【特別企画】

瑞起「X68000 Z SUPER/XVI」詳報。SCSIやMIDI機器の直接接続に期待!

【X68000 Z SUPER/X68000 Z XVI】

2月6日 正式発表

価格  X68000 Z SUPER:59,800円

X68000 Z SUPER/XVIカスタムキット付き:74,800円
X68000 Z SUPER&X68000 Z XVI 2台セット:129,800円
アルミ削り出しプレミアム筐体 X68000 Z SUPER&X68000 Z XVI 2台セット:680,000円

 瑞起は2月6日、同社が定期的に配信している「Z-CLUB 部室放送」にて、パーソナルワークステーション「X68000」シリーズの復刻モデルとなる「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」を発表した。

 2月4日に「X68000 Z2」として予告動画が公開されていたが、その正体は「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」とまさかの2モデル構成であることが明らかになった。本稿では生配信で明らかになった情報を中心に「X68000 Z SUPER/XVI」のハードウェア・ソフトウェア、そして販売情報を詳しく解説していこう。

【Z-CLUB 部室放送 第64回 X68000 Z2プロジェクト詳細大発表!! の回】

「X68000 Z SUPER」はMIDI&SCSIポート搭載! ユニットを入れ替えて「X68000 Z XVI」に変身

 そもそもオリジナルの「X68000」は、1987年にシャープが発売したパーソナルワークステーション。同時代に発売されていた他メーカーのパソコンとは比べものにならないほど破格のスペックを持ち、他機種を使用していたユーザーから羨望のまなざしで見つめられた、まさに夢を実現させてくれた名ハードだった。

 マンハッタンシェイプと呼ばれるツインタワーのデザインが特徴的な「X68000」シリーズは、1987年の初代機「X68000」を皮切りに「ACE」、「EXPERT」、「PRO」、「EXPERT II」、「PRO II」、「SUPER」、「XVI」、「Compact」、「X68030」、「X68030 Compact」が発売された。これらの他にもHDDを搭載したバリエーションモデルや他社の改造品、OEM品も販売されているが、基本的にはこの11機種となる。

これは、1987年3月に発売された初代X68000。当時としては斬新なツインタワーのデザインと卓越したスペックで、数多くのユーザーを虜にした。

 2023年9月に発売された「X68000 Z」は初代「X68000」の復刻モデルで、同梱ソフトだけでなく「X68000 Z」上でプログラムを組んだり、実際に当時の「X68000」のプログラムを動かすこともできた。今回発表された「X68000 Z SUPER」と「X68000 Z XVI」は、この「X68000 Z」のバリエーションモデルとなる。

 「X68000 Z SUPER」はその名の通り「X68000 SUPER」がモデルだ。スペックはSoCに「Z7213(Quad-core Cortex A7アーキテクチャ/Mali-400 GPUを採用したARMベース)」を搭載しており、512MBのDDR3メモリを内蔵。通信環境として「Z」にはなかったWi-Fiを載せたほか、電源はUSB Type-C 20V 3.25A(65W)になっている。カラーはチタンブラックだ。

 用意されているインターフェイスは、SDカードスロット×2、USB2.0 Type-A×6(前面×1、背面×5)、HDMI×1、UART×1、MIDI×3、SCSI×1、いわゆるジョイスティックポートのD-Sub×2(前面×1、背面×1)、イヤフォンジャック×1となっている。重量は約700g~900gとまだ未確定のようだ。

正面のインターフェイス。「Z」と同じくキーボード&マウスポートは飾りだが、取り外しができるようになり、外すとUSBポートが現れるギミックが仕掛けられている。同様に「Z」では飾りだった正面のD-Subポートは、実際に対応機器を挿して使えるようになった。
背面のインターフェイス。SCSIやMIDIポートが目を引く

 さらに、Nano ITXサイズのマザーボードも搭載可能となり、これによりWindowsとのダブルブートを実現。なお、これらの要素によってサイズは現行の「Z」から約1.5倍ほど大きくなり、高さと幅、奥行きがそれぞれ226mm×97mm×169mmへと大型化した。

 スペックを見ると、CPUやメモリといった基本的な仕様は「X68000 Z」と同じなので、「X68000 Z SUPER」は筐体サイズが大きくなりインターフェイスがより充実した「Z」と言えるだろう。

