インタビュー

「FFXIV」韓国サービス、実装直後のパッチ「3.1」などを吉田Pに聞く

「雲海探索」は話し合いから“暗黙の了解”を作っていくコンテンツ

「雲海探索」は話し合いから“暗黙の了解”を作っていくコンテンツ

飛空艇にのって出かける「雲海探索 ディアデム諸島」
島の中には採掘ポイントもある

――パッチ3.1の新規コンテンツ「雲海探索 ディアデム諸島」ですが、今現在バトルをやりたい人たちとギャザラーで連携が取れてなくていろいろトラブルになっているようですが、なにか調整は入りますか?

吉田氏: フルに遊んだ場合の再突入時間の30分を縮めるかどうかは割と早い時期に決めようと思っていますが、それ以外は今すぐに調整をするつもりはありません。まだ始まって4日です。アイテムの排出量は、他のコンテンツバランスなどに大きな影響を与えるので、多すぎる場合には手を入れると思いますが、遊び方のルールなどは、プレーヤーの皆さんの間に、暗黙の了解ができる様子を注目して拝見させていただいています。

――まだ何かを変更するには早いということですか。

吉田氏: 今回、プレーヤーの皆さんの間で議論されていることがすごく大切だと思っています。先ほどもお話ししましたが、皆さんが入力を行なわなければ進行しないエンタメがゲームですので、ゲームは受け身ではありません。そして、雲海探索はエンドコンテンツのひとつでもあります。だからこそ、今ある遊びがどうやったらもっと快適になるのかとか、どうやったらもっと自分たちのものになるのかを、いますごく議論されていると思います。先ほど「バトルジョブとギャザラーの間で、疎通がうまくいかない」というお話をされましたが、ルールで分離していないから発生する「自由さ」ゆえです。パーティー編成を自由にした上で、ロットルールを分離すると、「同一パーティー内だけど、勝手に行動しても良い。システムでそれを許している」という解釈も可能になります。ですので、もう少し静観したいのです。

――システムで制限するとそれが免罪符になってしまうということですか。

吉田氏: 第一世代のMMORPGをプレイしていた方はおわかりになると思いますが、システムでルールを作ることは必ずしもいいことではなくて、「勝手な行動をとることはよくない」という暗黙の了解ができるほうがはるかに強いのです。システムで制限すると、「開発側は、バトルに参加しない人がロットできないようにしている、ということは、同一パーティー内でバトルに参加しないことが想定されているのだから、勝手に動いても良い」という話になってしまい、暗黙の了解が成立しなくなります。それを抑制すると、今度は「自由にギャザラーになれないようにしてほしい」という意見も出ると思います。全部僕らがルールを決め、コンテンツの目的を単純化し、コミュニケーションを取る必要性を排除すると、今までの「FFXIV」のコンテンツと同じものになっていきます。

――今までのインスタンスダンジョンと変わらなくなってしまうのですね。

吉田氏: ずっとプロデューサーレターLIVEでもお話しているように、今回の雲海探索は、皆さんで話し合ってルールを決めるというコンセプトで作りました。コンテンツファインダーで和を乱す人がいるのなら、自分でパーティ募集をたてて、がっちりバトルで回るパーティを集めることも可能です。後ろ指を差されることなくギャザラーをしたいなら、「ギャザラーだけの8人パーティでいきましょう、モンスターに絡まれたときだけ話し合いで!」というパーティを作ればいい。プレーヤーの方々は、今すごく活発にそこを話し合われているので、それこそがMMOらしいと思います。繰り返しになりますが、今日はまだパッチリリース後4日目です。だからまだ開発が介入するようなタイミングではないと思っています。

 ただ、これも世代や価値観によりますが、「暗黙の了解に従ってゲームするなんてめんどくさい」というお声が多いようなら、やはりシステムでルールを作っていくことになります。第一世代の良さは、当時にとっては良かったけれど、今の時代には合わない、というのも良い悪いではなく、回答のひとつです。だからこそ、そrをキチンと見定めるためにも、もう少し議論の行方やコンテンツへの参加人数を確認して、慎重にシステムを考えたいと思います。

