インタビュー

「Blade & Magic」プロデューサー本橋大佐氏インタビュー

メッセンジャーやFacebookと同じようにゲームを利用してほしい

深さもあるが、メッセンジャーやFacebookと同じようにゲームを利用してほしい

自身もMMORPGやソーシャルゲームをやり込んでいるという本橋氏。時間がない生活でも同じ体験ができることを目指しているそうだ
本作には、アート、わかりやすさ、通信のダイエットの3つのこだわりが込められている

――開発の際に、強く意識した点は何ですか?

本橋氏: これは3つあります。1つはアート、もう1つはわかりやすさ、そして最後が通信のダイエットです。

 アートでは、どこか懐かしさを覚えるようなファンタジーRPGの世界を踏襲しつつ、武器や防具、モンスターの造形にこだわりつつ幅広く揃えて、入口を親しみやすいように意識しています。わかりやすさは、スワイプ・アクションで意識しています。敵を切ったらただ体力ゲージが減るだけでなく、ダメージのポイント数をポップアップするようにして、プレーヤーの攻撃がどれくらい効果があったか、パリィの後のアタックがどれほど強力なのかが一目でわかるようにフィードバックしています。

 そして、通信のダイエット。これは地味ですが、非常に大切です。具体的には、通信量ではなくサーバーとの通信頻度の削減です。海外では通信環境が日本ほど整っていないというのもあって、通信頻度の改良は海外を意識するとどうしても取り組まないといけないところでした。

――この3つの軸は、今後のタイトルにも応用されていくということでしょうか?

本橋氏: そうしていきたいなと。それと、タイトルによってですが、「縦持ち」というのもこの中に入れたいと考えております。スマートフォンは、ゲームの端末として見ることもできますが、本来は生活の一部にあるものなので、持ち方を横にすることで「さあ、ゲームをするぞ」という気分にさせたくはないんです。最初からそういうのを狙っているなら別ですが。これは2011年行なった社内企画プレゼン時点から変わっておりません。

 ただ、決して横持ちのゲームを批判しているわけではありません。普段通りの生活の中で何気なくやってみて、その延長上で「なにこのゲーム面白い」となってくれる方向に持っていきたいのです。この感覚をは大事にしていきたいなと。

――構えずに、スッとゲームに入ってほしいわけですね。

本橋氏: 1日に何時間もプレイするものではなく、1日のライフスタイルの中で何回も気軽にプレイできるように作っていますので、メッセンジャーやFacebookを見るのと同じような形で利用していただけたら嬉しいですね。

 もちろん、面白いなと思ってもらったらゲームとしての深さも用意している、というスタイルです。やろうと思えば長時間プレイもできますが、それを強制したくはありません。私もMMOやMOをよくやっていたのですが、パーティーを組むと最低1、2時間は平気でプレイしなくてはならないですよね。

 私の場合ですが、コアなオンラインゲーム派だったにも関わらず、オッサンになってきて、時間と体力の問題などでコアなゲームは遊びたいけど遊べなくなっている現実があります(笑)。

 この気持ちや状況はなんとかしたいなと。そういうところからゲームを考えているつもりです。そのため、「Blade & Magic」では同期/非同期の部分では「非同期」にはなっていますが、同期的な楽しさも受けられるようにしています。

――フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行で何が変わりましたか?

本橋氏: やはり表現力ですね。それとサウンド。ゲーム制作ではよくあることなのですが、企画やプログラムで表現できなかったことを、音を使うことで補うということがあります。そういったことは今回も活かしております。

――コンソールゲーム会社らしい意見ですね。

本橋氏: もちろんサウンドをオフにしても遊べますが、できれば全部コミコミで遊んでいただきたいなぁと。イトケンさんの良質な音楽も聴けますし。サウンドを求めてくれる人は、時間を作って楽しんでくれる方だと思うので、音でのおもてなしができていると思います。

――腕の見せ所といった感じでしょうか。

本橋氏: 「Blade & Magic」の開発は、相当な姿勢や体制で作っています。スマホとはいえ、家庭用ゲーム相当のボリュームとクオリティが保たれていると思います。運営を含めれば、それ以上になりますね。

――今後の心配していることなどは?

本橋氏: アップルの審査が長いことですかね(笑)。

 ユーザーの要望に応えてアップデートをかけても、実質最低2週間は審査に必要になってしまいます。1日2日とは言いませんが、せめて1週間くらいにしてほしい(笑)。AndroidとiOSのアップデートは揃えたいのですが、Androidがすぐにリリースできる状態でもiOSの審査を待たなくてはならず、もどかしくなります。なのでアップデートのスケジュールは前倒しに前倒しを重ねていかなくてはなりません。ここが課題ですね。

――では今後のことですが、スマートフォン向けのタイトルにはどれほど力を入れていくのでしょうか?

本橋氏: バリバリ全力でやります。まずは国内、それから国内外でやっていきます。

――今後はどのようなタイトルをどれくらい作っていきますか?

本橋氏: 具体的な数は言えませんが、精魂込めて作っているタイトルはもちろんあります。ゲーム会社ですしね(笑)。今は「Blade & Magic」に全力投球です。

――それでは最後にメッセージをお願いします。

本橋氏: 「Blade & Magic」は、ゲームとしての爽快感や面白さが詰まっていて、皆さんの期待には十分お応えできるゲームになっているのではないかなと思います。また運営上でも大型アップデートなどでおもてなしを考えていきますので、ぜひお楽しみください!

――期待しています。ありがとうございました。

(安田俊亮)