インタビュー

セガネットワークス、「サカつくシュート!」 中村泰良プロデューサーインタビュー

「1番ライトなスマホサッカーゲーム」を目指して!

12月10日 正式サービス開始

 セガネットワークスが12月10日、満を持してサービスを開始するiOS/Androidスポーツ育成アクションゲーム「サカつくシュート!」は、サッカーアプリ史上最高峰の3D試合シーンの中で、「シュート!」や「プレス!」などの指示を出し、ゴールを決める快感を手軽に味わうことができ、獲得した選手を育てて、世界一のサッカークラブを目指すタイトルだ。

 「サカつく」初のスマホアプリとなった本作がどのように生まれ、どのようなゲームになっているのか? また今後の展開について、プロデューサーの中村泰良氏に話を伺った。

「パズドラ」のサッカー版!? スマホアプリとしてリリースされる本作が開発された経緯とは?

――1996年のSS版から始まり、長きに渡りリリースされてきた「サカつく」シリーズですが、スマホアプリとして開発することになった経緯を教えてください。

中村氏:今のスマホゲーム市場でいうと、ネイティブアプリでもサッカーゲームはブラウザの流れから来たカードソーシャルタイプのものが多いという現状があります。弊社では、この現状の中で、「セガ」クオリティというか、もう1歩先のネイティブアプリを作ろうというのが会社のミッションとしてありました。

 ブラウザでも「サカつくSワールドスターズ」というタイトルを展開しているのですが、もう少しコンシューマーの「サカつく」に近いというか、試合のエンジンを持っている点は弊社の強みでもありますので、そこを活かした次の「サカつく」を作っていこうという流れから生まれました。

 僕が個人的に「パズドラ」に衝撃を受けたこともあります。今、「パズドラ」のパズル部分を他のものに置き換えてヒットしているタイトルが多くあります。僕としてはサッカーが好きで、コンシューマーの「サカつく」に携わったりもしていたこともあり、「パズドラ」のサッカー版というところに大きな可能性があると考えたもの経緯の1つです。

――従来と違ったタイプの「サカつく」のようですが、社内の承認はすぐに降りたのですか?

中村氏:やはり「サカつく」を作っていた人には、その人なりの「サカつく」像がありますし。ニンテンドーDS版の試合エンジンを元にして使っていますが、DSとコンセプトは近くても、中身が違いますので、なかなか通りませんでしたね。

――「サカつく」という捕らえ方をすると、「パズドラのサッカー版? えっ?」ってなりますよね。

中村氏:元々「サカつく」ってコアなクラブ運営に焦点が当たっていたりして、それを好きで愛してくださっているユーザーさんが多くいるとは思うのですが、スマホの無料タイトルというところで、クラブ運営よりライトなところでやっていった方が、僕は1発目としてはいいと思ったんです。

――従来のクラブ運営を軸とした「サカつく」とはだいぶ違うと。

中村氏:何をもってクラブ運営と言うかは難しいですが、チームの育成、試合の部分にフューチャーしています。従来の「サカつく」ですと、スポンサー選び、観客動員を増やす、スタジアムを拡張といった経営の部分がベースにあります。今回はそういったコアな遊びをカットして、サッカーのいわゆる王道的な、試合をやって選手を育てて……といった部分をライトに遊んでもらいたいと考えています。

――先ほどお話に挙がりましたが、DS版の試合エンジンを使っているんですね。

中村氏:そうですね。そのままではないですが、ベースにして開発しています。DS版も2作出ていますので、試合エンジンは高いクオリティを持っています。また、低い等身のコミカルなキャラクターにしてあります。スマホアプリとして考えた時に、リアル頭身でしっかりとしたものを見せようとすると、マシンパワーが必要になり、遊べる端末が減ってきてしまいます。ライトな方、今までのシリーズを遊んでいない方にも遊んでもらいたい気持ちもあることから、等身を落として、かわいらしいDS版がいいかな、ということもDS版をベースにした理由の1つです。

――開発期間はどの程度なのでしょうか?

