【特別企画】

「マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY」発売PRイベントレポート。ウィザーズのマニアックな視点が光る! 相思相愛なガチコラボに期待大

【マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY】
6月13日 発売予定
価格:
スターターキット 1,980円
プレイ・ブースター 23,100円
コレクター・ブースター
統率者デッキ 各7,700円
コレクター版統率者デッキ 各16,500円

 世界的なトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング(以下、「マジック」)」を製造・販売するウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、スクウェア・エニックスが展開するRPG「ファイナルファンタジー」シリーズとのコラボ商品「マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY」の発売PRイベントを本日5月14日に実施した。

 本イベントでは、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストからエグゼクティブ・プロデューサーのザキールズ・ゴードン氏と、スクウェア・エニックス「FINAL FANTASY VII EVERCRISIS」のプロデューサーである市川翔一氏らが登壇。

 6月13日発売予定の「ユニバースビヨンド」シリーズ最新セット「マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY」の一部カードに加え、6月10日発売予定の「Secret Lair x FINAL FANTASY」に収録されるカードなどが発表された。本稿ではメディア向けに開かれた発売PRイベントの様子をお届けしていく。

【FINAL FANTASY | 公式トレーラー | マジック:ザ・ギャザリング】

「マジック」“史上初”のカードタイプも登場!

 今回発売されるコラボ商品「マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY」では、初代「FINAL FANTASY」からナンバリング最新作「FINAL FANTASY XVI」までの世界観を「マジック」に落とし込んでいる。これらは「マジック:ザ・ギャザリング」のカードとして遊ぶことができ、一部のカードを除いて「マジック」で発売された直近のカードだけが使える「スタンダード」でも使用可能となる。

 中でもザキールズ氏はナンバリング10作目「FINAL FANTASY X」に強い思い入れがあるようで、自身に「ファンタジーという世界の扉を開いてくれた」と語る。ザキール氏と共に登壇した市川氏もまた、幼少期の頃「マジック」に触れ、学生生活の中心にあったという。本コラボセットの開発には、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストとスクウェア・エニックスの両社で密なやり取りが交わされており、およそ4〜5年という歳月がかかっているようだ。

 冒頭で発表されたのは6月10日発売予定の「Secret Lair x FINAL FANTASY」から3種類のラインナップだ。最初に紹介された「Secret Lair x FINAL FANTASY:Game Over」では、「FF」シリーズのヴィランを中心としたものになっていた。ケフカ、セフィロス、アルティミシア、シン、アーデンらが登場している。

 次に紹介された「Secret Lair x FINAL FANTASY:Weapons」では、作中で主人公やヒロインたちの冒険を支えた武器にスポットが当たっていた。そして3つ目に紹介された「Secret Lair x FINAL FANTASY:Grimoire」は、シリーズでお馴染みの魔法を取り扱っている。いずれのイラストも「FF」シリーズの名場面だったり、ファンの思い出がよみがえる印象的なシチュエーションだったりがカード化されている。

ケフカが河に毒を流す「FF6」でも印象的なシーンがイラスト化。ドマ城の悲劇がよみがえる……。このネタをカード化したかったのはザキール氏なのだそうだ
「FF7」といえばクラウドとセフィロスの因縁が徐々に掘り下げられていくのも魅力。特にセフィロスはヴィランとしての人気が高く、シリーズを知らなくても知っている人は多いだろう
ティーダの武器と言えばやはりコレ。「FF10」の世界観が持つ南国的な空気感や、海のような水々しさが形になったように思う
こちらはザキール氏のお気に入り。「FF15」の世界ではキーアイテムとなっている「光耀の指輪」の力を駆使しているテイスト

 プロモカードとして発表されたのが「金粉の水蓮」。こちらは「FINAL FANTASY VII」に登場する都市「ミッドガル」の伍番街にあるスラム教会で、ヒロインの1人エアリスが育てていた花をモチーフとしている。市川氏によれば、実はもともと海外向けのプロモカードとして用意されていたのだという。しかし、市川氏の強い要望もあり、日本での展開も実現したようだ。

