インタビュー

7年の歳月を経て蘇る「タイニーメタル2」ディレクターインタビュー! 海上戦や10人の追加キャラなど新たな魅力に迫る

【タイニーメタル2】
2026年 発売予定
価格:未定
「タイニーメタル2」

 AREA35は2026年にターンベース戦略シミュレーションゲーム「タイニーメタル2(TINY METAL 2)」の発売を予定している。 本作はプレイステーション 4/Nintendo Switch/PCにて2024年12月に発売された「タイニーメタル」の続編となり、実に7年ぶりの復活となるタイトルだ。対応ハードはPC(Steam)とその他の機種を予定している。

 プレーヤーは部隊を指揮するコマンダーとなって、各キャラクターのスキルを駆使しながら施設の占拠や武器の生産などを行ないつつ進軍し、様々なステージのクリアを目指していく。

 「タイニーメタル2」では前作には無かった水上艦艇を用いた「海」での海上戦や、10人のプレイアブルコマンダーの追加などの新要素を筆頭に、ストーリーモードやグラフィックス面も格段に進化した事で一目見たレベルでゲーム性が進化している。

 また、各種マルチプレイ/オンラインモードにも力が入っており、最大8人でのプレイを楽しめるモードやランキングシステムの導入されたオンラインバトルなども用意されているため、血に飢えたシミュレーションPRGゲーマーに打ってつけのタイトルなのだ。

 今回はそんな本作の「TGS2025」用のデモ版を試遊しつつ、ディレクターの由良浩明氏にその魅力を伺う事ができたので紹介していこう。

こちらは「TGS2025」のデモ版。幕張メッセの会場ではHALL2の02-C04にブースを出店する
【『タイニーメタル2』公式アナウンストレイラー】

初代にはなかった新要素「海上戦」をプレイ!

 まずは今回試遊したデモ版について所感を交えながら紹介しよう。このデモ版では本作で追加された「海上戦」や2人プレイの要素を体験しつつ、「タイニーメタル」の基礎部分となる部隊の進軍と戦闘・施設の占拠や各キャラクターのスキルなどをチェックする事ができた。

 プレイして真っ先に感じたのは前作から格段に進化したグラフィックスとUIだ。キャラクターデザインや各種部隊ユニットのモデルが一新され格段に見やすさとインパクトが向上しており、ステージ全体のマップや対面する部隊との戦闘結果などの表示方法もブラッシュアップされた印象だ。

こちらが初代「タイニーメタル」のスクリーンショット(画像は任天堂のページより)
デモ版でプレイできるコマンダーは前作から続投となる「ネイサン」と「ヴォルフラム」。前作の味のあるデザインも可愛かったが、しっかり3D化された今作のデザインもクールだ
【マップUI/戦闘グラフィックス】

 新要素となる「海上戦」は専用のユニットとなる「潜水艦」や「輸送艇」を駆使して水上を進軍する事が可能だ。

 今回のデモ版では一番オーソドックスな海上部隊を使用できたのだが、地上ユニットよりも攻撃範囲が広く安全な場所から地上部隊を攻撃できたりなどアドバンテージを持っており、新ユニットの強みを体感した。海上を占領できる他にも、海上から敵を「ロックオン」しておく事で「支援射撃」による連携攻撃が狙えたりなど新たな面白さが用意されている。

 他にも相手の海上部隊との戦闘・制海権の取り合いも楽しみだが、今作ではさらに「航空母艦」から戦闘機を発進して戦いの部隊を空に広げることができたり、逆に地上の歩行ユニットを海に潜ませる事ができたりなど「海」を活用したギミックが数多く用意されてるとの事だ。

前作からの変更点や「海上戦」を制作する上でのこだわりをインタビュー

 続いて本作のディレクターである由良浩明氏にインタビューを行えたのでその内容を紹介しよう。

 7年ぶりの新作となる本作だが、元々は「タイニーメタル」の続編をいち早く制作したいと語るほどこのシリーズに思い入れのある由良氏。本作の魅力や力を入れたポイントなどを聴くことができたのでぜひチェックして欲しい。

ディレクターの由良浩明氏

――早速ですが、「タイニーメタル2」には様々な新要素がありますが、対人戦における新たな駆け引きは生まれそうでしょうか?

