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【スト6】「CAPCOM CUP11」決勝レポート! リュウ使いBlaz選手の快進撃に公式全国大会始まりの地、両国国技館が興奮の坩堝と化す!!

1度の敗北も許されないルーザーズ。印象に残った試合をピックアップ解説!

 ここからは、筆者の印象に残った一部の試合をピックアップして紹介する。紹介しなかった試合も見どころ充分なので、興味がある方は是非配信アーカイブを追いかけてもらいたい。

ルーザーズROUND1 MenaRD選手 VS Xian選手

 MenaRD選手は、「ストリートファイター5」時代から頻繁に世界最強にも挙げられる強豪プレイヤー。多くのキャラクターを自由に操れる「手札」の多さも特徴だ。ディージェイを愛用しているXian選手に対し、Mena選手が何のキャラクターを選ぶのか、第1試合のキャラが判明する場面が楽しみな組み合わせだった。

 そして彼が選択したのは本作の主人公、ルーク。印象的だったのはルークの強力なジャンプ攻撃を多用していたことだ。ジャンプ強パンチ攻撃「ガンメタルハンマー」がディージェイには対処されづらいことを活かし、執拗にジャンプ攻撃を行なっていた。

 その動きが効果覿面で、1試合目は2ラウンド連取でMena選手が制す。2試合目でもこの巧みな空中戦を展開し、ディージェイの対空の要であるジャックナイフマキシマムを使えないタイミングを見計らっては飛び込むよう立ち回っていた。だが、Xian選手も徐々にこの動きへ対応し2試合目を制す。

 Xian選手の対策の兆しが見えたものの、Mena選手はルークの使用を続行。ルークの飛び込みをどういなすかがテーマなのは変わらないが、Xian選手の対応の幅が徐々に増えていった。ジャンプ攻撃を用いて地上VS空中ではなく空中VS空中にして大ダメージを受ける機会を減らしたり、しゃがみ強キックによる対空を試みるなど変化が見られた。

 3試合目終了後、Mena選手がキャラクターセレクト画面へ移行する操作を行ったのでキャラクターの変更も考えられたが、ルークの続投を選択。互いに2試合ずつ勝利したことで最終試合までもつれ込む。

 ここでは1ラウンド目にお互いにバーンアウト状態をしのいで、相手をバーンアウトさせ、再びバーンアウト時間を凌ぎ切るというハイレベルな防御戦が行なわれた。1ラウンド目を先取され、対空からの投げを主軸にした攻めで土俵際まで追い詰められるも粘るルーク。しかし、最後はドライブラッシュからの攻撃を被弾して万事休す。

 最初はジャンプ攻撃を地上で迎撃することに苦戦していたXian選手のディージェイが、徐々に対策のカードを増やしていったことが勝負の転換点となった試合。ジャンプの軌道を読んで前進、ルークの真下をくぐり抜けてから対処するという、「攻撃はしないで移動することも対空」ということも格闘ゲームにはある、ということに視野を向けてみると観戦の面白さが増す試合だった。

基本的にディージェイの主力対空であるジャックナイフマキシマムが使えない場合は、この4大Kでの対空が基本となる。しかし、これ1つではMena選手の巧みな距離調整を組み合わせた空中戦には対応しきれないので、手を変え品を変えと様々な対応を行なっていた。1試合目と3試合目以降の両者の動きの変化に注目

ルーザーズROUND2 Takamura選手 VS シュート選手

 次に紹介するのは、他タイトルでは世界最強候補にも挙げられる中国の猛者Xiaohai選手のベガをルーザーズROUND1にて撃破したシュート選手。そして本日の1試合目でアグレッシブな攻めを展開するもブレーキを手に入れたと評されたNoah選手のルークに敗れてルーザーズへ移ったTakamura選手の道着使い同士の対決だ。

 シュート選手は高い差し返しスキルが印象的だった。ROUND1では反応速度の速さに定評があるXiaohai選手のお株を奪うような反応と絶妙な距離調整が光り、空振りした攻撃に対してしっかり連続技を決めて着実にダメージを与えるハイレベルな地上戦を繰り広げていたので、こちらの試合の視聴もおすすめしたい。

 この対戦でもシュート選手の地上戦スキルがいきなり輝き、1試合目ではそのペースを保ち1本先制。

 しかし、次の試合からは攻めの勢いを切らさないTakamura選手が躍動する。2試合目は前のめりにドライブゲージを使い切る猛攻を仕掛け、ド派手な打撃戦を繰り広げた。特に2試合目1ラウンド終盤、シュート選手から仕掛けたドライブインパクトが何度も放たれるするシーンの攻防は瞬き厳禁だ。

