【特別企画】
アーケードゲーム「ムーンクレスタ」が稼働45周年! 自機のドッキングシステムをいち早く導入! 懐かしの名作シューティングをプレイバック
2025年6月14日 00:00
- 【ムーンクレスタ】
- 1980年6月 稼働開始
日本物産が1980年6月に発売したアーケードゲーム「ムーンクレスタ」が、今月2025年6月で稼働45周年を迎えた。
本作は宇宙空間を舞台に、左右の2方向レバーとビーム発射ボタンでロケット(自機)を操作し、敵キャラクターを倒していく、固定画面方式のシューティングゲーム。全5種類の敵編隊を全滅させると1周クリアとなり、より高難度の2周目に突入する。敵に接触、またはドッキング(※詳しくは後述)に失敗するとミスとなり、自機のストックがゼロになるとゲームオーバーになる。
以下、本稿では筆者がゲームセンターで遊んでいた当時の記憶を元に、本作独特の面白さを改めて振り返ってみた。
予測不可能、かつ超高速で動く敵キャラの強烈なインパクト
もう随分昔のことなので正確な日時までは覚えていないが、筆者が本作を初めて見たのは1981年の夏休み。田舎の呉服屋の一角にあったゲームコーナーで、知らない人が遊んでいるところだった。
周囲にあったほかのビデオゲームよりも、モニターのサイズがひと回り大きかったこともあり、敵キャラの種類の多さとトリッキーな動きにまず目を引かれた。画面内を、大きく円を描くように動いたかと思えば、突然向きを変えたり、画面外に消えた直後、中央付近から再度出現したりするなど、その行動はまったくもって予測できなかった。
ほかの誰かが遊んでいるところなのか、それともデモ画面だったのか、これも最初に見たときの記憶がはっきりしないが、後半に出現する敵キャラが、目にも止まらぬスピードにも圧倒された。自分で遊んでいるわけでもないのに、敵が自機に向かって次々と猛スピードで突っ込んできる迫力にも衝撃を受けた。
さらに驚かされたのが、年上の友人が遊んでいる最中に、敵が画面外に逃げ出すと見せかけて、急に反転して自機の後方から体当たりを仕掛けてきたこと。その意表を突き過ぎる動きと恐ろしさにゾッとしたことを、今でも鮮明に覚えている。
本作は、3機の自機が破壊されるとゲームオーバーになるが、3機の性能とデザインがそれぞれ異なっているのも面白かった。1号機は1発ずつしかビームを撃てないせいなのか、誰もがトリッキーに動く敵をなかなか倒せずに長期戦を強いられる印象も受けた。2号機と3号機は、同時に2発ビームが撃てるのでいかにも強そうに見えた一方、サイズが最も大きい3号機で戦うときは、敵の体当たりがかなり避けにくそうに見えたこともおぼろげに記憶している。
初めて見たその日から「面白そう、遊んでみたい!」と思ったが、筆者が本作を最初にプレイしたのはずっと後のこと(※おそらく、親や親戚から「お年玉」をもらった翌82年の正月頃)で、それまではいつも友人のプレイをただ「見ているだけ」だった。なぜなら、その店では1プレイ100円だっため、滅多に小遣いがもらえない当時の筆者にとっては「ぜいたく品」だったからである。
自機のドッキングのカッコよさに大感動
念願かなって、筆者が生まれて初めて本作を遊んだときの感動も今なお忘れ難い。ずっと以前から、他人が遊んでいるところを何回も見ていたにもかかわらず、オープニングのジングルを聞いただけでテンションが上がり、3機の自機が合体した状態で飛来し、1号機が分離する演出もカッコよくてしかたがなかった。
星々が輝く背景も美しく、敵キャラごとに飛行音と、倒したときの爆発音がそれぞれ異なる演出も、子供心にとても感動した。特に3番目に出現する敵キャラ、フォーディを倒したときの独特の甲高い音はとても心地良く、筆者の大のお気に入りだった。
そして本作の名物で、スーパーフライを全滅させた後にプレイできる、自機をドッキングさせる「ボーナスステージ」を初めて遊んだときに、もの凄く緊張したことも思い出深い。
ボーナスステージで、1号機と2号機のドッキング(※途中で1回ミスした場合は、2号機と3号機のドッキング)に成功させると、1号機と2号機のビームの2連射攻撃が可能となる。ボーナスステージに限り、自機には慣性が働くので操作が難しかったが、初挑戦ながらどうにか合体に成功し、まるで自身がテレビのアニメや特撮番組に登場する、合体・変形ロボットを操っているかのような気分になり、本当に嬉しかった。
さらに、ノーミスで2度目のボーナスステージに進み、ここでもドッキングに成功させると3機合体が実現する。3機が合体したときのカッコいい機体のデザインと、3連射ビームが撃てる爽快感の高さも秀逸だった。ただしドッキングが成立するのは、機体を正面(真上)から合体させた場合のみで、横や後方から接触した場合はミスとなり、機体を1機失ってしまう。誤って機体同士を激突させてしまったときには、同時に物悲しいジングルが流れることもあって、そのガッカリ感も凄まじいものがあった。
余談になるが、ドッキングの最中は画面に「レバーとボタンでドッキングせよ」と日本語で説明文が表示されたことも、当時の筆者にとっては新鮮だった。なぜなら、昔のビデオゲームは「PLAYER」「READY」「GAME OVER」など、すべてアルファベット、つまり英語で書かれることが当たり前だったからだ。
まだ幼く、英語がまったく読めなかった当時の筆者にとって、初めてゲームを遊ぶときは、日本語で書かれたインストカード(※筐体に貼り付ける、ゲームの遊び方や料金が書かれた紙)の存在は欠かせなかった。だが、田舎のゲームコーナーや駄菓子屋では、中古品ばかりが使われているせいであろう、筐体にインストカードが貼られていないことも多く、友人やゲームの上手なお兄ちゃんたちのプレイを盗み見してルールを覚えることは日常茶飯事だった。
そんな事情があったので、本作のボーナスステージ、およびハイスコアランキングのデフォルト名(※「日本物産株式会社」と漢字で書かれている)が日本語で表示されるのを見て「珍しいなあ……」と思ったことも、今でもよく覚えている。
もう半世紀近くも前に登場した古い作品だが、本作はハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして、Nintendo SwitchとPS4向けに配信されており、今でも手軽に遊ぶことができる。
弾は一切撃ってこないが、プレイヤーを大いに惑わせるトリッキー、かつスピーディな敵キャラの動きと、ドッキングによる合体攻撃ができる本作ならではの面白さを、ぜひ体験していただきたい。
Switch版「アーケードアーカイブス ムーンクレスタ」のストアページ
PS4版「アーケードアーカイブス ムーンクレスタ」のストアページ
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