【特別企画】
スト6「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN Regional Finals パブリックビューイング」レポート
「CAPCOM CUP 11」最後の出場権はふ~ど選手の手に!
2025年1月20日 20:39
- 【「CAPCOM Pro Tour 2024 ワールドウォリアー」日本大会 地域決勝大会】
- 1月19日 開催
- 会場:esports Style UENO
カプコンは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/PC(Steam)用対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター6」の世界大会「CAPCOM CUP 11」において、本戦への出場権をかけて戦う公式のオンライン大会「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」の地域決勝戦となる「Regional Final」を1月19日に開催した。
これまでの予選大会は全てオンライン開催だったが、Regional Finalは全てオフラインで実施。会場となったのは、これまで予選大会のパブリックビューイング観戦を行なってきた上野のeスポーツ施設「esports Style UENO」で、座席数は96。試合内容をステージ中央の大型ディスプレイで観戦するスタイルは従来のパブリックビューイングと同様だが、今回は実況席の反対側に対戦台が設置されており、実際にその場で選手たちが試合を行なうオフラインの大会と変わらないスタイルだ。
そのため、価格についても観戦のみで5,000円、キャラクターのサポータータオル付きで7,970円となっており、これまでのパブリックビューイングの価格1,650円と比べて高めの価格設定となっていた。今回筆者は現地で試合を観戦する機会を得たので、「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN Regional Finals パブリックビューイング」の模様をレポートしていく。
なお、試合内容などについては配信アーカイブが公開されているので、まだ見ていないという人はぜひそちらもチェックしていただきたい。
いよいよ「CAPCOM CUP 11」出場者48人の最後の1枠を決める戦いがスタート
「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」はオンラインで開催された公式大会。全5回の予選は終了しており、ポイント獲得での優勝者はFUKUSHIMA IBUSHIGIN所属の翔選手で、「CAPCOM CUP 11」への出場権を獲得している。
例年と異なり本大会は「Super Region」に該当し、上位者2名が出場権を得られるため、ポイントトップの選手とは別に残りの1枠をかけて行なわれるのが今回の地域決勝大会「Regional Final」となる。
「Regional Final」では、全5回のうち上位3回分のポイント獲得2~9位の選手8人が会場に集結し、ダブルイルミネーション方式のトーナメントにて、BO5(3先)で試合を行ない、優勝した選手1名が「CAPCOM CUP 11」への出場権を獲得できるという仕組み。2~5位の選手はWinnersサイド、6~9位の選手はLosersサイドに配置される。
予選2位はSaishunkan SOL 熊本所属のひぐち選手、3位は忍ism Gaming所属のももち選手、4位はBeast所属のふ~ど選手、5位はODD PLAN所属のおらりん選手で、この4人がWinnersサイドからのスタートとなり、1度負けてもLosersで再度試合ができる。
6位はエヴァ:e所属のひかる選手、7位はCrazy Racoon所属のShuto選手、8位はCAG OSAKA所属のGO1選手とVARREL所属のもけ選手。10位はDFM所属の板橋ザンギエフ選手で、11位はGood 8 Squad所属のカワノ選手。
このうちShuto選手と板橋ザンギエフ選手については、既に「CAPCOM CUP 11」出場権を獲得しているため、今回は辞退。繰り上がりにより11位のカワノ選手までが「Regional Final」に出場する運びとなった。6位以下の選手はLosersサイドからのスタートのため、負ければ即終了となる。
「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」予選はその全てが激闘の連続で、第5回予選が行なわれるまで、誰が優勝か、誰が「Regional Final」に残るのか分からないギリギリの展開が続いていた。第5回予選についてもひぐち選手やももち選手、ふ~ど選手など、上位陣がポイントをさらに稼いで「Regional Final」進出を確定させた一方で、GO1選手が3位に入る事でポイントを稼ぎ、「Regional Final」に滑り込んだ。
8人の「スト6」プロプレーヤー選手とお馴染み実況・解説陣の豪華メンバーが会場に集結!