中村氏:取り掛かって1年弱くらいです。本当はもっと早く出せたのですが、市場も成熟してきて、基本的な部分ができたから出そうとなると、運営を始めた時に施策が後手後手になりやすいんです。色々な施策を事前に何カ月分か仕込んでのリリースになります。

――先々まで楽しめるように用意があると。

中村氏:様々な施策がうちこめる仕組みはできていますので、長期的に、飽きずに楽しんで頂ける自信はあります。そこはご期待ください。最初からどかっと出すと消化不良になってしまいますので、スケジュールを組んでやっていきます。もちろん、ユーザーさんの意見もリアルタイムに取り入れながらスケジュールは調整していける体制にはなっています。

ワールドツアーモードで選手を獲得し、獲得した選手を育成し、チームを強化! すでに1,000名以上の実名選手を仕込み済み!

――どのような流れでプレイするのかを簡単にご説明願えますか?

中村氏:試合を行なうモードは大きく分けて2つあります。1つはワールドツアーモードです。いわゆるスマホのネイティブアプリでいうところのミッション的なモードになります。クリアする毎に次のエリアが出てきて、先に進んでいきます。エリアは配信開始時20ほどありますが、ユーザーの進行を見ながらすぐに追加予定です。

 ワールドツアーでは、ゴールを決めるとボールの中から選手がでてきて獲得できます。その選手をスタメンに組み込んだり、合成の素材として使って選手を育成します。チームを強くしていって、もう1つのモードであるリーグ戦に挑みます。

 リーグ戦は全国のユーザーと1週間をかけて戦うモードです。毎週月曜日に自動で16チームのリーグが組まれ、金曜日まで戦います。金曜日終了時点で、上位8位は昇格入れ替え戦、下位8位は降格入れ替え戦になります。ボーダーを越えれば昇格or残留。下位入れ替え戦だと、残留or降格となります。昇格時には豪華な報酬が獲得できます。

 リーグはリーグ1からリーグ6まで、6階層で構成されます。ピラミッド形式になっていて、強い人が上に上がっていくので、常に同じレベルのユーザー同士でリーグを組むことになります。

 最終的に上位リーグは非常に厳しい戦いになると思いますが、リリース当初はまだレベルが高くないと思いますので、今始めると上位リーグにすぐに昇格できるチャンスです。今すぐ始めてください!(笑)

――最初にクラブ作成を行なうとのことですが、どのように作成するのでしょうか?

中村氏:最初にクラブの名前、本拠地、エンブレム、ユニフォームを決定します。エンブレムやユニフォームは色やデザインを多数用意しています。

――本拠地はゲームにどう影響するのですか?

中村氏:今のところ影響はないですが、後ほど出てくるものに影響してきます。詳しくはもう1回取材に来ていただいて、その時にでもお話できればと(笑)。後から変更できるので、今は愛着のある地域でいいと思います。追加の施策として、だいぶ地元愛が活かせるものが出てくるので、楽しみにしていただければと思います。

――ワールドツアーで出てくるのはどのような相手なのでしょうか?

中村氏:イタリア、イングランド、スペイン、オランダといったヨーロッパを回っていく形になります。先に進むほど、その国の強豪クラブが出てきます。

 基本的に、4つの国というかエリアが1セットになっています。国ごとに属性の特徴があり、POWER、SPEED、TECHNIC属性の3つの国を順番に回って、最後の4つ目にボス的なまとめエリアがあります。

※選手の属性は【POW(POWER)/SPE(SPEED)/TCH(TECHNIC)】の3種類。POWはSPEに強い、SPEはTCHに強い、TCHはPOWに強い。

 また、ワールドツアー内にはカップ戦というものがあります。定期的に行なうようなイベントやコラボの試合になります。選手をレベルマックスにすると覚醒といって、1ランク上のレアリティにできるのですが、覚醒に必要なコーチを獲得できるのもカップ戦です。曜日ごとに獲得できるコーチが異なります。覚醒画面にいくと覚醒に必要なコーチがわかるので、曜日ごとのカップ戦で必要なコーチを獲得してもらうといった流れです。

 イベント的なものでは、すぐにクリスマスや年末があるので、クリスマスカップのような試合が発生します。通常では手に入らないようなレアリティの選手がレアガチャを回さずに手に入ったりします。

――ヨーロッパを回るとのことですが、どのような選手が登場するのでしょうか?

