「無双」シリーズのキーパーソン、鈴木亮浩氏ロングインタビュー
PS3「トリニティ ジルオール ゼロ」、PS3/Xbox 360「TROY無双」
PS3「真・三國無双6」と「真・三國無双」シリーズ10周年について細かく聞く!


9月19日 収録

鈴木亮浩氏

 このほど、コーエーテクモゲームス常務執行役員 ソフトウェア事業部副事業部長 兼 ソフトウェア開発本部副本部長の鈴木亮浩氏にインタビューを行なう機会が得られた。鈴木氏といえば、一連の「無双」シリーズに初期から関わってきた重要なキーパーソン。直近では、PS3「トリニティ ジルオール ゼロ」、PS3/Xbox 360「TROY無双」のプロデューサーとして多忙な日々を送られている。

 全体としては「真・三國無双」シリーズが今年で10周年を迎え、先日「10周年記念サイト」が開設された。「東京ゲームショウ2010」の会場で行なわれた「SCEJメディアブリーフィング」では、10周年記念作としてPS3「真・真・三國無双6」を発表。コラボ企画も完全に定着し、「無双」シリーズはさらなる広がりを見せていく。今回は、様々なタイトルについて鈴木氏に根掘り葉掘り質問してみた。シリーズのファンはもちろん、興味がある方はご一読いただければ幸いだ。



■ PS3「トリニティ ジルオール ゼロ」

GAME Watch編集部: まずは、11月25日に発売をひかえている「トリニティ ジルオール ゼロ(以下:トリニティ)」に関する話からうかがおうかと思います。ω-Force(オメガフォース)が開発をてがけておられるという点から「ジルオール」シリーズと「無双」シリーズの合体というイメージでとらえてよろしいのでしょうか?

鈴木亮浩氏(以下:鈴木氏): よく言われますが、それは全然違います。そもそも、プロジェクトのスタートは「アクションRPGを作る」、要は「RPGをオメガフォースで作る」というのがあったのです。うちのチームの強みである“アクション”を切り口にRPGを作ろうというのが発端です。「ジルオール」の世界観を流用しようというのもありませんでしたし、「無双をそのまま使う」ということもありませんでした。

編: 最初は、ゼロから作り上げようと考えていたのですか?

鈴木氏: そうですね。

編: ユーザーさん側のイメージでは、やはりオメガフォースというと……。

鈴木氏: 確かに、いままで広報展開してきて、ネット上のユーザーさんの反応を見ていると「オメガフォース」と「ジルオール」をふたつくっつけたものと捉えられているようです。

編: どちらもブランド、タイトルイメージが強固にありますから。

鈴木氏: 何もシステムの情報を出していないうちから、無双っぽいゲームを想像されていたみたいで。「なんとか軍となんとか軍があるんだよね!」みたいな感じだったんです(笑)。

編: 実は、私もそれに近いイメージを抱いておりました。正直、そういうふうに捉えてほしくないですか?

鈴木氏: プレイされるとすぐわかると思いますが、まったく違うゲームです。「なんとか軍」とかもありませんし(笑)。

編: まずマップ構成から違いますものね。

鈴木氏: いわゆるアクションRPGにあった一般的なシステムといってもいいかもしれません。オープンフィールドではありませんが、ダンジョン、廃墟とか色々用意し、そこでクエストをクリアしていく形になります。

編: 全体的なゲームの流れを、簡単に教えていただけますでしょうか?

鈴木氏: まず、スタート時は主人公の赤い魔法剣士「アレウス」が、ひとりの状態で出てきます。

編: 最初から3人で出てくるというわけではないのですか?

鈴木氏: はい。最初、闘技場からスタートするんですけど、そこで剣闘士として戦う修行をしているアレウスが登場します。そのキャラクターの紹介から始まり、修行の一環として、冒険者として色々なクエストをこなそうという展開のなか、ダグザ、セレーネという同じ冒険者と会い、色々あってパーティを組むようになります。3人パーティを組むまでは序盤で、そこから3人で冒険を開始しようという話になります。各々自分のなかには、表に出さない何かがあるんですけど。

編: 3人それぞれ同格ということでよろしいんでしょうか?

鈴木氏: やっぱり、アレウスが3人のなかでも主人公級です。

編: 性格付けも、ちょっとフックがあるといいますか。

鈴木氏: あんまり、今までのRPGにはないというか……。

編: 心を閉ざした状態で出てくるわけですよね? 闘技場の段階、さすがに師匠には多少色々と話をするんでしょうけど、他のふたりは? そのあたり、馴れ初めは描かれていくんでしょうか? たとえば意気投合するところとか。

鈴木氏: パーティのエピソードはクエストの中で描いていきます。達成するとイベントが発生することもあります。

編: ハーフエルフとして差別を受け、心を閉ざしていたアレウスの内面が見えてくるわけですね?

鈴木氏: そうですね。アレウスは主人公級なので、彼が成長していくさま……パーティを組んだ仲間に心を開いていく状態が、ストーリー展開とともに描かれていきます。

編: そういったキャラクターの性格付けは、最初からこういった“ひねり”を加えたものを考えておられたのでしょうか?