「X68000 Z SUPER」のメインボードとは別に、Nano ITXマザーボードを搭載可能。これによってWindowsとのダブルブートが可能になった
サイズは226mm×97mm×169mmへと大型化
「Z(左)」と比較するとその大きさが分かるだろう。それでも重量は1.5倍ほどになるとのことで、そこまで巨大というわけでは無さそうだ。

 「X68000 Z XVI」はやはり「X68000 XVI」がモデルとなる。スペックはSoCに「Octa-Core Arm Cortex-A55 up to 2.0GHz, RISC-V up to 200MHz, Mali-G57(型番非公開)」を採用し、メモリは1GBのDDR4を搭載。インターフェイスや本体サイズは「Z SUPER」と同一となっている。こちらは「Z」や「Z SUPER」と比較して、CPUやメモリが大きくパワーアップしているのがわかるだろう。これにより、重い作業をさせても従来機種よりサクサク動くようになるようだ。

 ちなみに「Z XVI」は、基本的に「Z SUPER」の“交換用基板”として提供される。要するに「X68000 Z XVI」単体では販売されず、「X68000 Z SUPER」から基盤とフロントユニットを交換することで「X68000 Z XVI」に変身するというわけだ。もちろん「Z XVI」のフロントユニットには、「XVI」仕様のフロントパネルと青色の電源スイッチ、RESETボタン、INTERRUPTボタン、クロック切り替えスイッチが一体となった天板が付属する。

「Z」との比較表を見ると、「Z XVI」のスペックが頭一つ飛び抜けているのが判別できる。
フロントユニットとメインボードが換装用として用意されている。これらを交換することで、「Z SUPER」が「Z XVI」となる仕組みだ。側面カバーには実機のXVI同様「POWER TO MAKE YOUR DREAM COME TRUE」の文字が見られる。

「X68000 Z SUPER/XVI」はクラファン限定! 価格は59,800円~

 今回発表された「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」は、「X68000 Z」と同じくクラウドファンディングサイト・kibidangoにて支援を募る。期間は2月8日の19時より2月27日の23時59分まで。目標金額は前回と同額の3,300万円となる。

 気になる価格だが、クラウドファンディング実施時点で「X68000 Z SUPER」が59,800円、「X68000 Z SUPER/XVIカスタムキット付き」が74,800円となり、こちらはクレジットに名前が掲載される特典が付属する。また「X68000 Z SUPER」&「X68000 Z XVI(完成品)」2台セットは129,800円。さらに、アルミ削り出しのプレミアム筐体を採用した「X68000 Z SUPER」&「X68000 Z XVI(完成品)」2台セットは、68万円という驚きの価格で用意されている。

 いずれの製品も、システムディスクver.3.02のSDカードとD-Subジョイカードが付属し、クラウドファンディングが成功すれば2025年の秋頃に発送予定だ。

【「X68000 Z2」のラインナップ(4種)】
「X68000 Z SUPER」単体は59,800円。「Z XVI」への交換ユニットは付属しないため注意が必要
「Z XVI」交換ユニットが付属するキットは74,800円
「Z SUPER」と「Z XVI」のセットは129,800円
特別な「アルミ削り出しプレミアム筐体プラン」には、クレジットに名前が掲載されるだけでなく限定プレートにメッセージが刻印される特典も付く。価格は驚きの680,000円だ

 上記4種類のクラウドファンディングに参加すれば、追加オプションとして「D-Sub ジョイカード」を6,800円、「Nano ITX Intel n305 マザーボード単品(RAM8GB/SSD256GB)」を49,500円、「Nano ITX Intel Core i5-12450H マザーボード単品(RAM16GB/SSD512GB)」を64,000円でそれぞれ購入できる。ただし、Nano ITXマザーにはOSが付属しないため別途用意する必要がある。

 なお、今回の「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」に関してはクラウドファンディング限定で、「Z」のような一般販売は一切行わないことが生配信でアナウンスされた。

これらの追加オプションは、「Z2」のクラウドファンディングに参加した人のみが購入可能。ちなみにジョイカードは、いわゆるジョイスティックポートを備えているハードであればどれでも使えるので、80年代に流通していたパソコンを所有している人なら、繋いで使用することも可能だ。

