【特別企画】
瑞起「X68000 Z SUPER/XVI」詳報。SCSIやMIDI機器の直接接続に期待!
2025年2月7日 12:53
- 【X68000 Z SUPER/X68000 Z XVI】
- 2月6日 正式発表
- 価格 X68000 Z SUPER:59,800円
- X68000 Z SUPER/XVIカスタムキット付き:74,800円
- X68000 Z SUPER&X68000 Z XVI 2台セット:129,800円
- アルミ削り出しプレミアム筐体 X68000 Z SUPER&X68000 Z XVI 2台セット:680,000円
瑞起は2月6日、同社が定期的に配信している「Z-CLUB 部室放送」にて、パーソナルワークステーション「X68000」シリーズの復刻モデルとなる「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」を発表した。
2月4日に「X68000 Z2」として予告動画が公開されていたが、その正体は「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」とまさかの2モデル構成であることが明らかになった。本稿では生配信で明らかになった情報を中心に「X68000 Z SUPER/XVI」のハードウェア・ソフトウェア、そして販売情報を詳しく解説していこう。
「X68000 Z SUPER」はMIDI&SCSIポート搭載! ユニットを入れ替えて「X68000 Z XVI」に変身
そもそもオリジナルの「X68000」は、1987年にシャープが発売したパーソナルワークステーション。同時代に発売されていた他メーカーのパソコンとは比べものにならないほど破格のスペックを持ち、他機種を使用していたユーザーから羨望のまなざしで見つめられた、まさに夢を実現させてくれた名ハードだった。
マンハッタンシェイプと呼ばれるツインタワーのデザインが特徴的な「X68000」シリーズは、1987年の初代機「X68000」を皮切りに「ACE」、「EXPERT」、「PRO」、「EXPERT II」、「PRO II」、「SUPER」、「XVI」、「Compact」、「X68030」、「X68030 Compact」が発売された。これらの他にもHDDを搭載したバリエーションモデルや他社の改造品、OEM品も販売されているが、基本的にはこの11機種となる。
2023年9月に発売された「X68000 Z」は初代「X68000」の復刻モデルで、同梱ソフトだけでなく「X68000 Z」上でプログラムを組んだり、実際に当時の「X68000」のプログラムを動かすこともできた。今回発表された「X68000 Z SUPER」と「X68000 Z XVI」は、この「X68000 Z」のバリエーションモデルとなる。
「X68000 Z SUPER」はその名の通り「X68000 SUPER」がモデルだ。スペックはSoCに「Z7213(Quad-core Cortex A7アーキテクチャ/Mali-400 GPUを採用したARMベース)」を搭載しており、512MBのDDR3メモリを内蔵。通信環境として「Z」にはなかったWi-Fiを載せたほか、電源はUSB Type-C 20V 3.25A(65W)になっている。カラーはチタンブラックだ。
用意されているインターフェイスは、SDカードスロット×2、USB2.0 Type-A×6(前面×1、背面×5)、HDMI×1、UART×1、MIDI×3、SCSI×1、いわゆるジョイスティックポートのD-Sub×2(前面×1、背面×1)、イヤフォンジャック×1となっている。重量は約700g~900gとまだ未確定のようだ。
さらに、Nano ITXサイズのマザーボードも搭載可能となり、これによりWindowsとのダブルブートを実現。なお、これらの要素によってサイズは現行の「Z」から約1.5倍ほど大きくなり、高さと幅、奥行きがそれぞれ226mm×97mm×169mmへと大型化した。
スペックを見ると、CPUやメモリといった基本的な仕様は「X68000 Z」と同じなので、「X68000 Z SUPER」は筐体サイズが大きくなりインターフェイスがより充実した「Z」と言えるだろう。
「X68000 Z XVI」はやはり「X68000 XVI」がモデルとなる。スペックはSoCに「Octa-Core Arm Cortex-A55 up to 2.0GHz, RISC-V up to 200MHz, Mali-G57(型番非公開)」を採用し、メモリは1GBのDDR4を搭載。インターフェイスや本体サイズは「Z SUPER」と同一となっている。こちらは「Z」や「Z SUPER」と比較して、CPUやメモリが大きくパワーアップしているのがわかるだろう。これにより、重い作業をさせても従来機種よりサクサク動くようになるようだ。
ちなみに「Z XVI」は、基本的に「Z SUPER」の“交換用基板”として提供される。要するに「X68000 Z XVI」単体では販売されず、「X68000 Z SUPER」から基盤とフロントユニットを交換することで「X68000 Z XVI」に変身するというわけだ。もちろん「Z XVI」のフロントユニットには、「XVI」仕様のフロントパネルと青色の電源スイッチ、RESETボタン、INTERRUPTボタン、クロック切り替えスイッチが一体となった天板が付属する。
「X68000 Z SUPER/XVI」はクラファン限定! 価格は59,800円~
今回発表された「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」は、「X68000 Z」と同じくクラウドファンディングサイト・kibidangoにて支援を募る。期間は2月8日の19時より2月27日の23時59分まで。目標金額は前回と同額の3,300万円となる。
