インタビュー
毎回ぐだぐだだけどおもしろくてためになるゲーム番組「ガレリアゲーム三昧」、中の人たちインタビュー
どうしてこんなにぐだぐだなのか、どこに向かっているのかを聞いた
2020年5月5日 00:00
- 【ガレリアゲーム三昧】
- Twitch公式チャンネルにて毎週金曜配信中
今やゲームファンにとって欠かせない存在となったゲーム配信チャンネル。プロゲーマーやストリーマーたちを主役に、ゲームメーカーやスポンサー企業も巻き込む形で、我々ゲームファンにライブ感たっぷりのエンターテインメントを提供してくれる。
筆者も日中Twitchの配信をずっと垂れ流しながら仕事している。世界のどこかで行なわれているeスポーツ大会を観戦したり、ストリーマーによるβテストの模様を眺めたり、プロゲーマーのトレーニングの模様を覗いたり、視聴するチャンネルはその日ごとに変わるが、仕事半分、楽しみ半分ぐらいの感覚で視聴している。
そんな筆者が密かな楽しみにしているのが、サードウェーブの公式チャンネル「GALLERIA_GM」の人気企画「ガレリアゲーム三昧」だ。2018年9月からスタートした定例企画で、サードウェーブのeスポーツマーケティング部によって制作されている。肩書き、名前一切不詳の“中の人”と、“やまもとさん”ことeスポーツマーケティング部コミュニティー推進課山本雄河氏の2人をメインキャストに、全国高校eスポーツ選手権やGALLERIA GLOBAL CHALLENGE等も手がけるeスポーツマーケティング部コミュニティー推進課課長加藤祥一氏がプロデューサーを担当。毎回ゲストを招き、ただひたすらゲームを遊ぶという番組だ。
この番組が斬新なのは、一企業の公式チャンネルの企画であるにもかかわらず、毎回進行がぐだぐだなところだ。“中の人”の最初の挨拶の時点ですでにぐだぐだで、その勢いが2時間続く。もっとも配信の中身自体は毎回プロゲーマーをゲストに迎えているだけあって折り紙付きで、視聴していてためになる情報が多い。ただ、それを毎回中の人が引っかき回していくのだが、この展開が読めないところがおもしろさの秘訣なのだと思う。
そんな「ガレリアゲーム三昧」は、4月より月1回サイクルから、週1回にペースアップし、このぐだぐだ配信が毎週楽しめるようになった。過去の配信もすべて録画が公開されているのでぜひ皆さんもこのぐだぐだっぷりをお楽しみいただければと思うが、より良く楽しむために「ガレリアゲーム三昧」はなぜこんなにぐだぐだなのか、そしてどこに向かおうとしているのかについて中の人たちに話を聞いてみた。こちらも合わせてお楽しみいただければ幸いだ。
「素のままの人を見せたい」。ぐだぐだな雰囲気を大事に
――サードウェーブさんがTwitchでやっているゲーム配信番組「GALLERIAゲーム三昧」、いつも観ています。この番組はツッコミどころが多すぎてどこから質問して良いやらという感じですが(笑)、そもそもどのような目的、きっかけではじめた番組なんですか?
中の人: 2018年9月からスタートしました。PCゲームをもっともっと沢山の人に楽しんでいただきたいという思いからです。
加藤氏: それと、ゲーミングPC GALLERIAや、そのメーカーであるサードウェーブで働く私たちの事を知ってもらいたいと思ったのもキッカケです。ゲーマーの中にはプレイがメインの人もいれば、視聴がメインの人もいます。SNSではゲームやPCについてプレーヤーと接する機会がすでにあったので、ストリームという観点から、プレーヤーとの繋がりを作りたいと思いました。
――私もファンの1人として金曜の夜、垂れ流しで視聴しています。毎回“中の人”のぐだぐだな挨拶で始まるのが特に気に入ってますが、あの挨拶は台本通りなのですか?
山本氏: いつもご視聴ありがとうございます。あれは台本通りではありません(笑)。冒頭の挨拶に関しては、タイトルごとの文言を簡単に私が考えていますが、大体はなぜかぐだぐだな感じになってしまいます。私の台本が悪いのかもしれません(笑)。
――毎回扱うタイトルやゲストが異なりますが、全体の構成やゲームタイトル、ゲストはどのような形で企画しているのですか?