 本コラボでカード化するのは主人公たちやヴィランだけではない。「FF」シリーズを象徴するチョコボにモーグリ、そして召喚獣もカード化している。イベントで発表されたカード「召喚:リヴァイアサン」は、「マジック」史上初のカードタイプ「英雄譚・クリーチャー」として登場する。リヴァイアサンはほとんどのシリーズで登場している「FF」ファンにとってもお馴染みの召喚獣だ。他のコラボカードと同様、原作を意識したカード効果になっているようで、“FFの召喚獣らしく”カード化している。

 さらに「FINAL FANTASY・継承史カード」として、シリーズの名場面などもカードに。「マジック」の既存プレイヤーだけではなく、「FF」シリーズファンにとっても、コレクション性の高いアイテムとして所有欲を満たしてくれそうだ。

「FF9」に登場するチョコボこと「チョコ」。てっきり「FF5」の「ボコ」を発表するのかと思っていたが、あえてチョコを選ぶ辺りが実にマニアックな視点だ
海外でも特に人気が高いことで有名な「FF6」の場面から。ドット絵のゲームをカードイラスト化するのにも苦労があったそうだ
シリーズでは軒並み強力な召喚獣の1体として描かれることが多いリヴァイアサン。他の召喚獣たちにも期待が高まる……!
名場面にフォーカスした「FINAL FANTASY・継承史カード」
こちらは野村哲也氏による描き下ろしプロモカード。6月27日〜29日にかけて幕張メッセで開催の「マジック・スポットライト・シリーズ」にて贈呈される

 イベント後半では、「FF」シリーズに携わってきたスクウェア・エニックスのアーティスト、板鼻利幸氏と松田俊孝氏がステージに登壇し、2人が描きおろしたカードがそれぞれ発表された。板鼻氏は「迷える黒魔道士、ビビ」を担当し、松田氏は「苦悩の竜騎士、カイン」を担当している。

 板鼻氏によると、ビビのカードイラストは当初、戦闘中のものをイメージしていたが「ビビってこんなにアグレッシブだったかな?」と、自身で疑問に感じたのだそうだ。悩んだ末に「ブリ虫に驚いて魔法を放った」といった物語性を付けたところで、絵の完成イメージが見え、それがカードイラストになったと明かしている。ザキール氏はこのイラストを見て、ウィザーズに在籍するアートチームメンバーたちと驚いたのだという。

 カインについては、松田氏としてもカインがお気に入りのキャラクターであるとしており、イラストのモチーフは竜騎士の技「ジャンプ」をイメージしたそうだ。作中でジャンプは、使うと一時的に戦闘から離脱し、数ターン後に落下攻撃を行なうという技だが、ジャンプ中に見えている景色を自分なりにイラスト化したとしていた。

板鼻氏は「チョコボの不思議なダンジョン」「ファイナルファンタジーIX」「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」などに参加
「FF9」の世界……に限らず、(元ネタは)現実でも嫌われているあの虫「ブリ虫」に驚いて魔法を放つというシチュエーション
松田氏は「ファイナルファンタジーIX」「ファイナルファンタジーX-2」「ファイナルファンタジーX」「キングダムハーツ」「FFTCG」などに携わる
カード効果はやっぱり作中のアレを意識。このカード効果を提案されたとき、市川氏は「マジック」のルール的に難しいのではないかと感じたようだが、ウィザーズに力説されたそうである
会場で配られていたキャラメル
優勝トロフィーが展示
イベントのオープニングは「FINAL FANTASY XIII」から「閃光」が生演奏された
エンディングは「FINAL FANTASY V」から「ビッグブリッヂの死闘」、「FINAL FANTASY III」から「悠久の風」
会場の入り口にはクラウドとセフィロスのパネルが設置

 「マジック」は過去にも他社との外部IPコラボを行なってきた。今回はスクウェア・エニックスが打ち出す「FF」シリーズとのコラボレーションということで、これまで「マジック」に触れてこなかった「FF」ファン、あるいは「FF」シリーズに触れてこなかった「マジック」ユーザーの両者にとって、コラボ先の作品に触れることができるまたとない機会だろう。

 「FF」シリーズはナンバリング作品以外にもスピンオフ作品が充実しているが、本コラボで大きく賑わいを見せることができれば、今後そうした作品群とのコラボにも期待できる……かもしれない。いち「FF」ファンとしても、発売後の反響が気になるところだ。