これまでのパブリックビューイングでは、開始前に対戦会が行なわれていたが、今回は観戦のみの形式となっていた。今回の実況はアール氏で、解説はハメコ。氏。今回はもう1人の実況としてふり~だ氏も出演する豪華布陣で大会の進行が行なわれた。
試合前には今回出場する8人の選手たちがステージに登場し、それぞれが意気込みを語った。トーナメントの組み合わせとしては、Winnersサイドは1位のひぐち選手と4位のおらりん選手、2位のももち選手と3位のふ~ど選手がそれぞれ試合し、勝った方はそのままWinners Finalで激突。
Losersサイドは5位のひかる選手と8位のカワノ選手、6位のGO1選手と7位のもけ選手が試合を行ない、勝った方はWinnersサイド初戦で負けた選手との試合が行なわれる。負けた選手はその時点で終了となる。
いよいよ開始となった地域決勝大会。Winnersサイドの初戦はひぐち選手のガイルとおらりん選手のケンの1戦だが、ここはおらりん選手のケンが3-1で勝利。続くWinnersサイド2戦目はももち選手のエドとふ~ど選手のエドによるミラーマッチだが、ここは激闘の末、ふ~ど選手のエドが3-2で勝利してWinners Finalでおらりん選手とあたる事となった。
Losersサイド初戦はひかる選手のA.K.I.とカワノ選手の豪鬼の1戦で、ここはカワノ選手が接戦を3-2で勝利し、Winnersサイドで敗れたももち選手と戦う事となる。続くGO1選手の春麗ともけ選手の春麗によるミラーマッチは、地上戦で上回るもけ選手が序盤は優勢に試合を展開していたが、弾抜けSA2などGO1選手ならではのハイレベルなプレイなど、段々と展開が変化していき、GO1選手が3-2で逆転勝利。先ほど敗れたひぐち選手との勝負となる。
さらっとまとめてはみたが、やはりどの試合もレベルがとても高い。ジャンプや投げ抜け、起き攻めやOD無敵技のタイミングなど絶妙な駆け引きの連続で、見ていて盛り上がる試合ばかりだった。
緊張感が続く3度のエドミラーマッチで激闘に終止符! 勝利は誰の手に……?
続くLosers QuarterFinal、1戦目はももち選手のエドとカワノ選手の豪鬼だが、ここはももち選手のエドが3-1で勝利し、Losers SemiFinalにコマを進める。2戦目はひぐち選手のガイルとGO1選手の春麗の1戦だが、GO1選手の動きが冴えわたって3-2で勝利。Losers SemiFinalにて、ももち選手と激突する。
ここで試合は再度Winnersサイドに戻り、いよいよWinners Finalとなるおらりん選手のケンとふ~ど選手のエドによる1戦だが、なんとふ~ど選手のエドが圧巻の3-0で勝利。グランドファイナル進出を決めた。
続くLosers SemiFinalはももち選手とGO1選手の1戦。ももち選手が先制すれば、GO1選手が取り返すという一進一退の攻防が続くかなりの激闘だったが、ここはももち選手が踏ん張りを見せて3-2で勝利。Losers Finalにて、先ほどWinners Finalにて惜しくも敗れたおらりん選手と戦う事となった。
そしてLosers Final、おらりん選手のケンとももち選手のエドの1戦はこちらもももち選手が3-0で圧勝。グランドファイナルはWinners1戦目と同じカードとなるふ~ど選手のエドとももち選手のエドによるミラーマッチが再戦する運びとなった。
そして迎えた最終戦、グランドファイナルはふ~ど選手のエドとももち選手のエドによるエドミラーマッチだが、なんとここにきてももち選手のエドがふ~ど選手のエドを捕らえ、3-1で勝利してリセットが発生となった。ダブルイルミネーションのグランドファイナルにおいては、Winnersサイドから上がってきた選手が負けた場合には、リセットされ再度試合を行なうルール。ここまで負けなしで来たふ~ど選手がついに初黒星となり、最終戦はどちらのエドが頂点に立つのか、会場内も緊張感が漂う雰囲気に。
仕切り直しの再戦だが、ももち選手の快進撃はここで再度ふ~ど選手のエドの手により止められてしまうこととなり、ふ~ど選手のエドが3-1で勝利。「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」の地域決勝大会「Regional Final」優勝はふ~ど選手となり、晴れて「CAPCOM CUP 11」の出場権をもぎ取る形で締めくくられた。加えて、「Regional Final」2連覇の偉業も果たす事となった。
「日本開催のアドバンテージを活かしたい」ふ〜ど選手が今後の意気込みを語る
配信内のふ~ど選手のインタビューでは、使用キャラクターをディージェイからエドに変更したり、2024年末の調整への対応などで苦労したが、最後に仕上げられたと語った。加えて、中段がやだなと思って練習していたが、相手が同キャラのエドだったため、そこに苦労せずに済んだのも最高だったとコメントした。
