「メイプルストーリー」日本オリジナルアップデート「戦国時代」開発者インタビュー

アップデートの経緯から新職業のポイント、新システムの狙いについて聞いてきた


7月11日 「暁」実装予定
7月25日 「疾風の刃」実装予定
8月16日 「紫妖の扇」実装予定



 株式会社ネクソンは、Windows用MMORPG「メイプルストーリー」において、7月11日より3回に渡って日本オリジナルの大型アップデート「戦国時代」を実装する。

 今回のアップデートは3段階に分かれており、まず7月11日に「暁」として日本のオリジナルマップが追加される。その後7月25日に「疾風の刃」として新職業・剣豪「ハヤト」が追加され、8月16日に「紫妖の扇」として新職業・陰陽師「カンナ」が実装される。

 今回はアップデートに先立って日本メイプルストーリーの開発チームの方々に今回のアップデートが行なわれた経緯や、新システムの狙い、新職業のポイントについて伺った。



■ 日本オリジナルコンテンツとしては最大規模となる「戦国時代」

メイプル本部 ライブ2室 ライブソリューションチーム チーム長のキム・ジュンヨップ氏
メイプル本部 ライブ2室 日本メイプルチーム チーム長のキム・ヒョンソン氏
メイプル本部 ライブ2室 日本メイプルチーム 事業パートのチョウ・インギョン氏
メイプル本部 ライブ2室 日本メイプルチーム 企画パート長のクァク・キョンス氏

――まず簡単に自己紹介をお願いします。

キム・ジュンヨップ氏:メイプル本部ライブソリューションチームのチーム長のキム・ジュンヨップです。ライブソリューションチームは韓国のメイプルサービスで新サービスや新職業の企画をしているチームです。

キム・ヒョンソン氏:メイプル本部日本メイプルチームのチーム長キム・ヒョンソンです。メイプルストーリーの日本ローカライジングおよび日本専用コンテンツ開発を総括しております。

クァク・キョンス氏:メイプル本部日本メイプルチーム企画パート長のクァク・キョンスです。日本メイプルのコンテンツの企画立案などを行なっています。

チョウ・インギョン氏:メイプル本部日本メイプルチームの事業パートのチョウ・インギョンです。本日は通訳を務めさせていただきます。

――「日本メイプルチーム」ということは、国別にチームが分かれているんですね。

キム・ヒョンソン氏:はい、そうです。各国ごとに特性が異なるため、チームごとに開発方向と性格が少しずつ違っています。

――では、今回のアップデートの企画を考えたのは「日本メイプルチーム」が中心ということですか?

キム・ヒョンソン氏:基本的に「日本メイプルチーム」の企画立案ですが、韓国の「メイプルストーリー」で新規サービスや新職業を考えてきたベテランのライブソリューションチームと連携しながら今回の企画を考えました。

――日本オリジナルのアップデートを実施することになったきっかけは?

キム・ヒョンソン氏氏:メイプルチームは日本の「メイプルストーリー」のサービスを大切にしていますし、日本のユーザーからも応援の声などを頂いており、お礼として日本のオリジナルコンテンツを出せないかと考えていました。

――今回日本のオリジナルコンテンツとして「戦国時代」というテーマを選んだのには何か理由がありますか?

キム・ヒョンソン氏氏:例えばアメリカですと「カウボーイ」の話ですとか、中国ですと「三国志」などの代表的なコンテンツがあると思います。日本の場合だと和風のコンテンツを前面に出すには戦国時代が合うのではと思い、初のオリジナルコンテンツは戦国時代をテーマにさせて頂きました。

――日本以外の各国の「メイプルストーリー」のサービスにおいても独自のコンテンツが導入されているのでしょうか?

キム・ヒョンソン氏氏:先ほど例に挙げさせて頂いたようにアメリカのサービスではカウボーイをテーマにした「宇宙海賊」というオリジナルのコンテンツを実装しています。ただ私たちとしては日本の「戦国時代」が1番面白いコンテンツだと考えています(笑)。



■ 新職業「ハヤト」、「カンナ」や新マップについて

新職業「ハヤト」のイメージイラスト
新職業「カンナ」のイメージイラスト

――今回のアップデートで追加される新職業の「ハヤト」と「カンナ」のキャラクターデザインを拝見しました。「メイプルストーリー」らしい可愛らしい絵柄になっていますが、何かモチーフになった歴史上の人物やキャラクターなどはいますか?

