【特別企画】

【特別レポート】“任天堂ならでは”を感じるアイデアと面白さ満載のVRゲーム体験!

「Nintendo Labo Toy-Con04:VR Kit」試遊レポート

4月12日 発売予定

価格:
【標準パッケージ】
7,980円(税別)
【ちょびっと版】
3,980円(税別)

 任天堂より4月12日に発売予定の「Nintendo Labo」シリーズ最新作「Nintendo Labo: VR Kit(ニンテンドーラボ VRキット)」。自分の手で作れるコントローラー「Toy-Con」 を使って、任天堂らしいオリジナリティーの高いVR体験が楽しめるということで、気になっている人も多いだろう。

 今回はその発売に先駆け「Nintendo Labo Toy-Con04:VR Kit」を体験できた。Toy-Conで楽しめる任天堂らしさたっぷりのVR体験がどのようなものだったのか、お伝えしていこう。

VR体験をより高める「Toy-Con」はユニークな見た目に驚きのギミックを満載

 先に製品について紹介すると、「Nintendo Labo Toy-Con04:VR Kit」は段ボール製の工作キット「Toy-Con(トイコン)」を組み立て、そこにNintendo Switch本体をセットすることで、VRゲームや体験を楽しめるというもの。

 「VR Kit」のパッケージには「標準パッケージ」と「ちょびっと版」の2種類があり、「標準パッケージ」には、

・「VRゴーグルToy-Con」
・「バズーカToy-Con」
・「カメラToy-Con」
・「ゾウToy-Con」
・「トリToy-Con」
・「風Toy-Con」

 の6点がセットになっているが、「ちょびっと版」では、

・「VRゴーグルToy-Con」
・「バズーカToy-Con」

 の2点という、いわばお試し版のような構成になっている。なお、「カメラ&ゾウ」、「トリ&風」の追加Toy-Conを購入することで「標準パッケージ」相当にすることもできるので、まずは「ちょびっと版」から体験してみるというのも手だ。

Toy-Con6点がセットになっている「標準パッケージ」
「VRゴーグル」と「バズーカToy-Con」がセットの「ちょびっと版」もある

 3D立体視のグラフィックスを実現するのに欠かせない「VRゴーグル」は、レンズのついたボックスにNintendo Switch本体を収納する、スマートフォン用のVRゴーグルにも多く用いられている方式。

 これを各種のToy-Conとドッキングさせることで、様々なVRゲームや体験が楽しめるようになる。また、Nintendo Switch本体収納の両横は開口されていてJoy-Conを装着できるようにもなっており、多数収録されている「VRゴーグル」単体でプレイするゲームを楽しむこともできる。

 Nintendo Switch本体収納の上部には、本体の熱を逃がすスリットと共に、イヤフォン端子にもアクセスできるようになっているので、イヤフォンやヘッドフォンを併用することも可能だ。

こちらが「VRゴーグル」。この中にNintendo Switch本体を入れる

 「VRゴーグル」とはまた別に、Nintendo Switch本体を収納して各種のToy-Conに装着させるためのケースも付属している。VR表示用のレンズなどはついていない普通の収納ボックスになっているので、これを使って普通の2D表示でゲームをプレイすることもできる。

別のNintendo Switch本体ケースを使えば、2D表示で各種のゲームを楽しむことも可能だ

「バズーカToy-Con」

 「標準パッケージ」と「ちょびっと版」のどちらにも入っていて、VRゲームの醍醐味を最もストレートに味わえるのが、この「バズーカToy-Con」を使ったゲームだ。

 「バズーカToy-Con」には、弾を装填するために手前に引くことができる「グリップ」、弾を発射する「トリガー」、さらに垂直の状態から横に倒すことができる「バイザー」が備えられている。バズーカの背面にVRゴーグルを装着して顔をつけてプレイするので、視点がそのままバズーカの照準そのものになるという作り。

 この「バズーカToy-Con」でプレイするのは、レールスクロールタイプのガンシューティングゲーム。乗り物に乗って自動的に前へと進んで行く中で、そこかしこにいる敵を撃ってスコアを稼いでいくという、アミューズメント施設のライド型アトラクションを家で味わえる。

 360度の全方位に広がる、立体感と奥行き感のある世界で敵を狙い撃っていくのだが、弾は発射後に放物線を描いて落下していく。そのため、距離感を掴みつつ少し上を狙っていくのがポイントになる。距離の存在を自然に感じられるゲーム性になっていて、それがVRの世界の実在感とそこに入っている感を高めてくれる。VRならではであり本作の作りの上手いところだ。

 「バズーカToy-Con」という実物のガジェットを手に持っていることで高まる体感ゲーム的な魅力もポイント。弾を装填するために「バズーカToy-Con」のグリップを手前に引くのだが、このグリップには輪ゴムを使った抵抗がついていて、そこそこ重めの手応えがある。