ハメコ。氏から「グランドファイナルにて1度リセットされた後、どこに気を付けることで最終的に勝利に結びつけたのか?」と聞かれると、ふ~ど選手は「元々(同じエドを使う)LeSharと練習していたので、自分の方が(エドミラーマッチの)知識があるという気持ちで挑めたのが大きかった。また、負けていた試合では自分からバーンアウトして負ける展開が多かったので、そうならないように対応してプレイした」と語った。
ふり~だ氏から3月の「CAPCOM CUP 11」への意気込みと対戦したい相手がいれば、という質問には開口一番、「強い人とは対戦したくないなぁ」として、会場の笑いを誘った。続けて前回の「CAPCOM CUP X」に参加した時の経験として、同じプールの中にあまり知らないプレーヤーもいたが、そんなプレーヤーでもすごく強くて気合いが入っていたので、油断せずに全力で挑むという心意気で臨みたいとした。
また、アール氏から「CAPCOM CUP 11」が日本開催という点についての意気込みについて聞かれると「そんなにない」として、再び会場を笑わせつつ「日本開催という事で、家からの距離が近い(時差がない)ことや、練習相手が豊富にいるなど、世界大会に優勝しやすい環境なので、そういうホームのアドバンテージを活かしていきたい」と優勝への意気込みを見せた。最後にファンに向けてのメッセージはシンプルに「いつも応援ありがとうございます!」と一言声を掛けて、インタビューを締めくくった。
メディア向けのインタビューでは「今日の決勝だけでいうと、勝ててもおかしくないとは思ってましたが、正直なところ、今年のCAPCOM CUPに出場できるという自信はなかったです」とした。
今日の試合で厳しかったポイントなどについて聞かれると「逆にLosersに落ちたらヤバいと思っていたので、落ちずにWinnersサイドに残れたことがよかったのかなと思っています」と語った。
CAPCOM CUPに向けてどのように過ごしていくかという質問には「もしCAPCOM CUPに出ないとなったら休んじゃいそうだなと思ってたんですが、CAPCOM CUPがあるからすごくモチベーション高く『ストリートファイター6』ができる、今の形になったのがすごい嬉しいですね」とした。
配信インタビューで名前の挙がった同じエドを使うLeShar選手との練習について詳細を尋ねると「エドというキャラクターは、対策すると実はリスクのある行動って結構あるんですよ。例えば紐(中K)に対してジャストパリィを取ってラッシュを入れ込むとか、ああいうのってすごい有効なんですけど、それをどこぐらいまでやってくるのかなっていうのが今回すごい気になったポイントで、あと中キックの差し返しとかそういうのが全然なかったなっていうのが(ももち選手と戦っていて)思ったことです。だからないってことは、こっちは結構振れる上に、相手の振ってくるものに対してこっちはダメージ取れる、みたいなのを考えられたのがすごく大きかったと思います」とした。
また、今回の会場(esports Style UENO)の感想を求められると「実は自分はこの会場にはちょっとアドバンテージがあって、去年のストリートファイターリーグはDFMで一緒にやっていたんですけど、DFMのファンミーティングなどはここでやっていたんですよね。ここの雰囲気がホームなのでアドバンテージだったのかもしれません」としており、実はesports Style UENOでの試合が、ふ~ど選手のみホーム感覚だった事を明かした。
続けて、配信のコメント欄に「ローン」というワード(ふ〜ど選手の妻である倉持由香さん発信ネタ)がたくさん流れた点については、「賞金の分配が1位とそれ以下とでかなり差があるので、もっと貪欲にいこうとは思います。まぁでも優勝というよりは自分が1番強いなと思えるように練習頑張っていきたいと思います」としてインタビューを締めくくった。
#SFリーグ#DFMWIN応援うちわを作ったことでマネしてくださる方がいらっしゃって嬉しいなあ😆✨DFM応援の方も、FAV応援の方も、グランドファイナル楽しみましょう〜!!!!🙌pic.twitter.com/iaOoBuypDu
— GSG|倉持由香 (@yukakuramoti)January 12, 2024
ダブル実況での心得や解説での意識などを直撃! アール氏らによるインタビュー
今回は実況のアール氏とふり~だ氏、解説のハメコ。氏の3人にもインタビューする機会が得られた。「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」全体の感想を求められるとアール氏は「オープンな大会で誰にでもチャンスがあるという中で、今回はふ~どが時間を経て仕上げて優勝したけど、回数が違ったらまた別の人が優勝していたかもしれないし、5回やって決めるという形式の妙が出たなという印象が強いですね。あと参加人数がどんどん増えていって目減りすることがなかったというのが、『ストリートファイター6』を色んな人にやってもらっているという説得力になるのは感じた」とした。
