【特別企画】
南国で立派な国家を築け! 「トロピコ 6」ファーストインプレッション
産業を育て、輸出する、しっかりした国家運営シミュレーション
2019年8月30日 15:38
「トロピコ 6」はカリブ海に浮かぶ島国の独裁者をテーマにしたシミュレーションである。本作はSteamでPC版が3月より発売されていたが、9月27日にPS4版で日本語版が発売される。
本シリーズの大きな特徴だが、独裁者は激動の時代を過ごしていくこととなる。帝国からの植民地の統治者としてこの地域に任命され、帝国の要求を聞きつつ独立を画策、大国が領土を奪い合う世界大戦時代、核兵器を背景にした冷戦時代、そして様々な国々の思惑が絡み合う現代、変化する時代の波を乗り切っていかなくてはならない。
そして、「トロピコ 6」でフォーカスされているのが"島民の生活"である。島民は"幸せ"を求めている。食料、健康、そして安心して寝る場所。心のよりどころを求めて様々な思想や宗教も必要する。島民達の要求を満たすためには、彼らの問題を博し、的を射た演説をして安心させることも大事だ。「トロピコ 6」は国家運営の楽しさをたっぷり楽しめるシミュレーションである。今回はファーストインプレッションをお届けしていきたい。
南国の音楽を聴きながらの国家運営、カリブ海での独裁国家を目指せ!
「トロピコ 6」は"国家運営"にフォーカスしたゲームとなっている。筆者は前作である「トロピコ5」がシリーズ初体験だったのだが、こちらは「時代に対応する」という要素がフォーカスされていて、まち作り、国家運営よりも、やがて来る時代の波を越えていく、という方向にフォーカスされていて、プレーヤーは大きな変化を見越して必要な施設や、施策をするために準備をする、というバランスだった。
今作で独裁者であるプレーヤーが求められるのは「未来を見越した街作り」である。今回のプレーヤーの国は複数の島で構成されている。1つの島ではなく、複数の島の開発を並行的に行なっていく。こちらは輸出のための砂糖畑とラム酒工場を、こちらの島は牧場と住人の食料用のトウモロコシ畑、火山地帯は鉱山が作れる……といったように、明確なビジョンを持ったプレイが求められる。
やはり「トロピコ」シリーズは、その雰囲気が最高だ。ゲーム内では南国の音楽「カリプソ」がずっと流れていて、海は青く美しく、緑は濃く、島は神秘的な雰囲気もある。この世界を切り開き道路を施設し、畑を作り、工場を作り、国を作っていく。この“開拓”していく雰囲気も良い。時代を作っていく、1つの国の歴史を作っていく醍醐味が味わえるのが本シリーズの楽しさであり、国家運営シミュレーションの楽しさだ。
各要素は複雑であり、自由度も高いため最初は取っつきが悪い部分もある。しかし本作には充実したチュートリアルが用意されているし、難易度も選択できる。何よりもゲームオーバーになっても失敗の経験から得るものが多く、「次はこうしよう」と思えるのだ。クリアを急ぐのではなく、じっくり、たっぷり楽しみたいゲームである。
「日本語音声の面白さ」も特筆しておきたい要素だ。本作は多くの声優を起用したフルローカライズ。独裁者を助ける大統領補佐官ぺヌルティーモ、帝国からいやみったらしくこちらに指令をしてくるロジャー・ウィンダム卿、熱っぽいノリがいかにもな革命家ソフィア・オルテガなどセリフ1つでそのユニークなキャラクター性を印象づけてくれる。日本語版だからこその楽しさも詰まっているのだ。
かなり骨太なシミュレーション、しっかりと利益の出る貿易を目指そう
実際のプレイを見ていこう。「トロピコ 6」はミッションモードで様々な課題をクリアしていく。最初のミッションを成功させると新たなミッションに挑戦できるのだが……これがなかなか歯ごたえがあるのだ。
序盤のミッションでプレーヤーに求められるのは「いかに上手く貿易を行なうか」である。道路をひき、砂糖畑を作って、砂糖を加工しラム酒を生産する。そして貿易で本国である帝国にラム酒を輸出する。この貿易で得られるお金がさらに街を拡張していく資金になる。
ここに帝国からの横やりや、島民達の要求が入る。プレーヤーは本国から任命された「提督」であるため、まずこの任期が重要となる。帝国からの要望に応えることで任期を延長させ、その間に独立を支持する住人を集め本国からの独立を果たす。それが最初のミッションの目標である。
ただ、実はこれが結構難しい。最大の利益をもたらすのは「貿易」であり、これを成功させるため、輸出品目を増やし、大きな供給量を武器にがっぽがっぽと稼ぐといきたいのだが、まずこの貿易のやり方が初心者にはつかみにくい。要求はいろいろあるし、施設も色々、上手くやるのはどうすれば良いか、試行錯誤が必要となる。正直、筆者もまだその道の途上だ。
資源のあるところはどこか、どのくらいの施設を作れば貿易を満たせるか、交易をスムーズにするにはいくつの港が必要となるか……こういった要素は実際にプレイしてみて実感していくしかない。1度目より効率的に、2度目は未来のビジョンをより明確に、といったようにプレイすることで攻略法を身につけていく必要がある。カギは「ちゃんと黒字がでる貿易」である。この鉄則を実現するのは初心者には難しい。
しかし、だからこそ面白い。生産施設や加工施設をどのくらい、どう建てれば生産や貿易がうまくいくか、建築業者やトラック運搬施設はどのくらい必要か? 資源はどれだけ得れば美味しく進められるのか……これらをつかんでいく楽しさこそがゲームの醍醐味である。腰を落ち着けて楽しみたい作品だ。
技術が進むことで産業の変化や、効率化を考えていく。時代に合わせて国家の形が変わっていく、それはプレーヤーの手で実現するのだ。歴史をもう一度勉強したくなるようなリアリティと、1つの国を思うままに運営する箱庭感。「トロピコ 6」は長い時間じっくりと楽しめる作品だ、というのがわかった。
本作の発売日は9月27日。PC版はすでに販売されているが、コンシューマ版に当たり様々な調整も行われているとのこと。何よりフルローカライズによる雰囲気が楽しい。時代を乗り越えていく独裁者を目指し、しっかりした運営手腕を鍛えていきたいところだ。
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