏のプレゼンでは実際のプレイを交えながら、もう少しゲーム内容を知ることができたので、こちらをお伝えしたい。

【『Detroit Become Human』 E3 2016 Trailer(コナー篇/ 日本語吹替版)】

操作対象はすべてアンドロイドに。捻りの効いた「人間」を問う物語

「Paris Games Week」での発表トレーラーに登場したKARA(カーラ)。彼女については、PS3用の短編映像「KARA」のその後の物語が描かれるようだ

 「Detroit Become Human」は、人型アンドロイドの普及が一般化した近未来の世界を舞台とし、アメリカのデトロイトの街にフォーカスした物語が綴られていく。今回はゲームエンジンを刷新し、2013年に公開されたPS4用映像デモ「The Dark Sorcerer」ともまた違う、本作のために開発したエンジンを使用している。

 プレーヤーが操作することとなるのはアンドロイドたちで、主人公、つまりプレイアブルキャラクターが本作には複数人登場する。プレーヤーはアンドロイドの物語を体験し、インタラクティブに関わることで様々な結果を生んでいくことになるのだが、それによってゲームオーバーになるという概念はない。結果が良いものでも、悪いものでも(たとえそのアンドロイドが死んだとしても)、最後まで物語は突き進んでいく。

 物語の発想は、2012年にQuantic DreamがPS3用のデモ映像として作成した「KARA」にまで遡る。「KARA」は、どこかのアンドロイド工場で、意図しない感情が生まれてしまった女性アンドロイド KARAのストーリーを描いた7分ほどの映像作品。

 Cage氏はこの「KARA」を作り終えた後、彼女に一体何が起こったのかを想像するようになり、そこから物語を作っていったのだという。Cage氏が考えたのは近未来、アンドロイドが警備員、ウェイター、教師など、人間に変わって仕事をしている世界。アンドロイドは自身が機械であることを示すため胸に青い三角のマークを付けてることを義務付けられており、また右のこめかみに青い円のマークが刻まれている。

 物語は、そうしたアンドロイドの中から、自殺を図ったり、人間に対して暴力的になったりするアンドロイドが極小数ながら出てきた……というところから始まる。

 ストーリー上のポイントは2つで、1つはAIと技術の話ではありながら、人間や、人間の感情とは何かを問う物語にしたかったということ。もう1つは、通常はアンドロイドは危険なものになりがちだが、本作ではアンドロイドはピュアであり、人間はどちらかと言えばエゴが強い悪いものとして描いているということ。この辺りに、Cage氏らしい“捻り”が加えられているようだ。

E3 2016で披露されたコナー。調査能力を持つ、プロトタイプの特殊なアンドロイドだ。彼もまた、胸に青い三角マークが見える

コナーの「調査能力」披露。状況を把握して「成功確率」を上げよ!

少女を人質に取るアンドロイド。彼の中で何かが暴走してしまったようだ
コナーの行動は何もかもをプレーヤーが決める。任務に忠実でクールなコナー(アンドロイド)を、感情移入しやすいプレーヤー(人間)が操作する、というのが本作最大のポイントになるだろう

 さて今回のプレイアブルシーンであるが、これは上記のトレーラーと同じ、アンドロイドが引き起こした人質事件の現場に、交渉人のコナーが到着するという状況だ。

 コナーの任務は、人質となった少女を救出すること。コナーの操作はエレベーターを降りた直後から始まり、現場の調査や犯人との話し合いを通して行なうこととなる。

 実際のゲーム画面では、コナーの行動によって任務の「成功確率」が変動するようになっている。最初は50%から始まるが、時間が経過するごとに成功確率は下がっていくので、任務成功のためにも調査は急がなくてはならない。

 今回見られた調査では、少女の部屋のタブレット端末を調べることで、犯人の名前がダニエルであり、ダニエルは少女の家で暮らしていたことがわかった。すると犯人の名前を知ったことがトリガーとなり、交渉の成功確率が15%ほど増えた。

 コナーは最新技術が導入されたプロトタイプのアンドロイドであり、現場の証拠から直前の状況を再生できる「Reconstruct(再現する)」という能力を持っている。たとえば現場の、症状の父親が銃殺された死体を調査して「Reconstruct」すると、撃たれる寸前に左手にタブレット端末を持っていたことがわかる。そこで近くに落ちていたその端末を調べると、画面には新しいアンドロイドのカタログが表示されており、これもアンドロイドが激昂した理由であることがわかった。すると、また可能性が上昇した。

 このコナーのシーンではほかにも、「Reconstruct」を駆使することで銃を手に入れることができた。後の交渉シーンでは、返答やふるまいを含めてすべてプレーヤーが決めていくことになり、この調査で見て、知ったことによって新たな返答の選択肢が生まれることもある。

 調査を経て交渉に臨む際は、常に重大な決断の連続となる。犯人に対してプレッシャーをかけるのか、同情するのか、「武器は捨てろ」と言われて、素直に従うのか、嘘を吐いて隠し持つのか。近くで出血して倒れている人を助けるのか、捨て置くのか。すべてはプレーヤーの行動次第で物語が進行していく。

状況を好転させるか、悪化させるかはすべてプレーヤー次第となる

少女を救う、救えないという結果の中にも、様々なパターンがあるようだ

 デモプレイでは、調査をしないまま犯人にプレッシャーをかけ続け、成功確率をひたすら減らし続けるプレイを見せた後、同じシーンをやり直して、調査をある程度行ない、成功確率を上げた状態で交渉に臨んだ場合の2パターンを見られた。

 後者の場合は、銃は持っていないと嘘を通し、それ以外は反乱の理由に同情を寄せて近づいていった。十分に近づいたところで「銃を取り出し」、「素早く撃つ」という行動を判断。瞬間、コナーは犯人の頭を撃ちぬいて、犯人だけがビルから落下していく。少女は犯人のもとを離れ、その安全が確保された。犯人にとっては救いがないが、ミッションは成功……。トレーラーとはまた異なる結果が導き出された。

 「Paris Games Week」ではカーラ、そしてE3 2016ではコナーと、これまでに2人のアンドロイドが発表されたこととなる。調査に特化したコナーの能力はアンドロイドの中でも特殊なものだが、ほかに操作できるアンドロイドにはそれぞれ別の、アンドロイドらしい能力が備わっているそうだ。

 プレイアブルとなるキャラクターが最終的に何人登場するのかは明かされなかったが、各アンドロイドの物語が複雑に絡み合うことで、1つの作品として組み上がっていくのだという。「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」、「BEYOND: Two Souls」に続き、Quantic Dreamらしさが存分に発揮されたタイトルだと確信できるプレゼンだった。発売日程などはアナウンスされていないが、今後の情報発表を心待ちにしたい1作だ。

無残に撃ちぬかれたアンドロイド。彼に感情移入するべきか、しないべきか……