インタビュー
サイバーコネクトツー 代表取締役の松山洋氏インタビュー。「.hack」復活の経緯と向こう10年の野心を明かす
目標は「コンテンツによる世界征服」!
2026年2月19日 12:00
- 【サイバーコネクトツー】
- 2026年2月16日 設立30周年
サイバーコネクトツーは2月16日、設立30周年を記念する「サイバーコネクトツー設立30周年記念パーティー」を実施した。
記念パーティーでは、「.hack」シリーズの完全新作家庭用ゲーム「.hack//Z.E.R.O.」をはじめ、新規映像事業である「CyberConnect2 FILM」の立ち上げや、全国47都道府県を巡る展覧会「サイバーコネクトツー展」の開催、全国8都市でのファンミーティングの開催など、30周年を迎えたサイバーコネクトツーの“これから”が発表された。
今回はサイバーコネクトツーの設立30周年を記念し、代表取締役の松山洋氏にインタビューを行なった。待望の完全新作となる「.hack//Z.E.R.O.」の話題を中心に話を伺っている。
“特別な許諾”で自社パブリッシングへ。完全新作「.hack」が始動!
――サイバーコネクトツーが30周年を迎えた今の気持ちについてお聞かせください。
松山氏:ゲーム会社が30年続くって、本当になかなかないことだと思うんです。今があるのは、もちろん我々の頑張りだけではなくて、支えていただいた業界関係者の皆様、ひとえに応援してくれたファンの皆様あってのことだと思います。まずは感謝をお伝えしたいと思っております。
ただ、その感謝の気持ちを言葉だけでなく、形にして届けるのがクリエイターだと思うので。それで30周年記念プロジェクトとして「.hack」完全新作をお届けする運びとなりました。
――「.hack」シリーズが現代に“完全新作”として復活を遂げることになった経緯についてお聞かせください。
松山氏:最初にお伝えしておかなければならないのが、バンダイナムコエンターテインメントさんに圧倒的感謝を!
そもそもこれまでの「.hack」シリーズはバンダイナムコさんの著作物ですよ。いくら我々が企画制作をやっているとはいえ、バンダイナムコさんの作品であることに変わりありません。今回は“特別な許諾”をいただいた上で、サイバーコネクトツーが開発から販売まで行なう「自社パブリッシングタイトル」として、発表させていただくことになりました。そこはもう改めてバンダイナムコさんに感謝をお伝えさせてください。
実は「.hack//Link」以降、何度も「新しい『.hack//』を立ち上げよう」って、企画を作っては消えの連続が続きました。2026年に我々が30周年を迎えることだけはわかっていたため、バンダイナムコさんに「30周年記念プロジェクトとしてやらせてください」と相談し、話し合いを重ねた末にこの度特別な許諾をいただけることになりました。本当に感謝しております!
――バンダイナムコとの交渉はやはり苦労された部分もあるのでしょうか?
松山氏:もちろん、いろいろとやり取りはさせていただいたんですが、30年間一緒にやってきて育んできた信頼関係、絆の証なのかな。初代「.hack」を一緒に立ち上げたバンダイの社員、内山大輔氏が今ではバンダイナムコスタジオの取締役に就任しています。彼がいてくれたこと、そして同じ方向を向いてきた仲間が後押ししてくれたのは一番大きかったかなと思います。普通は実現しません。
――「.hack」と言えば、MMORPG「The World」の世界観が特徴だと思います。現代ではオンラインを通じたユーザー間の繋がり方が多様化していますが、そうしたところでネットワークゲームの世界観の在り方について、どんな意味や意図が込められているのでしょうか?
松山氏:まず、今回も「The World」が舞台にはなります。だけれども、たぶん皆さんが知っている「The World」とは違うと思います。“完全新作”ってことで今までの「.hack」とはまるで違うんです。イメージしていることを開発スタッフたちに伝えていたのは、アトラスさんの「ペルソナ」シリーズです。
たとえば、「ペルソナ1&2」とそれ以降って雰囲気や世界観が全く違いますよね。それに「ペルソナ3」を遊んでいなくても「ペルソナ4」や「ペルソナ5」は遊べる。そういった意味合いで、ゼロからの完全新作として始めるので、今作は「.hack//Z.E.R.O.」になるんです。
――なるほど。そうすると同名の小説とは関係ないということですね。
松山氏:はい、そちらとは関係ないです。今回のゼロにはドットが入ってるでしょ?読みが一緒なだけです(笑)。だからこれまでのシリーズを触れてなかった方も一緒に楽しめます!
――ありがとうございます(笑)。まだお話しできない部分もあるかと思いますが、マルチメディアな構想についてはどうでしょうか?
松山氏:「.hack」はゲームだけじゃないでしょ? 今までやってきたこと全てがヒントです。水面下ではいろいろと動いていますし、“大きいうねり”は感じていただけると思います。またそのときが来たらご報告します(笑)。
当時「.hack」を楽しんでくれたお客様はあのとき以上の大きいうねりで楽しんでいただけるんじゃないかなと思いますし、それ以上に「.hack」って聞いたことがある、もしくは今回初めて触れてみようかなっていうお客様の双方を巻き込んで、一緒に盛り上げていければなと思っています。
余談編:開発ツールが民主化した先に残る壁とは? 面白さと差別化の難しさを松山氏に聞く
――話は「.hack」とズレていきますが、「サイバーコネクトツー展」の意気込みについてお聞かせください。
松山氏:「30周年のお祝いなので東京でイベントやります」って……俺が逆にファンだったら「いや、地方でもやってよ!」と。
そう思うので、だから47都道府県全部で展示会をやります。あなたが住んでいる街にサイバーコネクトツーが行きます。あと、全国主要8都市ですけれども、その8都市でファンミーティングをやるので直接会おうぜ!