鈴木氏: 主人公にしては、たしかにひねくれた感じですけど(笑)、最初は……やっぱりアクションRPGを作るというので、RPGの要素としてパーティにはそれぞれ役割がありますよね。戦士、魔法使いなど。最初は“役割”でキャラクターを考えていたんです。この3人も、見た目の特徴は“アクション”の特徴づけから入っています。今回はお話自体を映画監督の佐藤信介さんに書いていただきました。監督とお話を作っていく段階で、キャラクターの性格付けに肉付けをしていった形です。最初から、ちょっと斜に構えたところを狙ったというよりは、監督と開発チームで「こういうお話がいいんじゃない?」とミーティングをしているときに「じゃぁ、主人公はこういう性格付けにしよう」と決まっていきました。

編: 動きというか、外観なども材料になっている?

鈴木氏: それは開発側からの提示で、肉付け自体は監督がお話を作るときに「こういう性格のほうがいい」とご意見をいただきました。

編: 監督である佐藤さんの世界観が反映しているんですね。

鈴木氏: はい。今回はストーリーを楽しんでいただくゲームになると思いますので、ストーリーにあったキャラクタの性格付けになります。

編: タイトルに「トリニティ」とありますが、最初から“3”という数字が明確なコンセプトとしてあったのでしょうか?

鈴木氏: 最初から明確だった訳ではないですね。RPGではキャラクターの役割分担があって、普通のアクションじゃないRPGだと、4人パーティが結構多いかな? という気はします。そういうのもあって“4”も選択肢にあったんです。もちろん、もっと多い場合もどうだろう、とか。アクションのシステムを考え、リアルタイムの切り替えに行き着いたとき「4人だと、ちょっと多いのでは?」ということで3人にまとまった形ですね。最初は1人パーティという案もあったんです。

編: 常に操作するのはひとりで、残りはオプションですか?

鈴木氏: そうです。そこはちょっと……最初は試行錯誤がありました。

編: だいぶ揉まれたとは思うんですけど、それが落ち着くまでだいぶ時間がかかったのでは?

鈴木氏: いや、相当揉みましたね。そこだけでも半年くらいかけてます。

編: アクションのボリュームからも、色々と考えるところがあったのでしょうか?

鈴木氏: 1人だけにしてそのアクションをリッチにするのか、1人を薄くして、キャラクターをたくさん増やして全部切り替えられるようにするのか、ちょっと悩みどころではありましたね。リアルタイムにしようと決めたとき「3人が切り替えのシステムに1番いい人数だよね」ということになり、そこからひとりひとりのキャラクターのアクションがだいたい決まっていきました。

編: TGS2010に出展されたバージョンの完成度は?

鈴木氏: もう90パーセント以上です。ただ、あれはTGS2010用に作ったバージョンですので、中盤以降の成長した状態のキャラクターです。

編: それでスムーズに3人の連携がつながっていくんですね。

鈴木氏: そうです。RPGですので、ゲームを始めた当初はもうちょっと弱いですね。

編: 本当はあまり関連付けちゃいけないんですけど「無双」シリーズもそうですよね。最初はコツコツ。

鈴木氏: 元々間口を広くして多くのユーザーに受け入れてもらおう、という狙いがありました。でも「無双」は、序盤は弱いとはいえ、それなりに戦えるようになっていますけど。成長を楽しむという点で、序盤は下げてます。

編: 「無双」シリーズも、キャラクターの成長という点でRPG的な楽しさを感じている人もいるかと思います。本作はアクションRPGですから、成長という部分で明確な違いなどを用意しておられますか?

鈴木氏: 「無双」をやってる方は、ちょっと成長要素が入っているから「RPGっぽい」と思うかもしれませんが、普通のRPGから考えると「無双」は全くRPGではないんです。RPGの要素としては……1/100とか1/1,000とか、その程度だと思うんです。元々「無双」シリーズに成長要素を入れたというのは「クリアできないユーザーの方がいらっしゃるだろう」と考えたからです。そういうかたはフリーモードでキャラクターを成長させて、強くしてからステージにチャレンジしてください、という意味での成長要素なんです。RPGの成長要素とは若干ニュアンスが違います。本作では、武器がどんどん手に入ります。攻撃力やスピード増加、範囲が広がるなどの効果が“ランダム”でつきます。いい武器を発見して装備するという楽しみ方も、一般的なRPGと同じようにできます。

編: 武器の効果は、宝箱から出てくるものがランダムですか?

鈴木氏: それ以外にも、敵が落とす場合もあります。クエストや闘技場で賞品として手に入ったり、武器屋で売ってることもあります。

編: 武器屋で売ってるもので、程度が違うことがあるんですか?

鈴木氏: そうです。

編: 値段が高くて躊躇してると、実はいいものだったりとか?

鈴木氏: そういう場合もありますが、一般的に良い効果がついた武器は、だいたいクエストで入手します。あとはクエストにいった先でモンスターが落としますが、ランダムの要素が結構あります。

編: 武器のバリエーションは、どれくらい用意されているんでしょう?

鈴木氏: まだ数は明らかにしていませんが、各キャラクターごとに用意されます。アレウスだったら剣というのは変わりませんが、その種類でたとえば“刀”みたいなものだったりします。数十種類が用意されます。

編: 全員それぞれ持つものも違うのですか?

鈴木氏: ダグザだったらナックル系で、ずっとそのままです。そのなかでバリエーションを変えています。もちろん装備を変えるとキャラクターが持っているグラフィックスモデルも変わります。

編: 防具も変化しますか?