 また、敵はいろんなところにいるのでバズーカごと顔の向きや体の向きを変えて、360度を見回しつつプレイするのだが、いろんな方向を見回しつつ、グリップを引いては撃ち、引いては撃ちするのは、結構な運動量。汗がじわっとにじんできたほどで、これだけ手軽なアイテムながら、体感ゲームのアトラクション感がしっかり味わえる。

 ただ撃つだけではなくテクニックもある。弾を込める前にトリガーを引いてロックオンができるほか、顔の横にあるバイザーを降ろすと一定の間は時間が止まるので、その間に撃ちまくると、時間が動き出した直後に全弾ヒットするといったギミックもあって使いどころが重要だ。また、柵の中にいて直接撃てない敵は、柵の上の天井を狙ってはね返った弾をヒットさせないといけなかったり、倒し方に工夫が必要な場面もあった。

 ステージの最後に待っているのは巨大なボス! ボスのは視界いっぱいに広がるような大きなスケール感で迫力抜群! そこに自分がいるような迫力でボスの巨大さを味わえるのも、VRならではの魅力だ。飛び上がって上から巨体が落ちてくるような動きをしたりと、その迫力を存分に活かした演出も楽しめた。

「カメラToy-Con」

 ちょっと大きめな一眼レフカメラのようなスタイルの「カメラToy-Con」は、Joy-Conでレンズズームの回転を検知させつつ、もう一方のJoy-Conで本物のカメラ同様に右手人差し指でシャッターを切ったり、アナログスティックでアクションができたりなど、Joy-Conで本物のカメラのようなボタンレイアウトや操作感を上手く再現しているのが面白い。

 レンズを回してズームさせると、「カチカチッ」としたクリック感のある手触りがするのが気持ちいい。実際の一眼レフカメラにはない手触りではあるが、こうした手触りがある方が体験として面白い。これももちろんダンボールと輪ゴムで再現しているので、「カメラToy-Con」を作っているときに「なるほどねー!」っと関心させられること間違いなしだ。

 「カメラToy-Con」を使ったゲームには「魚の撮影」と「おうちカメラで変ないきものを撮影」があるが、この日は「魚の撮影」を体験。スキューバダイビングのダイバーになったような視点で、魚の様子や海中の景色を楽しみつつ写真を撮影するという、癒やしたっぷりの体験系VRゲームだ。

 写真には「○○を撮ろう!」といったようなお題もあって、そのリストを埋めてコンプリートを目指すというのが遊び方の基本だ。

 海の中では色とりどりの魚がそこかしこを自由に泳いでいて、それをアップで見てみようとレンズを回してズームで眺めたり、こっちに迫ってきたときに興奮しつつシャッターを切ってみたりと、好奇心のままに楽しめる。アナログスティックを動かすと魚に餌をあげることもできる。

 移動こそはできないのだが、カメラを上に向けると浮上し、下に向けると降下していくようになっていて、深さによって棲息している魚の種類が変わってくるし、海底にはいろいろと「これは何だろう……?」と気になるものもあったり。時間を忘れて楽しんでしまうVRゲームだ。

「ゾウToy-Con」

 「VR Kit」のToy-Conの中でも、最も変わった存在がこの「ゾウToy-Con」だろう。ゾウになりきるというものではなくて、“顔から手の先までの距離を測定する”というのが「ゾウToy-Con」の特徴。ゾウの顔のところに貼っている白いシールを、ゾウの鼻先に装着しているJoy-ConのIRカメラが読み取って、顔から手先までの距離を検出している。

 この仕組みで、顔の前から手を伸ばした先までの空間の“手の動き”を使ったVR体験が楽しめる。空間に奥行きのある絵を描いてみたり、モノを掴んで動かしてみたりといったものだ。

 お絵かきでは、ペンの太さや色など空間にあるお絵かきツールを手を伸ばして掴んで選択し、空中の好きなところに絵が描ける。もちろん、奥行きと立体感のある“3D立体アート”だ。

 この日は体験時間が限られていたので、とりあえず空中に「GAME Watch」と書いてみたのだが、書いた文字を回転させて横から見てみると、手を伸ばして空中に書いたぶん緩やかな円形になっていたりして、ちょっとアーティスティックに見えたり。ちなみに書いた絵はテレビモードでテレビに映して見ることができ、絵が完成するまでの流れが記録されているので、それを再生することも可能だ。

 なお、このお絵かきでは自由に3D立体アートを描く以外にも、「りんごを描こう」といったようなお題に沿って絵を描き、できあがった絵を別の人に見せて何を描いたのかを当ててもらうというようなクイズもできる。

