【特別企画】

「グランブルーファンタジー ヴァーサス」クローズドβテストプレイレポート

遊びやすさと奥深さが見事にマッチした、新時代の格闘ゲーム!!

2019年 発売予定

 サイゲームスより2019年にリリース予定のPS4用対戦格闘ゲーム「グランブルーファンタジー ヴァーサス(以下、GBVS)」のクローズドβテストが5月31日~6月2日の3日間に渡って行なわれた。

 本作は、本格RPGスマホRPG「グランブルーファンタジー(以下、グラブル)」を題材に、「ギルティギア」、「ブレイブルー」など数多くの格闘ゲームを手がけるアークシステムワークスが開発を担当している。

 原作がRPGということもあり、普段格闘ゲームをプレイしない「グラブル」ファンも結構いることだろう。そんな格闘ゲームをあまりプレイしないユーザー、そしてガチガチの格ゲーファンが果たして楽しめる内容になっているのか、クローズドβテストをプレイした感触をお届けしたいと思う。

初心者からコアゲーマーまでが楽しめる、全く新しい格闘ゲーム!

 アークシステムワークスが開発する格闘ゲームといえば、「コンボゲー」、「敷居が高い」といった印象が強いと思う。しかし、本作「GBVS」はコンボを重視したゲーム性ではなく、読み合いや立ち回りを重視した、俗にいう「差し合いゲー」というカテゴリの格闘ゲームとなっている。コンボゲーと比べて複雑な操作や、覚えることが少なく、入り口の敷居が低い分類のゲーム性だ。

 プレイして最初に感じたのはゲームスピードの緩やかさだ。ハイスピードな格闘ゲームは、初めて格ゲーに触れるプレ―ヤーだと“何をされているのか理解できないままゲーム終了”なんてことがままある。なので、相手の動きがしっかり見える本作のスピードはかなり初心者に優しい作りになっている。

 システム面でも初心者が遊びやすい工夫が随所に取り入れられていた。基本攻撃は弱(□ボタン)、中(△ボタン)、強(〇ボタン)の3種類があるのだが、どのボタンでも連打で攻撃が繋がるようになっている。連打コンボからアビリティ(必殺技)に繋げることも可能。従来の格闘ゲームであったら必殺技のコマンドを入力しなければならないが、本作はR1ボタン(+方向キー)のみで簡単に発動することができる。ゲーム全体の攻撃力が高めに設定されているので、基礎のコンボでも大きなダメージを奪うことができてとても爽快だ。

【簡単操作で強力な連続攻撃】
ボタン連打とワンボタンのアビリティで、実戦でも活躍する強力なコンボが繰り出せる

 ワンボタンで出せる強力なアビリティだが、使用するごとにクールタイムが発生し、再び使用できるまで少し時間が必要となる。同じ技を絶え間なく連続で使うことができないという、これまでの格闘ゲームにはない新しいシステムだ。

 アビリティには強化版であるアビリティ+(プラス)というシステムもある。通常よりもクールタイムが長くなるかわりに、非常に強力な性能のアビリティを繰り出すことができる。1度使うとアビリティが回復するまでかなりの時間がかかるので、使いどころが重要になってくる。

 R1ボタンと方向キーの組み合わせで自由自在に技が出せるという初心者に優しいシステムだが、格ゲーファンとしてはシンプル操作すぎて正直物足りない――そんな格ゲーユーザーへの配慮もしっかりされており、アビリティは従来の格闘ゲームのようにコマンド入力(テクニカル入力)でも使うことができる。さらに、コマンド入力でアビリティを使うと、ワンボタンで使うよりもクールタイムが短くなるというメリットもある。初心者向けになり過ぎず、どちらのユーザーも楽しめる絶妙なバランス設計はさすがのアークシステムワークスである。

【アビリティ】
アビリティ+(プラス)は全身が黄色く輝き、通常よりも威力がアップする。

 基本攻撃のほかに、×ボタンでキャラクター固有の特殊技を使うことができる。攻撃系、防御系、特殊移動など効果は様々。キャラクターの個性がしっかり出ているのも「グラブル」ファンならたまらないだろう。

【特殊技】
特殊技は強力なものが多いので、キャラクターごとの能力を把握しておこう

 戦闘中に奥義ゲージが溜まれば、超必殺技にあたる奥義が使用できる。自身の体力が30%以下の状態なら、さらに強力な解放奥義を使うことができる。これら奥義は圧倒的な威力もさることながら、技の演出がとにかく派手でカッコいい。美麗な3Dで登場するプロトバハムートは一見の価値ありだ。

【奥義】
一発逆転を狙える奥義。カッコいい演出見たさに、つい狙いたくなる

 数十戦ほどオンラインで対戦した感触としては、システムこそ新しいがゲームの軸としては王道の格闘ゲームといった印象。飛び道具で飛ばして落とす、中段攻撃や投げでガードを崩して攻めるなど、シンプルながらも熱い駆け引きが楽しめる内容となっていた。

 初心者と思わしきプレーヤーと当たることもあったが、連打コンボやワンボタンのアビリティをしっかり駆使していて、すんなりとゲームに入り込んでいるように感じた。「格ゲーは敷居が高い」という固定観念を壊しつつ、格ゲーファンを退屈にさせない対戦の奥深さはしっかりと残されている。

個性豊かな5人のキャラクターを紹介

 今回のクローズドβテストで使用できたキャラクターは「グラン」、「カタリナ」、「シャルロッテ」、「ランスロット」、「フェリ」の5名。ここからは、各キャラクターの特徴や操作感を伝えていこう。