鈴木氏: 防具は……今回は主人公3人が固定なので、見た目をあまり変えたくない、というのがあって変わらないんです。ただ、物語の途中で“キャラクターの衣装チェンジ”があり、ちょっとリッチな衣装になります。

編: だんだん豪華になっていく?

鈴木氏: ええと、2段階しかないです(一同笑)。中盤以降ですね。

編: 絵画調のグラフィックが、凄く印象的です。物凄く大胆なアプローチだと感じました。

鈴木氏: 元々「ジルオール」は、キャラクターデザインを末弥純さんにお願いしていて、末弥さんの油絵タッチが、非常に評判が良かったんです。あと「ジルオール」はわりとオーソドックスな中世ファンタジーの世界観なので、あのような絵画調のタッチは表現としてあってるんじゃないかと考えました。PS3が、最近は各社とも(グラフィックが)奇麗になり、フォトリアルな方向に進んでいますが、そっちに進んでも、このゲームの世界観を表現するにはあわないんじゃないか、というのがありました。それだったら、末弥さんの絵画調タッチを再現するためにがんばってみようよという話になり、ようやくまとまった形になりました。

編: 「がんばってみよう」って、現場は「これを動かすのか!?」と大変だったんじゃないですか?

鈴木氏: 3Dモデル、3D空間に対し、油絵は2D表現です。相反するものなので、序盤の頃、トライアルでやってたときは「無理だから止めよう」という話も出たんです。でも、ただフォトリアルにするのは、私はイヤだったので、「絶対にうまくいくから!」と言って、ようやく実現となりました。

編: 最初は見切り発車で始められたのですか?

鈴木氏: このゲームは、見た目が重要だったので……そこは絶対にやらなきゃいけないだろう、という思いがありました。“できない”とは考えていませんでした。

編: むしろ「やるしかない?」

鈴木氏: そうですね。

編: 目算が立ったのは、どれくらいですか? そこに行き着くまで、物凄く不安だったのではないでしょうか。

鈴木氏: 去年のE3で、一応は絵画調の表現でPVを出しましたが、あの時点では実はまだ固まっていませんでした。

編: イメージボードに近いような出展?

鈴木氏: イメージのPVです。実機の映像は入っていませんでした。そのあと、去年のTGSも映像のみの出展でしたが、そのあたりではだいぶ固まっていました。7~8割くらいの出来でした。

編: そのときは、もう動くものを見せたくて仕方ない感じでしたか?

鈴木氏: 見た目に関してはそうですね。ただ、ゲームなので“操作感”が大事ですから,昨年はプレイアブルでは出せませんでした。

編: 実際、プレイさせていただいて驚きました。違和感がない。ザコ敵の上に体力ゲージが出て、それをやっつけていく。その慣れ親しんだ部分と、フィールドのなかで動く自然さ、というんでしょうか。ここに行き着くまで、相当ご苦労をされたわけですね。

鈴木氏: 今年の初めの段階だと、「絵画調の表現は確かに奇麗だが、まだちょっと違和感がある」というコメントがありました。今回お出ししたバージョンは「ぜんぜん見た目の印象が違う」といっていただける方が多いですね。

編: そうしたチューニングで、技術的に困難だったことなどはありますか?

鈴木氏: 技術的なことは、去年のうちにだいぶ解消してしまったので……絵画調の表現を、強くするか、弱くするか。どうなじませるかという調整をしていきました。人によって(感じ方が)違うので、落ち着かせるポイントを探すのが大変でした。キャンバス地の表現が動くと画面に張り付いてくるように見えるので見えにくいという意見がありました。絵画調でせっかく3Dモデルを作ってるのに、陰影が荒く見えたりするんです。そこのフィルターというか、シェーダーの掛け具合の調整が難しかったです。

編: かけすぎるとぼやけてトゥーン調になりかねませんし。その微妙さが、プレイしながら「うわ、こりゃ作ってる人はキッツイ!」と思いました。そういう意味では、今までにないファンタジックな世界観で遊べる……変な言い方ですけど“油絵の絵本”が動き出す、というか。凄く独自の表現が完成したのではないかと思います。ちなみに、現時点でのグラフィック表現的な完成度は100パーセントですか?

鈴木氏: そうですね。

編: 敵が多数出現しますが、グラフィックスのタッチとの兼ね合いでデザインが難しかったのではないでしょうか?

鈴木氏: モンスターデザインに関しては、油絵調に適しているというよりは、前作に登場するモンスターは、やはり登場させたほうがいいだろうという観点で決めました。デザインするうえで気をつけたのは、世界観を損なわないのはもちろんですが、世界市場をターゲットに入れてますので“モンスターらしい”デザインを心がけました。日本の、ちょっと抑え目のモンスターではなく、ちゃんとモンスターらしい形をしています。絵画調で多少やわらかくはなっていますが、大元のデザインは結構気持ち悪いものが、今までに比べると多い感じです。

編: 海外はフォトリアルな方向性を好みます。「世界市場を目指す」という言葉がありましたが、ソフトなタッチになる絵画調のグラフィック表現を採用すること自体、ある意味“冒険”ではないでしょうか。

鈴木氏: 独自性という意味で受け入れられるだろうな、という“勝算”はありました。実際、去年と今年のE3に出展して、狙い通りにいきました。正直、悪い評判はきかないくらいでした。もちろん、そう思われる方もいるんでしょうけど。でも、プレイした人はだいたい「まずビジュアルがいい」という感想から入ってきます。

編: 海外にもない表現ですよね。トゥーンともまた違う。そういう意味では、新しい表現を作ったといってもいいのでは?