お絵かきツールを自分の手を伸ばして掴んで選択、空間に好きな絵を描いていく
空中に描いた「GAME Watch」の文字。回転させることもできるし、描いていった流れを再生することもできる。テレビモードでもみることもできる

 もうひとつ体験したのは「つみきパズル」。こちらは上から落ちてくるボールがリングを通っていくように、転がっていく道になる板を置いていくという、一風変わった空間パズル。

 上から落ちてくる1個のボールに対して、リングが左右に1個ずつあり、転がしていくための板が2個あったとして、プレーヤーは手(ゾウの鼻を持っている手)を伸ばして板を掴み、その板をボールが落ちてくる下に置いて横へ転がしリングを通過させ、次に反対方向に向けて板を置いて、逆側のリングの方へと転がしていく。上手くリングを全て通過すればステージクリアというわけだ。

 シンプルながら、奥行きのある空中に、ボールが上手く転がっていくよう良い角度で板を置かないといけないし、傾きも上手くつけないといけない。手を伸ばし手首の回転も検出する「ゾウToy-Con」ならではのゲーム性だ。微妙な角度のズレなどで上手くリングを通ってくれないときはもどかしいものの、キレイに通過してくれたときの気持ち良さは、ピタゴラスイッチがキレイに動いてくれた的な気持ち良さがある。

 ステージをクリアするごとに難易度が上がっていくようで、すぐに解き方が閃かないような歯ごたえのあるパズルも用意されているようだ。全100面収録されているということで、遊びごたえも十分。ガンシューティングの「バズーカToy-Con」はゲームっぽさが強かったが、こちらはじっくりと挑めるパズルの魅力が詰まった、ゲームらしさの強いVRゲームだ。

自分でパズルを作ることもできる

「トリToy-Con」&「風Toy-Con」

 「風Toy-Con」は「VR Kit」のToy-Conの中でも最もアナログ感がありつつも、体験した中で筆者が最も興奮したものでもある、衝撃度の高いToy-Conだ。

 大きなヘラのようなものがついた長方形の大きなToy-Conだが、これに片足を乗せて踏み込むとヘラが持ち上がり、うちわで扇ぐように風を巻き起こす。

 足下から上へと風が起こって顔を吹き抜けていくわけだが、この風の勢いはかなりのもの。想像以上の風量に「風が強いっ!」っと興奮してしまったほどだ。もちろん「風Toy-Con」にもJoy-Conを装着して、踏み込みが検知されてゲームプレイの操作に使えるようになっている。

踏めが風が巻き起こる!収納時は写真右のように折りたためる

 この「風Toy-Con」とVRゴーグルの組み合わせで楽しんだのが、プレーヤーはカエルになって、クマのおもちゃが撃ってくるボールにタイミングよくジャンプして飛び乗っていくという、なかなかシュールなVRゲーム。ジャンプするときに「風Toy-Con」を踏むわけだが、VRゴーグルをつけて視界はカエルそのものな自分の顔に風が吹いてくると、自分が飛び上がっているような感覚がグッと高まっていく。いわゆる3Dに肌で感じる風が加わった4D体験的な感覚だ。

 原理としては非常にアナログではあるが、原始的なぶん、その効果もストレートに伝わってくる。これだけ手軽な装置ながら、VR映像と風の肌感覚が加わった体験の妙なリアルさは思わず興奮しながらも笑いながらプレイしてしまうものがあった。

 体験一点突破なものではなく、このジャンプゲームはステージが進むごとに撃ってくるボールのリズムが変則的になったり、上から降ってくるサッカーボールをジャンプしてヘディングしたりと、一風変わった足でプレイするリズムゲームのような面白さが出てくる。体験のインパクトと、分かりやすくもハマるようなゲーム性の組み合わせが魅力だ。

 お次の「トリToy-Con」は、まさに見たまま“鳥”を再現したToy-Conだ。胴体のところに手を入れて銅を支えるように持てるようになっていて、指先を引くと羽が上下に動く。頭のところにJoy-Conを装着するようになっていて、アナログスティックが眼、Joy-Conの先がクチバシに見えるようになっているのがカワイイ。

 この日は、鳥になって島を自由に飛び回るというフリーモードをプレイ。手で翼を羽ばたかせることで上昇し、トリToy-Conを傾けることで視界も傾いていく。ジャイロの精度が良くて一体感があるし、翼の上昇感から飛んでいく浮遊感も気持ちいい。

 ここに風Toy-Conを加えると、体験がさらにパワーアップ!下から吹き上げる風を感じつつ空を飛んでいく。風が加わると、途端に空の感覚や風の強さが想像にリンクして、体験に妙なリアルさを感じるようになるのが、不思議かつ面白いところだ。

