インタビュー
様々な想いを込めてヤマトが飛び、光る! 「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」
2017年4月27日 07:00
こだわりの発光と台座による“可動”で、様々なヤマトの姿を再現
それでは、「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」の試作品を見ていこう。ぱっと見た感じだと、手頃な感じのサイズ感に、重厚さを感じさせる塗装が強い印象をもたらす。塗装はのっぺりとしたものではなく、長い航海を感じさせるような汚し塗装が施されている。
ヤマトと言えば艦首の波動砲と、上部の“フェアリーダー”と呼ばれる穴状の切り込み、そして波を切る“バルバス・バウ”が生み出す独特の曲線の美しさだが、こちらの表現も見事だ。その曲線のデザインを、落ち着いた雰囲気をもたらす塗装が引き立てている。甲板に並んだ主砲と副砲から司令塔へ繋がるライン、司令塔を守るように配置された対空機銃「パルスレーザー」もとても細かく造形されている。
特にディテールが集中している司令塔は艦橋の窓もきちんと塗りわけられている。司令塔の一番上の艦長室の上にある非常に小さな翼までもきちんと造形されていて、感心させられる。煙突ミサイルのディテール表現も楽しいし、特徴的なレーダーや、翼の造形もしっかりしている。
側面には展望室があり、底部の第三艦橋、後部のコスモゼロ用のカタパルトジェットエンジン風の尾部の波動エンジンなど、ヤマトならではの造形を細かくチェックし、その造形と塗装、なによりもヤマトだからこそ生み出される“雰囲気”がいい。全身に施されたスジ彫りも見応えがある。
そして電飾である。スイッチは底部のカバーを外して発光を行なう。「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」では3つのLEDを使い、「波動砲口」、「波動エンジン」、「艦橋と側面」を発光させる。特に艦橋部分は司令塔を貫くようにクリアパーツが配されており、ここに光を通すことで艦橋、艦長室、そして劇中でも印象的だった司令塔後部の展望室が発光、さらに側面の展望室に加え、側面の「魚雷発射管」の下部に小さな穴が空き、ここも発光するようになっている。
「側面の光はちょっと悩みました。本来のヤマトの設定画上ではここは光らないんです。しかし『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』でアンドロメダが艦全体に“電灯艦飾”を施してあるように光り輝いて飛行するシーンがあり、今回のヤマトでもディテールを活かした演出として入れてみました。この光の演出で、高級感、ユーザーの満足度が上がるのではないかと思っています。今回の商品は“光る”のが大きな特徴です。ちゃんと光っていることがわかるように、光る箇所はディテールを活かしながら意図的に多く、印象を強くしています」と野口氏は語った。
波動エンジンはメインエンジンだけでなく、底部の補助エンジンも発光する。劇中同様オレンジ色の暖かみのある発光が素晴らしい。宇宙の海を1艦のみでで航行するヤマトの“寂しさ”も感じさせる。反対に波動砲は派手だ。真っ白で強めの光が波動砲を発射した瞬間の強い光を感じさせる。
発光パターンは試作品では全てが点灯していたが、商品では「波動砲」と「波動エンジンと艦橋周り」をスイッチで切り替える形式になるという。この切り替えは“波動砲を撃つ際は全エネルギーが波動砲に集中するから”という野口氏のこだわりからだ。そして波動砲以外が点灯している状態は通常航海をイメージしている。全点灯ではなく、点灯を分けることで、「宇宙の海を進むヤマト」と、「波動砲を発射したヤマト」をそれぞれ再現できるというわけである。
もう1つの大きな特徴が「台座の可動」である。「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」はアームのついた台座が付属し、特に安定翼部分にパーツをはめ込み1つのアームでヤマトを保持するアームを使うと、ヤマトを上を向かせたり、下を向かせたりするだけでなく、ロールを加えたり、さらには反射衛星砲攻略時の第三艦橋を上にした潜水艦を思わせる状態でのディスプレイも可能だ。
特に「宇宙戦艦ヤマト2199」ではヤマトはCGモデルで描かれていたため、“船全体が動く”という演出が多く取り入れられた。高速で前進しながら船体をロールさせて敵の砲火を紙一重でかわしたり、敵の罠にはまって船全体が縦方向に回転するなどダイナミックな演出もあった。
そして、CGモデルでのヤマトの“動き”の描写は、手でヤマトを持ってその動きを想像した幼少期の記憶を刺激する。擬音を口にしながら手で目の前を移動させ、船を傾けていくあの感じを「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」はアームで再現できる。地球を飛びだつ際の艦首を上に向けてロールした姿や、下降しながら攻撃をしていく姿など様々な場面を再現したくなってしまう。
「机の上に置いておくお気に入りの玩具は、例えばアクションフィギュアでもそうですが、何の気なしに触ってポーズを変えて、また目につくところに置いておくことを繰り返してしまう。今回の商品の台座はそういった遊び方を目指しました。ユーザーの方はお気に入りの角度でヤマトを飾り、ふとした気分で角度を変えて眺める。色々なシーンで見せたヤマトの“動き”をイメージさせる飾り方が可能です」と野口氏はコメントした。
台座そのものは鏡のような反射シートが貼られており、高級感がある。台座部分も大きく可動し、アームと合わせてヤマトを大きく動かすことが可能だ。可動アームは安定翼を出したものに対応するパーツも用意されている。さらに2つのアームで船体をきちんと保持させる固定ディスプレイ用のアームも付属、様々なニーズに対応している。
そしてギミックである。「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」は主砲、副砲が可動する。1つの目標に集中して砲を向けたり、それぞれの砲が別の敵を狙うといった演出もできる。ヤマトで印象的な安定翼は差し替えパーツで再現する。砲を動かしたり、安定翼を外したり、スイッチを覆う底部のカバーを取り外すのは専用ツールを用意するという。サイズが小さく、ディテールを追求した「輝艦大全 1/2000 宇宙戦艦ヤマト」では、砲の可動は指ではなくツールできちんと動かして欲しいという。
「『フィギュア』の場合、“可動”は大きなウリとなります。『ROBOT魂 機動戦士ガンダム 一年戦争 ver. A.N.I.M.E.』等のアクションフィギュアの場合は、良く動くことで遊びが広がり、お客様の満足度、商品に繋がっていく。しかし艦船モデルの場合は可動箇所が少なく、台座に乗せ、眺めて楽しむという場合が多いですが、今回は台座を動かすことで、ヤマトを自由に眺めたり、劇中の雰囲気を再現できる。傾けると劇中の飛んでいる姿が蘇る。今回は台座の可動と、“光”というところで、これまでにない艦船モデルを目指しました」と野口氏は語った。次章ではさらに野口氏のこだわりを取り上げていきたい。