ゲームズアリーナ、「Blade Chronicle」開発者インタビュー
「早駆け」、「ステップキャンセル」など新アクションで対人戦がますます熱くなる!


10月7日開催


幕末の和洋折衷な独特の世界観を持つオンラインゲーム「Blade Chronicle」

 ゲームズアリーナが開発、運営しているWindows用和風ファンタジーMMORPG「Blade Chronicle: Samurai Online(以下、Blade Chronicle)」の大型アップデート「2010 秋の陣」が10月13日に実装される。「Blade Chronicle」は「日ノ本」という幕末風の世界を舞台に、2つの勢力に分かれて対人戦やモンスターの討伐を楽しめるゲーム。キャラクターの代わりに剣を成長させたり、ステップを駆使したアクション性の高い戦闘など独特のシステムが人気だ。

 今回のアップデートでは、戦闘時のアクション感を高めるために「早駆け」、「キャンセルステップ」、「移動抜刀(納刀)」、「連撃破り」、「連撃の方向転換」などの新アクションが導入された。また、35段以上の高レベル用PvEコンテンツとして新インスタンスダンジョン「妖界 古賀・遠海」と、そこでドロップする素材から生産できる妖界の防具セットが実装された。

 また、これまでは武器ごとに固定だったスキル「剣技」を、他の武器でも使えるようにする「剣技継承システム」や、移動速度アップ、被写界深度の導入などシステム面、グラフィックス面の両面からゲームのクオリティを上げるアップデートが行なわれている。

 今回のインタビューでは、アップデートにより新しいアクションが追加されさらにアクション性が高まった「Blade Chronicle」の魅力をプロデューサーの柴田誠氏とディレクターの古谷直也氏に聞いてきた。大規模アップデート「2010 秋の陣」で導入される新要素の情報だけでなく、12月に実装予定の合戦のアップデートや、さらに未来の話にも言及してきた。


35段以上のプレーヤーが入れる新インスタンスダンジョン「妖界 古賀・遠海」




■ アクション性の強化で、対人戦の読み合いがさらに熱くなる

「Blade Chronicle」プロデューサー柴田誠氏
「Blade Chronicle」ディレクター古谷直也氏

編: 今回のバージョンアップでアクション性が一段と高くなりそうですね。

古谷直也氏: アクション性が高いオンラインゲームと言うのは今までも売りにしてきたのですが、その割には操作性が良くない部分があることが1年運営してきて、お客様からの声でも判ってきました。まずはその部分を向上させないと未来はないのではないかということで、そこに注目してアップデートしていくことにしました。わかりやすい問題としては、後出しが有利な戦闘システムです。相手が攻撃してくるのを待って後から攻撃したほうが有利になるのです。アグレッシブに行けばいくほど自分がデメリットを被るような仕組みは、ゲームとして本末転倒だろうということで、その改善を目指しています。

 後は戦況が拮抗した時に崩す手段に乏しいということです。今回のアップデートを駆使していけばそういった流れが作りやすいものになっていると思います。テクニックと位置が意味を持つ戦闘はこれからも模索していきます。

編: 今回たくさんの新アクションが入ってますが、特にこれが重要というものはありますか?

古谷氏: やはりステップ関係ですね。これも反省点の改善と言う意味を含んでいるのですが、今回のアップデートで唯一デメリットとなるのが「跳躍力ゲージ」によるステップの回数制限です。今までは、移動すべてをステップでやってしまうことができたので、比較的安全に距離を取ることができていたのです。そこにも駆け引きを加えるため今回の制限になりました。

 それと、今までは逃げるプレーヤーを捕まえることが難しかったので、「早駆け」という高速移動が入ります。これらが入ることで戦闘は進化していくと思います。おそらくお客様は私たちの想像を超えた新しい戦闘を見せてくれるだろうと思っているので、それは楽しみにしています。

柴田誠氏: 「跳躍力ゲージ」が入ったことは、一見デメリットと感じるかもしれませんが、アクション性をより高めるために入れたものなのです。

古谷氏: おそらく触っていただければ、多くの方には納得していただけるような仕様になっているのではないかと思います。今はだいたい7回くらい連続でステップを使えます。7回という数は少なくないですが、ずっと逃げ続けることはできないので、次に何をするかを考えながらやることになります。

編: 「早駆け」もそういう局面を変えるためのシステムですね

古谷氏: 「早駆け」は気持ちよく使ってもらえると思います。僕らも使っていて気持ちがいいですから。追いかける方はもちろん逃げる方も使えますが、連続で使うことはできないので、どういうタイミングで使うかが新しいキモになってくると思います。

編: 「キャンセルステップ」はどういったものですか?

