【特別企画】
「エンド オブ エタニティ」が本日で発売13周年! 爽快感のあるバトルはさすがのトライエース製
超ハードなガンシューティングRPG
2023年1月28日 00:00
- 【End of Eternity(エンド オブ エタニティ)】
- 2010年1月28日 発売
セガより2010年1月28日に発売されたプレイステーション 3/Xbox 360用銃撃多重奏RPG「エンド オブ エタニティ」(以下「EoE」)が、本日発売13周年を迎えた。
本作の開発は「スターオーシャン」シリーズなどで有名なトライエースが行なっており、ストーリーもバトルも骨太な超硬派(でありつつコメディ要素も満載)なゲームとして、発売当時非常に話題になったタイトルだ。
舞台は、超未来、環境汚染などで滅亡を間近にした地球。人類は「バーゼル」と呼ばれる環境正常化のための巨大な装置を開発し、惑星と自らをその管理下に置く。やがて人々は、バーゼルに集い、暮らし始める。バーゼルの上層部には宗教施設や富裕層の生活する居住区域があり、下層に行くにしたがって貧しく、治安も悪くなる。バーゼルは、リデール教の指導者階級カーディナルによって治められており、基本的にバーゼルに住まう人たちはこの宗教を信仰している。だが、そのバーゼルすらも徐々に蝕まれ、機能が低下していく。
本作は「運命」をテーマにしたとも言える作品で、発売当時の登場人物の紹介も”運命に抗う少年”ゼファー、”運命を受け入れた男”ヴァシュロン、”運命を克服する女”リーンベルと、主人公3名それぞれに運命の文字がついているのが印象的だった。
「EoE」といえばバトルでしょ!
「EoE」は銃による攻撃を主軸とした「t・A・B」(トライ・アタック・バトル)システムを採用していた。理解してしまえばなんら難しいことはないシステムで、事前に移動ルートを決め、その移動中には無敵状態となって敵に攻撃する「インビンシブル・アクション」を使用して敵を攻撃していくのだが、ゲーム発売当初はこのシステムがなかなか理解してもらえず(かくいう筆者も理解できなかったひとりである)、バトル解説動画が乱立した。
何がそんなに難しかったのかと聞かれると、今となってはもうわからない。理解してしまえば「簡単操作でカッコいい銃撃バトルを繰り広げられる」と言ってしまいそうになるほどなのだが、実際のところ初心者には何をどうしても「簡単操作」ではない。
インビンシブル・アクションに必要なISゲージだが、大体はこのISゲージの使い方がわからない。ISゲージを消費しない通常攻撃を主軸にしている限り、本作のバトルはほぼ勝てないと言っても過言ではないのだが、ISゲージを消費してインビンシブル・アクションを使い、インビンシブル・アクションの中でISゲージを回復させる、という本作の仕組みが、最初のうちは「何を言っているのかわからないので、通常攻撃を使う」となりがちだったのだ。……と思う。少なくとも筆者はそうだったし、周囲も同じようなことで困っていたように感じる。だが、蓋を開けてみたら難しく考える必要は大してなかった。「通常攻撃は基本的に使わない」という、ただそれだけだったのだ。
この「EoE」のバトルシステムは、3人という本作の主人公の数を活かしたものとなっているのも非常に面白かった。基本的に3人で三角形を描くようにインビンシブル・アクションで移動し、インビンシブル・アクションで他の2人のプレーヤーキャラクターの間を通った際に溜まる「レゾナンス・カウント」で「レゾナンス・アタック」という総攻撃を仕掛ける。これが上手く決まった時の爽快感といえば、最高のひと言である。
今回たまたまPS4のハードディスクを漁っていたら、運よくボス戦でインビンシブル・アクションをこなしつつレゾナンス・アタックで1ターンキルをするという動画を見つけたので、せっかくなので掲載しておきたい。
動画を見てもらえれば「懐かしい……」という声も漏れ聞こえそうだが、なんといっても「もっと鉛がほしいか!」、「俺の銃弾は地獄への片道切符!」というようなゼファーのちょっとイキった感じのセリフが今振り返っても可愛らしい。その点ヴァシュロンは落ち着いた大人の男で、ちんべるちゃんは頑張って大人の女の階段を登ろうとしている姿が、この動画からだけでも容易に思い描くことができる。
この3人の関係性は後述するとして、「EoE」はとにかくこの”3人で三角形を描いていく”というバトルが非常によくできており、そして”3人で三角形を描いていく”ということにさえ気づければ一気に難易度が下がり、派手でありつつ爽快感のあるシューティングアクションのようなバトルを楽しめるとあって、ハマるプレーヤーが続出。「神ゲー」と称賛するプレーヤーも未だに多く、「バトルの面白さと言えばトライエース」の名を、改めて轟かせることとなった。
なお、バトル要素として武器のカスタマイズがあったことも忘れてはいけない。ベースとなる銃に様々なパーツをくっつけていくことで性能をパワーアップさせていくのだが、この銃の改造が魔境すぎて、当時話題を呼んだ。
実際のところ、この程度はまだまだ魔改造のうちに入らないのだが、手元にあった画像で残っていたものが少なかったため、そこについてはご容赦いただきたい。「こんな魔改造画像が残っていたよ!」という猛者がいれば、ぜひ今日のこの機会に再びアップしてもらえると筆者が嬉しい。
画像が小さい上にテレビ画面の接写画像で申し訳ないのだが、かろうじてXbox 360版時代の画像も見つかった。
もはや「最初の原型こそ銃であったが、銃であることを忘れた何か」を装備して戦うこととなるのだが、幸いどんなに魔改造を施しても、画面の見た目はまっとうな銃。もしも本作の続編が出るならば、この魔改造は残してほしいシステムのひとつだ。