中村氏:基本的には欧州のトップリーグの選手は実名で登場します。最初から全て登場させるわけではないですが、すでに1,000名以上は仕込んであります。

――加えて「サカつく」の選手が出てくると。

中村氏:そうですね。事前登録で河本鬼茂がもらえますし。ただ、鬼茂くらいしか「サカつく」で引きのある選手はいなかもしれませんが(笑)。この後もバージョン違いとかいろいろ出していく予定です。

 実名である点もウリの1つですね。「サカつく」だと当たり前の感じではあるのですが、スマホでいうとノーライセンスのタイトルも多くありますので。実名かつ、これほどしっかり試合が動くのは今までにないと思います。

――これだけ選手がいて、同じ選手でも覚醒でレアリティ違いがあると、選手数がかなり多くなりますね。

中村氏:最初から全ては出さず、段階的に出していますが、かなり人数は多いです。覚醒に関しては、能力アップするだけでなく、キーマンスキルが変化する点も大きいです。

――1,000名×覚醒段階数となると、信じられないほどの数がいますね。選手はどのくらい所持しておけるのでしょうか。

中村氏:ゴールデンボールを使えば拡張できますし、最大拡張数も増やしていく予定です。最初は40人までですね。

※ゴールデンボール:ワールドツアーのステージクリアやログインボーナスなどで得られるアイテム。課金して購入することも可能。レアガチャ、選手やフレンドの枠数を増やすことなどに使用する。

――いわゆるカードで1,000種類規模となると相当パワーが必要になりますよね。

中村氏:その辺りは弊社がゲームを作ってきた経験が活きてますね。例えば、試合エンジンを考えても、何もないところから作ろうとするとそれだけで1年かかってしまうと思うんです。使いまわしではないですが、うまく資産を使ってユーザーさんに喜んでもらうのは弊社の強みだと思います。

――はたから見て、ソーシャルゲームの大変さは、ソーシャル部分とゲーム部分の両方を作ることにあると思いますが、ゲームエンジンはDS版をベースに、ソーシャルはこれまで開発してきたゲームを活かしてと、お話を伺う限り、かなり効率的に開発されている印象があります。

中村氏:うちの強みが出せる環境になってきた気がします。これまで他のSAP(ソーシャルアプリプロバイダー)と比べてソーシャル部分に関しては経験が浅かったですが、知見もたまってきましたので。ゲームのノウハウは元々あるので、最近はうまく融合できてきていますね。

――カードにしてもいわゆるイラストではなく3Dモデルをうまく使っていて量産が効きそうですし、手間がかかる部分を効率化して早くゲームに反映できるような融通のきく作りになっているようですね。

中村氏:DS版の頃から大量生産ができる仕組みがあり、過去の選手の資産もあるので、イラストを描くよりもだいぶ早くできる気がしています。ただ、DS版を使っているとはいえ、シュート、ディフェンスゲージ、スキルといった新規要素が多いので、だいぶ時間はかかってしまいました。

  逆にエンジンの部分を流用したからこそ新規要素に時間をかけることができたので、試行錯誤ができ、バランスを含め、いいものができたと思います。

 プレイしてもらうとすぐにおわかりいただけると思うのですが、試合の動きはスマホアプリとしてはかなり良いです。動きのパターンも豊富です。毎試合新たな展開を発見できると思います。

――ドリブル時に敵を手で突き放す動きなど細かい動きもありますね。

中村氏:選手の特徴がちゃんと出ますね。他にもスキルが発動するとエフェクトが入ったり、ディフェンス崩壊時の演出などがあって、気持ち良く遊べるようにしてあります。

――“ワールド”ツアーなので、今後はヨーロッパ以外の国も登場するのでしょうか?