古谷氏: 連撃中にステップで割り込むことができるようになるというものです。諦めていたシーンで最後の奥の手が打てるようになると思います。ただこれも「跳躍力ゲージ」の制限を受けますし、通常のステップよりもゲージを多く消費してしまうので、使いどころを考えないと、戦況が劇的に変わることはないと思っています。

編: 「連撃破り」はどういったものですか?

古谷氏: 先ほど言いました“後出しが有利”という状況に対するカウンターとして導入します。方向と何連撃目を出しているのかが重要になっていて、連撃数の多い方が勝ちます。ですから今まで通り攻撃をかわされて攻撃されても、その攻撃を破ることができる可能性が出るわけです。

編: 戦闘のアクション性を高めることで、組織だった動きが生まれるかもということですが、どういった動きを期待しているのですか?

古谷氏: ワーワーという戦いではなくて、明確な目的を持って次はこうしよう、ここを崩そうという戦略がより生きるようにしたいと考えています。5、6人での戦いがすごく面白くなると思います。今「武芸者大会」というPvP用のコンテンツをいれているのですが、特にそこで楽しめることが焦点になっています。合戦などでもそういう局面は非常に多いので、その局面では新しい戦いが起きるでしょうが、なにぶん参加人数が多いので最終的には数の戦いになるのです。もちろんそこは数も力だと思っていますから、ありだと思っています。でもこの要素が1番生きるのは、5、6人の戦いだと思います。

編: 少人数の戦いが、今まではあまり面白くなかったということですか?

古谷氏: 少々単調だったのです。

編: 要素が増えるのは嬉しいのですが、操作が難しくなってしまうのはマイナス面もありませんか?

古谷氏: どんどん要素が増えてきているので、初心者の方にはハードルが上がっているかもしれません。ただそこに対してはチュートリアルの強化を考えています。スタート時、勢力に所属するころ、さらにその上という形で段階的にチュートリアルを入れてお客様にシステムを覚えていってもらうことで、PvPが活性化する30段以降には一通りマスターしている形を考えています。

編: チュートリアルが新しくなるのですか?

柴田氏: 今回も多少手を加えた部分があります。さらに、近い将来の話ではありますが、各種操作やコンテンツなどを説明、体感してもらえる要素の実装を考えています。例えば、今はゲーム開始時のチュートリアルでステップの説明が多少は出ているのですが、ステップなしでどんどん敵を倒して行けるので、ステップの使いどころが分からないままゲームをプレイされている方がたくさんいるという状況になっています。ステップ操作による戦闘をもっと浸透させ、楽しんでもらうために、ステップはこうやって使うんだよというような要素を入れていこうと思っています。

編: 公式ホームページの新アクション動画を見ていると、まるで格闘ゲームのようですが、MMOであれだけのアクションを実現するのはかなり大変そうですね。

古谷氏: 通信関連はいつも苦労しますね。無茶ばかり言ってしまうので、技術者はすごく苦労していると思います(笑)。頑張って応えてくれていますけれどね。こういうタイトルがほかにないので、やっていく価値があるだろうというのがモチベーションになっています。もちろん現状でも重くなったり、お客様の操作が大変なシーンは発生しているので、ソフトウェア的な問題については見つかり次第解決しています。合戦などはすごく重いので、明確に改善されたとは感じないシーンも多いと思いますが、常に手を加えていっているのです。

編: 今はアクション性の高いオンラインゲームが増えていますね。

古谷氏: そうですね。うちも可能な限り高めていきたいです。

柴田氏: 「Blade Chronicle」のお客様にはアクション性を楽しんでいただいている方がたくさんいることがわかったので、やはりその部分を強化していきたいです。

編: 今回のアップデートを考える時に、そこが1番の目標になったということですか?

古谷氏: 1年少々運営してきて、1番お客様に受け入れられていると感じたのがアクション性の高い戦闘システムと言う部分なので、今後も複雑になり過ぎない程度に強化していきます。


今までは諦めていた局面でも、新アクションで打開可能になりさらに読み合いが熱くなる




■ 「上位妖界」では普段は入れない相手勢力の都も戦場に

新インスタンスダンジョンの敵はデザイナーの力作!

編: 現状はユーザーはどんなプレイが中心なのですか?