クァク・キョンス氏:戦国時代には魅力的な人物や、個人的にも好きな歴史上の人物がいるのですが、そういう有名なキャラクターや人物は周辺に配置して、新しいキャラクターはできるだけプレーヤーが感情移入できるようなデザインにしています。

――2つの新職業における、オススメのプレイスタイルやプレーヤー層などはありますか?

キム・ヒョンソン氏:では、まずそれぞれの職業の特徴を説明します。「ハヤト」は戦士タイプのキャラクターです。既存の戦士タイプのキャラクターは防御に特化した職業でボス戦等では前線に飛び込んでいって戦う職業になっていますが、「ハヤト」はフィールドで快適に狩りができるようにというコンセプトになっていて、動作が速くスピーディなキャラクターになっています。

 「カンナ」は「魔法使い」タイプのキャラクターです。既存の「魔法使い」タイプのキャラクターはボス戦や、パーティプレイには向いていないというプレーヤーの皆さんからの不満がありました。「カンナ」はその点を改善してボス戦やパーティプレイでも大きな役割を果たせるようにというコンセプトになっています。

 プレーヤーのプレイスタイルによっても変わってくるのですが、幅広い方に遊んでもらいやすいキャラクターになっていると思います。

――「メイプルストーリー」を初めてプレイするというプレーヤーでもスムーズに遊べるということですか?

キム・ヒョンソン氏:そうですね、初心者の方々でもスムーズに楽しんでもらえると思います。


【新職業「ハヤト」のスキル】
派手で爽快な刀スキルが印象的なキャラクターだ

【新職業「カンナ」のスキル】
結界や攻撃魔法、召喚など多彩なスキルでダイナミックに戦う

――それでは追加されるマップについて伺います。広さや対象レベルなどを教えてください。

キム・ヒョンソン氏:新職業と合わせて、町マップが1つ追加され、その周辺には初心者向けの低レベルモンスターが出現するフィールドが追加されます。他に新たに追加される「戦国大合戦」というコンテンツで、キャラクターレベルにあわせたレベルのモンスターが出現するマップも追加されます。

――新コンテンツの「戦国大合戦」についてもう少し詳しく説明してください。

キム・ヒョンソン氏:これは戦国時代の群雄達が敵勢力と戦っている局地戦にプレーヤーが参加するというコンセプトです。AIの友軍兵士と一緒にモンスターを倒しながら、敵の櫓(やぐら)を破壊したり、逆に防衛するといったような指令を受けてそれを達成する事が目的となります。

――インスタンスダンジョンの様に参加するグループ毎にユニークなマップが生成されるのですか?

キム・ヒョンソン氏:そうですね、パーティーやプレーヤー毎に違う局地戦に参加することになります。

――先ほどレベルに合わせたモンスターが出現するとおっしゃっていましたが、レベル1のキャラクターでも参加できますか?

キム・ヒョンソン氏:ある程度ゲームに慣れているプレーヤーでないと難しいと思うので、2次転職以降のキャラクターを想定しています。レベルで言うとレベル40~200がターゲットですね。

――では別のコンテンツについて伺います。「ランマル遠征隊」というコンテンツが追加されるそうですが、どのような内容でしょうか?

キム・ヒョンソン氏:「モリランマル」はボスとして出現するコンテンツです。「メイプルストーリー」の「戦国時代」の中では「オダノブナガ」が悪役という設定になっていて、その「オダノブナガ」の側近である「モリランマル」が中間ボスとして出現します。これは3次アップデートで実装される予定です。

キム・ヒョンソン氏:今回実装される「ハヤト」と「カンナ」にはそれぞれ「アケチミツヒデ」、「モリランマル」といったライバルキャラクターが設定されています。歴史上「モリランマル」が悪役であったわけではないんですが、「メイプルストーリー」の「戦国時代」の中ではそういう設定になっています。

――なるほど。それでは今後「オダノブナガ」や「アケチミツヒデ」もボスとして登場するということでしょうか?

キム・ヒョンソン氏:今回の夏アップデートでは「アケチミツヒデ」や「オダノブナガ」はボスとしては会えません。今後「アケチミツヒデ」を含めて「オダノブナガ」配下の他の有名な武将を登場させることも検討しています。

――他の武将にも早く会いたいというプレーヤーも多いと思いますが、いつぐらいに実装する予定でしょうか?