中の人: この週だったらこのタイトルが熱いよね、等、皆でアイデアを出し合います。
山本氏: チーム内でブレストして、今流行っているゲームタイトルや、チームメンバーがやりたいタイトルを上げてもらい、そのタイトルを基準に内容を決めています。
――配信を通じてこだわっているところ、大事にしているところを教えてください。
山本氏: 挨拶がぐだぐだになっているところはこだわりではないんですが(笑)、ああいった雰囲気は大事にしています。堅い雰囲気にならないようにしていますね。また、僕らもゲーマーなので、流行ってるタイトルや「これは外せない!」といったタイトルなどは必ず番組で取り上げたいと考えています。
中の人: やっぱり一番は思い切り楽しんでゲームをプレイすること・・・ですかね。司会進行は未だにカミカミなのですが…(笑)。
――自分も出たい! こういうゲームをやって欲しい! といった意見は受け付けているのですか?
山本氏: もちろん受け付けております。内容やタイトルが番組のイメージとあっていれば、ぜひ実現したいですね。そういったご提案やご意見は非常にありがたいです。
――プロデューサーに質問ですが、PCメーカーの公式チャンネルなのになぜこんなにフリーダムなのですか?
加藤氏: 昨今ネット配信がとても増えています。企業配信というと、固いイメージが多く、MCがしっかりいて、ゲストが喋る……というのが、よくある定番番組だと思います。正直どの番組も同じように感じてしまいます。視聴者が求めているのは、芸能人の動画配信でも同じだと思いますが、素のままの人が見たいと思うんです。GALLERIAというゲーミングPCの番組だから、ゲームを紹介して、パソコンを紹介して終わるのであれば予想通りで面白くありません。良い意味で予想を裏切りたいですね。ゲームを本当に好きな社員がゲームを通して、GALLERIAゲーミングPCの良さを堅苦しくなく伝えたいなと思い、こういうスタイルで配信を行っています。
――関係者それぞれに一言ずつ、1年半継続しての感想、ここまでの手応えを聞かせてください。
加藤氏: おかげ様で業界の関係者の方々には大きな反響を頂いています。しかし、まだまだ番組としては満足いく内容に出来ていません。企業番組と面白さの境界線をもっと攻めて、視聴者がワクワクするような番組を作っていきたいですね。
山本氏: いつも多くの皆さんが見てくださっていることに、非常に感謝しております。ありがとうございます。最近は配信者の方が増えてきており、魅力的な配信が多くあります。そんな中で、「お、やってるなら見ようかな」と思っていただける番組にしていきたいです。
中の人: 個人的には、配信を始めた頃、トークもゲーム中も常に頭が真っ白だったのですが、最近は、ゲーム中は頭がクリアになってきました・・・と、自分では思っています(笑)。もっとゲストの皆さんの魅力や、ゲーム対する思いを引き出せるように、上手に番組を進行したいです。
――これまででもっともウケた企画は何ですか? その理由も合わせて教えて下さい。
山本氏: 難しい質問ですね(笑)。現場の温度感では、C4LANに出展する企画は毎回多くの配信者やタレントさんが飛び入りで参加してくれて、とてもいい感じの企画になっているような気がします。「ゲームプレイを主目的として見に来る」という方々はそんなに多くなくて、ゲームと人、もしくは人と人のコミュニケーションを目的に配信を見てらっしゃる方々が多いように感じます。コミュニケーションがメインになるオフラインイベント配信は、多くの方にウケるのではないかなと思っています。
中の人: ウケた……ということでしたら、2019年4月に行なわれた「CoD:BO4 」オフラインイベント「GGLAN」の直前特集です。ゲストにk4senさん、鈴木ノリアキさん、Yukishiroさんの3名をお呼びした回ですが、この回は自分が見返したくないくらいレベルのカミカミで、それをひたすらゲストの皆さんに突っ込まれ続けていました。ゲームを知っている人も知らない人もかなり笑える回なので、ぜひご覧ください(笑)。
――ちなみにフォロワー4万人突破記念配信の時のしいなさん(山本氏の同僚で、Rascal Jesterのマネージャー)は、声が小さすぎて放送事故ではないかと思いました。これは台本通りだったのですか?