多少アクセルを踏みすぎたか、多少怪しいミスが見えたTakamura選手のケン。しかし、反撃を受けるぐらいならとOD波動拳などを用いてリスクを軽減していた

 また、前の試合ではシュート選手が投げを意識させての垂直ジャンプ攻撃による投げ抜け狩りが痛手となったが、同じシチュエーションが発生した際には直ぐには投げ抜けをせず飛び上がった豪鬼を視認してからCAでの対空! 同じ徹は踏まないぞというメッセージ性の強い反撃を決めていた。2,3試合目はTakamura選手が連取、勝利へリーチをかけた。

 もう後がないシュート選手。しかしここで逆転劇を起こしたのは選手入場時に彼がモーションのモノマネをした豪鬼の代名詞的な技、瞬獄殺であった。この技でTakamura選手のケンをKOするには至らなかったが、この技が決まったことでバーンアウトを中のケンに大きなダメージを与えることに成功。さらに追撃の手を緩めず、最後は起き上がりにOD版豪波動拳で削りKO。両者の決着は5試合目に持ち越された!

入場時にモノマネをしていた瞬獄殺ポーズ。この修羅の技が彼の修羅場を凌ぎ切る起死回生の一手となった!!

 最終戦では相手の攻撃をどう切り返すか? がキーとなった。1試合目ではTakamura選手がOD豪昇竜拳をガードして一歩リード。次のラウンドでシュート選手は絶体絶命と思われたが、バックジャンプとほぼ同時に放った空中弱パンチでKO。

 Takamura選手の残り体力を計算し、攻守を兼ねたクレバーな一撃で決着は最終ラウンドへ! 最終ラウンドでは1ラウンド目のお返しとばかりに無敵技による反撃を見切り、最後に立っていたのは豪鬼だった!

Xiaohai選手に続き紙一重の死闘を制したシュート選手は感情を爆発させ吠える!! 国技館の観客もその咆哮に熱狂していた

ウィナーズセミファイナル Leshar選手 VS Juicyjoe選手

 ウィナーズブロックからはセミファイナルの2試合目を紹介する。ふ~ど選手とのエドミラーマッチを制したLeshar選手と、巧みな設置技を軸にAngryBird選手を退けたJuicyjoe選手の対決だ。

 JPはお互いのキャラが画面端と画面端に位置するような超遠距離戦を展開したいが、エドはその展開をどう防ぎ、試合運びしやすい近・中距離戦に持ち込めるのか? という所がポイントとなりそうなマッチアップだ。

 筆者はJPと相対した場合、あまり自分から距離を離さない。距離が離れるときはJPに迎撃されたときのみで、基本前へ前へと踏み出していく。だが、Leshar選手のJP対策には後退して距離を取ることが含まれており、最先端の攻略を見た気がした。

 ドライブゲージが潤沢な際はそれを消費して行なえる行動を軸にJPとの距離を詰めたり、猛攻を仕掛けてダメージを奪う。そしてある程度ダメージを与えたらJPとの距離を離していく。こうすることで、バーンアウト状態の相手へ体力を奪う手段が強力なJPの試合展開になることを防ぐ。そして後退しつつ攻め込むのに充分なドライブゲージが確保されるまで機を伺う、というJP対策の後退のように見受けられた。

 また、ウィナーズでAngryBird選手との対戦で機能したJPのヴィーハトへの対応も光っていた。ヴィーハトが発動したら即座に守りを固め、空間が消滅するまで耐える。また、空間が2つ設置されるため通常版より多彩な行動が可能になるOD版ヴィーハトに対しては、2つの空間の攻撃範囲内からは速やかに移動し、1つの空間しか機能しない位置からドライブインパクトでJPがヴィーハトとの波状攻撃を仕掛ける場面を狙い撃ちするという高度なキャラクター対策を見せていた。

1試合目に続きヴィーハトというマジックを巧みに操るJuicyjoe選手、その魔術に立ち向かうLeshar選手の攻防は必見。Leshar選手が勝てばウィナーズファイナルで待ち受けるは翔選手とのJP2連戦。Juicyjoe選手が勝てば魔術師とプリンスのJPミラー対決が行なわれることとなる運命の1戦は要注目だ!!