【特別企画】
「電脳戦機バーチャロン」が稼働30周年! ロボットを操縦する夢をアーケードゲームで実現
2025年12月15日 00:00
- 【電脳戦機バーチャロン】
- 1995年12月15日 稼働開始
セガが1995年12月15日に稼働を開始したアーケードゲーム「電脳戦機バーチャロン」が今年生誕30周年を迎えた。公式にはゲームがマスターアップされた11月27日を本作の誕生日と設定しているそうで、今年の同日にはSNSなどでも関係者やファンから祝福のコメントが多数投稿された。
公式の誕生日からは少し遅れてしまったが、本稿では稼働が開始されたこの12月のタイミングで、1995年当時プレーヤーとしてゲーム雑誌の記事を担当していた筆者の記憶や、当時の雑誌記事の内容を元に振り返ろう。
なおゲームのスクリーンショットは「電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995〜2001」に収録された同作から使用している。
シリーズの原点となる「OMG」は、1995年秋のAMショーで鮮烈のデビューを飾る
「電脳戦機バーチャロン」は同名シリーズの第1弾となるアーケードでリリースされた対戦型のロボットアクション。ファンの間では通称「OMG」として親しまれている。
「OMG」とは舞台設定にある「オペレーション・ムーンゲート」の略。本作を語る上では外せない重要なキーワードとなっており、次作以降と区別する際に「OMG」と紹介されることが多く、当時を知るプレーヤーはこの呼び方がしっくり来る方も多いのではないだろうか。
本作では、「バーチャロイド」と呼ばれるロボットがステージの上に2機登場し、それぞれが装備した3種類の武器を使用して、スピード感あふれる1対1のバトルを繰り広げる。
「バーチャファイター」などの対戦格闘と同様、プレイ中の相手への乱入対戦が可能で、登場するバーチャロイドも対戦を意識した設計が施されていた。
コクピットタイプの専用筐体や、ライブモニター機能なども用意されたが、店舗が導入しやすいよう汎用筐体の「バーサスシティ」でも展開された。
筆者が本作と出会ったのは、1995年9月に開催されたアーケードゲームの展示会「第33回アミューズメントマシンショー」でのこと。当時は3Dポリゴンがゲームのグラフィックスにおける最新の表現方法であり、アーケードゲームには家庭用ゲーム機よりも数段ハイスペックな環境が投入されていた。
このときのセガのラインナップは「バーチャコップ2」、「ファイティングバイパーズ」、「マンクスTT」、「スカイターゲット」、「バーチャストライカー」など、後に'90年代アーケードの名作として語られるタイトルが多数出展され、これらはセガの業務用基板「MODEL2」で展開された。
「電脳戦機バーチャロン」もまたMODEL2作品であったわけだが、当時稼働中だった「バーチャファイター2」などとはまったく方向性の異なる、「機動戦士ガンダム」のモビルスーツを思わせる2足歩行のロボットが主役のゲームで、一定の広さのある3Dフィールドを2体のロボットが弾を撃ち合いながら超スピードで走り回っていた。
驚いたのは画面だけでなく、その操作方法である。筐体に備わったコントロールパネルには2本の操縦桿型レバー(ツインスティック)があり、それだけで画面の中のロボットが自在に動き回っている。
ロボットアニメで育った筆者だが、それらの中の操縦桿だけで操作できるロボットの描写には懐疑的だったので、本当にこの操作系で画面に映っているロボットが動いているのかと目を疑った。
操作方法は戦車のそれを参考にしているようで、理に適っている。2本のスティックを倒す方向で前後進、右左折、旋回が行え、両方を外側に倒すとジャンプ、内側に倒すと敵接近時はガード、攻撃時はしゃがみ攻撃、ジャンプ時はジャンプキャンセルが行なえる。
ボタンは4つあるが、親指で押すボタンは共通のダッシュボタンで、トリガーボタンは左右の武器に割り当てられている。
今思い出してみるとこの操作系は、同様に3DCGを採用したナムコのアーケードゲーム「サイバースレッド」に近いが、目視やレーダーで索敵をしながら戦う戦車戦とは性質が大きく異なっている。
画面外の相手の方向は常に矢印で表示されていて、ジャンプかダッシュ攻撃を行えば即座にその方向を向けるので、互いが相手の位置を常に意識できる状況下での戦いが繰り広げられる。
バーチャロイドの武装は左手(LW)と右手(RW)に装備され、該当のトリガーボタンで発射される。また機体を象徴するメイン武装(CW)は両方のトリガーを同時に押して使用する。
1機体につき武装は3種と多くはないが、同じ武装でも通常時、ジャンプ時、前・後ろ・横のダッシュ時、それと攻撃時にのみ行なえるしゃがみと接近時の近接攻撃で、最大で7つの攻撃手段を持っている。
攻撃の性質や硬直時間なども違い、戦況に応じた使い分けが必要で、対戦ゲームとしての駆け引きに繋がる設計が施されていた。
気鋭のメカデザイナー、カトキハジメ氏がデザインを手がけた8体のバーチャロイド