ハメコ。氏は「こういうオープントーナメントのポイント制の大会というのは絶対視聴者が減るんですよね。大会が進むごとに目無しの選手が多くなるので。それがこんなに目無しの選手が少なく、視聴者があまり減らなかったのは本当にすごい。国内の『ストリートファイター6』のシーンが如何に盛り上がっているのかを数字の部分で感じられたのは印象に残ったかな」と分析。
ふり~だ氏については「実況として参加したのは今年が初めてで、1年目は基本見てる立場だったんですけど、2年目に携わるようになって、1年目以上に熱量を維持しているというのは感じました。それと合わせて、『ストリートファイター6』自体のゲームバランスのアップデートがかなり洗練されている状態にあると思っていて、ゲームの中でキャラクターの強さのバランスが分かりやすく出たのがワールドウォーリアの結果だと思いました」と、自身の想いを語ってくれた。
今回のようなダブル実況において、メインの実況ではない時に心掛けている事や意識している事について尋ねると、アール氏は「実況って基本的に起きていることを伝えるのが本分と思っているんですけど、自分が実況していない時はすごいところをすごいって皆さんに伝わるような一言なり、感嘆の言葉を上げるなど、難しい言葉を使わずに、今何が起きたかって言うのを分かりやすく声を出す感覚でやってますね」とした。
また、ふり~だ氏も同様だが、加えて「観客のみなさんが声を出しやすい雰囲気を作りたいなというのを心掛けてます。オフラインもそうですけど、オンラインでも見てる人があっ!というところで僕らがあっ!と言ってあげると、友達と一緒に見てる感覚できっと盛り上がれるから、観客目線を代弁するポジションを心掛けてます」とコメントした。
大会中、筆者が実況席を見ていると、ハメコ。氏がとある試合でガタっと立ち上がるリアクションが見られたのでそのその心境について話を伺ってみたところ、「いい試合やすごい場面を見ていると、格ゲーをやっててよかったなという気持ちでつい立ち上がっちゃいますね。オンラインの解説が多いのでバレてないだけで、試合中に立ち上がっちゃうことは意外とよくあります」と回答。アール氏曰く「映ってないだけで結構しょっちゅう立ち上がってるよ」とのことだ。
最近の格闘ゲームシーンでは実況・解説はもはやお馴染みとなり、普段何気なく耳にしているが、こうやってその裏側や本人の心境などを聞けたのは非常に貴重な機会となった。
全出場枠が遂に埋まった日本開催の「CAPCOM CUP 11」本戦まであと2カ月
以上、簡単ではあるが、上野のeスポーツ施設「esports Style UENO」にて行なわれた「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」の地域決勝戦となる「Regional Final」の模様をお届けした。
これまでオンライン開催の「CAPCOM Pro Tour 2024 World Warrior JAPAN」のパブリックビューイングで使われてきた「esports Style UENO」での開催ということだったが、今回も全席満員の大賑わいで、会場内はかなりの熱気に包まれていた。加えて選手たちがステージ奥の対戦台というかなり近い場所で試合をしたり、移動する様子が確認できるなど、ファンとの距離もかなり近く、かなり魅力的な観戦環境だったと言える。
会場に訪れたファンたちも分かっている人たちがかなり多く、例えばももち選手のエドがSA2「サイコキャノン」を繰り出してのコンボを見せると、コンボ完走後に拍手が起こったり、GO1選手が相手の飛び道具やインパクトに対してSAでカウンターを決めるところで歓声が上がるなど、普段から多くの試合を観戦している様子が確認できた。
今回のふ~ど選手の優勝で、2025年3月に両国国技館で開かれる「CAPCOM CUP 11」出場選手48人の最後の1枠が埋まる事となった。2月11日にはストリートファイターリーグのグランドファイナルも開催され、ここで優勝したチームは「CAPCOM CUP 11」の中で行なわれる「Street Fighter League: World Championship 2024」への出場が決まっている。
今年の「CAPCOM CUP 11」では、誰でもCAPCOM CUPに参加できる最後のチャンスである「LCQ(Last Chance Qualifier)」が行なわれないため、確定した48人以外の選手は出場できないという点についてはやや残念なところだが、これまでの激戦を勝ち抜いてきた猛者たちの中から勝利の栄冠を掴み取るのはどの選手か、日本人選手が勝ち取れるのかなど、今からワクワクが止まらない。今回で出場選手が出揃った「CAPCOM CUP 11」本戦の開催を心待ちにしたいと思う。
(C)CAPCOM