 なお、この日に体験したのは自由に飛ぶモードだったが、ゲームとしては島を探索して「ひな」を見つけたり、指定されたリングをくぐりつつゴールを目指すタイムアタックなども楽しめるということだ。

手軽にVRゲームが作れる「Toy-ConガレージVR」! 今回は3Dゲームを作る機能やパーツが充実

 「Nintendo Labo」と言えば、Toy-Conを作って付属のゲームを楽しんで……のさらに一歩先に「自分だけのあそびを発明する」という広がりがあるのが醍醐味。この「VR Kit」では“VRゲームを作れる”というパワーアップを果たしている。

 これまでの「Nintendo Labo」だとゲームを作るというより工作的な方向性が強かったが、今回の「Toy-ConガレージVR」には、キャラクターやオブジェクトの3Dモデルなどの“VR対応の3Dグラフィックスゲーム”を作っていくためのパーツが加わっているのが大きな特徴だ。

 実際にVRゲームを作る工程をご紹介頂いた。ゲームを組み立てていくのは、これまでの「Nintendo Labo」シリーズと同様に黒い「2D編集画面」で行なう。まずは人型キャラクターのデータである「ヒト」を配置、ゲーム画面に切り替えてみると、何もない空間に人型のキャラが登場した。もちろん、「VRゴーグル」で見れば3D立体視で見ることができる。

 キャラが立っているだけではゲームにならないので、お次は2D編集画面で「スティックを倒したら」というデータを追加。これを「ヒト」の上下左右に繋げていく。これでゲーム画面にしてみると、Joy-Conの上下左右でキャラクターが操作できるようになった。

 続いてゲーム内にオブジェクトの箱を追加。さらに箱の中のひとつには「キャラクターがぶつかったらその箱が壊れる」というデータも追加したので、これで「壊れる箱」と「壊れない箱」ができた。そこからキャラクターの色を好きな色に変え、箱が壊れたら花火のエフェクトが出るようにして、「壊れる箱はどれかを当てる」というシンプルなゲームが完成!

 数分で作られたものだが、自分で考えて設定したものがゲーム画面としてちゃんとできていて、さらにはVRの全方位3D立体な世界の中で動いていて操作できるのを見ると、ちょっと感動してしまうものがある。

 「Toy-ConガレージVR」ではサンプルのゲームが64種類収録されている。2D編集画面で作りかたを参考にしたり、それを自分なりにアレンジして、オリジナルなゲームを作っていくということも可能だ。

 サンプルゲームのいくつかを遊ばせて頂いたのだが、VR空間の中で操作キャラクターをパドル代わりにしたエアホッケー的なゲームや、VR視点で超巨大なブロック崩しが楽しめたり。またVRゴーグルを使わずとも楽しめるスマブラ的な対戦ゲームもあったりと実に多彩だ。がんばればこういうゲームが作れることに驚かされつつ、遊んでみて楽しみつつ、自分のアイデアが生まれるきっかけにもなってくれるサンプルゲームだ。

つくる、遊ぶ、がぎっしりの、任天堂ならではを感じさせるVR体験!

 「Nintendo Labo Toy-Con04:VR Kit」をひととおり体験させて頂いたのだが、どのToy-Conにもユニークな仕掛けやしっかりとした手触りがあり、実際に手に持っている物を活用するからこそ、VRゲームの体験もより楽しいものになってくれる。

 風Toy-Conのようにかなりアナログなものもあるが、アナログな肌感覚までも取り入れているVRゲーム体験は、アイデアの面白さとしっかりとした遊びごたえの両方に彩られている見事なものだ。これが家庭で手頃な価格で、しかも自分が組み立てたもので楽しめるということに、改めて驚かされた。

 「Nintendo Labo」の奥深さの部分と言える「Toy-Conガレージ」も「Toy-ConガレージVR」となり、ゲーム画面で楽しむグラフィカルなゲームを作れるようになったのが大きい。最も手軽にVRで楽しめるゲームを作れる環境と言えるだろう。例えば自分が作ってみたものを友達に遊んでもらったり、家族で楽しんだり。そうして誰かに楽しんでもらえたことをきっかけに、モノ作りの喜びを知っていく。

 SNSに自分が作ったゲームをプレイしている動画を載せてみるということもできるので、アイデアたっぷりの作品たちに、「こういうこともできるのかー!」とか「このアイデアは思いつかなかった!すごい!」と驚かされる日がやってきそうだ。

 任天堂ならではのアイデアたっぷりなVRゲーム体験に、自分でVRゲームを作れる面白さ、いろいろな魅力がつまってる「Nintendo Labo Toy-Con04:VR Kit」。ぜひチェックして頂きたい。

パッケージ横には各Toy-Conのおおよその制作時間が記載されている

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