――もう1つ、敵が固すぎるという声がありますね。確かに、やってみた感じでは倒すのに思ったよりも時間がかかるなという印象でした。

吉田氏: ドロップの確率を下げてもいいならアリですが……、そうするとアイテムが全然出なくなりますよ。

――ドロップ確率を下げてサクサク狩るのと、固いけれど確定ドロップのどちらかということですね。

吉田氏: 5人や3人で戦っている方もいらっしゃるかもしれませんが、僕らは8人パーティを想定しています。1タンク5DPS1ヒーラーで、おそらくヒーラーも攻撃するだろうという想定です。DPSが高いパーティなら、平均すれば1体に2分もかからないと思います。それで必ず宝箱が出て、その中身が必ずスポイルに交換できるというリワードを考えると、これ以上はHPを下げられません。これ以上下げるなら、倒しても何も出ないという状況を作るしかないのです。少人数の場合、1人に分配されるアイテム量が増えますので、殲滅数が減ってもバランスは取れているという考え方にもなります。

――HPを減らすかどうかは今後のフィードバック次第だということですか?

吉田氏: うーん、HPを減らすのは簡単ですし、アイテムの排出確率を下げるのもデータ処理ですのですぐできます。1回の冒険を90分フルにやったら、パーティに2個か3個はIL210が出ないと、空振りが多すぎて辛くなるだろうと。「FFXIV」はIL成長型のゲームなので、IL150やIL180を大量にもらったところで仕方がありません。むしろ、今はアイテムが想定以上に出ていると感じているので、そちら調整する可能性が高いです。

――報酬とのバランスが難しいということですね。

吉田氏: 難しいです。プレーヤーのみなさんは、「簡単にサクサク倒せれば、アイテムの出現確率が低くても構わない」と仰いますが、バランス通りに排出量を下げると「でなさすぎだろ!」と絶対に言われると思います(笑)。

――50%だったら2回に1回必ず出るかというと、そうでもないですものね。

吉田氏: 体感50%はかなり低い数値に思えるでしょうね。しかも期待値ですので、8回連続スカも普通にあり得ます。そもそも「宝箱が出ない」ということは、「中身の抽選」も発生しません。宝箱の出現率を50%にすれば、2匹倒した中の1回はまったくでないという確率です。90分のうち45分はスカです。スポイルすら手に入らないのに、行くでしょうか……。逆もまたしかりで、宝箱の出現を100%にしたとしても、IL150の割合ばかりが異様に高いと、今度は宝箱に対して「どうせゴミだろう」という意識が働いてしまい、宝箱に対する意識が下がります。人気がなくなるなら考えようかなと思いますが、今はそういう段階ではないです。インスタンスを増やさないと回らないですので、やはり慎重に見ています。

――今は入りにくくなっているようですね。

吉田氏: インスタンスを大幅に増やしてきたので、この週末にどのくらいインスタンスが立ち上がっているのか、また日本に戻ったら確認します。

「チョコボスクエア」の隣にある「ミニオンスクエア」で遊べる新コンテンツ「ロード・オブ・ヴァーミニオン」
自分のミニオンを使って、他のプレーヤーと対戦することができる

――「ロード・オブ・ヴァーミニオン」はまだ参加者が少ないと感じました。

吉田氏: 久々のパッチですし、雲海探索も含め、PvEコンテンツが多数用意されています。皆さんはそちらを優先するだろうと思っていましたが、やや想定以上ではあります。ひと通りのコンテンツが落ち着いてきたら、みなさん1度は手を出してくださると思いますので、フィードバックに迅速にお応えしていき、年末年始に遊べるように、準備をしておきたいです。ただ、はまっている人たちのはまりっぷりはありがたく、熱狂的に遊んでいる人がいらっしゃるのは嬉しいです。もっと対戦したいから、ワールドをまたいでマッチングして欲しいという要望に関しては、根本仕様なので時間が掛かるにせよ、前向きに対応していきたいです。