古谷氏: お客様によりますが、対人志向の方は増えていますね。PvPコンテンツをどんどん投入してきたということもあります。合戦を入れて、前哨戦から本戦、「妖界浸食」をいれて、5月くらいには「武芸者大会」という新しいコンテンツを入れたのですが、それなりの数のお客様が新しいPvPのコンテンツに参加してくれて賑わっているという感じです。

 ただ生産やPvEで遊んでいる方も相当数おられます。ですから我々としても両方伸ばしていきたいと思っています。戦闘システムの進化は主に対人戦闘を意識しているのですが、もう1つ「上位妖界」というものが入ります。これはPvEの上位コンテンツになります。

編: 「上位妖界」はどういったものなのか教えていただけますか?

古谷氏: 既存のマップをベースにしていますが、あちこち変化しています。「妖界」は通常の世界の裏にある別の思念体によって作られた世界なので、変化している所が出てきてしまうのですね。通れなかった壁が通れるようになっていたり、逆に通れていたところがふさがっていたりとか、いつもの知識を少し裏切られる感じで進んでいくという感じになります。

 もう1つ特徴的なのは、以前に「美玖の妖界」というコンテンツを実装したのです。美玖はゲームを始めたばかりのプレーヤーが訪れる街なので誰でも知っている街でした。今回は逆に勢力に分かれた方の街が妖界化しているということで逆の勢力の街を見ることができます。どちらからどちらにでも行けるので、初めて見る行ったことがない都というシチュエーションも発生しますね。また、とてつもなく強い敵が現れます。この敵にどう対処するのかが問われます。

編: 「上位妖界」の敵はなかなか気持悪いのが揃っていますね

柴田氏: あれはデザイナーが頑張ってくれました(笑)。インパクトがすごくありますね。

古谷氏: あの映像見た後、道を歩いてる犬が怖くなりました。

編: 「妖界」はどういったコンセプトでデザインされているのですか?

古谷氏: 一目で異質と判ることです。知ってるものが変化していることで、異質と感じて欲しいと思っています。設定的には、この日ノ本と言う世界ができた時から存在している魔界のようなものです。今まではお互いに干渉することなく平和に暮らしていたのですが、ある時から日ノ本の人が争いを始め、あふれだした負のエネルギーが裏の世界とこちらの世界を近づけてしまったのです。合戦地には特に集まりやすいので、妖界浸食といった出来事が起きたりもします。ただこのままでは人間の生活が危ぶまれるので、武芸者を送りこんで向こうの世界を断とうと妖界に入っていくのが、今回のコンテンツになります。

編: ストーリーはオープニングのチュートリアルからずっとつながっているのですか?

古谷氏: そうです。ただ、おそらくこのアップデートの次のアップデートで、僕たちが「聖剣編」と呼んでいるストーリーは完結することになります。

編: 新しく実装される装備はここで入手することになるのですか?

古谷氏: 中では素材と目録が手に入ります。それを材料にして、生産で装備を作ります。


「上位妖界」で入手できる強力な新装備


編: 「剣技継承」はどのようなものなのですか?

古谷氏: 武器を成長させていくと「剣技」という武器固有のスキルを使えるようになります。これは武器によって完全に固定で、良く言うとそれが武器の個性になっていたのですが、それだけではなくてユーザーさんからは自分の好きな刀をどんどん強化していきたいし、何本も使い分けるよりは1本を強くしたいという要望が多くなってきたのです。

 それを叶えるために、まず自分の刀に不足している欲しい「剣技」を習得させることができるようにしました。それが「剣技継承システム」です。一種のカスタマイズ機能のようなものです。ただそのぶん個性は薄れてしまうだろうという懸念もありました。この剣独特の剣技だったものが別の剣でも使えるようになってしまいますが、それも込みで楽しいところだと割り切りました。

継承するためには武器を変化させて作る「奥義書」が必要

編: 継承できる技に制限はないのですか?

古谷氏: 数の制限はあります。今は1本の刀に新しく付けられる剣技を2つにしています。付けた剣技は別の剣技で上書きすることもできます。習得する剣技の数にはもともとかなりの個体差があるのですが、元がいくつでもそれプラス2まで覚えられます。

編: どの剣技でも継承可能なのですか?