ヴァシュロン、ゼファー、リーンベル、3人の関係性が非常にいい
本作は、主人公のヴァシュロン、ゼファー、リーンベル、彼ら3名が奇妙な縁から共同生活を送りつつ、報酬と引き替えにさまざまな依頼を請け負うPMFとして仕事も共にするという、何から何まで3人を中心に巡る物語も注目を集めた。
彼らに唯一共通しているのは、全員がちょっとした過去を背負いつつ(ちょっとした、どころではないものもあるが)、その過去で何らかの奇跡を体験しているということだろうか。
ヴァシュロンは業突く張りで下ネタが非常に多い、三枚目。だが、実際には3人の中で圧倒的に強く、だからこそ余裕めいた大人な男性らしい発言も多い。ゼファーとリーンベルの良き保護者、といった風だ。そんなヴァシュロンも、過去に一度死亡したが生き返るという、謎の奇跡体験をしている。
ゼファーは、年相応の反抗期のような孤児の少年だが、引き取られた神学校での教育に耐え切れず、神学校にいた人を大量虐殺したという過去がある。この時、この事態を制圧しにきたヴァシュロンの手によって殺されるが、生き返るという奇跡体験をしている。その時の縁でヴァシュロンの家に引き取られ、抑えきれない破壊衝動を発散するかのように、PMFとして活動し始める。
リーンベルは、明るい快活な少女だが、実は20歳の誕生日に死ぬ運命にあり、20歳の誕生日の0時直前に飛び降り自殺をするものの、ゼファーの手によって救われる。とはいっても、実際にはゼファーが掴んだワイヤーは切れてふたり揃ってバーゼルの下層まで落とされるのだが、ふたり揃って死なずに済んだという奇跡を体験している。そのままゼファーに連れられて、ヴァシュロンの家に転がり込んだ。
このように様々な事情を抱えた3人の共同生活だが、そんなこんなで突如お年頃の女の子を迎えた男性ふたりのドタバタっぷりが非常によく描かれており、3人とも壮絶な過去を抱えている割に、ストーリーの半分はギャグテイストというバランス感も素晴らしかった。
シリアスにいくところはとことんシリアスに。ギャグでいくところはとことん突き抜ける。この振り幅については当時「PV詐欺」とまで言われたが、結果的に遊んだプレーヤーからの評価は非常に高いものとなり、「EoE」が今でもプレーヤーから深く愛されている理由のひとつになっているといっても過言ではないだろう。
特にヴァシュロンのスケベっぷりはギャグシーンの中でも最たるところで、カーディナルの1人であるバーバレラと対面した時には彼女の爆乳に打ち震え、その爆乳を讃えるモノローグと共にヴァシュロンダンスと呼ばれる珍妙なダンスを踊るシーンは、本作をプレイした誰もが忘れられないはずだ。
なお、スケベに非常に厳しいちんべるちゃんだったが、とあるミニスカートを購入して着せると、インビンシブル・アクション中彼女がパンモロになってしまうという、けしからん裏技(?)もあった。
主人公の3名以外の登場人物も、「どうしてこうなった?」という裏手ツッコミを入れずにはいられないキャラクターがそろっており、本作のシリアスムードを唐突に破壊してくるから侮れない。
いずれもくせ者揃いなカーディナルの他、街の人々もユーモアに溢れていたりと、PMF3人を取り巻く環境は賑やかであった。
また、バーゼルという機械仕掛けの街はスチームパンク感が強く、これも本作の人気を支えた柱のひとつであっただろう。
そろそろ続編が欲しい(大声)
バトル、ストーリー、システムといずれも愛された本作だが、それもあって2018年10月18日には4K/HD対応のリマスター版がPS4/PCにて発売されている。もちろんこのHDリマスター版も非常に嬉しいのだが、やはり……欲しいのは続編である。実際、本作の続編を求める声は今も止まない。エンディングではバーゼルを出たように描かれているが、舞台をバーゼルから別の場所に移しても、この3人のその後を描くことは充分に可能なはずだ。
これは思い出話なのだが、筆者がTwitterをまともに見始めたきっかけは、「EoE」だった。アカウント自体は「EoE」前から持っていたのだが、当時はまだmixi全盛時代で、Twitterはほとんど見ていなかった。
しかし「EoE」がプロモーションでヴァシュロン、ゼファー、リーンベルのアカウントを作成し、3人が実際に話しているような、今ではごく普通にみられるプロモーションを、本作は13年前からやっており、そのやり取りを見たいがために3人をフォローしたことが、mixi沼からTwitter沼に鞍替えしたきっかけだったのだ。
もしも当時のことを少しでも知りたいようなファンがいたら、下記3アカウントを同一リストに登録して時系列順で見てみると、当時の3人の和気あいあいとしたやり取りをもう一度見られるので、試してみてほしい。
・ヴァシュロンのTwitter
・ゼファーのTwitter
・リーンベルのTwitter
ちなみにヴァシュロンも、
当時は「十年早かった」とか言われたもんさね。#EoE
— ヴァシュロン (@Vashyron)September 19, 2018
と言っているが、あながち間違っていない。名作は得てして、時が経ってからようやく真の評価をされるようになるのだ。
このアカウントは4K/HDエディションの発売時にも8年ぶりに復活していたので、いつか「EoE2」などの動きがあった時にはこのアカウントも再び動き始めるかもしれない。そんな日が訪れることを、夢見ている。
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