【特別企画】
「DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA」参加レポート
ゲームに音楽、ストリーマー! 様々なユーザー層が入り交じる総合型のエンタテインメントフェスティバル
2023年5月16日 11:47
- 【DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA】
- 5月13日・14日 開催
- 会場:幕張メッセ
5月13、14日の2日間。千葉県の幕張メッセにて「DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA(以下、DreamHack Japan)」が開催された。
「DreamHack Japan」は eスポーツをはじめ、音楽ライブ、ゲームやアニメなどのコンテンツや、新しいプロダクトの展示など複合的に展開する複合型の没入体験イベントだ。
「DreamHack Japan」のルーツにあたる「DreamHack」は1994年にスウェーデンで生まれたゲーミングイベントで、特にLANパーティやeスポーツがメインとなっている。LANパーティとはゲーマーがリアル会場にPCやゲーム機を持ち込んで同じ空間でゲームをプレイするイベント。まだインターネット回線などのインフラが貧弱だった時に同じ場所にPCを持ち込んで文字通りの「LAN環境」でゲームを楽しんでいたのが発祥である。日本でも「C4 LAN」を初めとし、いくつかのLANパーティーが行われている。
「DreamHack」はそんなLANパーティをルーツにもつエンタテインメントフェスティバルで、「DreamHack Japan」は参加者がゲーミングPCなどを持ち込んで遊ぶBYOC(Bring Your Own Computer/自分の持っているPCやゲーム機を持ち込むこと)的な遊びのほかにも、eスポーツ大会や、有名ストリーマーとの交流、音楽ライブ、そして協賛企業によるブース出展など、まさに総合型のゲームエンタテインメントフェスティバルだった。
今回はこの「DreamHack Japan」に行ってきたのでそのレポートをお届けしたい。
総合型のエンタテインメントフェスティバルとしては楽しめた
最初に筆者がこのイベントを訪れた感想を述べさせていただきたい。それは「『DreamHack Japan』はゲームのイベントに留まらない総合型のエンタテインメントフェスティバルである」ということだ。
これは良くも悪くもだが、筆者が「DreamHack」という言葉に対してイメージしていたのは照明が控えめの会場一面に、モニターの光が怪しく光っており、それぞれの席でゲーマーが他の参加者と対戦したり、協力プレイをしたり、もしくは1人で黙々とゲームをプレイするなど、各々が自分らしい遊び方をしている空間、言うならばゲーマー達による熱狂的な宴。そういったイメージを持っていた。
だが今回のイベントの会場を実際に見たところ、そういったゲーマーが集まるBYOCエリアは会場の一部のスペースのみだった。
ほかの部分は大きめのイベントステージが2つと、「Snapdragon Mobile Masters」という「BRAWL STARS (ブロスタ) 」の大会が行われているエリア、そして「ストリートファイターIII 3rd STRIKE」と「Virtua Fighter 5 Final Showdown」の大会が行われるほか往年のアーケードゲームとが置いてある「DreamHack Fighters&アーケードゲームエリア」、そして各協賛企業のブースが並ぶ。
この会場とは別に音楽アーティストやアイドルによるライブや、ストリーマーによるエキシビションマッチがが行われている「LIVE AREA」エリアに分かれていた。
この会場構成が何を意味しているか。それはBYOCでゲームを楽しむ超ヘビーゲーマーだけでなく、カジュアルゲーマー、いや、ゲーマーだけではない広義のエンタテインメントファンを巻き込むことを目的に開催されたイベントということだ。
これは賛否両論あると思う。スウェーデンで行われている「LANパーティから始まり巨大なエンタテインメント・フェスに成長した『DreamHack』」と、「最初からゲーマー以外も取り込むことを想定したエンタテインメント・フェスである『DreamHack Japan』」。それは似て非なるものだからだ。