鈴木氏: そのつもりでやってました。ここまでビジュアルがうまくはまって、評価されてきているのは本当にうれしいですね。TGSにこられなかった方のためにも、10月中旬頃に体験版の配信を予定してます。

編: 会場で体験版をプレイさせていただきましたが、ボリューム的にはどれくらいあるのでしょう? トロルのボスが出現しますが、実は私、倒せなくて……。あそこまででも結構いい感じですが。

鈴木氏: あそこで終わりです。あれを倒すとPVが流れます。実は、倒さなくても流れるのですが。他のステージや、中ボス級の紹介が入ったPVが流れて終わりです。体験版だけでは物足りない方もいるかと思いましたので、「こういうのもありますよ」という場面をつないだPVを入れました。

編: 体験版でプレイするフィールドは、製品版に登場するパートなんでしょうか?

鈴木氏: ステージ自体は使われてます。出てくるモンスターもですが、出現の仕方や、その場のAIなどはTGS2010専用です。コースも1本道にしてますが、実際は普通のRPGのように探索できるようになっています。チュートリアルの説明も、専用に作ったんですよ。ただ製品版にも同じようなチュートリアルが入りますが(笑)。ただ、最初からあんなに技が色々と使えたりはしません。最初はアレウスひとりですし。

編: その“ひとりのとき”ってどんな感じになるんでしょう? 体験版は3人すでに揃ってますから、ちょっとピンとこないと申しますか。

鈴木氏: 使用キャラクターを切り替えられないだけですね。クエストもひとりの状態だと難しいものは発生しません。2~3回クエストをやるとすぐダグザが仲間になるので、ひとりのときは短いです。あと、物語の展開上、操作の切り替えはできませんが、一緒にいて戦ってくれたりする“随行”キャラクターが発生するクエストもあります。

編: 3人で行動しつつ、支援者がいる場合も?

鈴木氏: あります。最初の1人の状態でも、支援者がいるクエストがあります。切り替えられませんが、フォローしてくれます。

編: 話がややそれてしまいますが……1度も使用キャラクタを切り替えずにクリアすることは可能ですか?

鈴木氏: できません。セレーネが2段ジャンプを使えますが、それを使わないと先に進めないところがあります。基本的に、切り替えは絶対に必要です。ただ、戦闘に限っていえば、誰かひとりお気に入りのキャラだけでプレイする、というのはできます。

編: 日本のユーザーさんは“縛りプレイ”とか大好きな人が結構いるじゃないですか。それでちょっと思ったんですよね。1番弱い武器だけでクリアしたりとか。

鈴木氏: そういうのは、たしかに可能ですね。切り替えなくても残りのふたりはAIでバリバリ戦ってくれます。何もしなくても、わりと進んでいけます。

編: 縛りプレイのなかには“自分では何もしない”というのがありますが。それはさておき、上空で舞うハーピーなどの敵も勝手に2段ジャンプで斬ってくれるのがありがたい。……で、セレーネが2段ジャンプで空中の敵を攻撃した瞬間にキャラクタを切り替える(スイッチコンボ)と、アレウスやダグザでも空中の敵を攻撃できます。これは製品版でも可能?

鈴木氏: はい。能動的に上にいけるのがセレーネの特徴ですから、アレウスとダグザはスイッチコンボの時だけです。

編: スイッチコンボは、自己満足の魅せ技もできて、非常に楽しいですね。先ほどのハーピーで、空中でダグザに切り替えて「フンッ!」とか豪快に倒したり。

鈴木氏: やりこめばやりこむほど華麗なプレイができます。

編: スイッチコンボは、敵の耐久力が高いときは延々とループが狙えたりするんでしょうか?

鈴木氏: できません。3人回った時点で途切れます。

編: こういったシステムで、チューニングなど工夫された部分は? あまり難しすぎるとアクションが苦手な人はつらいですし。

鈴木氏: 半年前の仕様は、スイッチコンボが入っていませんでした。もうちょっとアクションゲームとしての面白さを出していこう、ということで追加した仕様です。ここ数カ月……E3あたりから入れました。

編: そんなにすぐ追加できるものなんですか!?

鈴木氏: 構想自体は元々ありましたが、そこまでアクション要素を強めるかどうかという点を検討していました。E3での反応を見たら「もっと強めてもいいだろう」ということで、入れることにしました。アクションゲームとして、もっと面白味を追求した結果です。あと手触りがよくなかった、というのもあります。スイッチコンボだけでなく、キャラクターやモンスターの動きも変えました。敵がどう吹っ飛ぶか、どう硬直するか、全部含めての“手触り”です。

編: RPGはストーリーが重要じゃないですか。一方、あまりにもアクション要素が強すぎると“アクションゲーム”になってしまいます。そのあたりのジレンマは?