 はじめに、「グラブル」の主人公であるグランの性能は、飛び道具、対空技、突進技と主人公らしい技がそろったスタンダードキャラクター。リーチはそれほど長くはないが、攻撃や技の発生が早いので、近距離ではガンガン攻めることができる。相手に押し込まれた場合も、出初めに無敵のある対空技「ライジングソード」で切り返すことができるので、どんな場面でも安定して戦えるのが強みだ。

 特殊技の「パワーレイズ」は、×ボタンで溜め動作を行ない、もう1度×ボタンを押すことで強力な突進攻撃が発動する。溜め時間の長さで威力がどんどん上がっていくのも特徴。溜めたらすぐに発動しなくても攻撃ボタンを押すことで“溜めた分をキープしながら溜め動作を中断することができる”。強力な特殊技なので相手と距離をとったら溜めを意識しておくといいだろう。

 クセも弱点も特になく、とにかく使いやすい正統派な主人公。どのキャラクターを使うか迷ったならグランを選んでおけばまず間違いはないだろう。

【グラン】
飛び道具で飛ばして対空技で落とすという、鉄板の戦い方ができる

 次に紹介するカタリナは、グラン同様に飛び道具、対空技、突進技を持っている。リーチの長さや技の発生など、全体的な性能はグランよりも優秀。近距離だけでなく中距離でも活躍できるキャラクターとなっている。高速の突進技である「エンチャントランズ」はかなりのリーチがあるうえにスピードがとても速く、奇襲などに重宝する。先端当てならガードされても不利な状況になりにくいので強力だ。

 特殊技は防御系の「ライトウォール」。×ボタンを押している間、バリアを展開して敵の攻撃を1度受け止めることができる。攻撃を止めた瞬間に×ボタンを離すと反撃の一撃が繰り出される。特殊技、対空技と、切り返しの手段が豊富なので、相手に一方的に攻め込まれず手堅く戦うことができる。グランと同じく使いやすい性能なので、こちらも初心者に向いているキャラクターだ。

【カタリナ】
技の性能がグランと似ており、両キャラクターとも同じ感覚で使うことができる

 小柄な見た目に反して、パワーとスピードの性能が高いシャルロッテ。リーチはあまり長くはないので、突進技の「グリッターオンスロート」で距離を詰め、近距離でターンを握ってしまえばシャルロッテの独壇場。ほかのキャラと比べてジャンプの滞空時間が短いので、ぴょんぴょんと跳ねるジャンプ攻撃、いわゆる"バッタ戦術"がかなり強い。

 シャルロッテの特殊技「ケーニヒシルト」はカタリナと同様の防御系の技だ。相手の攻撃に合わせて×ボタンで攻撃を受け止めることができる。相手と密着状態でブロックすれば強力なカウンター攻撃が発動する。飛び道具を持っておらず、アビリティの手動入力では溜め系のコマンドのため合う合わないが強く出そうだが、プレイスタイルがハマればかなり強いキャラクターだ。

【シャルロッテ】
相手の懐に潜り込めば、機動力とパワーで圧倒できる

 リーチはかなり短いが、手数の多さとスピードの速さに特化した「ランスロット」。特殊技の「ヴィルベルヴィント」は特殊移動を行なうことができ、素早く相手に近づくことや相手の裏に回り込むことが可能。トリッキーな動きで翻弄することができる。飛び道具の「ヴォーゲンシュトローム」は発生と弾速は遅いが発動後に硬直がなくすぐに動けるので、飛び道具を盾にして一気に距離を詰められる。近づいてしまえば発生の早い攻撃で一方的にターンを握れる。

 素早い突進技の「ブレードインパルス」や、ワープして相手の頭上から奇襲する「トゥルブレンツ」など、とにかく優秀なアビリティがそろっており、今回使用できた5人の中では最強格のキャラクターのように感じた。

【ランスロット】
変幻自在の動きで、相手を揺さぶりながら戦うことができ、かなりの強キャラだ

 最後の5人目、鞭を武器に戦う「フェリ」は、5人の中ではもっともクセの強いキャラクターだ。鞭による攻撃はダントツにリーチが長く、相手を一切寄せ付けない強さがあるが、遠距離では強い反面、発生の早い技や切り返しの手段が少ないので、相手に距離を詰められるとかなり厳しい戦いを強いられる。リーチの長い通常攻撃で牽制し、ペットの幽霊を使った設置技などを駆使して、一定の距離を保ちながら戦うのが重要となる。

 特殊技の空中移動は、鞭をロープのように使い、相手の上から奇襲を仕掛けることができる。無防備に見せかけてガードを固め、相手の対空技を誘って大ダメージを与えるという嫌らしい戦い方もできる。

 フェリは、いかに相手の嫌がる立ち回りができるかがカギになってくる。距離を保って近づかれたら逃げるという、一見汚いようにも思える戦い方こそがこのキャラの正攻法である。クセがかなり強いので人を選ぶキャラクターではあるが、相手の動きを制限して完封するのは最高に気持ちいい。遠距離でじわじわと戦いたい人におすすめだ。

【フェリ】
ほかと比べて少し上級者向けの性能だが、使っていて面白いキャラクターであった

 今回のβテストプレイした感想としては、格闘ゲームの経験者が楽しめる深みのあるゲーム性でありながら、初心者でもまともに戦えるという、ここまで絶妙なバランスの格闘ゲームは正直初めてだと感じた。筆者がプレイしていた日のオンラインロビーは常時8割くらい埋まっており、「GBVS」の注目度の高さがうかがえた。初心者のプレーヤーからガチの格ゲーマーまで、幅広い層で製品版も盛り上がってもらいたい。