【特別企画】
「アストロボット」プレイヤーを迷わせない! テンポよく遊べるレベルデザインのポイント30【CEDEC2025】
2025年7月24日 18:15
- 【CEDEC 2025】
- 会期:7月22日〜7月24日
- 会場:パシフィコ横浜ノース / オンライン
コンピュータエンターテインメント開発者を対象とした、ゲームに関する技術や知識を共有する国内最大級のカンファレンス「CEDEC 2025」にて、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのリードゲームデザイナー・矢徳浩章氏による講演「『アストロボット』 テンポ良く遊べる3Dレベルデザイン」が行なわれた。
本講演では、「アストロボット」のレベルデザインや制作フローが紹介。同作のレベルデザインにおいて意識したポイントを30に分けた講演内容となっている。本稿では、講演の一部をお伝えしていく。
なお、「CEDEC 2025」での講演はオンライン配信も実施されている。リアルタイムで視聴ができなかった人でも、受講登録を済ませている人であればタイムシフト配信を利用可能。タイムシフト配信はセッション終了の後日に公開され、会期終了後でも8月4日10時まで視聴できるので、ぜひ利用していただきたい。
テンポよく遊べる3Dレベルデザイン! 30のポイント
講演で語られたのは、「テンポよく遊べる3Dレベルデザイン」と題した同作を製作するにあたって意識していたポイントを30のポイントに分けたもの。「準備編」「ジオメトリ編」「レイアウト編」「調整編」「ひみつ編」「カメラ編」「考え方編」と大まかに7つの項目に分割して語られた。
「準備編」:何を面白いと感じるか。素材選びから始まるレベルデザイン
「アストロボット」はPS5用コントローラーDualSenseのハプティックフィードバックなどの機能をフルに活用して遊ぶゲーム。「準備編」では、同作のコンセプトを踏まえたうえで、製作において「面白いと感じるもの」を集めチームで意見を出し合い、実際にテストをすることでアイデアを集積したことなどが語られた。
例として挙げられたのは、「R2ボタンでスポンジを絞る」というもの。スポンジの面白さを活かすために出たアイデアが「水を含んで大きくなる」「含んだ水を一気に吹き出す」といったもの。それを踏まえたうえで、マップには水場を用意したり、水をかけたくなるようなものを配置したという。
また、Team ASOBIではレベルデザイナーがマップの製作をするため、大まかな設計図を最初に作ってからは、設計図を作った人自身がテストプレイなどを通して試行錯誤を重ね、臨機応変にマップをブラッシュアップしていたことが明かされた。
「ジオメトリ編」:どこに行くかプレイヤーを迷わせないことが大切
「ジオメトリ編」では、プレイヤーがフィールドを見た際に、目的地までの道のりを迷わないように直感的に進めるような配置について語られた。
例えば、進むべきエリアと遠景で、それぞれ色や形を変えることで「遠景にいけるのでは」といった誤解を生ませない工夫であったり、登れる段差と登れない段差を明確に描き分けるといった工夫も紹介された。
他にも、プレイヤーの移動パスを意識して、障害物や段差については進行方向と直角に交差するように配置することで、直感的に分かるようにしていることも明かされた。
「レイアウト編」:コントローラー操作を意識したオブジェクト配置
「レイアウト編」で語られたのは、テンポよく操作してゲームを進めることを意識してオブジェクトを配置するということ。
移動パスを意識し、進んでいるときに自然と触れられる場所にアイテムを設置するだけでなく、攻撃とジャンプを交互に織り交ぜながら進めるテンポの良さも意識したフィールドのデザインなどが紹介された。
また、大切なもの(ゴール、アイテム、ボスなど)を画面中央に来るように配置することでプレイヤーが次の行動に迷わなくて済むようにしていることや、物理オブジェクトを一カ所にまとめて配置することでプレイヤーが散らかす楽しさを感じられるようにしたという。
「調整編」:テキストで説明せずに遊び方を教える&次の行動を組み立てやすくするのが大事