古谷氏: 継承できるタイプがありまして、どうやってもこの武器には付けられない剣技というものはあります。型が違うと絶対に付けられませんが、型が同じものの中にも付けられない剣技があります。これはゲームバランス上の問題でそうしました。最強技を2つつけることも可能にしようと思っていますが、これを組み合わせると周りに誰も近づけないという組み合わせも発見されているのです。ですから、それは不本意ながら制限させていただいています。

柴田氏: ある程度は、継承させる元になる武器の特性をキープさせたという感じです。「壮術」でも回復よりは攻撃メインの武器には回復の中でも弱いもののみ付けられたりといったかたちでバランスはとっています。

編: 継承元になる武器はどうなるのですか?

古谷氏: 消費する形になります。武器が「奥義書」に変化するという形です。

編: 元の武器にある剣技から1つを選んでその「奥義書」を作るということですね。

古谷氏: そこが結構ディープな仕様なのですが、覚えているものの中から1つ自動的に選ばれるのです。ですからお客様が欲しい剣技の奥義書になるかどうかは分からないです。ただ課金によって解消する方法はあります。

編: 「奥義書」は取引できるのですか?

古谷氏: できます。今まで倉庫で眠っていた武器のリサイクルという側面も結構強いです。

編: 今回のアップデートで、そのほかのアピールポイントは何かありますか?

柴田氏: 地味に嬉しいと思うのが移動速度のアップでしょうか。はっきり体感できるくらいはアップしますね。

編: 走る速度が速くなるのですか?

古谷氏: そうです。今回「早駆け」も入るので移動は快適になると思います。今までやってくれていた人ほどそう感じると思います。後は被写界深度が入ります。僕らも新しい映像にどんどん進化していきたいと思っているので、オプションでオンオフが選べてオンにすると若干描画の負荷が上がります。基本はオフなので、オンにすれば被写界深度が適応されるようになります。

編:グラフィックスの向上は要望としてあるのですか?

古谷氏: 正直、「重くなるくらいなら変えなくていいです」という方も多いので、そこはオプションで任意選択が必須な感じです。

編: 他になにかありますか?

古谷氏: 後は地味に嬉しいかなというものが、「早駆け」はゲーム中のアイコンをクリックすることで発動するのですが、それとは別に今回から抜刀と納刀の挙動がシームレスになるのですが、その2つをショートカットのスロットに入れられるようになります。今までは決められたボタンを押すか、UIをクリックするしかなかったのですが、それをファンクションスロットに入れて出すことができるようになります。

編: 走りながら抜刀や納刀ができるようになるのはかっこいいですね。

柴田氏: あれは気持ちいいですよ。一度立ち止まって抜刀だとそこで流れが止まってしまう感じで、お客様ももどかしかったと思います。

「合戦のルールを変えるアップデートは12月に実装予定です」と柴田氏

編: 走りながらの抜刀を実現するのは難しかったのですか?

古谷氏: 今まではネックとなっていた部分が、今回ようやくクリアできるようになったので実装できました。ただゲームバランス的には、一旦止まって抜くから追いかけられていても武器を抜くときに差を広げられるから安心だと思っていたのがなくなってしまうので、ユーザーさんからするといいシーンもあるけれど、きつくなるシーンもあると思います。全体的にはすごく気持ちいいと思いますよ。

編: 今回入る新装備は「妖界」で手に入るものだけですか?

古谷氏: そうです。それを各型ごとに4部位が新規実装ということになります。武器は今回入らないです。妖界美玖で生産素材を集めるすごく強い妖界の武器というものがあるのですが、それがまだ持っている人がそれほど多くはないので、あまり強い武器を出すと格差が広がりすぎるかなと懸念しています。ただ今後も武器を出していく予定はあります。

編: 次回のアップデートはどのような構想を立てていますか?

古谷氏: ものによっては着手しているものもありますし、構想段階で「急げ!」とやっているものもあります。一例を挙げますと、合戦のアップデートですね。このゲームの主力コンテンツではあるのですが、1日のうちにそれなりの数を開催しているということもあって、お客様もだいぶ飽きてきているだろうというのは想像に難くないです。そこに対して、もう1度新鮮な気持ちで合戦を楽しめるようなアップデートを追加したいと考えています。

編: それはルールが変わるということですか?

古谷氏: ルールも一部変わります。敵勢力の大将を倒せば勝ちだというわかりやすいところは変わらないのですが、そこに至るまでとか、その時の戦況をひっくり返すための手段を追加することになると思います。

編: 今の合戦がその新しいものに変わるのですか?

古谷氏: 既存のものとは別の合戦として入れたいと考えています。

柴田氏: すでに合戦のアップデートについては公式ホームページでも2010年のアップデート予定として上げています。合成と採取を使って合戦で活躍できる場を設けようと考えています。

編: それは合戦場で何かの武器を作ったりするのですか? 攻城兵器のような?