中村氏:そうですね。ゆくゆくは他の国も追加できたらと思っています。最初は有名な選手が多いヨーロッパにしました。

好きな時間に他のプレーヤーのチームと戦えるリーグ戦。試合数は月~金曜まで1日3試合、土日は5試合。課金に関わらずフラットな作りに!

――続いてリーグ戦についてお尋ねします。他のプレーヤーと戦うということですが、どのように戦うのでしょうか。

中村氏:リアルタイムではなく、相手の作ったチームと戦うものになっています。今までのスポーツソーシャルゲームだと、時間毎に自動で対戦するものが多いのですが、今回のコンセプトは「自分で試合を動かす」というものなので、他のユーザーのチームと1日3試合、好きな時間に試合が行なえるようになっています。

※リーグ戦は月~金曜は1日3試合、土日は1日5試合が上限。プレイしない場合は不戦勝となる。

――リーグに選別はランダムですか?

中村氏:同じ階層のリーグの中でランダムです。

――勝敗はどう計算されるのでしょうか?

中村氏:勝ち数によるランキングになります。それぞれのプレイヤーが月~金曜までで何勝できたかで順位が決まります。もしかすると複数のクラブが15勝ということも起こりますが、その場合は得失点差で順位が決まります。

※勝ち点の計算は自分の対戦結果で決定される。例えば、他のプレーヤーが自分のクラブチームを破ったとしても、そのプレーヤーに勝ち点が付与されるだけであって、自分の勝ち点がマイナスされることはない。

 同期させての対戦が熱いのでしょうけど、同じ時間にユーザーが対戦しなければいけなくなってしまいます。スマホなので、1人で、自分の好きなタイミングで遊べることを第一に考えた結果、この仕組みにしました。他のユーザーが絡んでくる仕組みとしてはフレンドの選手を借りるといったものもありますし。

――いわゆるスタミナ性のゲームなんですよね?

中村氏:ワールドツアーだけはそうです。リーグ戦は決まった数しかできません。課金でも試合数は増やせません。あえてフラットにしています。

――そこをフラットにするのは珍しい作りなのではないでしょうか?

中村氏:そうかもしれません。今回のリーグの仕組みはありそうで意外とないと思うので、受け入れられるのかチャレンジだと思っています。自動進行タイプもいいところはいいんですよ。ログインしなくてもやってくれるので。ただ、勝手にやってくれるが故に乗り遅れたときに、波に入っていけないというか、1回忘れてしまうと裏で進行だけしていって、見ていない試合がたまっているみたいになってしまいます。ちょっとありきたりになってきたので、今回自分でプレイするというところで、新しいリーグの形を提案させていただきました。

試合では「自分で試合を動かす」をコンセプトに、シュート、プレス、4つの戦術指示を使い分ける。選手のパラメーター、属性、キーマンスキル、ポジションなど、やり込むほど深みの感じられるゲーム性に!

――「自分で試合を動かす」ということですが、具体的には試合でどのようなことができますか?

中村氏:基本的に選手は自分たちの思考で動きますが、シュートに関してはプレイヤーが指示を出さないとシュートしません。実際のサッカーでは、監督がシュート指示を出さないとは思いますが(笑)。

 アクションゲームのようにキー操作があって、タイミング良くパスしたり、ドリブルで相手を抜いていったりするのではなく、なんとなく試合を眺めていて、チャンスの時にシュート指示を出すと。シュート指示だけで充分プレイできるところがポイントです。

 他にもディフェンス時にボールを積極的に奪いにいくプレス指示、4つの戦術を切り替えることができます。これらシュート、プレス、戦術と3つの指示で戦うことになります。

※戦術指示は、【中央突破/左サイド/右サイド/カウンター】の4種類。

――戦術指示はどう使っていくのが効果的なのでしょうか?