気になる価格だが、クラウドファンディング実施時点で「X68000 Z SUPER」が59,800円、「X68000 Z SUPER/XVIカスタムキット付き」が74,800円となり、こちらはクレジットに名前が掲載される特典が付属する。また「X68000 Z SUPER」&「X68000 Z XVI(完成品)」2台セットは129,800円。さらに、アルミ削り出しのプレミアム筐体を採用した「X68000 Z SUPER」&「X68000 Z XVI(完成品)」2台セットは、68万円という驚きの価格で用意されている。
いずれの製品も、システムディスクver.3.02のSDカードとD-Subジョイカードが付属し、クラウドファンディングが成功すれば2025年の秋頃に発送予定だ。
上記4種類のクラウドファンディングに参加すれば、追加オプションとして「D-Sub ジョイカード」を6,800円、「Nano ITX Intel n305 マザーボード単品(RAM8GB/SSD256GB)」を49,500円、「Nano ITX Intel Core i5-12450H マザーボード単品(RAM16GB/SSD512GB)」を64,000円でそれぞれ購入できる。ただし、Nano ITXマザーにはOSが付属しないため別途用意する必要がある。
なお、今回の「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」に関してはクラウドファンディング限定で、「Z」のような一般販売は一切行わないことが生配信でアナウンスされた。
「X68000 Z SUPER/XVI」の目玉はSCSI! 当時溜め込んだファイルをそのまま持ってこられるか
「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」で特に注目すべきポイントは「SCSI」ポートを搭載した点だろう。これにより当時のHDDやMOを直接接続することができるようになるため、当時溜め込んだデータやパソコン通信ホスト局からダウンロードしたファイル、同人ソフトなどを直接「X68000 Z SUPER/XVI」のSDカードへと持ってくることが可能となっていると思われる。
ただし、残念ながらSCSI端子の形状までは公開されなかったので、どのようなケーブルを用意すればいいのか?という部分に関しては発表まで待つ必要がある。また、どのような機器が繋げられるのかも現時点では不明。SCSIで接続できるハードは、HDDやMOドライブだけでなくスキャナ、ZIPドライブ、CD-ROMドライブなど多岐にわたるため、何に対応するのかも公式のアナウンスを待ちたい。
また新たにMIDIポートが用意されたため、より使い勝手が良くなったのも嬉しい追加仕様だろう。「X68000 Z」では、有志によるUARTポートに接続するMIDIインターフェイスユニットなどが一部で出回っていたが、カジュアルに扱うには敷居が少々高かったのは否めない。
しかし「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」ではMIDI IN、MIDI OUT、MIDI THROUGHの各ポートが用意されたことで、同時代に一世を風靡したMIDI機器であるRoland「CM-64」や「SC-55mkII」、さらにはYAMAHA「MU80」などを直接接続することができるようになるだろう。
対応ゲームであればMIDIでBGMを鳴らせるほか、演奏用ソフトと楽曲データ、演奏ドライバが用意できれば楽曲鑑賞も問題なく楽しめそうだ。なお、MIDIポートの搭載理由については、やはり「オールインワンでできるようにして欲しい」というユーザーからの要望が多かったからと生配信で明かされた。
既発売のソフトとの互換性は維持。Windowsとのシームレスなファイル交換にも期待
2月6日の生配信はハード面の発表がメインだったが、本体に内蔵されたソフトの仕様についても軽く触れられた。ゲームランチャー側は、汎用エミュレータとの行き来がしやすくなったほか、ネットワークに対応したことで本体アップデートやゲームアップデートがより簡単にできるようになる。そのほかにもWindowsとのシームレスなファイル交換ができる仕組みも計画していると発表された。
汎用エミュレータ側も、瑞起公式エミュレータとハッカーズエミュレータから選択できるようにするとのこと。また、両エミュレータともアップデートは継続していくそうなので、今後どのように発展していくのか期待したい。
気になる既発売ソフトとの互換性は維持されることが明らかになった。ただし、ネットワーク対応のゲームが「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」用として発売された場合、「X68000 Z」では対応できないと公式発表があった。
期間は3週間と短め! 2月8日19時からのクラファンを見逃すな!
今回のクラウドファンディングで用意されたのは、いずれも本体とジョイカード、システムディスクのみで、キーボードやマウスは付属しない。そのため製品が届いたらUSB接続のキーボードとマウスを自分で用意する必要がある。もちろん1,000円以下で調達できる安物でも良いが、本稿執筆時点で「X68000 Z キーボード」や「X68000 Z マウス」が購入可能なので、それらを用意しておけば、製品を使うときの感動の度合が大きく変わってくるだろう。
なお「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」のクラウドファンディングは、「X68000 Z」の時とは違い3週間弱と短い期間になっている。購入を考えている人は、2月8日19時よりスタートするため忘れないようにしておこう。
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「X68000」はシャープ株式会社の登録商標です。株式会社瑞起が許諾を得て本商品に使用しています。