鈴木氏: あります。ただ、今申し上げたスイッチコンボやスキルは、使わなくても進めるゲームデザインになっています。アクションを楽しみたい上級者は華麗なプレイができます、という仕様です。ベースはストーリーを楽しんでいただきたいので、そこまでアクション性を強めていません。前作は女性ファンの方も多いので「アクションがちょっと苦手」という方でも楽しんでいただけるようなものにしています。

編: そこは、本当に難しい部分ですよね……。

鈴木氏: 以前プレイしていただいた方の中に、思わぬところでつまづいていることがありました。例えば2段ジャンプがうまくいかなかったり。

編: 先ほど、どこかで「2段ジャンプは必須」とおっしゃってましたよね。使えないと、当然クリアできない。

鈴木氏: 2段ジャンプでのるところも、もうちょっと余裕をもってあがれるようにしました。

編: 最初はギリギリでチューニングしたんですか?

鈴木氏: ギリギリでもなかったんです。それこそ「誰もひっかからないだろう」と思っていたんですけど、タイミングが意外とつかめなかったみたいでした。そういった部分も含め、チューニングして初心者の方でも問題なくプレイできるようになりました。

編: そうなってくると、戦闘の難易度もチューニングが難しいですよね。先ほどあった「仲間が勝手に戦ってくれる」というのは、アクションが得意じゃない人はいいですけど、アクションに主眼を置いている人は「なんで勝手にやっちゃうの!?」って思いかねない。

鈴木氏: そこはジレンマではありますが、一応難易度「イージー」が用意されます。

編: 難易度は、イージーとノーマルの2種類ですか? クリア後にハードが出現するとか。

鈴木氏: 2種類です。ハードはありません。RPGなので、腕に自信があるかたは経験値稼ぎを最小限でどんどん進んでいただければと思っています。

編: そういった特殊プレイで「こんなふうに遊ぶと面白いかも?」みたいなオススメはありますか?

鈴木氏: やはり“縛りプレイ”でしょうか。今回、アクションにあたるスキルが装備変更できます(体験版は不可)。たとえばアレウスだったら、あえて魔法しか装備しないとか。

編: スキルとソウルは、他のシステムなど検討されたんでしょうか?

鈴木氏: 前作の世界観をもってきているので、スキルとソウルは変えられない、変えたくないポイントです。ただ、RPGとアクションなので同じ形ではありませんが、そんなに悩まず落ち着きました。アクションRPGなので、スタートからエンディングまで物凄い戦闘を繰り返します。通常のRPGの10倍くらい戦うと思うので、アクションがまったく変わらないと、とにかくつまらなくなってしまいます。どういうふうにアクションのバリエーションを増やしていくか考えた結果、スキルにアクションを落とし込んで、レベルアップや新スキルの獲得で増やしていく形に落ち着きました。

編: アクションは、全体でどれくらいご用意されているんでしょう?

鈴木氏: 色々な組み合わせを考えられるくらい多めに入れてます。

編: お気に入りのスキルはありますか?

鈴木氏: やっぱり、アレウスの「アイスミスト」で凍らせるところでしょうか。

編: 体験版にあった、一定範囲を凍らせるスキルですか?

鈴木氏: はい。それと、ダグザの「投げ」でしょうか。これも体験版に入っています。

編: 自分のダグザは、常に柱で敵をブン殴っていたので気づきませんでした。そんなスキルがあったんですか。

鈴木氏: 投げはダグザ固有なんですが、敵によってモーションが違います。小さい敵だと足をつかんで地面に叩きつけたり、ちょっと大きめだとプロレスの技みたいに投げたりします。

編: 体験版のボス「トロル」も投げられるんですか?

鈴木氏: 超巨大なボスは無理ですが、投げられそうなモンスターは、ほぼ投げられます。ただ、中ボスクラスはそのまんまでは投げられなくて、ブレイク状態じゃないと投げられない、というのはあります。

編: スキル「投げ」は、どんどん派手になっていくとか?

鈴木氏: 効果が上がるだけで、モーションは変わりません。敵によってモーションが用意されてますので、CGデザイナーの力作を楽しみにしていてください。セレーネは、アースロアが気に入っています。地形によって、敵の足止めをする蔦がらみが出たり、水だと水柱が上がったりと。バリエーションがあるのが楽しいですね。

編: 地形は結構なバリエーションがあると思うんですが、それぞれでエフェクトが変わりますか?

鈴木氏: 石畳だと石柱が出てきて、それをダグザが拾って振り回すために使えたりします。色々なバリエーションを用意して“飽きさせない”というのが重要ですね。プレイ時間が並じゃないので……。

編: 差し支えなければ、クリアまでの平均時間を教えていただけますか?

鈴木氏: メインストーリーを追ってエンディングを迎えるまでだと、だいたい30時間くらいでしょうか。ただ、サブクエストを数多く用意してますので、やりこみ要素まで入れると50時間以上はあると思います。ダウンロードコンテンツでクエスト配信も予定していますので、結構長く遊べると思います。

編: 11月25日の発売を心待ちにしているユーザーにメッセージをお願いします。

鈴木氏: 「ジルオール」ファンの方から、知らない方まで楽しんでいただけるアクションRPGです。間口を広く、アクションが苦手な方でも受け入れられるシステムになっていますし、アクションが得意な方にもやり込みがいがあるシステムになっています。ぜひ、まず体験して面白さをわかっていただきたいな、と思います。



■ PS3/Xbox 360「TROY無双」

編: 「東京ゲームショウ 2010」に出展されたバージョンの仕上がり度は?