中村氏:基本的には監督気分で、右サイドから攻めさせたいなら右サイド、左サイドから攻めさせたいなら左サイドと。戦術の指示なので、ボタンを押したらすぐに右サイドから攻めるものではないです。勝ってるからカウンターで守りを固めるなど、状況に応じて切り替えて指示を出すイメージです。

 選手の能力差がハッキリ出ますので、強力な選手が右サイドのポジション適正があるのであれば、右サイドに配置して、常に右サイドから攻めれば圧倒的に有利になります。あとは選手のスキルに右サイドにいると発動するといったものがあります。例えば右サイドのスキルを持っている選手を多くチームに入れれば、右サイド指示が圧倒的に強くなるわけです。

――選手のスキル、性能を考えて使っていくと。

中村氏:ポイントになってくるのがキーマンスキルというチーム全体に影響するスキルです。そのキーマンスキルと選手の組み合わせが非常に重要になります。

 キーマンスキルは、キーマンに設定した1人のものしか発動しません。パワー属性の選手のオフェンス値を1.5倍するキーマンスキルならパワー属性の選手で集めれば強くなります。こういった編成も本作の面白い部分ですね。

――ポジションをどうするか難しいと思うのですが、全員を右側に寄せて配置して、右サイド指示を出せば強くなったりするのでしょうか?

中村氏:極端な、あまりに非現実的なものはダメですね。

――できないことはないと?

中村氏:できないことはないですよ。全員前に出したりもできます。ただ結果はついてこないです。

――現実的なフォーメーションの方が結果が出やすいわけですね。

中村氏:弊社としても「サカつく」を長年作ってきて、その辺は踏まえていますので。ただ、ゲームなので、そういった最強のフォーメーションを見出すのも1つの面白みだとは思っています。

――シミュレーションのサッカーゲームだと、勝敗の原因を見出すのが結構難しいと思うのですが、相手にどう対処していけばいいのでしょうか。

中村氏:そこで今回入れているのがディフェンスゲージです。格闘ゲームのライフゲージのような形で、各チームにはディフェンスゲージがあります。ドリブルやパスを成功させると相手のディフェンスにダメージが入り、ゲージが0になるとディフェンス崩壊を起こします。リアルなサッカーでもディフェンスを崩すという要素があるとおもうのですが、それをゲームとしてわかりやすく落とし込んだものです。

 ディフェンス崩壊したチームはキーパーを含めて守備力が大きく下がります。これを狙うと大きく有利になるんです。スキルの組み合わせなどがうまくはまると、早い段階でディフェンスを崩壊させられます。逆にそこがはまらないとディフェンス崩壊が起きず、なかなかシュートが決まりません。

 最初はいい選手がいないと思うのですが、フレンドでいい選手を借りてきたりすると、1発でディフェンス崩壊を起こしたりするので、わかりやすいです。今までのゲームだと強力な選手はなんとなく敵を抜くし、点を決めてくれるけど、ディフェンスゲージを導入したことで、選手の強さがよりわかりやすくなっています。

――得失点や早い段階で相手チームをディフェンス崩壊させられているか、自分のチームがディフェンス崩壊させられていないかで判断していけばいいと。

中村氏:リアルなサッカーは非常に複合的な要素でできていて、人間同士が戦っていることもあり、なぜ勝てたのか、なぜ負けたのか色んな議論が生まれたり、そこがサッカーの面白いところだと思うのですが、今までのサッカーゲームではそこを表現したくても、なかなかうまく表現できなかったと思うんです。ディフェンスゲージ、ディフェンス崩壊は、そこをユーザーにわかりやすくディフォルメ化して、数値化しています。わかりやすく形に落とし込めたと思います。

――選手に属性があるとのことなので、有利な属性を入れることでもかなり有利に戦えそうですね。

中村氏:チームを構成する選手の属性によって、チームとしてのディフェンス属性が決まります。パワー属性の相手なら、テクニック属性の選手を揃えると、ディフェンスゲージに倍のダメージが与えられます。まずは相手のディフェンス属性を考えてチームを組むといいですね。相性のいい属性で挑めば勝ちやすいですし、逆に相性が悪いと強い選手がいても勝ちにくいです。