柴田氏: そういったものとは少し違う「Blade Chronicle」独自のものを用意しています。




■ PKへの対策は今後の重要な問題点

「PKを楽しんでいるお客様もいるが、問題も抱えている」と古谷氏

編: サービスを開始して約1年半経ちますが、開発・運営を行なってきてどう感じていますか?

古谷氏: お客様に受け入れられている点と問題点の両方が明確になってきたと思います。サービス開始時に不安に思ってきたところが、解消された部分は嬉しく思っています。それによって開発の中で割くパワーをどんどん変化させてきました。今後も伸ばしていくべき部分をきちんと詰めることができたのが、この1年半やってきた収穫と言えます。

編: 比重を置くのはどういった部分ですか?

古谷氏: まずは対人を含めた戦闘システムですね。うちのシステムは育成時間イコールキャラクターの強さとは言えないのです。キャラクターではなく武器を育てていくというところもそうですし、武器がどれだけ強くてもアクション性で敗北してしまうことがあるわけです。以前は、そこが果たしてMMOとして許されるのかという不安がありました。今は自信を持って1つの方向性だと言えるようになりましたが。

 操作もかなり複雑ですし、今回のアップデートでまた少し敷居が上がってしまうことになります。ですが、ほかのMMOと比べて、低レベル層で辞めていく人の比率が特別高いわけではないことがデータから分かっていますので、PvP、RvRの仕組みについてはある程度の理解が得られていると思っています。

編: 逆に問題が判明したのはどういった部分なのですか?

古谷氏: まずはPKです。PvPの一種ではあるのですが、僕らが想定していたよりも段の低い人にむけての粘着PKが発生しています。それによってゲームプレイに支障をきたして辛くなって辞めて行く人も少なからずいるので、その部分に対してもテコ入れをしたいと思っています。

 今までも少しずつはやって来たのです。「免争手形」という一定時間PvPに参加できなくなるかわりにPKされなくなる効果を付与したり、生産資源所の周りに強力なNPCを配置したりいろいろやってきました。減りはしましたが、なかなかなくなってはいかないしその部分で多少なりとも嫌になってしまう人もいると。もちろんPKを楽しんでいる方もいるので、様子を見ながらということになりますが、比重は少しずつ見ながら変えて行きます。おそらく方向性としてはPKを減らす方向になると思います。

編: 日本ではPKは根付かないですね

古谷氏: そういうゲームですと前面に出していけば、納得して入ってきていただけるのでいいのかもしれませんが、「Blade Chronicle」は要素として生産なども入っていますのでまったりプレイしたい人も入ってくるのです。そこに関しては準備が不足していたと思います。

編: それが今後1番改善していかなくてはならない部分と言うわけですね。ほかにはありますか?

古谷氏: 後は相変わらずシステム的に挙動が重たい部分があることですね。そこだけは本当に如何ともしがたいのですが、先ほども言いましたように常々手を加えていっているところです。

柴田氏: 運営面で言うと、重要視しているのが不正対策です。RMT業者や不正アクセスなどが起きることがあって、最近はそれに対して力を入れています。ここ数カ月でお客様にこれだけの対応をしましたよという告知も行なうようにしました。

編: 今はどういった形で活動をしているのですか?

柴田氏: 地道に動いています。お客様の報告を受けたり、GMが巡回をして不正を働いているアカウントをBANしたり、警告を出したりしています。システム面でもログを取ったりといったことを強化しています。その辺りはゲームに関係なくお客様に迷惑をかけてしまうところですから。

編: ユーザーから出ている要望ではどういったものが多いのですか?

古谷氏: クレーム的なものでは、1番は不正対策についてですね。特に業者BOT、RMT、アカウントハックという形の不正に対するものが多いです。

柴田氏: 型のバランスに対して意見をたくさんいただいたりとか、後はアイテムでこういったものが欲しいというのもあります。




■ 新フィールド解放と同時に、新しい形のキャップ開放を予定

「不正行為は今後も徹底的に対処していきます」と柴田氏

編: 今後「Blade Chronicle」はどういうゲームになっていくのですか?