鈴木氏: 70パーセントです。そんなにまだ仕上がっていません。TGS2010の体験版は、E3バージョンの日本語版です。

編: システム部分はE3出展バージョンとまったく同じでしょうか?

鈴木氏: はい。ちょっと(時間が)巻き戻ってる感じはありますが、今の製品版の開発度よりは古いですね。

編: いま、開発中の製品版はもっとクオリティが上がっているわけですね。

鈴木氏: 見た目自体も、もっとクオリティがあがっています。

編: 個人的にも嬉しい情報です。日本語版は、ボイスも完全吹き替えですか?

鈴木氏: 吹き替えになります。

編: 体験版をプレイした印象ですが“重さ”に重点を置かれているように感じました。

鈴木氏: 確かにそうですね。今回、スタッフのほとんどがカナダ人なんです。もちろん欧米の方の嗜好であるリアル感がモーションにもあらわれています。重い剣を振り回すなら、こういう重いモーションだというこだわりが、ああいう形になっています。

編: 同じエンジンを使っても、あそこまで差がでるものですか?

鈴木氏: そうですね。本当に、操作感や手触り感が従来とはまったく相反するというか、違うものになっています。

編: カナダの開発チームと一緒に仕事をして、特別に何か感じたことはありますか?

鈴木氏: 企画段階だと、今まで「無双」について欧米で言われていた「モーションが軽い」、「AIがあまり賢くない」、「操作自体が単調」といった意見に対する“回答”が企画段階で盛り込まれました。そこがメインというか、ここをこういうふうに変えたい、ここはこうなんだと表現したい、というのが入ってます。

編: 「無双」シリーズが、海外に対して本気で挑戦するタイトルと捉えていいんでしょうか。

鈴木氏: 「真・三國無双」を出したときは、今までにないゲームシステムだったので無名だったわりにセールスも良かったですし、その後の評価が凄く良かったです。ところが作を重ねるごとに右肩下がりで、「同じようなゲームを出してますよね」という批判が出てきました。「真・三國無双5」は“カンフーアクション”ということで見た目も欧米にも受ける形で、セールスも盛り返したり、評価も上がったりしましたが、それでもゲームシステムは同じという意見もありました。あと、開発的にも欧米向には「移植している」という意識しかなかったので「欧米向けに作る」というのは、今回が初めての挑戦ではありますね。

編: 1、2、3と、シリーズ作品が出るごとに日本と海外でギャップが広がっていることは、我々メディアも存じておりました。

鈴木氏: 本当に、どんどんセールスと評価の差が乖離していって……。

編: 鈴木さんご自身、まさに渦中におられたわけですが、どういうふうに受け止めておられたんですか? 日本ではどんどん右肩あがりですし、バリエーションも増えていく。

鈴木氏: ある種、仕方がないとは思ってました。移植するにしても、欧米向けに何かしないといけないでしょうし。あと、1番思っていたのは「三国志」という世界観です。古代中国という世界設定自体、欧米ユーザーにはなじみのない世界観ですので。

編: そこから変えていくしかないだろう、と?

鈴木氏: そういう思いがずっとあったので、今回カナダで作るなら、欧米でも受け入れられる世界観で作ろうと考えました。

編: テーマを“トロイ”と決めたのは?

鈴木氏: 最初に「欧米で受ける無双を作ろう」という話があり世界観をどうするかカナダのスタッフにいくつか案を出してもらいました。そこで出た意見と日本側をすり合わせた結果、わりとすんなり決まりました。

編: 対になる候補とか、競ったモチーフはありますか?

鈴木氏: 競ったのは「円卓の騎士」ですね。

編: それは北米よりも欧州向けという気がします。

鈴木氏: そうですね。欧米、両方考えた場合、知名度でいうと、やっぱり「トロイ」のほうがいいようです。

編: 何度も映画化されていますし。

鈴木氏: ただ、エンターテインメントという意味では「アーサー王」のほうが有名だと思います。「トロイ」のほうが基礎知識としてベーシックに“ある”もので、教科書に載るような話です。

編: 日本でいう「いいくに(1192)つくろう鎌倉幕府」の世界ですよね。必ず学ぶ。

鈴木氏: まさにそんな感じです。

編: 逆に、日本のユーザーは「トロイ」に関しては表面的な知識でとどまっている人が多いのではないでしょうか。それをプロモーションで伝えていくのは大変かもしれません。「トロイ」をテーマにした映画も国内で公開されてはいますが……。

鈴木氏: 知らない人も結構いると思います。コンピュータウイルスのイメージの方が強いかも知れません(笑)。「トロイって何?」というところからスタートしなければならないとは思っています。どういうふうに惹きつけるかというと、“見た目”でしょうか。「無双」と名前がついてるけど、こんなビジュアルなの? という驚きはあると思います。過激な表現で惹きつけるわけではありませんが、リアルさを追求した結果、あのような表現になりました。

編: PS3なら△、Xbox 360ならYボタン、ですよね。逃げる敵を追ってプスッ! っていう(必殺攻撃)。このアイデアは、カナダ側から出てきたわけですよね?

鈴木氏: そうです。

編: 最初にご覧になったとき、どういうふうに感じられました?