――(笑)。最近ではインディーゲーム界隈もかなり盛況ですよね。松山氏も積極的に関わっていらっしゃると思いますが、今の熱量にはどう思われますか?
松山氏:うーん。インディーゲーム、勘違いされがちなところもありますし、同時に盛り上がっているのは良いことなのであまり水を差したくはないんですけどね……。
ただ、やっぱり「闘い方」だけは間違えないようにしないといけないと思いますね。Steamだけで1年間でどれだけのゲームが出ているかご存じですか? およそ1万8千タイトルも出てるんですよ。要は1万8千分の1になるわけなんですね。そこに「あなたが作ったインディーゲームが選ばれる理由はなんですか」っていうことです。
松山氏:“圧倒的な魅力”を持って、他に似ていないタイトルを作り続け、新しい体験を用意しないと絶対に選ばれないし、話題にもならない。そうやって話題にならずに消えていったタイトルがたくさんあるということは忘れてほしくないんですね。
ちゃんと考えて、戦略を練ってものは作らないといけない。頑張ったのに結果的に報われないということにならないように、闘い方を間違えないように気をつけてほしいなと思っています。
――確かにSNSを見ていても、個人開発者がどのようにして認知を広めるかで悩んでいる場を見かけます。
松山氏:作るだけじゃないんです。作って、広げて、届けるまでがビジネスであり、ものづくりなので。いいものだけを作って売り場に置いてるけど全然買ってくれないって、それを買う理由がないからでしょ。
選んでもらう理由、きっかけを作っていかないと。「いいもの作れば結果は後からついてくる」とかって、そんな時代はもうとっくに終わってるんです。作る努力だけじゃなくて届ける努力、広げる努力を一緒にしていかないと難しいと思います。
――インディーの界隈を見られていて、変化してきた部分はあるでしょうか?
松山氏:これは“ツールの進化”ですね。「Unity」や「Unreal Engine」といったゲームエンジンだけじゃなくて、今はとにかくツールが充実している。だから、作ろうと思えば誰だってゲームを作れる時代にはなったんです。
ただ、面白くて売れるものを作れるかどうかが問われている時代でもあります。やはり作っただけでは売れないし、無料でも遊んでもくれないのが“娯楽”というものなので。そこにちゃんと振り向かせるだけの、魅力を作り出すところが一番難しいかなと思います。
――ありがとうございます。そう言えば著書「ゲーム業界の攻略法」も発売になりました。執筆した経緯はありますか?
松山氏:これですね(書籍を持ち出す松山氏)。紙と電子で発売です! なんと、角川書店から出ております。経緯は“30周年”だからですね。10年前、20周年のタイミングでも「熱狂する現場の作り方」っていう本を書いてます。
私の目から見たゲーム業界の30年間を振り返っても、ゲーム業界を志望する人たちはすごく多いんです。今のゲーム系専門学校や大学のゲーム業界志望者って、合格率が3〜5%くらいなんですよ。全然合格できないと言われるから、なんとか不毛な努力をさせるのではなく、報われる努力、正しい努力をしてゲーム業界に入ってほしい。新しい人間が入ってこないと業界は滅びるからさ。なので、そういうゲーム業界の攻略法みたいなものがあれば……っていうか、俺はほしかったから若いときに(笑)。
そんな中でそういう本を書いて届けたら、業界を志望する人たちが喜んでくれるだろうなって。もちろん、就職活動を頑張っている学生さんだけじゃなくて、今現在業界で上手くいったりいかなかったりしている、頑張っている人にとっても“ゲーム業界自体の攻略法”っていう意味合いの本にしたかった。
この本も1年前に「30周年があるからそのタイミングで本出そうぜ!」って角川さんにちゃんとプレゼンテーションした上で、「じゃあやりましょうか」ということで出来上がったというわけです。めちゃくちゃいい本になったと思う!
――なるほど。私も楽しみにしています。
松山氏:ここに書かれていることを実践すれば100%なれますよ、プロに。でもみんなやらないからなれないの……。もう攻略法だから。本当に攻略法が書いてあるから。ゲーム会社に入れますよ、やれば。
あと付録にはなるんだけど、巻末にここ3年分うちの会社で合格した人のポートフォリオや採用担当者の講評コメントを全部見ることができるQRコードも載せています。サイバーコネクトツーの基準で、ゲームデザイナー、アーティスト、プログラマー、どういう作品を応募すれば合格ラインなのかっていうのが、これで全部わかるというとんでもねぇ付録をつけている(笑)。
――おお。非常に興味深いですね!
松山氏:ね、めっちゃいいやろ!
――ありがとうございます。最後に“これからのサイバーコネクトツー”についてファンへぜひメッセージをお願いします。
松山氏:冒頭でも言ったとおり、本当にファンの皆さんのおかげです。とはいえ、我々は直接的にお礼の言葉を伝えるよりも、やっぱり物を作って届けてなんぼだと思います。これからのサイバーコネクトツーが考えていること、向こう10年の目標を伝えさせていただくと、「コンテンツによる世界征服」です。我々が作るIP、ゼロから生み出すIPで、世界中の方々に楽しんでいただくことが一番の目標だと思います。
それを実現するための1つが完全新作「.hack」です。また、サイバーコネクトツーの社内で水面下で動いている、いくつものプロジェクトをこの10年の中で順番に発表させていただくと思いますので、楽しみに待っていてほしいなと思います。きっと退屈はさせません!
――ありがとうございました!
(C).hack Conglomerate .hack TM & (C)Bandai Namco Entertainment Inc. (C)CyberConnect2 Co., Ltd.







































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