――個々よりもチームのディフェンス属性を重視すればいいんですね。

中村氏:そうですね。ただ、パスが通るか、ドリブルで抜けるかなどの個々のプレイの判定は、選手能力によって決まるので一概にそうとは言えません。

 上級者になってくると、その選手の個々のパラメーターの差と属性を考えたりすることになります。弱いけど、属性の相性がいいから使うみたいな。そのあたりも楽しい部分かなと。

――さらにキーマンスキルや選手スキルが絡んでくると。

中村氏:選手スキルは100種類以上入っていまして、相手のディフェンスゲージを大きく削る、ディフェンスゲージを回復させるなどがあります。さらに選手には調子という要素があって、よくあるサッカーゲームだと試合ごとに調子が変わったりすると思うのですが、このゲームでは試合中に選手スキルの効果によって調子が変動します。

 キーマンスキルにはパワー属性の選手の調子を1段階上げるといったものがあります。調子は選手の全体的なパラメーターを上昇させるものになります。ディフェンスゲージとは異なる軸で、チームによって色々なチームコンセプトがつけられるんです。ディフェンス崩壊を起こさせないようにする、調子を上げてパラメーターを底上げする、相手の調子を下げるなど、いろんなコンセプトのチームが作れるように意識して作っています。

――やろうと思うと、やれることはかなり多そうですね。

中村氏:入りとしてはライトに作っていますが、育成の仕方、チーム編成には深みがあると思います。今までのカードソーシャルでは一瞬で勝負がついてしまうのですが、リアルに試合が動くというのは非常に大きなポイントで、サッカーをやっている感は違ってくると思います。

――1試合はどのくらいの時間で終わるのでしょうか?

中村氏:だいたい2~3分ですね。ただ、ワールドツアーに関しては3点差をつけると圧勝となり試合は即終わります。さらに圧勝するとボーナスで選手が1人獲得できます。そういう時には1分くらいで終わりますね。選手集めなどで、前のステージにもどって弱いチームと戦うと圧勝になるので、すぐに試合を終わらせることができます。

――フォーメーションをどうするか、サッカーを知らない人はどうしたらいいでしょうか?

中村氏:自動でフォーメーションを組むことができます。バランス重視、パワー重視のようにいくつかのコンセプトから選択できます。選手からフォーメーションまで設定してくれます。

 ワールドツアーをクリアしていくとレアガチャに必要なゴールデンボールが手に入り、何試合かに1回はレアガチャがひけます。レアリティの高い選手を組み込んでいくだけでも本当に楽しめます。

――課金するしないに関わらず、クリアで課金アイテムがもらえたりと、とにかく触ってもらいたいといった感じでしょうか。

中村氏:そうですね。リーグ戦に関しては、1日3試合やらないと不戦敗になってしまいますし、3分間を3試合やってもらうだけでやっている感はありますから。

 ガラケーしかなかった時代はカードソーシャルがライトな遊びだったと僕は思っているのですが、カードソーシャルは今、逆にコアな遊びになっていると考えています。バランスが変わってきているんです。

 僕はサッカーゲームの形としては今回が1番ライトな形だと思います。アクションでもないし、見ているだけでもない。なんとなく参加している感じもあって誰でも遊べるというベストなライト感を演出できていると思っています。

――コア、ライト層は時期で変わっていくということでしたが、そういう意味だと運営的には状況によって運営方針を変えていくこともありうると。

中村氏:はい、もちろんです。最初はできるだけ幅広いユーザーに遊んでもらえるように運営していきます。「サカつく」はコンシューマーでずっとやってきて、進化と共に要素も増え、なかなかライトな新規ユーザーが入りにくい現状があるのかなと。そんな中で、今までの「サカつく」を遊んだことのない方でも遊んでもらえるチャンスだと思っています。

 来年はワールドカップイヤーなので、コアなサッカーファンはもちろん、ライトなサッカーファンにも遊んでいただき、日本を代表するサッカーコンテンツにしていきたいと思います。

――フレンドの仕組みとはどのようなものなのでしょうか?