鈴木氏: 元々目指す方向がリアルということで、必殺攻撃自体、最初はありませんでした。本当に、普通に斬ってて、数撃で死んでしまうような感じでした。やられモードとかもシミュレーションしたシステムを使ってて、血の表現も元々入ってました。

編: 必殺攻撃は「もう一歩踏み込んで、なにか欲しい」という欲求から出てきたシステムなんでしょうか?

鈴木氏: そうですね。残酷な表現をしたいというよりは、アクションシステムとして何か欲しいという考えから、「崩し攻撃」、「必殺攻撃」が出てきたわけです。

編: アクションといえば、本作はジャンプできませんね。これは「戦場でジャンプする奴なんかいない」ということですか?

鈴木氏: そういうことです(笑)。

編: 敵が逃げていく、というのは最初から入っていたのでしょうか?

鈴木氏: 最初から入ってました。それを後ろから追って必殺攻撃というのは想定外でした(笑)。ただ、リアルさという意味では当然こうだろうと思います。

編: そうですよね。殺伐というか、逃がした相手に復讐されるというエピソードがいくつも残っている時代ですし。話はかわりますが、無双エンジンのコア部分はまったく一緒なんですか? それとも作り変えていますか?

鈴木氏: エンジン自体は、作り変えてます。

編: 具体的に、どういった部分に手を加えているんでしょうか?

鈴木氏: 日本と欧米ではゲームの作り方が違うので、欧米のゲーム制作スタイルにあったエンジンになっています。AIとか、ゲーム上で動く敵キャラクターの制御の仕方から違うのです。日本はプログラマとプランナーが“話し合い”ながら組み立てていきますが、欧米はプログラマはシステムを提供するだけで、プランナーが残りを担当します。仕事量が全然違う、やることが全然違うという形です。「TROY無双」はプログラマはシステムを提供するだけで、色々なことをできるシステムを作るから、調整は任せる」というやりかたです。エンジン自体の方向性が違います。

編: 海外のゲームが尖りやすい、というのはそういう部分にも起因してますよね。

鈴木氏: 確かにそうですね。

編: ゆえに「TROY無双」で、敵を斬っていく瞬間、瞬間の“重さ”。最初に体験されたとき、日本のユーザーのことは考えられましたか? 私は物凄く気持ちいいんですが……。

鈴木氏: コンセプトから“重さ”があったので、大丈夫だろうとは思ってます。実際にできたものをやって、うまく表現できたと思います。ただ、最初の段階はもっと重かったんです。手触りが重い以上に、モーションも重く、リアルすぎてゲームにならないということで調整した結果、今の形になりました。

編: 海外の制作現場ではありがちですよね。PCゲームの世界は特にそうで、最初はとにかくリアルに! ってやっちゃう。

鈴木氏: 最初は、本当にそうでしたね。ただ、自分たちでもプレイするうちに「重過ぎる」というのは感じたようです。もうちょっと軽くしたほうが、ゲームとして面白いだろうということになりました。

編: 日本版と海外版で、何か変えるといったことは?

鈴木氏: 同じものを出す予定です。ただ……レーティングのからみでCEROレーティング「Z」は避けたいです。お店の中で置かれる場所が限られてしまいますので。

編: ドバドバ血が出ますよね。コンボ中、スプラッタムービーばりに「ドンッ!」って手前に血しぶきが飛ぶ演出もありましたし。

鈴木氏: 基本的には、なるべく変えない方向で考えています。おそらくあれくらい(の血しぶき)はまだ許容範囲だとは思うんです。血の表現が画面内にたまっていくのがよくなさそうですが。

編: さりげなく消えていけばオーケーでしょうか?

鈴木氏: 日本で厳しいのは、欠損(表現)ですね。そこはないので、なんとかいけるのではと思っています。

編: ちなみに、必殺攻撃は何パターンくらいあるんでしょうか?

鈴木氏: それなりの種類はあります。状況によって変わったり、技の種類によっても変わったりします。

編: 従来の「無双」シリーズは武器で攻撃が変わりますけど「TROY無双」も同様と考えていいんでしょうか?

鈴木氏: そうです。他にもプレイアブルキャラクターがいますが、武器が違えばアクションも全部違います。

編: TGS2010の体験版ですが、かなり長く遊ばせてくれますよね? ボス戦でコマンド入力をミスるとやり直しになる。あれ、3回ほど失敗したら背後で待ってる人から舌打ちされまして……。心のなかで「失敗パターンも試してみたいじゃん! ちょっとだけ許して、ゴメンね!」と思いながらやってたんですけど。ああいったQTEはボス戦固有ということでよろしいんでしょうか?

鈴木氏: そうですね。

編: ああいった異形のモノは、当然あれだけではないのですか?

鈴木氏: あれだけではないです。何種類かあります。

編: いま教えていただけるモノは……。

鈴木氏: まだいえないですね。お楽しみに(笑)。

編: 各シーンが、映画的というか。凄く楽しませていただきました。敵兵が盾を構えてザッとフォーメーションをとってくるし、攻撃も隙を見せるときちんと襲い掛かってくる。ボス戦でのファンタジックな切り替わりも良かったです。そこでふと思ったんですが、ザコAIの作り方は日本と海外で嗜好が違いますよね。日本は棒立ちでもいいと思うんですが、海外は……。

鈴木氏: 逆ですね。「何もしないのはおかしい」とよく言われます。

編: 「TROY無双」は、ちゃんと攻撃してきますよね。背中を見せると「隙あり!」って感じで。

鈴木氏: 本当に、気を抜くとザコでも殺されます。

編: その点、ご自身のお考えはいかがですか? 日本のファンにどう受け取られるか不安を感じていたりしますか?