「調整編」で語られたのは、新しい要素やギミックをテキストベースでの説明を用いずに、プレイヤーに分かりやすく伝えることでゲームのテンポを損なわせない工夫。ギミックなどの新要素を出す際には、その場で試せるようにしていたり、ボス戦のギミックを直前のエリアで先に体感させることで気分を盛り上げつつ、直感的に紹介する手法などが明かされた。
また、フィールドに大きな変化が生まれる時もカットシーンではなく操作できる状態にすることで、操作できない時間を減らし自分がその場にいるという感覚を持たせられるため、キャラクターとプレイヤーの繋がりを意識する上で大切だという。
さらに、プレイヤーが次の行動を計画できるように、次に動く先や倒すべき敵を、少し前に視界に入れたり登場させることで動きに迷いが出ないようにしていたとのこと。これによってゲームプレイのテンポを維持してスムーズに進めるとのことだった。
「ひみつ編」:行けそうな場所にはご褒美を
「ひみつ編」では、隠し要素を配置する上で意識した「サブパスの帰りは楽しくする」や「行けそうな場所にもご褒美を置く」などの工夫が語られた。
隠し要素を配置したサブパスでは、既に攻略した来た道を引き返させるのではなく、本筋に楽しみながら別のルートで戻れるようにすることでゲーム進行中につまらない思いをさせないようにしたという。
さらに、フィールドの行けそうな場所にはコインなどの軽めのご褒美を置くことで探索する楽しさも用意。軽めのアイテムであるコインだけだとしても、入手する際に新たにギミックを追加することでガッカリさせずに楽しませる工夫もしたことが明かされた。
「カメラ編」:カメラ操作なしでもプレイしやすく。場所ごとにカメラの位置を変える
「カメラ編」で語られたのは、カメラワークの工夫によってアクション操作の邪魔になりやすい視点操作を減らす工夫や、同じフィールドの中でも、遊びやすいようにエリアによってカメラの角度などを調整する工夫などについて。
ジャンプなどのアクションを行なう際には視点操作が難しいため、自然と向かう先にカメラが向かうようにすることでアクションの邪魔をせず遊びやすくなるという。
また、ジャンプして穴を飛び越えたりする際には、カメラを少し上から見下ろすような角度にしたり、平らな場所を進む場合などには寝かせるような角度にすることで、周囲の状況が把握しやすくなる工夫を凝らしているようだ。
「考え方編」:チームでテストプレイして意見を出し合い何度も作り直す
「考え方編」では、より面白いゲームを作るために「ロジックだけで考えない」や「何度も作り直す」といった考え方について紹介された。
「ロジックだけで考えない」の例として出たのはエンドロールについて。スタッフの名前や権利表記などの要件を満たせばいいというだけでなく、プレイヤーがスキップしたくならないようにエンドロールでも操作できるようにすることで最後まで楽しませるように工夫したそうだ。
また、「何度も作り直す」として、定期的にチームで集まりランダムに選ばれた人にプレイさせることで、それぞれが「良い点」と「向上させるべき点」を出し合いブラッシュアップに努めたという。
アクションゲームのゲームデザイン、レベルデザインに興味ある人必見。8月4日までタイムシフト視聴実施中
ここまで、CEDEC2025の講演「『アストロボット』 テンポ良く遊べる3Dレベルデザイン」について紹介してきた。同セッションでは2024年に大変な人気となった本作のテンポの良さの秘訣が数多く明らかになった。
講演では、他にも様々な本稿で紹介しきれなかったポイントも聞くことができる。前述した通り「CEDEC2025」のオンラインパスを購入すると、8月4日10時までタイムシフト視聴も可能なため、気になる方はぜひご覧いただきたい。
□「『アストロボット』 テンポ良く遊べる3Dレベルデザイン」のページ
(C)2024 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Team Asobi. Astro Bot is a trademark of Sony Interactive Entertainment LLC.


























































































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