インタビュー

「バイオハザード RE:4」はなぜ真っ先にiPhone 15 Proへ対応したのか?【#TGS2023】

Mac・iOS対応への狙いをカプコン川田氏、神田氏にインタビュー

【東京ゲームショウ2023】

会期:9月21日~9月24日

会場:幕張メッセ

 東京ゲームショウ2023の開催に先立って、9月13日に発表されたのがiPhone 15 Pro向けに「バイオハザード ヴィレッジ」と「バイオハザード RE:4」が2023年内に発売されるという情報だ。

 日本からはコジマプロダクションがiPhone 15 Pro版「DEATH STRANDING」の年内発売を発表しているが、カプコンではMac版「バイオハザード ヴィレッジ」が発売済みであることも考慮すると、大手メーカーとしてはこの「バイオハザード」シリーズの展開はかなり積極的に思える。

 では、なぜカプコンはこうしたApple製品への展開を積極的に行なうのか。今回東京ゲームショウ2023の会場にてカプコン「バイオハザード」シリーズプロデューサーの川田将央氏と「バイオハザード ヴィレッジ」および「バイオハザード RE:4」プロデューサーの神田剛氏に話を聞くことができた。

 なおiPhone/iPad版の「バイオハザード ヴィレッジ」は10月30日発売予定で、本編価格は4,990円。追加DLC「ウィンターズエクスパンション」が2,000円。iPhone/iPad/Mac版「バイオハザード RE:4」は2023年発売予定で、本編価格が7,990円。追加DLC「セパレート ウェイズ」が1,000円。アプリ自体は無料ダウンロードで、序盤まで無料でプレイできる。

【TGS2023 カプコン ステージライブ<Day-1>9/23(土)10:05~|東京ゲームショウ2023】
価格情報などはにて、9月23日のTGS2023「バイオハザード」ステージで発表された
カプコン「バイオハザード」シリーズプロデューサーの川田将央氏
カプコン「バイオハザード ヴィレッジ」および「バイオハザード RE:4」プロデューサーの神田剛氏

iPhone 15 ProがApple製品とゲームの関係を変えるかもしれない

 まずiPhone向けでは初となる「バイオハザード ヴィレッジ」と「バイオハザード RE:4」の発売だが、これは一重にiPhone 15 Proの性能が十分に高くなったからだという。

 今回の対応のポイントは、iPhone向けだからといって内容をカットすることなく、フルサイズでほぼそのまま移植できていること。もちろん最適化している部分はあるものの、体験としては他のプラットフォームとの遜色なくできている。

プレイイメージ。「Apple Event - 9月13日 - Apple」より引用

 またApple製品への積極的な展開については、2つの意図があるとした。ひとつは、自社製のゲームエンジン「REエンジン」の柔軟性の高さを示すため。REエンジンであればここまでできる、という幅の広さを示すいい機会であるとした。

 そしてもうひとつは、市場の拡大。モバイル端末はモバイル専用ゲームが当然主流となっているが、ここにあえて体験が他プラットフォームと遜色ないフルスペックサイズのゲームを投入することで、ユーザーからどのような反応を得られるか試してみたいとした。

Apple製品への対応は、「バイオハザード」チームの先を見越したチャレンジとなっている

 Apple製品でフルスペックのゲームを遊ぶという習慣はまだまだユーザーの中で広がっているわけではないが、iPhone 15 Proのように、iPhoneやiPad、Macのスペックはカプコンとしても満足の行く高さになってきており、潮目の変わりが近いうちに来る可能性もある。そこへ先んじて「バイオハザード」シリーズを展開しておくことで、その時が来た際にAppleプラットフォームの市場をがっちり掴んでおきたいという狙いがあることも話してくれた。

 特にiPhoneやiPadは生活と密接に関わるデバイスであり、移動中や出先のホテルでなど、より気軽に「バイオハザード ヴィレッジ」や「バイオハザード RE:4」をプレイしてもらえるような風景を想定しているという。上に記載したように「体験」の部分については川田氏も神田氏もかなりの自信を持っており、現行コンソールと遜色ない「バイオ」体験が、持ち運びに優れたiPhoneやiPadで実現できるところが大きなメリットとなっている。

 スマートフォンで映像コンテンツを見るのが当たり前になったように、フルスペックのゲームをモバイル端末で起動することが当たり前になるかどうか。「バイオハザード」チームの果敢なチャレンジと合わせて、ぜひ注目しておきたい。

iPhone/iPad版はタッチ操作に対応。ボタンは細かくカスタマイズ可能。なおDualSenseなどの対応コントローラーでの操作にも対応している
TGS2023のステージイベントにてiPad Proで動く「バイオハザード RE:4」をプレイする狩野英孝さん。「ゲーム機と変わらないじゃん!」「画面がすごくきれい!」と感嘆の声を挙げていた