キム・ヒョンソン氏:今のところ明確なスケジュールは立っておらず、まずは新職業などを実装してみて、日本のプレーヤーの反応を見ながら検討していきたいと思います。


【新マップ】
「アケチミツヒデ」や「ノウ姫」、「タケダシンゲン」の姿が確認できる。ストーリーにどう関わってくるかが楽しみだ


■ 「キャラ札」、「アルバイト」システムなどの新システムについて

これまで作ったキャラクターを活かす新システム「キャラ札」と「アルバイト」

――他の追加要素として「名声度」というシステムが実装されるそうですが、こちらの詳細も教えてください。

キム・ヒョンソン氏:「戦国時代」には「モウリ」、「タケダ」、「ウエスギ」という3つの家門が存在しています。その各家門の中で自分の名声を高めていくというシステムです。名声を高めると等級が上がり、等級によって入手できるアイテムが変化します。

――選べる家門は1つだけでしょうか?

キム・ヒョンソン氏:最初はプレーヤーが1つだけの家門を選べるシステムにしようと思っていましたが、特定の家門に人気が集中することを防止したかったので、3つの家門から好きに選べるようになっていて、途中で変更することも可能です。家門毎に入手できるアイテムが違うので、それぞれ並行して上げていくような形になると思います。

――これは新職業の「ハヤト」、「カンナ」以外も参加できるのでしょうか?

キム・ヒョンソン氏:はい、既存の職業でも楽しんで頂けるシステムになっています。

――「キャラ札」というシステムについても教えてください。

キム・ヒョンソン氏:キャラクターがLv30にり、2次転職を完了すると、そのキャラクターのキャラ札が1枚貰えて、キャラ札を3枚セットするとカードの組み合わせによってさらに有用なプレイ中のキャラクターがバフ効果を得られるというシステムです。

――話しを伺うと非常にユニークなシステムだと思ったのですが、実装までにどのような経緯があったのでしょうか?

クァク・キョンス氏:「メイプルストーリー」はアップデートで新しい職業が実装される事が多いんですね。それで新職業が追加されると多くのプレーヤーはそちらを育ててるんですが、そうすると既に作ったキャラクターが勿体ないと感じました。そこで今まで育てたキャラクターを有効活用できるようにというのが目的です。同時に実装される「アルバイト」システムも同じです。

キム・ヒョンソン氏:「アルバイト」システムはゲームプレイ時に使用していないキャラクターにアルバイトをさせておき、決められた時間が経つと報酬を得られるというシステムです。

――ということは、「キャラ札」、「アルバイト」のシステムは「メイプルストーリー」をやり込んでいるプレーヤー向きのシステムでしょうか?

キム・ヒョンソン氏:確かにキャラクターが多ければ多いほど恩恵を得られますが、両システムともLv30から使うことができるので、そうではないプレーヤーにも活用してほしいですね。

――少し気が早いのですが、今回のアップデートにあわせてイベントなどを行なう予定はありますか?

キム・ヒョンソン氏:新職業を作ったキャラクターの育成を支援するイベントはもちろん、既存の職業をプレイしているプレーヤーにも楽しんで頂けるイベントを行なう予定です。

――最後に日本の「メイプルストーリー」プレーヤーに一言お願いします。

キム・ジュンヨップ氏:今回かなり力を入れて作っているので期待してください。また応援頂けると楽しいコンテンツでお返ししたいと思います。

キム・ヒョンソン氏:今までも日本のプレーヤーの皆さんから応援を頂いてきたので、そのお礼として今回オリジナルの「戦国時代」というコンテンツを準備させて頂きました。今後も日本のプレーヤー好みのアップデートを行なっていきたいので応援よろしくお願いします。

クァク・キョンス氏:これまで日本の「メイプルストーリー」の企画を担当してきて、新職業をお披露目したいとずっと思っていました。以前「デュアルブレイド」や「エヴァン」を日本のプレーヤー向けにアレンジして実装したことはありましたが、あくまでアレンジで完全にオリジナルではありませんでした。そのため今回こうして完全オリジナルの新職業を提供できて非常に嬉しく思っています。個人的に戦国時代のファンでもあるので、楽しんで頂けると嬉しいです。

チョウ・インギョン氏:個人的にも「戦国時代」というコンテンツは非常に魅力的だと思いますし、開発メンバーもかなり力を入れているので、日本のプレーヤーの皆さんに楽しんで頂けると嬉しいです。

――ありがとうございました。


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(2012年 7月 10日)

[Reported by 八橋亜機]