古谷氏: 今回のアップデートがその第1弾ということになるのですが、アクション性をどんどん追加したうえで、それが楽しめるシチュエーションを追加していくことになります。「妖界」もその1つですが、アクションを使いこなして達成できるクエストを入れます。PvPもその1つです。この2つのパターンで伸ばしていきたいです。

柴田氏: 今年の1月から3月にかけて初めてゲームをプレイする人に対する改修アップデートをしたのですが、次は少し慣れた人のための改修アップデートを予定しています。各種コンテンツのチュートリアル的な要素で、楽しみながら操作や機能を覚えていただけるものを実装したいです。

古谷氏: そのレベル帯が谷間になっているのです。最初は見るものすべてが新しいのでクエストをやるだけでも、敵と戦うだけでも面白いと感じてもらえるのですが、ある程度レベルが上がるとマンネリ化してしまう。そこに対してのアプローチが我々も弱かったと思うので、そこの強化ということになりますね。

編: どういう形で強化していくのですか?

古谷氏: 凄く多様ですね。PvEもありますし、クエスト的なものもありますし、色々な要素で「Blade Chronicle」を深く理解していく手助けをするという形になります。ですから全く新しい別のコンテンツを入れるというよりは、「Blade Chronicle」の世界に対する理解度が深まるアップデートということになります。

編: 今あるコンテンツの密度を上げていくという形で考えているということですか?

古谷氏: 先ほど言ったようにこの1年半アップデートを重ねてきたので、複雑になっているのです。お客様に対して教え漏れているところをきちんと伝えていきたいです。

柴田氏: 後はイベントを強化していきたいと思っています。GMイベントにしてもキャンペーン系にしても引き続き行っていきたいです。それと先ほども言った不正行為に対する対策も日々強化したいと思っています。

編: 「Blade Chronicle」はイベントがとても多い印象があります。

柴田氏: そこでお客様と接することでご意見がいただけるので、それをゲームに反映していきたいと思っています。それでこそ国産ならではの運営ができると思います。

編: 今後新エリアであるとか、更なる上位コンテンツが入る予定はあるのですか?

古谷氏: 新しいフィールドについてはお客様からも結構な要望をいただいています。東の方が雲に隠れているので、どんなところなのか凄く気になると思うのですね。それもいま鋭意製作中です。後は最近よく言われるのが、レベルキャップ、うちのゲームで言うと段制限が開くのかどうかということです。フィールドの実装と同時に、段制限も解除したいと常々思っていたのですが、今のお客様の状況を見ているとただ単にキャップを解放するのはあまり得策ではないと思っているのです。

 というのも、「Blade Chronicle」は色々な刀を何回も育てることで刀を強化できたり、望みの能力を手に入れたりするタイプのゲームになります。心情的にはキャップを開放すると「上げなくてはいけない」気持ちになると思うのです。そうするとお客さんがしんどくなる(笑)。だからあまり良くないなと思っています。これもサービスを続けていてわかったことですね。最初は50段までさっと上げたいなと思っていたのですが、今の状況に陥っています。ですが段を上げるのとは別軸の進化もさせたいと思っていて、それは新しいフィールドと同じタイミングくらいで実装したいと思います。

編: それは段ではなくキャラクター側のなにかを成長させるようなものですか?

古谷氏: そうですね。あまり詳しくは言えませんが、そう言うことになります。そしてそれは、段上げのように単調な義務感で達成するものではなくて、目的を持って成長してもらうものになります。

編: それらのアップデートはいつくらいに予定されているのですか?

古谷氏: 年が明けてからなるべく早い時期にとは言いたいのですが、春の桜の季節くらいでしょうか。

柴田氏: 暑くなる前ですね(笑)。

古谷氏: 情報については公開できる段階になったら、どんどん公開していきたいと思います。

編: ユーザーにこれだけは言っておきたいということはありますか?

古谷氏: 開発者がお客様から直接意見を聞く場が半年に1度くらいあるのですね。そう言う場をこれからもどんどん設けていきたいので、本当に先ずはなんでも言ってみてください。声の大きい小さいはあるので、全部が思ったこととイコールになるとは言い切れないですが、凄く参考にしています。だからガンガン言って欲しいです。

編: 最後にメッセージをお願いします

柴田氏: 開発、運営が国産ということもあり、お客様のご意見を素早く吸収して良い方向に持って行きたいという思いがあります。後は何度も言いますが、不正対策に力を入れていきますので、よろしくお願いします。

古谷氏: 10年後も楽しめるようなゲームにするので、斬って斬って斬りまくってください。


【妖界装備設定画】
妖界装備(巧迅)
妖界装備(守護)
妖界装備(重撃)
妖界装備(壮術)
妖界装備(念術)


(C)Spike / DWANGO / GAMES ARENA

(2010年 10月 14日)

[Reported by 石井聡]