このイベントを「BYOCエリアに多くの参加者が集まり朝から晩までゲームを楽しむというイベント」だと思って遊びに行くと拍子抜けしてしまう部分もあるだろうし、逆に「音楽ライブからストリーマーとの交流、そしてステージイベントまで楽しめる幅広く楽しめるイベント」と考えれば開演から終演まで楽しめるイベントでもあると言える。どんなイベントを想定して遊びに行くかで差が出そうなイベントだった。
様々な楽しみ方をするゲーマーが多く見られたのが印象的
というわけで早速会場をぶらぶらと回ってみた。筆者の目的は濃度の濃いゲーマーが集まる「BYOCエリア」だ。このエリアは冒頭に述べた「LANパーティ」的な遊び方に最も近いエリアである。
ここは想像通りコアなゲーマーが集まっている印象で、用意された机の上に思い思いの機材を広げて楽しんでいる様子が見られた。早速ゲームを楽しんでいる参加者はもちろん、会場から配信をしている参加者や、推しのeスポーツチームのグッズを飾る参加者まで、改めて楽しみ方の幅を感じた。
このエリアでは他のLANパーティに遊びに来ていた熱狂的なファンの姿を何人か見ることができ、彼らが盛り上がっている姿を見て「そうそう、オフラインのイベントでこの姿が見たかったんだ」と筆者がこのイベントに期待していた要素を感じられて安心した。
BYOCエリアではこういったオフラインのイベントに参加することが初めてという参加者にも出会った。感想を聞いてみると「こういったイベントに参加するのは初めてですが、すごくテンションが上がります」と興奮気味に話してくれたのが印象的だった。規模や熱狂度は置いておくとしても、「DreamHack」という名を冠しているのだから、ちゃんと超ハードコアなゲーマーが楽しんでいる姿を見られて嬉しかったのだ。
BYOCエリアを出て、会場全体を見てみると老若男女幅広い来場者が訪れていたように見えた。
具体的に言うとストリーマーとの交流を楽しんでいる若い女性ファンや、「ブロスタ」の大会を観戦&応援するファンも見られた。また「DreamHack Fighters&アーケードゲームエリア」では大会はもちろん、それぞれのゲームの野試合ができる筐体や、往年のアーケードゲームを楽しむこともできゲームセンターを思わせる熱気を感じた。
ステージイベントは「Counter-Strike: Global Offensive」の大会から、エンタメ色が強い「ゲームさんぽ」まで、ターゲット層が全く異なるイベントが展開されており、ステージイベント毎に客層が完全に入れ替わっている印象だった。
「LIVE AREA」ではアーティストの音楽ライブを楽しんでいるファンや、ストリーマーによるエキシビションマッチなどのイベントを楽しんでいるファンが多くおり、こちらはこちらで違ったタイプのエンタメファンがイベントを楽しんでいた。
会期が終わった今、イベント全体を振り返ってみると、「DreamHack Japan」は「ゲームイベント」ではなく「エンタテインメントフェスティバル」としては成功したのではないかと感じた。それはゲーマーだけに留まらない、幅広いエンタメファンが楽しめる空間になっていたからだ。
ただ、個人的にはスウェーデンで開催されている本家の「DreamHack」のイメージが強かったため、BYOCエリアがもっと盛り上がってほしかった。とはいえ1994年にスウェーデンで「DreamHack」が生まれた年はともかく、2023年の今、高速なインターネット回線を経由すれば物理的に離れた距離にいるゲーマーとも一緒に快適に遊べるし、Discordなどのツールを使えばで声を出しながら一緒に遊ぶことができる。
そんな恵まれた環境と比較すると、BYOCで遊ぶメリットは確かに少ないかもしれない。シンプルに機材を持ち込む大変さもあるし、準備や撤収を考えると会場で遊べる時間はそれほど長くはない。だがそういった大変さを乗り越えてゲーマーが集まるのは、同じ場を共有していることから生まれる熱気、いや熱狂を楽しみたいという気持ちにあるのだと思う。「DreamHack Japan」でもその熱狂を感じたかったなというのが個人的な感想だ。
もちろん、他国に比べるとLANパーティを楽しむゲーマーが多くない日本で、そう簡単にその熱狂を作るのが困難であることは、イベントに関して素人である筆者にもわかる。そういう意味では多くのエンタメファンを楽しませることができた今回のイベントは十分に成功と言えるだろう。
もし第2回が日本で開催されるなら、せっかく「DreamHack」という名を冠しているのだから、そういったゲーマーの熱狂が感じられるイベントになって欲しいと思うのは贅沢な願いだろうか。
©DreamHack