「X68000 Z SUPER/XVI」の目玉はSCSI! 当時溜め込んだファイルをそのまま持ってこられるか

 「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」で特に注目すべきポイントは「SCSI」ポートを搭載した点だろう。これにより当時のHDDやMOを直接接続することができるようになるため、当時溜め込んだデータやパソコン通信ホスト局からダウンロードしたファイル、同人ソフトなどを直接「X68000 Z SUPER/XVI」のSDカードへと持ってくることが可能となっていると思われる。

 ただし、残念ながらSCSI端子の形状までは公開されなかったので、どのようなケーブルを用意すればいいのか?という部分に関しては発表まで待つ必要がある。また、どのような機器が繋げられるのかも現時点では不明。SCSIで接続できるハードは、HDDやMOドライブだけでなくスキャナ、ZIPドライブ、CD-ROMドライブなど多岐にわたるため、何に対応するのかも公式のアナウンスを待ちたい。

この時代のHDDやMOといった記録装置は、採用しているインタフェースがSCSIのものがほとんど。しかも、接続端子の規格が複数存在したため、実際につなぐとなると変換コネクタを用意しなければならない
しかし、これらの資産を活かそうとすればSCSIポートが用意されたハードが必須となる。そういう意味では、もろ手を上げて歓迎する部分だろう。

 また新たにMIDIポートが用意されたため、より使い勝手が良くなったのも嬉しい追加仕様だろう。「X68000 Z」では、有志によるUARTポートに接続するMIDIインターフェイスユニットなどが一部で出回っていたが、カジュアルに扱うには敷居が少々高かったのは否めない。

 しかし「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」ではMIDI IN、MIDI OUT、MIDI THROUGHの各ポートが用意されたことで、同時代に一世を風靡したMIDI機器であるRoland「CM-64」や「SC-55mkII」、さらにはYAMAHA「MU80」などを直接接続することができるようになるだろう。

 対応ゲームであればMIDIでBGMを鳴らせるほか、演奏用ソフトと楽曲データ、演奏ドライバが用意できれば楽曲鑑賞も問題なく楽しめそうだ。なお、MIDIポートの搭載理由については、やはり「オールインワンでできるようにして欲しい」というユーザーからの要望が多かったからと生配信で明かされた。

MIDIに関しては、MIDIボードエミュレーション機能を搭載して、入出力切り替えができるようにすることを予定している。これらの機能は、アップデートにて随時提供していくとのことだ。

既発売のソフトとの互換性は維持。Windowsとのシームレスなファイル交換にも期待

 2月6日の生配信はハード面の発表がメインだったが、本体に内蔵されたソフトの仕様についても軽く触れられた。ゲームランチャー側は、汎用エミュレータとの行き来がしやすくなったほか、ネットワークに対応したことで本体アップデートやゲームアップデートがより簡単にできるようになる。そのほかにもWindowsとのシームレスなファイル交換ができる仕組みも計画していると発表された。

 汎用エミュレータ側も、瑞起公式エミュレータとハッカーズエミュレータから選択できるようにするとのこと。また、両エミュレータともアップデートは継続していくそうなので、今後どのように発展していくのか期待したい。

さまざまなことが計画されているが、リソースの限界などもあるため、新機能はアップデートで少しずつ提供していくとのこと。

 気になる既発売ソフトとの互換性は維持されることが明らかになった。ただし、ネットワーク対応のゲームが「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」用として発売された場合、「X68000 Z」では対応できないと公式発表があった。

これらのタイトルは、「Z2」でも問題なく動くとのこと。

期間は3週間と短め! 2月8日19時からのクラファンを見逃すな!

 今回のクラウドファンディングで用意されたのは、いずれも本体とジョイカード、システムディスクのみで、キーボードやマウスは付属しない。そのため製品が届いたらUSB接続のキーボードとマウスを自分で用意する必要がある。もちろん1,000円以下で調達できる安物でも良いが、本稿執筆時点で「X68000 Z キーボード」や「X68000 Z マウス」が購入可能なので、それらを用意しておけば、製品を使うときの感動の度合が大きく変わってくるだろう。

 なお「X68000 Z SUPER」および「X68000 Z XVI」のクラウドファンディングは、「X68000 Z」の時とは違い3週間弱と短い期間になっている。購入を考えている人は、2月8日19時よりスタートするため忘れないようにしておこう。