鈴木氏: 「TROY無双」については、そういうゲームだと受け止めていただければと思います。

編: リアリティというか、因果関係をしっかり踏まえてプレイして欲しいということですね?

鈴木氏: そうですね。本作は遠くから部隊がきて戦うというよりは、配置された部隊と心して戦ってください、という形です。

編: 古代兵って、テーマとしてフィットしやすいですよね。隊列、フォーメーションを組むっていう。体験版では少ないですが、製品版ではもっと大人数のロマンあふれるシーンを期待していいんでしょうか?

鈴木氏: はい、ご期待ください!

編: まだ先になりますが「TROY無双」に期待されているファンにメッセージをお願いします。

鈴木氏: 今回、バイオレンス表現の強いところがあります。「無双」シリーズ初期の頃にやっていた方とか、年齢層が高めの方にオススメかなと思っています。表現も世界観も違いますし、アクションもハードな調整になっています。腕に自信のあるアクションゲームファンの方にも十分楽しんでいただけるよう仕上がっていると思います。


【TGS2010出展バージョン・スクリーンショット】
TGS2010同社ブースでプレイできた体験版のスクリーンショット。インタビューにあったとおり、体験版はE3出展バージョンをローカライズしたもの。製品版のグラフィックはさらにクオリティアップするとしている。プレイした第一印象は、いい意味で“重さ”が伝わってくる感じ。入念な調整の賜物といえる
ボス戦は、一転してファンタジー調。巨大像をなんとか破壊したと思ったら、上半身だけで再び襲い掛かってくるからたまらない。トドメは昨今の海外アクションで定番となったQTEを採用。タメが効いたモーションなど、演出面でも魅せてくれる



■ ~「真・三國無双」シリーズ10周年、そしてPS3「真・三國無双6」~

編: 10周年記念で、今後なにかイベントの予定は?

鈴木氏: 10周年のイベントは、今のところ特にないですね(TGS2010の最終日、同社ブースでは10周年記念コスプレイベントを実施)。

編: SCEJさんのプレスブリーフィングで発表されたPS3「真・三國無双6」ですが、今お話していただけることは……。

鈴木氏: 10月26日に発表会を行ないます。

編: それ以上ない? 聞いちゃダメ?

鈴木氏: 聞いてもいいですが、話せませんよ(笑)。

編: まぁでもビックリしました。10月26日の発表会は、10周年記念とからめた企画なんですか?

鈴木氏: いえ、10月26日は「真・三國無双6」の発表会です。10周年記念作品です、という言い方はしますが。

編: 10周年ということで、ご自身で感じることなどはございますか?

鈴木氏: そうですね……やはり節目がきたなとは思います。ここのところ、コラボの「無双」、横の展開がだいぶ増えてきていて、ここでナンバリングタイトルを出すというのは、ひとつの意味があるのかなと。

編: 「無双シリーズ」今後の展望ですが、現状を踏襲していくのでしょうか? それとも「三國無双」が「真・三國無双」になったようにガラリと変わっていくイメージですか?

鈴木氏: (しばし沈黙)……なんともいえないですね。ただ、このままいくことは、まずないと思いますよ。いくらなんでも、日本のユーザーにも飽きられる時がくるでしょうし。

編: 開発チーム内からも、なにか欲求があるんでしょうか。

鈴木氏: だからこそ「トリニティ」が出てきたとも言えます。ガラッと変えるとしたら、違うIPじゃないかという話もありますし、そこは非常に難しいですね。

編: 最後に、10周年にからめてユーザーの皆様にメッセージをお願いいたします。

鈴木氏: 本当に「10年ありがとうございます!」としかいいようがないです。コラボの「無双」が結構増えてきてて、「無双」はそれぞれのタイトルにあわせて進化してきていると思いますし、そういうのもあってナンバリングのほうもただのシステムの踏襲ではなく、新しい面白さを追求したいと考えてます。「無双」ファンの方は、各「無双」に注目して楽しんでいただきたいなと思います。

編: 本日はお忙しいところをありがとうございました。


【「真・三國無双」10周年記念コスプレコンテスト】
10周年記念サイトで募集が行なわれていた「コスプレコンテスト」を一般最終日に実施。東京ゲームショウの同社ブースのステージは、その様子をひとめ見ようと物凄い人垣ができていた審査員は、鈴木氏(上画像・左)、COSMODE編集部の山本麻子氏(同・中央)、声優の小野坂昌也さん(同・右)
気合の入った衣装を披露した総勢7名のコスプレーヤーたちは、誰が優勝してもおかしくないハイクオリティで審査員一同を圧倒。その繊細かつ華麗な仕上げと徹底したこだわりに、ギャラリーからも賞賛の声と拍手が沸き起こる。スペシャル審査員の小野坂昌也さんが、裏地や靴など細かい部分もチェックしてコメント。これがさらに感嘆の声を誘う



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(2010年 10月 1日)

[Reported by 豊臣和孝]