由良氏:新たなと言われるとゲームデザイン自体が元々前作の段階から完成していたので、あえて“コレ”という部分は実はないかもですね(笑)。ただ新要素として登場する海軍ユニットをバランスよく使うことが重要になると思います。

 一応レーダーの機能を改善したりなど随所でシステムの変更を加えてますが、基本的なルールや遊び方などの基礎に関しては変えないようにしています。私達の基本的な考えとして「壊れてないものを治す必要はない」というのがあるので、馴染み深いと思ってくれている部分はあえて残すようにしています。

――前作の良さをそのままに新要素が付随するようなイメージでしょうか?

由良氏:面白さが増してるってイメージですね。そういう意味で一番大事にしているのは最も基礎性能が弱い「ライフルマン」というユニットです。このユニットにもしっかりと役割があり、必要不可欠な存在として遊べる作品にしています。

――キャンペーン等で協力プレイをする場合は参加するプレーヤーの数に応じて難易度が変化したりするのでしょうか?

由良氏:基本的には参加人数で難易度が変化する事は無いです。ただ敵のAIが結構強いので、難易度「ノーマル」でも協力プレイが十分に楽しめる形になっています。1人プレイの際にも協力プレイと同じように1人で2部隊を操作して攻略する事も可能ですし、スカ―ミッシュ等では最大8人まで自由にわかれてプレーできるので、色々な形で遊んでいただけると思います。

――マルチプレイの際はプレーヤーが自由にコマンダーを選択する形でしょうか?

由良氏:基本的にはステージ毎にプレイできるコマンダーが決まっていまして、そこからそれぞれ選択する形になっていますね。

 ステージごとに物語がありまして、例えば捕虜で捕まっているコマンダーは使えなかったりします。ストーリーを通して様々なコマンダーに触れる形にしておりますので物語と一緒にお楽しみいただければと思います。

――プレイする上でオススメの難易度などはありますか?

由良氏:私達が一番推奨しているのは「ノーマル」です。この難易度からはプレーヤーの視界を遮る「フォグ」が出てきます。「タイニーメタル」は原則として見えない敵を攻撃する事ができないため、先述した「ライフルマン」等を上手く使う必要が出てくるんですよ。丘や高台に登って敵を見えるようにしておけば、敵の見えない範囲からの奇襲を防げたりするので。そこら辺の諸々を含めた視界情報の駆け引きが本作の面白さの1つなのでぜひ味わってほしいです。

――今回追加された「海上戦」の独自の面白さやポイント等があればお伺いしたいです。

由良氏:海上戦は凄く調整がむずかしかったです(笑)。陸に上がれないという大きな特徴があり、バランス調整が難しい面があったため初代では実装していなかったんですよね。

 ポイントで言いますと、海上戦はまず「深海」、「浅瀬」、「岩場(コーラル)」の3つのレイヤーに加えて「潜水艦」が潜水できると言ったアクションなどもあるので、その中でプレーヤーが対戦する形になっています。他の類似作品ですと海軍系ユニットの性能が控えめになっている印象があったので、今作ではかなり力をいれてしっかり活躍する調整にしています。

――確かに海軍系ユニットは海でしか活躍できない分状況が限定的になりますし、少し日の目を浴びてないような印象がありますね。海上ユニットはかなり攻撃範囲が広かったので、陸・空のユニットと連携攻撃がやりやすそうだなという印象受けました。

由良氏:まさしくその通りですね。今作は攻撃を連携させないと勝てない位の難易度となっていますので、海上ユニットの力を存分に発揮できるようなバランスになっています。

 ただ強いからといってそのユニットだけ使えば良い訳ではなく、歩兵なら歩兵の役割が、海上なら海上ユニットの役割がそれぞれにあって、バランスよく使いこなさないと上手く立ち回れないというのが面白味だと思っています。