 あとは今回メインクエストと各コンテンツの解放を切り離したので、皆さん思い思いにエキスパートの解放に行ったり、「極ナイツ・オブ・ラウンド」に行ったり。「極ナイツ」の募集がたくさんあるのが良かったと思います。あれはIL205の武器がもらえるので、まずはそれを取ってから3層の攻略を再開しようぜ、と。僕も今夜は韓国からレイドに参加します(笑)。

――「ロード・オブ・ヴァーミニオン」で友達と対戦するために100MGPが必要だと、対戦しづらくありませんか? みんなそれほどMGPを持っていないと思うので。

吉田氏: 確かに本気対戦以外は、無料にしても良かったかなと思います。友達同士の対戦でも、できるだけ「捨てプレイ」しにくいように、最低限のプレイ料金を、と思ったのですが、こちらは早めに対応してしまうかもしれません。

――無料だと、本気でやらないということですか。

吉田氏: しかし、「FFXIV」初のRTSでもあるので、慣れることの方が大切です。確かに外してしまってもいいのかなと思います。フィードバックを重視して拝見しているところですので。

――「魔航船 ヴォイドアーク」はいかがですか?

吉田氏: 「クリスタルタワー:闇の世界」よりも簡単だったなという声が目立つなと思っています。「エキドナ空気」と言われていました(笑)。

――エキドナの前に出てくるボスが結構強いですからね。

吉田氏: そうですね。皆さん慣れているなと思いました。隠れないと即死する技や、ペトリファクションなども入れているので結構難しいかなと思っていましたが、だいたい皆さんあっさり突破していくので、いくらカジュアルに楽しめる24人レイドとはいっても、光の戦士の底力恐るべしと思いました。でも、多分あのくらいの難易度でいいのでしょうね。あとはシナリオで興味を引いてくださっている方が多いので、この先また結構大きな展開を考えています。

――24人レイドにも難易度が2つ欲しいという声もあるようですが。

吉田氏: やらないと思いますよ(笑)。あれを計算して難易度を作るのはすごく大変だと思いますし。きっちり作れば作るほど、本当に1人が失敗しただけで全員がころぶという、それこそギスギスというレベルじゃないくらいになってしまいそうなので、今のところやるつもりはないですね。

――新インスタンスダンジョンの「聖モシャーヌ植物園」については、PLLで難易度を下げたと話されていたので、どれだけ強いんだろうと思っていましたが、実際プレイしてみるとそこまででもない感じですね。

吉田氏: あのくらいでいいのではないかと思います。ILが低い状態で来た場合は結構しんどいので。僕らはダンジョンのバランスをILの下限で調整しています。あれを今の光の戦士の平均で作ってしまうと、ちょっと下から上がってきた人たちが辛すぎるので。装備が揃っていればギミックを無視してもいけるよというくらいがちょうどいいのではないかと。ただ、2ボスの蜂が出してくるクロス攻撃は、最初強すぎて調整したら今度は弱すぎてまた上げたのですが、もう少し上げてもよかったかなという気はします。2発とも食らっているのに即死しないのはちょっと下げ過ぎだったかなと思います。

――IDの難易度は時間が経てばILの向上で、難易度が下がりますが、逆にIDの難易度を上げるような調整は入れないのですか?

吉田氏: それはしないですね。僕らは時間計算を優先しています。初見で全員が1度ワイプするくらいで約35わから40分、平均でみんな攻略法がわかっていれば20分、装備が整ってくると16分という計算で作っています。周回のインスタンスダンジョンですので、その想定がある以上、難易度を上げることはしないつもりです。要望が多ければ、別に4人レイドを作ります。IDの役目は、あくまで毎日時間がなくてもそれだけをやっているだけで、強い武器や防具とコツコツ交換していけるというためのものです。この先の「FFXIV」でいろいろなコンテンツをやるための、最低限のギミックを覚えてもらうためのもので、それがIDの役割だと考えています。

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(石井聡)