山本氏: 放送事故と思われていたとは(爆笑)!これも台本通りではないです(笑)。 本当によく見てくださっていますね、正直驚いています。いつもありがとうございます。4万人記念配信は3人で会話した回ですね。そもそも椎名が元々かなり小声なんです。逆に僕はよく声が大きいと昔から怒られてきた人間なので、そこの対比で小さく感じたのかもしれません……。今後椎名が出てくる場合は、僕が大声にならないよう気を付けるようにします。おそらくそれでみんな同じ声の大きさになるかと(笑)。
――1年半の配信を経て1番成長しているのは“中の人”だと思いました。以前と比べるとゲームを遊びながら余裕を持って喋れるようになっています。自身ではどのように感じていますか?
中の人: ありがとうございます! そういっていただけると嬉しいな。配信終了後、あんな風に話題振っておけばよかったな~とか、こう言いたかったのにな~とか、ずっと一人反省会をしていました。でも、この番組でゲーム配信をしていることを知らせている唯一の友人に、「普段どおりゲームしてるだけで多分面白いよ」って言われたのがキッカケで、最近は特に何も考えないでゲームするようにしたら、少しずつ余裕ができるようになりました。変なこと言わないかまだまだ心配ですが……。一人反省会はまだまだ続きそうです(笑)。
――やまもとさんは、ぐだぐだな中でまとめ役として頑張っていると思う。ご自身でどのように感じていますか?
山本氏: ありがとうございます。元々僕の経歴は「Overwatch」の競技シーンでチームのリーダーでした。その前は出演者としてお仕事をさせて頂いていたこともあるので、その時の経験が生きてるのかなと思います。ただ個人的には、自分がまとめ役としてのスキルはまだまだだと思っているので、ちゃんと専業の方々を入れたいと考えています。特に「中の人」は属性的に「ボケ」なので、強い突っ込みを入れられる「ツッコミ」役の方を求めて止まないです(笑)。
自宅勤務でできることとは何か? 「ガレリアゲーム三昧」を週1回配信に
――これまでは月1ぐらいの配信ペースだったように思いますが、4月から更新ペースが上がっていますね。これはどういう方針転換なのですか?
中の人: 私達の会社も自宅勤務になって、自宅から色々なことができないか手探りでやっている最中です。その中で持ち上がったのがゲーム三昧の配信機会を増やすことです。以前から配信回数は増やしたいと思っていましたが、こんな時だからこそ、視聴者の皆さんに喜んでいただきたくて、現在は週末週1の頻度で配信をしています。
――また、4月配信から「ガレリア中の人との旬なゲームを楽しむ番組」という副題が付きましたが、内容的にも変化しているようですね。
中の人: お気づきでしたか(笑)! 何の番組なのか分かりにくそうだと思って、私が勝手に付けました(笑)。内容は殆ど一緒で、番組内キャンペーンが追加されました。
山本氏: おおまかな流れは変えていないのですが、オーバーレイ一式や様々なことが新しくなったため一新されたように感じるかもしれません。また自宅からということもあり、普段と比べて、よりカジュアルというかフランクな感じの番組にはなっているかもしれません。
――17日の「CS:GO」の回は、ゲストも豪華で“中の人”が好きなタイトルということもありいつも以上に熱がこもっていておもしろかった。制作費の高騰が心配ですが、この豪華さは今後も続くと期待して良いのですか?
山本氏: この「CS:GO」の回はちょっと特異でゲストはかなり豪華になりました。今後も出演者さんの予定が合うようであれば、こういった回を行ないたいとは思っています。
中の人: 視聴者の皆様が楽しんで頂けるように可能な限り頑張っていきます……!
――配信ではAbsolute JUPITERが、「CS:GO」を辞めて「VALORANT」1本で活動していくことなど、eスポーツファンが「オッ」と思うようなスクープ情報が盛り込まれていましたが、eスポーツの情報番組という立ち位置も意識しているのですか?
加藤氏: 生配信番組なので、その時のニュースにも敏感に対応していきたいなと思っています。単にゲームを見せる、GALLERIAを知っていただく番組ではなく、eスポーツ界の情報も出していきたいですね。また、ゲームの面白さや人の面白さを通してGALLERIAを知っていただける番組にしたいと思っています。
――現在、新型コロナウイルスの影響で、本番組の主題の1つとしているeスポーツ自体が自粛ムードにあります。こうした状況に対して「ガレリアゲーム三昧」はどう向き合っていこうと考えていますか?