バーチャロイドのメカデザインは、メカデザイナーのカトキハジメ氏が手がけている。書籍化もされた模型誌連載「ガンダムセンチネル」で脚光を浴び、'90年代の「ガンダム」シリーズを始めとするアニメ作品のメカデザインでも活躍を始めていた気鋭のデザイナーが起用されたことは大きなニュースだった。
8体のバーチャロイドは本作の完全オリジナルであり、開発陣のこだわりが要所に反映され、ゲームのキャラクターらしいキャッチーなルックスとカラーでデザインされている。
ヒロイックな主人公機スタイルで扱いやすい「テムジン」、両肩に巨大なレーザー砲を内蔵した重量級の「ライデン」、軍人を思わせる迷彩柄でトンファーを使った接近戦を得意とする「アファームド」、腕を武器として飛ばす「バル・バス・バウ」など個性的な機体が揃う中で、印象深かったのは美少女タイプの「フェイ-イェン」だ。
ツインテールスタイルにハート型のビームを撃ち、移動時はいわゆる“女の子走り”をするなど、見た目にも衝撃的だったが、素早さを生かした戦闘はかなり強く、重量級の機体を使用していた筆者は苦労させられた記憶がある。
機体はどれも設定上の個性が反映されているが、頭部のバイザーと背中のVコンバータのデザインは共通のものだ。前者はセガのVRアトラクション「VR-1」のHMD、後者はセガサターンがモチーフとなり、これらは後のシリーズにも引き継がれている。
稼働後に筆者が使用していたのは主に重量級のベルグドルとライデン、あとは気分でテムジンを使っていた。
特にベルグドルは、頭でっかちで転倒しやすいというクセのある機体で、CWのホーミングミサイルによる遠距離攻撃を主体とする一方で、“漕ぎ”と呼ばれた左右のスティックを斜め前後に交互に入力する特殊な高速移動や、高速で繰り出す近接戦闘のショルダータックルなど、操作における独特の立ち回りが面白く、同じ重量機のライデンの高い製造コストを大幅にカットして生産した結果、中途半端かつ扱いづらい機体になってしまったという哀愁漂うバックストーリーに惹かれ、一番の愛機としていた。
無理はあったが夢もあったセガサターンへの移植。現在は「電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995〜2001」や「龍が如く2 極」でもプレイ可能
稼働が本格的に開始された1995年12月には早くもセガサターンに移植されることが発表され、それから約1年というスパン(1996年11月29日)で発売されている。
セガサターンとMODEL2のハードウェア性能には大きな差があり、完全移植のクオリティには及ばなかったものの、オリジナルのオープニングムービーの収録や画面分割による対戦モード、ダイレクトオーディオによるアーケード版と同じサウンドの再生、隠し機体の追加など、評価できるところも多く、専用のツインスティックが発売されるなど、発売2年目のセガサターンに華を添えている。
モデムによる通信対戦を実現した「電脳戦機バーチャロン FOR SEGANET」も発売されたが、初期投資が必要なうえ、電話回線をダイレクトに相手に接続する通信システムは費用がかさんだため、残念ながらあまり普及はしなかった。
その後はいくつかのシリーズ作品を挟み、11年を経た2007年に「SEGA AGES 2500」版がPS2でリリースされ、ようやくアーケード版とほぼ同等の「OMG」をプレイすることが叶ったのだ。
現在はPS3版「MODEL2 COLLECTION」やPS4版「電脳戦機バーチャロン マスターピース 1995〜2001」が配信中。変わったところでは「龍が如く 極2」のプレイスポットにも登場していて、PS5、Xbox Series X|SやSwitch 2、Steamでもプレイが可能だ。
現在はツインスティックが容易に導入できる状況ではないので、当時と同じ環境でプレイするにはハードルが高いものの、幸いなことに近年のゲーム機のコントローラーはアナログスティックが2本装備されているので、近い感覚でプレイすることはできる。配信中のタイトルはコントローラー向けの設定も用意されているので、そちらでプレイするのもいいだろう。
巨大ロボットを操縦する夢を30年前に叶えてくれた「電脳戦機バーチャロン」。その革新的なゲームデザインやプレイフィールは上記のような形で現在にも受け継がれている。機会があればぜひ、あの月面の戦場へと再び足を運んでいただきたい。
本日『電脳戦機バーチャロン』は誕生から30年を迎えました。長年のご愛顧に深く感謝申し上げます#virtualon#バーチャロンpic.twitter.com/g6Ehw4MbfT
— バーチャロンシリーズ公式 (@vow_2017)November 26, 2025
(C)SEGA CHARACTER DESIGN:KATOKI HAJIME

















































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