中村氏:キーマンスキルは基本的に、キーマンに設定した1人しか発動しないのですが、フレンドから選手を借りれば、フレンドと自分、2つのキーマンスキルが発動できます。使い方によっては、自分のチームがさらに強くなるんです。

 キーマンスキルには属性だけでなく、イングランド国籍の選手の能力を上げたりするといった国籍で強化するものもあります。パワー属性強化、イングランド国籍強化のキーマンスキルが同時発動するなら、パワー属性のイングランドの選手を集めれば、圧倒的に強くなるわけです。他に特定チームの選手を強くするスキルなどもあります。

――ゴールを決めると選手獲得ということですが、選手獲得手段はどのように?

中村氏:試合で点を決める、ガチャを回す、ステージやエリアのコンプリートボーナスなどで獲得できます。

――ガチャは何種類あるんですか?

中村氏:最初は1日1回の無料ガチャとレアガチャの2種類ですね。

 「無料ユーザーに優しく」というコンセプトもありますので、ワールドツアーをクリアしていくだけでかなりの数のゴールデンボールが手に入り、無課金でも頻繁にレアガチャを引けるようにしています。

 エリア内の全選手獲得で貰えるコンプリートボーナスで、レアリティ2の選手が手に入り、それでもチームが強くなりますし、エリアをコンプリートしていけば2~3エリアに1回はレアガチャが引けるようになっています。最初はログインボーナスでもゴールデンボールがもらえるので、そういったものも含め、かなりひけるはずです。

 2日目のログインボーナスでは、ゴールデンボール5個分に相当するレアガチャチケットがもらえるので、2日目までは絶対にやってもらいたいですね。

キャンペーン、コラボの仕込みもばっちり! クリスマスや年末年始にもイベントを開催!

――先ほどおっしゃっていたクリスマスキャンペーンとはどのようなものになるのでしょうか?

中村氏:ログインボーナスとクリスマスカップを開催します。クリスマスカップは、クリスマスプレゼントといった形で、簡単にレアリティの高い選手が手に入るものです。年末年始も手に入れた選手をより強化できるイベントをやったりと、仕込みはできていますので、最初から飛ばしていきたいですね。

――新たな遊びも追加されていくのでしょうか?

中村氏:最初にやろうとしているのが、アイテム収集型というか、試合をすればするほど、アイテムがたまっていって、ためたものによって選手がもらえるものです。無課金でも時間をかけてプレイしてもらえれば強い選手が手に入るイメージです。また、コラボもやっていく予定です。

――セガはキャラクターも多いですし、自社だけでもコラボは色々できそうですね。

中村氏:自社だけでなく、サッカー絡みの何かとのコラボもありますからご期待ください。

――コラボはいつ頃お披露目になりそうですか?

中村氏:来年の早い内にはお披露目できると思います。来年はワールドカップイヤーでもありますので、盛り上げていくつもりです。

――最後に読者にひと言お願いします。

先ほどから言っています通り、1番ライトなスマホサッカーゲームを目指して作っています。「サカつく」ファンの方々に楽しんでいただきたいのはもちろんですが、サッカーに興味はあるけど、今までサッカーゲームを遊んだことのない方にも遊んでいただきたいと思います。

――ありがとうございました。

 実際にプレイさせてもらったが、中村氏の言うとおり、スマホアプリを遊んだことがあるなら慣れ親しんでいるであろうシステムが多く、試合も簡単な指示を出すだけなので、迷うことなく気軽に遊ぶことができた。アプリの動作もレスポンスが良く軽快だ。Androidは機種が多いが、シェアの80%ほどには対応しているという点も嬉しいところ。弊誌では、今後も本作の最新情報をお伝えしていく予定なので、ご期待いただければと思う。

(木原卓)