山本氏: 新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。一刻も早い事態収拾のため、少しでも外出を減らし、自宅で自粛されている皆様への「配信番組」としての楽しいコンテンツ提供が少しでも出来ればと思っています。
加藤氏: eスポーツ/ゲームはオンラインで出来ることが最大の魅力です。すでに野球やF1など、オフラインで行なう競技がゲームを使って開催されたり、配信プラットフォームやゲーム自体もプレーヤー数が伸びています。我々も、出来る事にチャレンジしていきたいと思います。例えば一般の方と一緒にゲームをするなど、普段あまりできない事に挑戦していきたいです。
中の人: ゲーム三昧の配信も4月から完全オンラインで、スタッフもゲストの方々も全員自宅から行っています。今までのように実際会ってお話しをすることが、ゲストの方々のパーソナリティをもっと知ることは勿論、業界を知ることに繋がっていました。そんなこともあり、私自身完全オンラインの体制は少し心配でしたが、ゲームを一緒にプレイすればそんなこと問題ありませんでしたね!ゲーマー同士ゲームをすれば分かり合える(笑)!色々手探りの中ではありますが、自宅からでも、ゲストの方々、視聴者の方々、たくさんの人達と「ゲーム」を通じて繋がれる番組でありたいと考えています。番組の配信頻度も増えているので、視聴者の皆さんもゲームにご参加頂いたり、より気軽に、かつ自宅から皆さんと一緒に楽しめるような番組作りに挑戦していきたいですね。
――今後、配信でどのような活動をやっていこうと考えていますか?
加藤氏: 視聴者の皆さんと一緒に、何かに挑戦してみたいです。例えば「マインクラフト」で町を作るとかMMORPGを一緒にプレイするとか。
山本氏: 今後も番組の大きなコンセプトである、「流行りのゲームをプレイする」というところは変わりません。流行りのゲームをいち早くプレイし、可能であればそのゲームをやり込んでいる出演者さんをお呼びして、最新情報や攻略を聞いたり、プレイを見せていただきつつ、その出演者さんの魅力を引き出しながらゲームを楽しんでもらい、その「楽しさ」が、配信を見ている皆様に伝わればと思っています。
中の人: 視聴者の方達との繋がりを深められるようなことがしたいですね、例えば一緒にゲームをするとか。「中の人」はゲームが下手くそなので、それに対してツッコミコメントがブワーって連なるような……(笑)。
――今の事態が沈静化したらやってみたいことはありますか?
全員:公開収録やオフラインイベントをしたいですね。
中の人: 昨年の「GGLAN」のような、ゲームが好きな人達が集まって一緒にゲームで交流したり、記憶に残る記念品の配布もしたいです。ファンの皆さんに楽しんで頂けるようなイベントが開きたいですね。
――最後にゲームファン、eスポーツファンに向けてメッセージを1人ずつお願いします。
加藤氏: 自分も元々ゲーマーで、以前から自宅にいる時間が長いのですが、こういう状況で外出できない状況が続くのは、ストレスになるかと思います。そんな中でも、家にいても一緒に繋がれるゲームや配信を通じて、少しでも解消できる一助になれれば幸いです。
これからも、いい意味で「くだらない」と思ってもらえる楽しい番組を作れればと思います。
山本氏: 今後もGALLERIAゲーム三昧では「ゲーマーが楽しめるコンテンツ」をお送りしたいと思っています。Steamポイントに変換できるドスパラポイントの配布や、ゲームやデバイスが当たるキャンペーンなども実施していますので、是非今後ともゲーミングPC「GALLERIA」と、毎週金曜21時から実施予定の「ガレリアゲーム三昧」をよろしくお願い致します。
中の人: 今のような状況が早2カ月以上。国内外問わずeスポーツ大会も完全オンライン、若しくは延期や中止というニュースが相次いでいます。そのような中で、オンラインで完結できるゲームの良さは勿論、番組のゆるさ・気軽さを活かして、少しでも皆さんの楽しみの一つになれたら幸いです。皆さんが期待するゲーマーさんやプロ選手をゲストにお呼びしつつ、ただただ一緒にゲームをしている番組です。ゲームをやりこんでいる方はもちろん、これからゲームを始めたいと思っている方にも是非見て頂けたら嬉しいです。
――これからも配信楽しみにしています。ありがとうございました。