――海上の3つのレイヤーで特徴的なフィールドをお伺いしたいです

 由良氏:「岩場(コーラル)」がかなり特徴的でして、岩の中に入ってユニットの姿を隠したりすることができます。ただ岩の中に隠れられるキャラクターやロケーションは限られています。一部の「潜水艦」ユニットやゴムボートを使って海上を移動できる歩兵の「特殊部隊」などがそれに該当しまして、ユニットの強味になっていたりします。

――なるほど! 海が追加された事でゲーム体験はかなり変化している印象です。海に制圧ポイントはあるのでしょうか?

由良氏:海自体には制圧ポイントは無いのですが、海を渡った先の小島や陸地に制圧ポイントがありますね。地上と海上を切り替えて進める「特殊部隊」などはその点においても強みがあったりするのが面白いですね。

――今回コマンダーが一気に10名も追加されますが、象徴的な1人を教えて頂けますか?

由良氏:新コマンダーについては段階的に発表を予定しているため全てはお話できないのですが、象徴的なのはポスターでもセンターを飾っている「アドニス」くんですね。CVが小野大輔さんでかなりカッコいい感じのキャラクターとなっています。

――設定の段階から濃いキャラクター性が見えますが、今作はかなりストーリー部分にも相当力を入れているのでしょうか?

由良氏:そうですね、かなり力を入れています。詳細はまだ発表できないのですが、かなり有名なアーティストデザイナーの方に今作は脚本をお任せしているので非常に見応えのあるストーリーになっていると思います。

――前作ので登場していたキャラクター達の活躍も期待して良いでしょうか?

由良氏:前作のキャラクター達は全員しっかり参戦予定なので期待して頂いて大丈夫です。性能面についても各キャラクターごとに調整を施していますが、基本的な部分や方向性は一貫していますので馴染み深い形でプレイできるかと思います。全てのキャラクターがキャラクター設定に紐づいたステータスや能力になっているので、そちらもぜひお楽しみいただければと思います。

――7年ぶりの続編となりますが何故このタイミングで作ろうと思ったのでしょうか?

由良氏:私自身はすぐにでも続きを作りたいと考えていまして、何なら初代を開発している段階から企画を練っていたものの、様々な要因で自社製品を開発する時間がとれずここまで伸びてしまいました。1作目を開発している当時は開発チームが3人しかいなかったので本当にリソースが無くて大変だったのを覚えています(笑)。

――今はもうしっかり人員も増えて万全な状態で「タイニーメタル2」を生み出せたんですね!

由良氏:万全かどうかはまだわからないですね。強欲なので既に今の段階から3が出たら何をしたいかというリストを作っているレベルですので。開発陣には要望が多くてよく怒られてしまいますが(笑)。

 ただ今回最も⽬指したかったのはホットシートモード(隣で一緒にプレイする遊び方)に注力した点です。私自身オンラインでのプレイも大好きなのですが身近にいる友人とのリアルワールドで実際に話すコミュニケーションも大事だと思っているのでかなり意識しました。友人同士のゲームプレイでミスなどが会った際は怒りあったりすると思うのですが、それですら楽しい思い出や成長になると考えており、その要素を押し出すような未発表の情報などもあるのでお待ちいただければと思います。

――最後に今後の意気込みや、TGSの試遊で注目して欲しいポイントをお願いします。

由良氏:意気込みは沢山あるし毎日変わるので少し悩んでしまいますが、試遊台ではぜひグラフィックスやキャラクターを見てほしいなと思っています。私達が作っているのはIPだと思っていて、ゲームデザインやグラフィックスだけが単独でゲームを構成している要素ではなく、全てが総合的に1つになって作品になると思っています。

 その構成している要素の中心に居るのがキャラクターで、ゲームのスキルやデザインの方向性はキャラクターやストーリーがあってからのお話なので、そこをぜひ注目して頂ければと思います。そしてこの主人公のイケメンくんが一体なにをするのかにもご期待ください(笑)

――ありがとうございました!